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第3次男女平等参画推進計画

連合島根では、2001年から「第1次男女平等推進計画」を、そして2006年から「第2次男女平等推進計画」を掲げ男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができる社会を目指した取り組みを展開してきました。

連合島根の男女平等参画推進計画については、第1次計画の策定時より、島根県の男女共同参画推進ならびに連合本部の取り組みと連動しつつ地域実態に即した課題解決を目標に掲げてきた経緯にあります。連合本部において「連合 ポスト第3次男女平等参画推進計画」が論議され、「連合第4次男女平等参画推進計画」が策定・確認されたことを受けて、連合島根としても「連合島根第3次男女平等推進参画推進計画」を掲げ真の男女平等参画社会実現を目指した取り組みにつなげるものとします。

1.男女平等参画の情勢と必要性

(1)社会・経済の変化と働く女性

日本では近年、少子高齢化と労働力人口の減少が急激に進み、社会の持続可能性をも揺るがそうとしている。企業は内需の鈍化をコスト削減で乗り切ろうと、賃金の切り下げや非正規雇用への置き換えを進め、消費の低迷と経済の縮小を招くという悪循環を続けてきた。産業構造の変化などを背景に、雇用者の女性割合は一貫して増加しているが、女性雇用者の過半数は不安定で低賃金の非正規雇用であり、社会変化の弊害は、女性により深刻に集中しているといえる。

また、女性の管理職比率は雇用者の女性割合には遠く及ばず低水準で推移し、男性と女性の勤続年数にも格差があり、賃金水準の男女間格差も依然として残っている。加えて、家事、育児や介護などの家庭責任が女性に偏り、子育て期の男性の長時間労働の是正も進んでいないことなどから、いまだ数多くの女性が妊娠・出産を機に退職を余儀なくされているなど、従来からの男女平等諸課題の改善も不十分なままにとどまっている。

(2)男女平等参画をめぐる国内外の動向

世界各国は「女性差別撤廃条約」などに基づき、女性への差別の撤廃と男女平等の実現に取り組んでいる。現在では多くの国が、政治・経済などの分野で、議員や会社役員などの一定割合を女性に割り当てるクオータ制(*)を導入している。国際労働組合総連合(ITUC)や国際産業別労働組合組織(GUFs)も大会代議員にクオータ制を導入するなど、男女平等参画の推進は世界的な潮流である。

日本政府は1985年に「女性差別撤廃条約」を批准した。現在は、男女共同参画社会基本法に基づいて策定した第3次男女共同参画基本計画のもと、「社会のあらゆる分野で、指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%程度にする」ことなどの実現をめざしている。経営者団体もまた、同様の目標を掲げて取り組みを進めている。しかし、国際的に見れば、日本はいまだ男女間格差が際だって大きい。その中でも労働組合はとくに遅れをとっているのが現状である。

連合はこれまで、非正規労働者の増加などへの対応が遅れ、組織率と社会的影響力の低下に歯止めをかけられなかった。また、労働組合には固定的性別役割分業意識が根強く残っていることなどもあり、男女平等参画の取り組みも不十分で、いまだ多くの組織は男性正社員が中心であるといわざるをえない。連合組合員の女性割合は約3割で、雇用者の女性割合には届かず、組合役員の女性割合は1割にも満たない。

(*)男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することを「積極的改善措置(ポジティブ・アクション)」という。クオータ制はその手法のひとつで、人種や性別などを基準に一定の人数や比率を割り当てる制度のこと。

(3)連合のこれまでの取り組み

連合は、1989年の結成時に「労働運動をはじめ、あらゆる分野に女性の積極的な参加を進め、男女平等な社会の実現をはかる」ことを掲げた基本文書「連合の進路」を決定した。これを具体化するため、1991年から2012年にかけて「男女平等参画(参加)推進計画」を3次にわたって策定するとともに、各地方連合会に女性委員会を設置するなどして取り組みを進めてきた。

しかしながら、各組織の女性役員比率を2000年までに15%とすることをめざした第1次計画、連合諸機関の女性参画率を2006年までに当該組織の女性組合員比率とすることをめざした第2次計画、各組織で2012年までに女性組合員比率の女性役員を選出することなどをめざした第3次計画は、いずれも目標を達成できなかった。

連合は、第3次計画について、連合全体で理念と問題意識を共有化できず、取り組みを徹底できなかったことや、計画的な運動展開と点検が不十分であったことなどを課題として整理した上で、連合全体で実効性ある手法を取り入れつつ、いっそうの徹底をはかる必要があるとの総括を行った。

(4)ますます高まる男女平等参画の必要性

いま、男女がともに仕事と生活を両立できる環境や、公正な労働条件のもと、生活状況に応じて柔軟に就業継続できる多様な働き方を整備する必要性はいっそう高まっている。また、女性をはじめ多様な人材の就労と能力発揮の機会を保障し、社会・経済の活力と持続可能性を維持していくことは、最重要かつ喫緊の課題となっている。

それは労働組合においてもまた同様である。連合は、めざす社会を実現するために、女性や若者、非正規労働者など多様な仲間が結集し、力を発揮する組織になる必要がある。労働組合における男女平等参画は、その成否を決する課題である。

連合は、第3次男女平等参画推進計画の期間満了にあたり、これまでの取り組みの成果と、20年以上にわたり目標が未達成に終わった運動の反省の上に立ち、社会の変化や新たな課題にも対応して本計画を策定・実施し、さらなる男女平等参画の推進をはかっていく。実効性のある運動を進めるために、クオータ制などを含めたポジティブ・アクションも取り入れながら、広く社会全般の男女平等参画の推進を見すえて、企業などへの働きかけも含めた社会運動として、組織の総力をあげて取り組みを進める。

2.連合のめざす男女平等参画社会の理念

(1)連合のめざす男女平等参画社会の理念

連合は「働くことを軸とする安心社会」をめざす。それは、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)が保障され、病気、失業、子育て、介護など、人生の全ての段階におけるあらゆるリスクやニーズに対応できる制度が確立され、積極的に生きていこうとする人々への支援が提供され、人と人との良好な絆が培われている社会である。

連合は、「働くことを軸とする安心社会」づくりの一環として、社会全体および労働組合自身の男女平等参画の推進に取り組む。この運動がめざすのは、男女が対等・平等で人権が尊重された社会の構成員として、様々な分野への参画の機会が保障され、役割と責任を分かち合う、だれもがくらしやすい「男女平等参画社会」の実現である。

(2)連合が男女平等参画に取り組む意義

連合は、社会正義を追求し、自由、平等、公正で平和な社会をつくることをかかげている。男女平等を実現し、男女ともに働きやすく、くらしやすい社会をつくることは連合の社会的責任である。

連合は、男女平等参画の理念と政策を打ち出し、実現する力を、さらに強化していく必要がある。そのためには、女性や若者、非正規労働者など多様な属性、経験や価値観をもつ人々が結集して個性と能力を発揮する、多様性と活力のある組織となって、社会的影響力を高めていかなければならない。

連合は生活者の組織でもある。男女がともに家庭や地域で責任を分かち合うことを推進する取り組みによって、地域社会は活性化する。それは「地域で顔の見える労働運動」でもあり、地域における連合の存在感を高めることもできる。

男女平等参画推進運動は、連合の組織と運動を強靱で活力あるものとする。さらには、その将来をも左右する重要な取り組みであることから、連合は、トップのリーダーシップのもと、組織の総力をあげて取り組みを進める。

3.運動の目標と主要課題

連合の男女平等参画推進運動は、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、下記の3つの目標(以下、「連合の3つの目標」という)の達成をめざし、それぞれの分野の課題に取り組む。

(目標1)働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の実現と女性の活躍の促進

性別や年齢、雇用形態などを問わず、だれもが働きがいのある人間らしい仕事と公正な労働条件で、多様な働き方を通じて社会に参画し、つながることができるようにする。

それによって、社会的・経済的な自立と自己実現への挑戦が可能となる。働くことを通じた能力の発揮と向上は、社会への貢献と豊かな人間関係の礎ともなる。とりわけ、働くことを希望しながらそれが実現していない多くの女性の就労を支援することは、女性の貧困リスクを防ぎ、自立を促すだけでなく、社会・経済に活力をもたらすことにもなる。

<主要課題>

  1. 同一価値労働・同一賃金や処遇全般にわたる均等・均衡待遇の実現、法律や労働協約による最低賃金の引き上げをはかり、雇用平等の実現をめざすとともに、就業支援の充実にも取り組む。
  2. 女性の参画を阻む構造的な問題を解消するため、ポジティブ・アクションも推進しつつ、実質的に男女で異なる雇用形態・採用区分・配置の是正、女性の職域や雇用・採用の拡大をはかる。
  3. ワークルールが確立し、キャリア形成の機会が平等に得られ、ハラスメントや差別などで能力の発揮を妨げられることのない、働きやすい職場コミュニティづくりと働き続けられる環境の整備に取り組む。
  4. 就労を抑制したり、特定の働き方に有利になったりせず、自己実現の挑戦を支えられるものとなるような、性やライフスタイルに中立的な税・社会保障制度を確立する。

(目標2)仕事と生活の調和

仕事と生活の役割と責任を男女が平等に分かち合い、男女双方が仕事と生活の調和をはかれるようにする。とくに、妊娠・出産、育児や介護にかかわる女性の就労・就業継続や男性の家庭・地域への参画の拡大のための環境整備、労働時間の短縮をはじめとする働き方の見直しを進める。

仕事と生活の調和は、仕事にゆとりをもたらし、雇用の質を高め、働きがいや生産性を高めることにもつながる。また、仕事の分かち合いや、社会サービスの拡充によって、より多くの人の就労も可能となる。さらに、男女がともに地域や家庭に関わることは、暮らしをより豊かで幸せなものとする。

<主要課題>

  1. 育児・介護休業法の改正や次世代育成支援対策推進法の延長・拡充をはじめ、子育て・医療・介護などの仕事と生活の調和に関わる施策や、職業訓練などの就業継続・再就業の支援に関わる施策の拡充に取り組む。
  2. 仕事と生活の両立支援制度の職場での点検・整備・周知と利用しやすい環境づくり、制度利用者が不利益を受けずに働き続けられる環境の整備に取り組む。
  3. 労働時間の短縮をはじめとする働き方の見直しや、公正な労働条件での多様な働き方の整備に取り組む。
  4. 雇用労働に限らず、働き、つながることの一部をなす家事労働、地域活動、文化活動などの男女平等参画についても、意識面への働きかけに取り組む。

(目標3)多様な仲間の結集と労働運動の活性化

性別や年齢、雇用形態などを問わず、多様な働く仲間が結集して、すべての働く者のために個性と能力を発揮する、活力に満ちた労働組合にする。

女性役員比率の数値目標の達成のみが運動の目的ではない。女性や若者、非正規労働者も労働運動の主体的な担い手となるとともに、すべての働く者が自ら参加したいと思う魅力ある労働運動を展開してこそ、組織は強固となり、社会的影響力も高まる。女性は労働運動の活性化を担う重要な存在である。女性の積極的かつ自発的な参画と、男女平等参画を組織全体の取り組みとするリーダーの指導力の発揮が必要となる。

<主要課題>

  1. 組織拡大、とりわけ非正規労働者にまで行き届いた取り組みをいっそう強化する。女性の労働相談アドバイザーやオルガナイザーの育成にも取り組む。
  2. 妊娠中や育児・介護中、非正規雇用の組合員も含めて、男女が参加しやすい組合活動のあり方や環境づくり、運動の担い手の育成、とりわけ女性リーダーの育成と選出に取り組む。また、複数の女性役員の選出をめざすとともに、活動の任務分担の男女平等にも配慮する。
  3. 女性の意見を集約し、課題を明確化して、運動に反映する体制を確立するとともに、役員や代議員の選出にクオータ制を導入するなど、女性が組織の意思決定に参画しうるしくみづくりに取り組む。
  4. 男女平等参画のための環境整備などを担う男女平等推進委員会などと、知識の蓄積や経験交流などを通じた女性のエンパワーメント(*)を担う女性委員会(女性部、女性フォーラム)などを、ともに強化する。
  5. 労働組合活動の効率化、日時設定等の見直しを行い、仕事や生活と調和したものとする。

(*)エンパワーメントとは、力をつけること。また、女性が力をつけ、連帯して行動することで自分たちの置かれた不利な状況を変えていこうとする考え方。

4.数値目標

連合は、以下の数値目標の達成をめざして取り組みを進める。

  1. 運動方針に、男女平等参画の推進と連合の3つの目標についての取り組みを明記している組織(構成組織・単組・地方連合会)を、遅くとも2015年までに100%とする。
  2. 女性役員を選出している組織を、遅くとも2017年までに100%とする。
  3. 連合の役員および機関会議の女性参画率を2020年までに30%とする。

連合の女性参画率を2020年に30%とするために、連合本部・構成組織・単組・地方連合会は2020年までに女性組合員比率の女性参画率の達成をはかる。連合組合員の女性比率は約30%である。連合本部およびすべての構成組織・単組・地方連合会が、当該組織の女性組合員比率の女性参画率を達成することで、連合の女性参画率を30%にする。

さらに、女性組合員比率が30%未満の組織も「2020年30%」を目標として取り組みを進める。これは、女性組合員比率が低い組織でも女性の意見反映を保障し、実質的な男女平等を実現するために必要であり、女性の職域や雇用・採用の拡大、組織化、人材育成などとあわせて取り組むことが重要である。

5.連合第4次男女平等参画推進計画期間

2013年10月から2020年9月の7年とする。

6.計画に基づく運動の展開

各組織は、先に掲げた連合の3つの目標の達成をめざし、男女平等参画推進計画を策定し、具体的な取り組みを進める。

(1)連合本部の取り組み

①組織・労働・政策課題と男女平等参画の一体的取り組み

「1000万連合実現プラン」、春季生活闘争や政策・制度要求など、連合のあらゆる運動と一体的に男女平等参画の取り組みを進め、政府・政党や経営者団体などへの働きかけも行いながら、連合の3つの目標の達成と「働くことを軸とする安心社会」の実現をはかる。

また、男女平等参画をめぐる国際的な動向、とりわけ「女性差別撤廃条約」や国連の動向ならびにITUCの取り組みを踏まえつつ、各組織・機関との連携と協力のもとに取り組みを進め、ITUC規約に準じた男女平等参画率(*)の達成に努める。

さらに、家庭での男女平等や男性の地域参画の促進についても、連合各組織を通じた啓発・キャンペーン活動に取り組む。

(*)ITUC規約では、大会代議員については、2人以上の代議員を有する組織は代議員の半数を女性が占めること、組合員が5万人またはそれ以下であって、女性が組合員50%以上を占める組織は、1人以上の女性を代議員として指名すること、執行委員会の女性比率については、各大会前に段階的目標を定めることとし、目標は最低30%とすることなどを定めている。

②クオータ制の導入とポジティブ・アクションの強化

連合本部の女性参画率の向上のため、役員選出および大会代議員・傍聴にクオータ制を導入する。各種委員会や集会・学習会などについても、女性の参加を要請する。

  1. 本部役員
    連合本部は、連合本部役員の30%以上を女性が占めるものとするよう定め、2020年に達成する。
  2. 大会代議員・傍聴
    連合本部は、2人以上の代議員を有する構成組織の代議員と、構成組織・地方連合会の傍聴者について、30%以上を女性が占めるものとするよう定め、2020年に達成する。
  3. 各種委員会
    連合本部は、構成組織に対して、各種委員会に参画する女性委員を増やすよう要請する。
  4. 集会・学習会
    連合本部は、主催する集会・学習会などにおいて、2名以上の参加要請を行う構成組織・地方連合会に対して、参加者の30%以上を女性が占めるよう要請する。
  5. 中央委員会中央委員
    連合本部は、中央委員会の女性参画率についても、2020年までに30%以上とするよう、特別中央委員制度の見直しやクオータ制の導入も含めて、選出方法を引き続き検討する。

③取り組みの支援

男女平等推進委員会と構成組織・地方連合会男女平等推進委員会委員長会議を開催し、男女平等参画推進の取り組みの共有化・全体化をはかる。また、各組織の男女平等参画推進計画策定の支援のための指針やその他の情報提供などについて検討し、適宜対応する。

従来の男女平等推進担当者会議は男女平等推進委員会に統合し、必要に応じて、男女平等推進委員会のもとに、テーマごとに作業委員会を設置する。

構成組織・地方連合会女性代表者会議を開催し、各組織の女性委員会などの支援や連携強化をはかるとともに、女性リーダーの育成やエンパワーメント、経験交流などに取り組む。

④進捗管理とフォローアップの強化

連合本部、構成組織、地方連合会のトップのリーダーシップのもと、連合本部、構成組織、地方連合会の計画の進捗管理とフォローアップについて、体制と取り組みを強化する。これにより、計画を立て、取り組みを行い、取り組みを評価し、改善の必要性を検討し、計画と運動の見直しに反映させるサイクルを確実に進める。

具体的には、男女平等推進委員会および構成組織・地方連合会男女平等推進委員会委員長会議を開催し、定期的に各組織の取り組み状況と結果を集約し、達成度や成果の評価と課題の分析を行う。また、男女平等推進委員会のもとにプロジェクトチームを設置し、課題などについて分析を深める。

進捗管理の項目は、数値目標および3つの目標の主要課題に対する取り組みを中心に設定する。主要課題の取り組みについては、組織内の現状把握や改善の取り組みの有無などを点検することとし、男女平等推進委員会において具体的な内容・手法を検討する。

連合本部は必要に応じて各組織に取り組みの改善・強化を要請する。
一連の内容は、定期的に連合の大会、中央委員会、中央執行委員会に報告する。

⑤「モデル組織」の設定

取り組みが遅滞している組織の底上げをはかることと、先進的な取り組み事例を各組織の参考に供し、同様の取り組みを促すことを目的として、構成組織、単組、地方連合会のなかから「モデル組織」を設定する。当該組織の男女平等参画推進計画の策定とそれに基づく取り組みを全面的に支援し、協働して運動を進める。単組の場合は、構成組織・地方連合会とも連携をはかる。

モデル組織の取り組み内容については、男女平等推進委員会や各種会議・集会において報告し、共有化する。

⑥人材育成の充実

構成組織、単組、地方連合会の男女役員などを対象に、リーダー養成や男女平等についての研修とフォローアップを行うなど、人材育成に取り組む。

(2)構成組織・単組・地方連合会共通の取り組み

【連合島根の取り組み】

連合島根は、2006年11月~2013年10月まで8年を実行計画とする「第2次男女平等推進計画」を策定し、目標達成に向けて取り組んできました。しかしながら、現状をみると目標達成はいまだ困難な状況にあります。

島根県では、「島根県男女共同参画計画(しまねパートナープラン21)」に基づいて、2011年までの10年に亘り各種施策に取り組んできました。その結果、男女共同参画に対する理解は少しづつ浸透してきたものの、固定的な性別役割分担意識は根強く、女性に対する暴力も依然としてなくなっていないのが実態です。また、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進や、男性や若者に向けた理解促進など、新たな課題への対応も必要となっています。島根県は、男女共同参画社会の実現に向け、2011年5月に「第2次男女共同参画推進計画」を策定し計画的な施策展開に向けて動き出しました。この間、連合島根としても島根県男女共同参画審議会の構成員として積極的に地域の課題に関わり、前述の計画策定や推進に努力をしてきています。

連合本部においては、2006年11月から2012年10月までの6年間を実行期間とする「連合第3次男女平等参画推進計画」の取り組みを進めてきました。そしてその進捗について、連合本部・構成組織・地方連合会それぞれの検証を行いつつ、推進計画達成に向けた対策を行ってきました。しかしながら、広く男女平等意識に高まりを見せる一方で、未だに18構成組織に男女平等参画の方針が掲げられていないことなどの実態に直面し、根本から課題解決への論議をすべきとの結論に達しています。

島根県は、超少子高齢社会に向かっています。高齢者が増える一方で生産者年齢人口が確実に減少しています。同時に非正規雇用も4割に達するなどの状況にあります。島根の産業を支える就業人口を増やすには、女性の就業率を高めること、生活できる賃金を得られるディーセントな雇用を拡大していくことが必要です。また、女性が就業を中断することなく持てる力を発揮していくためには、育児や雇用に関する多くの障壁を削減していくことが求められます。

社会保障制度においては、従来高齢期に集中していた社会保障を全世代型に転換し、子供や子育て、高齢者介護などを社会全体で支え、若者や女性など現役世代がより働きやすい環境を整備していく必要があります。男女にかかわらず働くことを通じて社会に参加し、税や保険料の拠出によって社会を支え、消費により経済を支える。こうした能動的な社会を、働くことを通じて構築し中間層の再生をさせなければなりません。

連合島根は第2次男女平等参画推進において、連合や構成組織、地方自治体の審議会や各種機関とも連携した取り組みを行ってきましたが、その結果と反省を踏まえ、連合本部の「第3次男女平等参画推進計画」に則り行動しつつし、第3次男女平等参画推進の具体的な取り組みを掲げて運動展開していきます。

連合島根第3次男女平等参画推進計画の具体計画について

男女平等を真に実現するには、社会政策全般、社会のあらゆるレベル、あらゆる問題を女性自身の目で、あるいはジェンダーの視点で点検しそのプロセスに参画していかなければなりません。そして女性自身が「役割と権限」を担っていくことが肝要です。連合が目指す「働くことを軸とする安心社会の実現」のためには、男女平等参画なしには実現しません。

すべての構成組織・単組・地方連合会は、組織のトップのリーダーシップと組合員の積極的な参画のもと、以下の取り組みを行う。

  1. 男女平等参画推進方針の決定
    男女平等参画の推進と連合の3つの目標の実現に取り組むことを運動方針に明記する。男女平等参画の理念や数値目標についてもできる限り盛り込まれるよう働きかけていく。
  2. 男女平等担当部署の設置
    男女平等の担当部署を設置し、担当者を配置する。体制上、設置が困難な場合は、少なくとも男女平等担当者を明確化する。取り組みは、担当部署・担当者のみにとどめず、組織横断的に担い、展開していく。
  3. 男女平等推進委員会などの設置・強化
    男女平等参画を労働組合と職場の重要課題とし、家庭、地域をも視野に入れた取り組みを進めるため、実態を踏まえつつ、男女平等推進委員会などの設置と機能強化をはかる。
    男女平等推進委員会は、男女平等参画推進計画の策定と実施、そのための労働組合・職場での環境整備と障害除去、計画の進捗管理とフォローアップ、人材育成と意識啓発などを行う。
  4. 女性委員会(青年女性委員会・女性部・女性フォーラム)などの設置・強化
    女性のエンパワーメントを促進し、労働運動に女性の意見を反映させるため、組織の実態を踏まえつつ、女性委員会などの設置と機能強化をはかる。女性委員会の意見が運動に反映されるしくみを組織的に確立することに努める。
    女性委員会は、女性のエンパワーメントを目的とする組織として、女性の課題やニーズについての意見の集約と議論、知識の蓄積や経験交流、人材育成、ネットワークづくりなどを行う。
    女性委員会や男女平等推進委員会の活動や運営にあたっては、構成組織と単組、連合島根と各地協との間で連携をはかる。
    両委員会とも男女平等の実現をめざすものであり、取り組みの一部を共有するなど連携の強化を図っていく。
  5. 男女平等参画推進計画の策定・実行と進捗管理の徹底
    男女平等参画の理念と目標、具体的な取り組みの内容および方法を明記した男女平等参画推進計画を策定し、着実に推進する。さらに、進捗状況の管理を徹底し、取り組みの評価と改善の必要性の検討を行い、取り組みの見直しや次の計画づくりに反映させるサイクルを確実に進めていく。
    計画内容と各組織が掲げた数値目標は、大会議案書(運動方針)に掲げ、全組合員に周知する。加盟組織のリーダーへの徹底と意識喚起も重点的に行う。
    また、構成組織は、各単組の取り組みの円滑化をはかるため、計画の策定や実施のための指針や手引きを作成するなど、きめ細かな支援を行う。

数値目標の設定

連合の3つの目標および数値目標と、それらについて連合本部男女平等推進委員会が示す進捗管理項目などを踏まえつつ、連合島根の目標として掲げます。

  1. 連合島根の定期大会・地方委員会への女性参画率を2020年までに30%とする。
  2. 連合島根および各地協が開催する各種研修会等への女性参画率を20%以上となるよう努力する。
  3. 職場のパワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティハラスメント等の実態把握に努め、男女平等参画の観点から運動を阻害する要因の対策と撲滅に取り組む。
  4. 男女平等参画推進の進捗や、課題の把握に努める。男女平等参画推進についてのアンケートを継続して実施する。

数値目標の設定

2013年11月から2020年10月の7年とする。

目標達成の戦略と手段

目標達成に向けた戦略と具体的な手段については、連合島根男女平等推進委員会、女性委員会を中心として対応し、その役割や活動のあり方を見直し強化していく。そのためには、男女平等参画の状況、組合員の意識、賃金・労働条件の現状と男女間格差、仕事と家庭の両立支援制度の職場での定着状況などについて実態を把握し、課題を明確化していく。

進捗管理・フォローアップ

連合の3つの目標および数値目標と、連合島根4つの数値目標について連合本部男女平等推進委員会が示す進捗管理項目などを踏まえて各組織が設定した目標を中心に、計画の進捗状況と結果をアンケートを通じ毎年点検する。また、結果について構成組織への公表を行う。

関連領域の運動との連携・一体的取り組み

賃金・労働条件等の改善、組織拡大、政策・制度実現の取り組みなど、関連する運動領域における男女平等の推進についても、組織全体で整合性と連携をはかったうえで男女平等参画推進計画に位置づけ、これらの運動を通して男女平等の実現をはかることを明確にする。

男女平等参画をめぐる国際的な動向、とりわけ「女性差別撤廃条約」や国連の動向、ならびにITUCや国際産業別労働組合組織の取り組みを踏まえつつ、各組織・機関との連携と協力のもとに取り組みを進める。

労働組合の枠を越えた産業・企業の男女平等参画や男女平等課題の取り組みについても、構成組織が各単組を支援し、連携しつつ、経営者団体・企業への働きかけや労使の協議会の設置に取り組む。さらに、家庭での男女平等や男性の地域参画の促進についても、連合本部の器材を活用した啓発・キャンペーン活動などに取り組む。

連合島根は、自治体の審議会などについて、審議状況の把握と推薦委員の支援を行い、意見反映の取り組みを強化する。

以 上