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教職員の「働き方改革」に関するシンポジウムを開催しました

連合島根官公部門連絡会は、8月11日(土)午後、松江市のくにびきメッセ国際会議場において、教職員の「働き方改革」に関するシンポジウムを開催。県内の教職員関係組合の組合員をはじめ、連合加盟組合の組合員や一般市民など約250人が来場しました。

このシンポジウムは、「長時間労働」が社会問題としてクローズアップされ、残業時間の上限規制をはじめとする「働き方改革」が求められる中にあって、労働時間関係法の枠の外におかれている「教職員の働き方の現状」にスポットをあて、実態と課題を明らかにするとともに、改善にむけた方向性や具体策を探ることを目的として開催したもの。

シンポジウムは、講演、パネルディスカッションの二部で構成。第一部は、「ブラック部活動」の著者としても知られ、多くのメディアでコメンテーターとして活躍している名古屋大学大学院准教授の内田良氏による『学校の日常を「見える化」する ~部活動改革から働き方改革まで~』と題した講演が行われました。

講演の中で、内田准教授は、教職員は法制上の労働時間規制の対象外であること、「部活動」は教職員の職務である「学習指導」ではなく「自発的行為」と位置づけられていること等の問題の本質を強調。教職員の労働者性が否定されていることや、いわゆる「給特法」と実態とが大きく乖離している問題を解消していくことが必要であるとの考え方が示されました。

第二部では、内田准教授をコーディネーターとし、松江市職員ユニオン(自治労)の組合員で中学校・高校のバスケ部生徒の保護者の西村雅夫氏、前の島根県教育庁教育監で県立高校の校長の経験を持つ片寄進氏、県内の小中学校の教職員組合の日教組島根執行委員長の三上誠二氏、高校の教職員組合の島根県高教組執行委員長の黒崎浩匡氏の4名のパネラーで「教職員の働き方改革について」と題したパネルディスカッションを実施しました。

パネルディスカッションでは、各パネラーそれぞれの立場から現場実態の報告や、教職員の長時間労働の是正・教職員の負担軽減の取組事例などの報告がありました。また、コーディネーターの内田准教授からの「具体的対策は?」との問い掛けに対し、パネラーからは、学校行事のスクラップ・アンド・ビルドや教職員の増員の必要性、給特法の廃止・見直しの必要性などの考えが示されました。

最後に、内田准教授から、「部活動」の必要性が否定されるものではないが、持続的に熱意ある部活動が行われるためには、相当の議論と時間を要する法改正を待つのではなく、また、個人の自主規制に委ねるのではなく、部活動の日数・時間制限や学校と地域の役割分担の明確化などの「部活動に関する制度設計」が社会的に行われることの必要性が述べられ、シンポジウムを終えました。

今回のシンポジウムを通じて、学校関係者だけではなく民間労組関係者や一般市民が、教職員の「働き方」の実態と問題点、解決の方向性等を知ることができ、改善に向かう契機となったのではないかと考えます。