パンフレット『就職差別撤廃と職場の人権』
A4版 40ページ
目 次
1.はじめに・・・・・・2
2.今なお深刻な就職差別・・・・・・4
部落地名総鑑差別事件
統一応募用紙のとりくみ
差別身元調査事件
こんなことを調べることが差別につながる
3.職業安定法改定と労働大臣指針の意義・・・・・・8
法的根拠を勝ち取った「統一応募用紙」
4.職場からあらゆる差別をなくそう・・・・・・9
職場における差別
人事関係書類など労働者の個人情報保護の観点から点検を
職場での取り組みのポイント
5.就職差別を含め雇用差別禁止の法整備を・・・・・・12
ILO111号条約の早期批准を
6.職場アンケートの結果と今後の課題・・・・・・14
アンケートの分析
明らかになった課題
コラム・自由記入欄の意見に答えて
7.欧米の制度、労働運動から学ぶ・・・・・・20
米国の雇用平等委員会のとりくみ
ニューヨーク市人権委員会
差別と闘うアメリカの労働運動
ドイツ「従業員代表委員会」制度と採用調査
8.各界の取り組み・・・・・・27
労働行政・自治体
教育関係者
民間企業
宗教者
《資 料》・・・・・・29
統一応募用紙/関係法令/職業安定法改定と労働大臣指針抜粋
連合の政策・制度要求の中の人権政策/男女雇用機会均等法
ILO第111号条約/受験報告書
※注文は、下記の単価でうけますので中央共闘事務局に申し込んでください。
TEL03−5289−8242 FAX03−5289−8225
1部 @250円 100部以上 @160円
10部以上 @200円 200部以上 @150円
50部以上 @180円 500部以上 @140円
※送料: 50部未満は送料の負担をお願いします。まとめてご注文ください。
※「はじめに」の内容のみを以下に紹介します。
1、は じ め に
部落解放中央共闘会議は、部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃をめざし、1975年に結成されました。そして、部落解放同盟と固く連帯し、労働組合の主体的課題として、部落解放運動を中心に差別撤廃の取り組みを進めてきました。現在、連合と25の産業別労働組合が加盟しています。
そして、昨年12月から「就職差別と職場のあらゆる差別撤廃にむけたアンケート」を実施し、今年3月に集約と集計をおこないました。このアンケートは、中央共闘として1993年5月にも実施しており2回目となります。
ここに、アンケート結果の特徴的な部分を報告しながら、就職差別と職場のあらゆる差別撤廃にむけた今後の課題について、ともに考え行動することを呼びかけたいと思います。
今日もなお就職差別は深刻な社会問題です。しかし、日本には採用における差別を罰する法律がありません。雇用主の採用の自由が優先されているのが現実です。
就職は人生の大きな岐路であり、生活の糧を得るということからも非常に大切なものです。また、労働者の権利や人権を考えるうえでも、就職という雇用関係の出発点から考える必要があります。採用選考で差別を許せば、それは雇用関係や職場の日常生活にも反映されます。その意味からも、就職差別を撤廃することは重要です。
また、このことは、転職や中途採用が増えるなど今日の雇用状況変化の中で、ますます重要になるでしょう。
また、就職して働きはじめてからの差別問題があります。これまで賃金や昇進などの労働条件における差別には目が向けられてきましたが、労働者が安心して働ける職場環境、つまり労働者の職場における人権としての差別問題にはあまり目が向けられてきませんでした。
しかし、職場の中で様々な差別を受けることが少なくありません。差別を受けた人は、深く傷つき、体調を崩したり、退職に追い込まれるケースや、自殺に追い込まれたきわめて深刻なケースもあります。それは労使関係においてのみならず、残念ながら労働者の仲間のなかで起こることが多いのが現実です。
このような問題を解決し、労働者が安心して働ける職場をつくることは、企業の責任であると同時に、労働組合にとっても重要な課題です。
一昨年から男女雇用機会均等法で、採用における女性差別が禁止されました。これは大きな前進です。しかし、罰則がありません。また、部落差別など他の社会的差別にもとづく就職差別を禁止する法律はまだありません。均等法の成果をさらに拡大し、採用を含む雇用差別禁止の法整備が重要な課題です。
また、セクシャル・ハラスメント(性的いやがらせ)防止が雇用主に義務付けられました。これも女性差別に限ったものですが、今後、職場における様々な差別を許さず、労働者が安心して働ける職場をつくるために、大きな足がかりとしていく必要があります。
今日の国際化によって企業間の競争が激化し、合理化が進められ、職場においても労働密度が高まるだけでなく、労働者の権利や人権がないがしろにされる危険性があります。そして、その不満をぶつけるスケープゴートとして、差別行為や発言が増え、差別が助長される危険性が高まります。そして、ストレスの強い職場の状態がつくられ、差別や人権侵害も繰り返されます。
また逆に、職場からあらゆる差別と人権侵害をなくす取り組みを前進させることができれば、経営者も含めそこに働く人々の人権意識を高め、職場の雰囲気も変わり、労働者の権利擁護にも良い影響を与えると考えます。
その意味で、労働者の権利擁護の取り組みを強化することとあわせて、身近な職場の中で差別撤廃の課題をもう一度見つめ直し、取り組んでいきましょう。