部落解放共闘情報
部落解放中央共闘会議の機関誌『部落解放共闘情報』の内容を掲載します。(年4〜5回程度発行)
部落解放共闘情報bP96(2010,6,1)
狭山事件の3者協議で東京高検が36点の証拠を開示
−血痕反応検査報告書などは「見当たらない」と回答−
5月13日午後、狭山事件に関する第3回目の3者協議(東京高裁、高検、弁護団)がおこなわれ、東京高裁が開示勧告していた8項目の証拠のうち5項目が開示された。また開示勧告されていなかった録音テープ9本も開示された。しかし、この9本には、石川さんが逮捕されて1ヶ月間も犯行を否認していた時のものは含まれず、犯行を「自白」したあとの取調べを録音したテープのみ。
注目されていた殺害現場とされる雑木林の血痕反応検査報告書については、「存在しない」から「見当たらない」に回答が変更された。
弁護団は今後、@開示された証拠を精査し、新証拠・鑑定として提出し、事実調べを求める、A開示勧告されながら「見当たらない」とされた3項目について再度開示を求める、B開示勧告されていない証拠の開示も求める、としている。
石川一雄さんは、「やっと検察も証拠開示に応じた。まだ隠している証拠はある。司法に対して真実を求め闘っていく」と語り、妻の早智子さんも「本人が犯行を否認した録音テープなど肝心な点が隠されている」と全証拠開示の必要性を強調した。
狭山事件の証拠開示は22年ぶりで、第4回目の3者協議は9月中旬に行なわれる予定。狭山事件の再審を求める闘いは重要な局面をむかえている。さらに世論を喚起していこう。
《8項目の開示勧告に対する検察側回答》
(1)殺害現場とされる雑木林内における血痕反応検査の実施およびその結果に関する捜査書類 ⇒「存在しない」から「見当たらない」に変更
(2)殺害現場に隣接する畑で農作業をしていた男性の事情聴取に関する捜査報告書ないしは供述調書 ⇒開示(捜査報告書1通)
(3)農作業をしていた男性を取り調べた捜査官の供述調書案、取り調べメモ、備忘録⇒開示(捜査報告書1通)
(4)雑木林を撮影した8ミリフィルム ⇒「見当たらない」
(5)死体鑑定書や実況見分調書に添付された写真以外の被害者の死体に関する写真 ⇒「見当たらない」
(6)石川さんが勤務していた工場の当時の借用書など、筆跡鑑定のために収集した石川さんの筆跡が存在する書類 ⇒開示(下記の第7項目とあわせて6点)
(7)石川さんが逮捕、拘留中に書いた本件脅迫状と同内容の文書など、石川さんの筆跡が存在する文書 ⇒開示
(8)石川さんを調べた捜査官の取り調べメモ、調書案など ⇒開示(捜査報告書等19通、録音テープ9本)
証拠開示と事実調べ求め3000人
−狭山事件の再審を求める市民集会−
3者協議を翌日に控えた5月12日午後、狭山事件の再審を求め「証拠開示と事実調べを求める緊急集会」が日比谷野外音楽堂で開催され、全国から3000人が参加した。
講談師の神田香織さんの開会あいさつのあと、組坂繁之・部落解放同盟委員長があいさつ、非常に重要な局面を迎えており、無罪を勝ち取るまで全力で闘おうと呼びかけた。
民主党、社民党の連帯あいさつのあと、石川一雄さんと早智子さんが「一層の支援を」と訴えた。
弁護団報告で中山武敏・主任弁護人は、東京高裁の証拠開示勧告が、@犯行現場や殺害方法などの自白の中心部分の信用性を問う項目、A脅迫状の筆跡という証拠の主軸にかかわる項目、など非常に重要なポイントでなされている意義を強調。3者協議がおこなわれているこの機会を活かし、新証拠を積み重ね、事実調べを実現することが重要と訴えた。
基調提案は松岡徹・部落解放同盟書記長がおこない、検察が誠実に証拠開示をおこなうよう世論を高めようと呼びかけた。
集会には、再審無罪を勝ち取った足利事件の菅家利和さん、再審開始が確定した布川事件の桜井昌司さん、再審請求中の袴田事件の袴田巌死刑囚の姉・ひで子さんも応援に駆けつけ、連帯のあいさつをおこなった。
集会のまとめをルポライターの鎌田慧さんがおこない、集会アピールを自治労の佐藤寿・青年部長が提案し満場の拍手で採択、そのあと参加者は都内をデモ行進した。
また集会前段の昼休み時間帯に、都内9箇所で一斉情宣活動が取り組まれ、中央共闘加盟の労働組合は霞ヶ関の弁護士会館前で中央共闘作成のリーフレットを配布した。
「人権救済法」「就職差別撤廃」「狭山再審」について学ぶ
−連合と中央共闘で人権学習フィールドワーク−
4月7日午後から8日にかけて、連合と部落解放中央共闘の共催で「人権学習フィールドワーク」が開催され、中央団体や地方連合から7日は40人、8日は30人が参加した。
初日は連合本部の会議室で、武山信一・連合連帯活動局長の司会進行で人権学習会が開催された。
まず連合を代表して水谷雄二・総合組織局長があいさつ、「あらゆる差別の撤廃と人権確立にむけて、これからも精一杯取り組んでいきたい」とのべた。
つづいて中央共闘を代表して高橋睦子・事務局長が「この2日間で学んだこと、感じたことを地域・職場で活かし、『人権侵害救済法』早期制定、就職差別撤廃、狭山事件の再審無罪獲得にむけ取り組みを強化しよう」と呼びかけた。
そのあと部落解放同盟を代表して組坂繁之・委員長があいさつ、「人権侵害救済法」の今国会提出と早期実現を訴えるとともに、狭山事件の再審請求についても3者協議という重要な局面を迎えているとのべ、「百聞は一見にしかず」と現地フィールドワークの意義を強調した。
講演は「国内人権機関設立についての日弁連要綱とその意義」について、藤原精吾・弁護士(日弁連国内人権機関実現委員会委員長)がおこなった。藤原さんは、法務省の人権擁護制度や裁判所による人権救済の限界を説明、実効性のある人権救済機関の必要性を強調し、制度のあり方について日弁連の考え方をのべた。
つづいて「就職差別撤廃の取り組みの現状と課題」について、西島藤彦・中央共闘事務局次長が報告、就職差別に結びつく求職者の個人情報の収集を禁止した「職業安定法第5条の4」と「統一応募用紙」の趣旨違反がいまだに多い現状を明らかにした。そして、違反をチェックするために「受験結果報告書」の取り組みを全国化する必要があると強調、労働組合としての点検活動も呼びかけた。
そのあと「人権侵害救済法」制定や就職差別撤廃に関する連合の取り組みについて、山口洋子・連合副事務局長が報告した。
8日は狭山事件の現地調査・学習会で、狭山市立富士見集会所で「ザ・スクープスペシャル」のビデオを鑑賞、狭山事件と裁判の概要説明を小野寺一規・部落解放同盟埼玉県連合会書記長から受けた。
また石川一雄さんもあいさつ、「5月の3者協議に向け全力で闘いたい」と力強く訴え、妻の早智子さんは「冤罪を晴らすことは夢ではなく権利であり、人間としての尊厳回復だと思う」とのべた。
そのあと現地調査(フィールドワーク)に出発、再現された石川さん宅の鴨居を見学、「ウソの自白コース」をたどりながら石川さんが無実である確信を深めた。
初めての参加者も多く、「狭山事件について知らなかったが、今日よくわかった。帰ってから伝えていきたい」との感想もだされた。
「人権侵害救済法」今国会提出へ働きかけを強めよう
−部落解放・人権政策確立要求中央集会−
3月25日午後、部落解放・人権政策確立要求第2次中央集会が憲政記念館で開催され、全国から515人が参加した。
開会あいさつで組坂繁之・実行委員会副会長は、「人権侵害救済法」制定の機運が盛り上がりつつあるが、政府提案の法律として提出するための準備が遅れている現実を指摘、今国会提出へ働きかけを強めようと訴えた。
つづいて大谷暢顯・実行委員会会長(真宗大谷派門首)の「『人権侵害救済法』制定は人権や平和が侵されることがない社会の実現にとって必ずや達成されなければならない大きな課題、1日も早く制定を迎えんことを念じる」とのあいさつが代読された。
基調提案で松岡徹・実行委員会事務局長は、「差別・人権侵害があるという立法事実が存在するなかで、みなさんのたゆまぬ闘いが人権侵害救済法制定の機運を盛り上げてきた」とのべ、「民主党は05年に救済法案をつくり提出したこともあり、わたしたちが応援してきた現政権が閣法として1日も早く上程することがあたりまえだ。そして建設的な議論を国会でやるべきだ」と強調し、国会議員への要請を強め地方から声をあげていこうと呼びかけた。
最後に武山信一・連合連帯活動局長の音頭で団結ガンバローを三唱し、集会後は国会議員などへの要請行動に取り組んだ。
自治体関係における公正採用選考の周知徹底を
−小川淳也・総務大臣政務官に要請−
中央共闘は4月2日、小川淳也・総務大臣政務官と面談、自治体関係の採用における公正な採用選考の実現について要請した。
ここ数年、自治体関係において「統一応募用紙」違反が多数発覚し、中央共闘として総務省に公正採用選考の周知徹底と啓発の強化などを要請してきた。この働きかけにより総務省の取り組みも少しずつ前に進んできたが、それまでは「統一応募用紙」の趣旨の周知はほとんどなされていなかった。総務省は、2年前から都道府県を通じて全国の自治体に厚生労働省発行のパンフ「公正な採用選考をめざして」を配布し始めたが、その内容は民間企業向けである。この日の要請のポイントは、総務省として自治体向けのパンフをつくり、全国の自治体および事務組合など関係職場に周知すること、点検活動を呼びかけ全国的な実態を把握すること。
中央共闘からの出席者は、加藤孝二・副議長(自治労副委員長)、清水秀行・中央共闘事務局長(日教組書記次長)、西島藤彦・事務局次長(部落解放同盟書記次長)、井加田まり・事務局次長(自治労連帯活動局長)、岡戸裕・常任幹事で、武内則男・参議院議員も出席した。
加藤副議長が要請書を手渡し、清水事務局長が要請の趣旨を説明した。さらに出席者から、「民間企業の不正に対して指導していかなければならない立場の自治体に不正があったら指導もできない。ぜひ自治体向けのパンフが必要」「通知のあり方もぜひ検討してほしい」と重ねて要請した。
小川政務官は、「ひとつの案だと思う。対応もよく検討したい。悪質なものは教えていただければ個別にも対応したい。今後も連携し取り組んでいきたい」と応えた。
すべての働く者が集う祭典、メーデー中央大会開催される
−23都府県で狭山事件の再審を求める宣伝活動も−
4月29日、第81回メーデー中央大会が東京・代々木公園で開催され、3万3千名が参加した。政権交代後に迎えた初めてメーデーとなり、中央式典では来賓として鳩山首相、長妻厚生労働相、平野官房長官も出席した。
主催者あいさつで古賀伸明・連合会長は、正規・非正規に関わらず、すべての働く者が集う祭典としての今回のメーデーの位置づけについて触れ、5500万人の雇用労働者こそがニッポンの原“働”力であると強調し、その生活向上・維持のために、@政府の責任による雇用の創出、A働く者への適正な分配、特に非正規労働者への分配の強化、B最低賃金の大幅な引き上げ、という3点について、政府そして経営側への強いメッセージとして述べた。
式典と並行して会場内で開催された「ふれあい祭り」には、73のNGO、NPO、労働組合などが模擬店を出展。部落解放同盟のテントでは狭山事件の真相を訴えるパネル展示や署名活動がおこなわれた。
また、中央共闘の呼びかけに応えて、全国23都府県のメーデー会場で狭山事件のリーフレット約6万枚が配布された。
□ 九州ブロック県民会議が総会・交流会を開催 □
3月29日から30日にかけて、部落解放共闘九州ブロック県民会議第14回総会・交流会が佐賀市内のホテルマリターレ創世で開催され、九州各県と沖縄県から103名が参加した。
総会では横山節夫・九州ブロック県民会議議長があいさつ、「就職差別についての労働組合としてのチェック機能が不十分だったが、九州ブロックとして一体となって取り組みを強化したい」と呼びかけた。そのあと下田祐二・九州ブロック事務局長が議事を提案し拍手で確認された。活動方針では、連合沖縄との連携強化をめざすことも決めた。
第2部の活動交流会では、7県から街頭行動や学習会等この1年間の取り組み報告がなされた。
そのあと、「平和・命の尊さ〜沖縄の取り組みに学ぶ〜」と題して連合沖縄の仲村信正会長が講演、琉球王国時代から薩摩による支配を経て沖縄県になる歴史をたどり、その過程で「人類館事件」や「人頭税」などに象徴される差別と収奪があったこと。また、敗戦後に駐留した米軍の基地が本土では減ったが沖縄では増えて固定化されたこと、「軍隊は住民を守らない」「基地があれば攻撃の的になる」「命どぅ宝」という沖縄平和闘争の原点などを語った。
2日目のフィールドワークでは、佐賀県部落解放研究所の中村久子さんによる案内で、佐賀藩の牢屋や刑場の跡地などをフィールドワークし、まちの警備や牢屋・刑場の管理運営など治安維持活動全般の役割をになった「近世佐賀の被差別民の暮らしと仕事」について理解を深めた。
□ 狭山事件の再審を求め「福島のつどい」が開催される □
5月22日午後、「裁判と人権を考える福島のつどい〜狭山事件の再審を求めて」が福島県郡山市・ユラックス熱海で開催され200人が参加した。主催は、福島県の平和フォーラム、県教組、情報労連、JP労組など労働組合に加え、曹洞宗、浄土宗、真宗大谷派、日本キリスト教団など宗教者で構成した実行委員会。
主催者を代表して、浦井信義・実行委員長(平和フォーラム代表)は、足利事件など冤罪事件が次々明らかになり、狭山事件も大きな山場をむかえているとのべ、再審実現へ世論を高めることを呼びかけた。
狭山事件を特集した「ザ・スクープスペシャル」(テレビ朝日)を上映したあと、ルポライターの鎌田慧さんが、部落差別にもとづく予断と偏見が狭山事件の背景にあることを説明。字を書けなかった石川さんに「脅迫状」は書けないと強調した。
狭山事件弁護団の中北龍太郎・事務局長は、様々な冤罪事件と狭山事件にふれ、冤罪を生み出す司法の構造と問題点を指摘した。
そのあと、石川一雄さんと早智子さんが支援を訴えた。
□ 「人権を考える宮城のつどい」で狭山事件の真相を学ぶ □
5月25日夜、「人権を考える宮城のつどい〜狭山事件を通して私たちの社会を考える」が宮城県民会館で開催された。主催は連合宮城で、130人が参加した。
主催者を代表して山崎透・連合宮城会長は、冤罪がクローズアップされている状況のなかで、冤罪を防ぐために何が必要なのか考えていきたいとのべ、あらためて人権の大切さを学んでいこうと呼びかけた。
「ザ・スクープスペシャル」の上映につづき、狭山事件弁護団の中北龍太郎・事務局長が講演、様々な冤罪事件を紹介し自白強要の実態、証拠捏造や証拠隠しの事例を明らかにした。そして、狭山事件は冤罪の典型であると説明、足利事件、布川事件に続き再審を勝ち取りたいとのべた。
石川一雄さんは、「裁判所にはぜひ事実調べをやってほしい、そのことで無実がハッキリする」と語り、証拠開示も世論の力で実現したとのべ、引き続き支援をお願いしたいと訴えた。
□ 3・10狭山再審闘争勝利埼玉集会 □
一審の浦和地裁(当時)が石川一雄さんに死刑判決を言い渡して46年目の前日の3月10日夜、部落解放埼玉県共闘と部落解放同盟県連、石川さんを支援する会埼玉連絡会の3団体は、再審開始を求める埼玉集会をさいたま市内で開き330人が参加した。
集会には再審無罪が事実上確定した足利事件の菅家利和さんもかけつけた。主催者を代表してあいさつした片岡明幸・解放同盟県連委員長は「最大のヤマ場を迎えた。足利事件の次は狭山事件だ。昨年12月の東京高裁の東京高検への証拠開示勧告で光は見えてきたが、裁判長の交代もあり油断はできない。勝利に向けがんばろう」と訴えた。
来賓のあいさつや基調報告などに続いて菅家さんが特別報告。菅家さんは警察による過酷な取り調べについて生々しく述べながら、「永久に許せない。冤罪防止には取り調べの全面的な可視化が絶対に必要だ」と訴えた。そして「私は17年だが、石川さんは50年近く苦しんでいる。絶対に許せない」と述べ、連帯を誓って二人はしっかりと握手をした。
妻の早智子さんとともに石川一雄さんが登壇し、「とことん権力犯罪を追いつめていきたい。証拠開示勧告は再審無罪への第一歩だ。全力で闘う」と決意を述べた。
3団体は、石川さん夫妻がおこなう東京高裁前での宣伝行動もサポートしていくことにしている。
□ 宮崎県民会議が被差別部落に学ぶ現地交流会 □
部落解放共闘宮崎県民会議は3月10日18時から日向市教育集会所新財市会館において「被差別部落に学ぶ現地交流会」を開催した。連合宮崎に結集する構成組織、県北、日向地域協議会の役員、組合員、宮崎県人権同和研究協議会、地元の解放同盟新財市支部から65人が参加した。
主催者を代表して横山節夫・議長は、「21世紀になって10年たっても依然として部落差別問題はなかなか解決していない。わたしたちは、差別は解決できるという強い信念のもと更に運動を進めていかなければならない」と挨拶した。続いて解放同盟新財市支部の樋口正裕支部長から、支部の運動の歴史や会館の説明を受けた。
第2部の現地フィールドワークは、山崎克彦・解放同盟県連委員長代行の案内で、同和対策事業で行われた墓地の移転工事場所等をまわった。そのあと交流会をおこない、それぞれの職場で地域で更に学習を深めていくことを確認しあった。
□ 福岡県民会議が就職差別撤廃めざし「人権学習会」を開催 □
2月18日夜、部落解放共闘福岡県民会議の主催で「人権学習会」が開催され、69人が参加した。この学習会は、2年前から九州ブロックとして取り組んだ就職差別撤廃月間や各県労働局などへの要請のとりくみをふまえ、現場の声を聞こうと企画された。
学習会では、「就職差別の撤廃をめざして〜高校の現場から」をテーマに小倉南高校の長島智典さんから講演を受けた。
長島さんは、統一応募用紙が現在の様式になるまでの経過や、1970年代から就職差別の問題を解決するために福岡県の様々な分野の代表が集まり協議を積み重ねている「就職問題連絡協議会」の取り組みなどを話した。長島さんの話は具体的な苦労話もまじえ、今日までの長い運動の成果がいきいきと伝わる話だった。
参加者アンケートには、「現場のナマの具体例が聞けて非常に勉強になった」「今日の話を職場でも話していきたい」などの感想が寄せられた。
□ 部落解放・人権徳島地方研究集会が開かれる □
2月17日から18日にかけて、第30回部落解放・人権徳島地方研究集会が徳島市内で開催され、延べ2200人を超える人々が参加した。
初日の全体集会は徳島市文化センターで13時から開かれ、主催者を代表して川越敏良・実行委員長(地方共闘議長)は「格差の拡大と固定化が一層進行し、所得の格差が働き方から教育や人格までも規定するかのごとき事象が多発、凶悪事件の多発等、大きく日本社会に影を落としている。改めて、人権教育の強化、人間の尊厳が何よりも尊い価値であり、何人も犯すことのできない価値であることを教える教育が求められている」とあいさつをおこなった。
続いて来賓のあいさつの後、石川一雄・早智子さんから日頃の支援に対するお礼と第3次再審に向け更なる支援要請のあいさつを受けた。
特別公演「ムラは宝の山」では、阿波木偶箱廻しを復活する会の辻本一英さんら4人による「三番叟・えびす祝福舞」が披露・実演された。辻本さんらは、1995年から徳島県独自の形態をもつ「箱廻し」や「三番叟まわし」「えびすまわし」など祝福芸の復活活動を始め、県内外の聞き取り調査や資料収集を行い、99年から「三番叟まわし」の伝承者に弟子入りし、3年間同行し門付けの技術を学び、現在800軒余りの家に福を届けていることやドイツ・韓国・フランス等で実演していることなどが報告・紹介された。
基調講演は、部落解放同盟中央本部・組坂繁之委員長が「部落解放運動をめぐる今日の情勢と課題」について講演し、記念講演では人材育成コンサルタント・辛淑玉さんが「在日の立場と部落差別・人権を考える」と題して講演をおこなった。
2日目は、部落解放・人権教育、社会教育と啓発、狭山・共同闘争、企業・職域、自治体の課題、男女平等をテーマに8会場で分科会議論を進めた。
部落解放共闘情報bP95(2010,3,12)
公正と連帯を重んじ、ゆとりある人権尊重の社会実現を
−部落解放中央共闘会議第34回総会−
2月25日午後、部落解放中央共闘会議第34回総会が日本教育会館で開催され、13中央団体26府県共闘から120人が参加した。
総会は西島藤彦・事務局次長の開会あいさつで始まり、議長団に大谷篤史・全国農団労中執と池田清郎・部落解放同盟中執を選出した。
主催者を代表して加藤友康・議長があいさつ、「好転した政治状況を活かし、弱肉強食の市場万能主義から脱却し、公正と連帯を重んじるゆとりある社会、人権尊重の社会を実現しなければならない」とのべ、「人権侵害救済法」実現、狭山事件の再審実現への決意を表明した。また、雇用差別撤廃も大きな課題だと語り、連合の就職差別撤廃にむけたアンケート調査をふまえ、連合と連携を強めながら職場に根ざした取り組みを強化していこうと呼びかけた。
そのあと連合を代表して山口洋子・副事務局長があいさつ、「労働者派遣法」改正や「人権侵害救済法」制定への決意を語り、「まさしくいま歴史の転換点に立っている。チャンスを逃さず、公平・公正な社会づくりにむけ、外に向けても発信し、ともに頑張りあおう」と訴えた。
つづいて部落解放同盟を代表して組坂繁之・委員長があいさつ、政権交代の成果が出るには時間がかかると語り、「この政権をしっかり見守り、同時に要求しなければならないことはしっかり要求しよう」とのべ、「人権侵害救済法」早期制定や狭山再審などの課題実現への取り組みを訴えた。
そのあと議事に入り、活動報告と総括案を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を井加田まり・事務局次長、会計監査報告を岡一広・会計監査がおこなった。そのあと 一括して拍手で採択された。
つづいて活動方針案を清水秀行・事務局長が提案、予算案を井加田まり・事務局次長が提案した。質疑では、取調べの可視化法案について後押しが必要との意見が出され、取り組んでいくことを確認した。そのあと一括して拍手で採択された。
新役員については、松尾茂光・事務局次長が提案し、拍手で承認された。新役員を代表して加藤議長があいさつ 人権が尊重される社会に向けてがんばる決意をのべた。
記念講演は、『証拠開示勧告の内容と狭山事件の再審実現への課題』と題して、中山武敏・狭山事件再審弁護団主任弁護士がおこなった。
そのあと総会宣言を戸田有紀・日放労渉外部長が提案、拍手で採択された。最後に、加藤議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。
総 会 宣 言
米国発の金融危機は、市場万能主義の行き着く先と、もたらす弊害を明らかにした。そして世界と日本の経済に深刻な影響を与え、わたしたちの生活を直撃している。国際社会は、市場万能主義から脱却する新たな道の模索を始めている。米国では「チェンジ」を掲げるオバマ政権が誕生し、日本においても選挙による政権交代が実現し、鳩山政権が誕生した。今、国内外で政治が大きく変わろうとしており、私たちは歴史の大きな転換点に立っている。
今こそ私たちは、格差社会の拡大と貧困化によって傷んだ社会と生活を立て直し、社会的連帯を強め、公正でゆとりと豊かさを実感できる社会を実現しなければならない。そして、産業や労働、社会保障のあり方を変え、すべての人々の人権が尊重され、活き活きと生活できる社会を創らなければならない。
そのための重要課題として、私たちは本日決定した方針に基づき、「人権侵害救済法」制定を実現するとともに、採用を含む雇用差別禁止の法律とシステムの確立を勝ち取ろう。そして、「人権教育・啓発推進法」を活用し、地域から人権擁護と平和の機運を盛り上げていこう。
また、証拠開示勧告という大きな山場をむかえた狭山事件の再審実現にむけ、石川さんの無実を多くの人に訴え、司法のあり方を正していこう。
私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。
2010年2月25日
部落解放中央共闘会議第34回総会
部落解放中央共闘会議役員
議 長 加藤 友康 連合副会長、情報労連委員長
副 議 長 組坂 繁之 部落解放同盟委員長
副 議 長 山口 洋子 連合副事務局長
副 議 長 加藤 孝二 自治労副委員長
副 議 長 小俣 利通 JP労組副委員長
副 議 長 堀 峰夫 私鉄総連副委員長
事務局長 清水 秀行 日教組書記次長
〃 次長 松尾 茂光 連合連帯活動局員
〃 次長 西島 藤彦 部落解放同盟書記次長
〃 次長 井加田まり 自治労連帯活動局長
〃 次長 中田 正幸 JP労組中央執行委員
〃 次長 吉澤 芳雄 私鉄総連組織教宣局長
会計監査 清澤 祐司 NTT労組中央執行委員
〃 岡 一広 全水道書記次長
常任幹事 岡戸 裕 部落解放同盟事務局、中央共闘専従
幹 事 各中央団体から1名ずつを選出
差別の実態をふまえた人権の法制度確立を
−世界人権宣言61周年記念東京集会−
「差別事件の実態を広く訴え、人権の法制度確立にむけた取り組みを進めよう」をテーマに、12月8日午後、世界人権宣言61周年記念東京集会が日本教育会館で開かれ550人が参加、連合からも67人が参加した。
主催者を代表して組坂繁之・世界人権宣言中央実行委員会副会長は、「殺伐とした社会では差別をなくすことはできない。本当に生まれてきてよかったという世の中にするためしっかり努力しよう」と語り、政権交代によって「人権侵害救済法」制定が現実味を帯びてきたとのべ、来春の国会での法案上程を見すえて取り組みを強化しようと訴えた。
集会の基調は和田献一・部落解放同盟中央執行委員が報告、土地調査差別事件やインターネット上の差別事件など今日の差別の実態を明らかにし、人権の法制度の確立を呼びかけた。
そのあと連合の片岡千鶴子・男女平等局長が「採用選考に関する実態把握にむけたアンケート調査」の結果を報告、就職差別撤廃に向け取り組む決意を語った。つづいて部落解放同盟東京都連の藤本忠義・副委員長が「東京における差別事件と取り組みの課題」を報告、格差社会を背景に差別事件が続発しているが法制度の不備により被害者が救済されていない現状を批判した。
最後に、「人権侵害救済法」制定にむけた取り組みの課題について、谷元昭信・部落解放同盟書記次長が報告、集会をしめくくった。
中央共闘が東京高裁・高検へ証拠開示と事実調べを要請
12月10日午前、部落解放中央共闘会議は東京高裁と東京高検への要請行動をおこなった。これは、東京高裁、弁護団、検察官の2回目の3者協議を目前におこなわれたもので、山口洋子・副議長(連合副事務局長)、清水秀行・事務局長(日教組書記次長)をはじめ連合、情報労連、自治労、サービス連合、全水道、解放同盟から11名が参加した。
高裁では、証拠開示勧告をだすことや事実調べの実現を求める要請書を手渡し、「市民常識から見ても万年筆発見過程は理解できない」「殺害現場さえ本当にそこなのか、証拠を開示したうえで議論し、明らかにすべき」「判決をくつがえすことは恥ずかしいことではない。正しい判断を」「今日は人権デーだが、公正な裁判がおこなわれなければ、大きな人権侵害だ」などと訴えた。
高検では、証拠開示をもとめる要請書を手渡し、「本当に雑木林で殺害されたのか。同時刻、すぐ近くで農作業していた人は悲鳴も人影も無かったと証言している。血痕反応検査報告書の証拠開示が必要」「足利事件も狭山事件も密室での自白が決め手。物的証拠はあまりにも疑義がある。ぜひ証拠開示を」「証拠が開示されないまま有罪だと一方的にしているのは不公正」などと訴えた。
東京高裁・門野裁判長が狭山事件の証拠開示を勧告
−この動きを事実調べ実現へ結びつける闘いを−
東京高裁・門野博裁判長は12月16日、三者協議の場で検察官に対して証拠開示勧告を行った。とくに検察側が「存在しない」と回答している「犯行現場」の「血痕反応検査報告書」については、「存在しないのはおかしい」として不存在の合理的理由の説明を求めた。
石川一雄さんは記者会見で、「裁判長が弁護団の請求を真摯に受けとめ、開示勧告を出されたことに敬意を表したい。開示勧告を出された検察官は、証拠を隠すことなく、すべての証拠をわたしたち弁護団、あるいは裁判官の前に、すみやかに出していただくよう強く求めたい。」と語った。
勧告に法的拘束力はないが、これまでの事例で検察側は勧告に従い証拠開示をおこなってきている。勧告は別記の8項目で、東京高検は開示勧告に応じすみやかに証拠開示をおこなうべきである。また、弁護団が開示を求めていたが今回、勧告が出されなかった証拠も多数あり、証拠開示の闘いは今後も継続する必要がある。
狭山事件再審弁護団は、今回の証拠開示の動きを事実調べ実現に結びつけていくことが重要だと強調している。第3回目の三者協議は5月に行なわれるが、それまでに、さらに世論を盛り上げていこう。
開示勧告が出された8項目の証拠
【殺害現場という事件の核心部分がウソであることを示す証拠】
@ 殺害現場とされる雑木林内における血痕反応検査の実施およびその結果に関する捜査書類一切
(被害者の頭部には長さ1・3センチの深い傷があり、相当量の出血があったと考えられている。このような場合、警察は殺害現場を特定し自白を裏付けるため、血液反応検査を当然おこなったはずである。また当時の県警鑑識課員は、雑木林で検査をしたが血液反応は出なかったと証言しており、報告書は存在するはず。検察官は存在しないと言っているが、東京高裁の勧告では、「存在しないのはおかしい」として不存在の合理的理由の説明も求めている。)
A 捜査官が、殺害現場に隣接する畑で農作業をしていたOさんから3回目に事情聴取した際の捜査報告書ないし供述調書
B 殺害現場とされる雑木林の隣で事件当日、農作業をおこなっていたOさんを取り調べた捜査官の供述調書案、取り調べメモ(手控え)、調書案、備忘録等
(Oさんは、事件当日の犯行が行われたとされる時間帯に、殺害現場に隣接する桑畑で農作業をしていたが、「作業中に悲鳴は聞いていないし、人もいなかった」と証言している。ABの証拠により、Oさんの事件当時の認識をより正確に把握できる。)
C 1963年7月4日付けの実況見分調書に記載されている現場(雑木林)を撮影した8ミリフィルム
(事件当事の雑木林の状況や、Oさんの桑畑の状況を明らかにし、桑畑から雑木林の犯行現場とされる場所までの見通しの良さを証明できる証拠。)
【筆跡、筆記能力の違いを明らかにする証拠】
D 石川一雄さんが○○製菓の工場に勤務していた当時の借用書など筆跡鑑定等のために収集した石川さんの筆跡が存在する書類
E 石川さんが逮捕・勾留中に書いた本件脅迫状と同内容の文書など、石川さんの筆跡が存在する文書
【取調べによる自白の強要を示す証拠】
F 石川さんの取り調べにかかる捜査官の取り調べメモ(手控え)、取り調べ小票、調書案、備忘録等
【自白の殺害方法と死体状況のくい違いを示す証拠】
G 死体鑑定書や1963年5月4日付の(死体発見時の)実況見分調書に添付された写真以外の被害者の死体に関する写真
「人権侵害救済法」、狭山再審、参議院選挙に全力を
−部落解放同盟第67回全国大会−
3月3日から4日にかけて、部落解放同盟第67回全国大会が東京・九段会館で開催され、代議員など600人が参加した。大会には、中央共闘の加藤友康議長と連合の古賀伸明会長も出席し、来賓としてあいさつをおこなった。
冒頭で組坂繁之委員長は、連立政権のもとでさらに世論を高め、閣法として「人権侵害救済法」が今国会に提案されるよう全力をあげること、狭山事件の証拠開示を実現し再審に結びつけること、松岡徹書記長の参議院での再選を勝ち取ることを重点課題として訴えた。
大会では、組織の再生・改革の取り組みとして綱領改正案が提案され、1年をかけて論議することとなったほか、規約改正、中央組織規律委員会の設置などもおこなわれた。そして、組坂繁之・委員長、松岡徹・書記長をはじめとする役員を選出した。
平和・人権・環境の価値観を日常の教育活動に活かそう
−日教組第59次教育研究全国集会−
1月23日から25日にかけて、日教組第59次教育研究全国集会が山形市内で開催され、初日の全体会には全国から3千人、3日間で延べ1万人の教職員や研究者などが参加した。
23日午前中に山形国際交流プラザで開かれた全体会で、あいさつに立った中村譲・日教組委員長は、「社会で共有化しなければならない平和・人権・環境・共生・共助の価値観を日常の教育活動に生かしてほしい。教育を中心とした民主的社会になるよう一歩一歩努力しよう」と呼びかけた。また、就学困難な子どもが増え「子どもの貧困」が深刻化する現状を打破する政治が必要だと訴えた。
午後から25日にかけては、25の分科会と1特別分科会が開催され、教育現場での実践をもとに750本のリポートが報告された。
人権教育の分科会では、被差別部落や在日韓国・朝鮮人の生徒、障害のある生徒、あるいは保護者との出会いから学び、クラスの中で取り組んできたことや、様々な人権課題を授業の中でどう進めてきたのかなど、31本の実践報告をもとに議論と交流を深めた。
和歌山県共闘などが真相究明会で県行政を追及
−県内市町村で「統一応募用紙」違反−
昨年9月、部落解放同盟和歌山県連が市町村職員の採用試験にかかわって、市町村のホームページを見ていたところ、禁止されている『健康診断書』の提出を求めていること、さらに自治体みずからが所定の様式を定めた『自己健康診断申告書』を使用していることが明らかになった。この『自己健康診断申告書』には既往症や経過観察中の病気、「耳の聞こえぐあい」「咳」「歩行」「朝気持ちよく起きられる」などの項目があり、驚くべきことに「この自己健康診断申告書に虚偽の事実が判明した場合、採用後であっても採用を取り消す」等の明記がなされ、明らかに『障がい者』などの排除を目的とするものだった。
そして昨年11月26日、この自治体職員採用における「統一応募用紙」違反事件についての真相究明会が、和歌山県同和企業センターで開催された。
究明会では、自治体を指導する和歌山県行政の総務部、企画部人権局、商工観光労働部、教育委員会を相手に、部落解放同盟県連、県共闘会議、連合和歌山、自治労県本部の代表100名が参加し、坂頭徳彦・県共闘会議事務局長の問題提起、藤本哲史・解放同盟県連書記長の進行で進められ、県行政を相手に厳しい追求がなされた。
そして、和歌山県ではこれまで、「統一応募用紙」に関して違反事例は無いと報告されていたが、自治体職員の採用に関してはまったく把握されておらず、問題意識すらなかったことが明らかになった。
今回の究明会を踏まえ、和歌山県として、今回の問題は明らかに就職差別・障がい者差別であるとの認識を持って県内各市町村の実態を把握し、指導することが確認された。
神奈川県共闘が部落問題意識調査を実施
−現状と今後の課題が明らかに−
神奈川県共闘は、1999年に部落問題意識調査に取り組んだが、2007年に第2次の意識調査に取り組み、昨年10月に報告書を発行した。
調査の目的は、部落問題について県共闘構成労働組合の組合員の意識と理解度を把握し、今後の運動に生かしていこうというもの。
調査結果では、人権や差別問題への関心が「ある」との回答が、99年調査に比べ大幅に増えた一方、就職時の「統一応募用紙」の趣旨について、9割が知らないという実態も浮かび上がった。また、「水平社」(知っている4割)、「部落地名総鑑」(3割)、「教科書無償化」(1割)など、部落解放運動についての認知度も今後の課題となった。
自分の結婚で被差別部落出身者との結婚に親や親戚から反対された場合、9割が「結婚する」「説得して結婚する」と答えたが、「結婚しない」が1割もあった。また自分の子どもの結婚の場合の質問について、「子どもの意思を尊重」が78%である一方、「反対はするが認める」が14%、「認めない」が4%という根深く深刻な部落差別の現状も明らかになり、今後の運動の大きな課題となった。
サル社会に学び、人間社会を見つめなおす
−大分県民会議が夏期学習会を開催−
昨年9月5日、部落解放共闘大分県民会議は2009年度夏期学習会を開催した。
学習会では、人間社会に最も近いと言われるニホンザルの生態を知ることにより、「私たち人間社会のあり方を見つめなおす」ことをテーマに、「野生猿の餌付け」で全国的にも有名な高崎山(大分市高崎山管理公社)の専門員の方を講師に、「サル社会に学ぶ〜人間社会ってスバラシイ!?」と題して開催した。
講演は、写真や図解のスライドを活用し、ニホンザルの生態・社会構造を説明した分かりやすいもので、「サル社会は母親中心型社会。子どもサルは、母親の行動を見て学び育つ」「強いもの(オス)が弱いもの(メスや子ザル)を守っていくしくみ」「腕力が強いものが、ボスザルになるわけではない」などの興味深い話や、テレビでも取り上げられた「2本足の母ザル、サヤカ」や「迷子の子ザル、タクマ」のエピソードなどが紹介された。
この講演は、あくまで専門家による「サル社会」の解説であり、一般的な人権講演とは異なるが、参加者が自ら「人間社会との違い」を考え、「人間が忘れていたもの」に気が付くような学習会であった。
最後に講演のなかの印象的な話をひとつ。「サル社会での、個々の付き合いには、出生(誰の子ども)や出身(どこから来た)は関係しない。みんな、現在の立場(群れのなかでの位置付け)のみで関係を保っている。」
部落解放共闘情報bP94(2009,12,4)
「人権侵害救済法」制定、狭山再審へ共闘運動の更なる前進を
−部落解放共闘第26回全国交流会、全国共闘第26回総会−
11月12日から13日にかけて、部落解放共闘第26回全国交流会と部落解放地方共闘全国連絡会議第26回総会が福井県坂井市の三国観光ホテルで開催され、26府県共闘・7中央団体から120人が参加した。
交流会は武山信一・連合連帯活動局長の司会ではじまり、主催者あいさつを組坂繁之・全国共闘議長がおこなった。組坂議長は、鳩山新政権への期待を表明し、このチャンスに何としても「人権侵害救済法」制定を実現したいとのべた。また、狭山事件の3者協議にふれて検察側の証拠隠しを批判、弁護団の闘いを支え再審実現までがんばる決意を表明。さらに差別事件などの現状について、いまだに厳しい面もあるが前進してきている面もあるとのべ、前進面については働く仲間の皆さんの地域・職場での頑張りが大きな力になっていると語り、共闘運動のさらなる前進を訴えた。
つづいて連合福井の山岸克司・事務局長が連帯あいさつ、田嶋公人・福井県平和環境人権センター議長が地元歓迎あいさつをおこない、山下敬太郎・部落解放同盟福井県連顧問が福井県内の差別事件にふれながら歓迎あいさつをおこなった。
基調提案は清水秀行・中央共闘・全国共闘事務局長がおこない、格差社会から方向転換し人権尊重の社会システムをつくる必要があるとのべ、「人権侵害救済法」制定、就職差別撤廃、狭山事件の再審と冤罪防止、などの課題に取り組むことを呼びかけた。
そのあと特別報告として『就職差別撤廃の取り組みの現状と課題〜連合・公正採用アンケート結果をふまえて』と題して西島藤彦・中央共闘事務局次長が、『兵庫県の被差別部落の就労実態と課題』と題して橋本貴美男・部落解放同盟兵庫県連書記長が報告した。
活動交流では、宮崎、鳥取、愛知、群馬の府県共闘からの取り組み報告をうけ、中間まとめを加藤孝二・中央共闘副議長がおこなった。
そのあと同会場で、第6回連合「部落解放地方共闘地方連合会連絡会」が開催された。また、夕食懇親会ではそれぞれ情報交換や個別の交流がおこなわれた。
2日目は、『土地差別調査事件の真相と今後の課題』について赤井隆史・部落解放同盟大阪府連書記長が特別報告をおこなった。
そのあと引き続き部落解放地方共闘全国連絡会議第26回総会が開催された。総会議長に鍋島初美・福岡県民会議事務局長を選出したあと、組坂繁之・全国共闘議長があいさつをおこなった。つづいて連合を代表して山口洋子・副事務局長があいさつ、政権交代をふまえ私たちが望む新たな社会をつくろうと呼びかけ、共闘を今まで以上に幅広く力強く進めていくと決意をのべた。
そのあと活動報告と総括提案を清水秀行・事務局長、会計決算報告を井加田まり・事務局次長、会計監査報告を中島修・会計監査がおこない、拍手で採択した。
つづいて方針案提案を清水秀行・事務局長、予算提案を井加田まり・事務局次長がおこなったあと、拍手で採択された。
役員提案は、中田正幸・事務局次長がおこない、拍手で承認を受けた。
最後に組坂議長の音頭で団結ガンバローを三唱し今後の活動強化を誓い合った。
《部落解放地方共闘全国連絡会議・新役員》
議 長 組 坂 繁 之 部落解放同盟委員長
副 議 長 横 山 節 夫 九州ブロック県民会議議長
副 議 長 田 上 武 近畿ブロック連絡会議議長
副 議 長 赤 澤 健 二 四国ブロック共闘会議議長
副 議 長 桜 沢 政 晴 関東甲信越ブロック連絡会議議長
副 議 長 三 島 和 弘 愛知県共闘会議議長
副 議 長 佐 古 正 明 広島県共闘会議議長
事務局長 清 水 秀 行 中央共闘事務局長
〃 次長 松 尾 茂 光 中央共闘事務局次長
〃 次長 西 島 藤 彦 中央共闘事務局次長
〃 次長 井加田 ま り 中央共闘事務局次長
〃 次長 中 田 正 幸 中央共闘事務局次長
〃 次長 吉 澤 芳 雄 中央共闘事務局次長
常任幹事(各ブロックの労組側から1名、解放同盟から1名)
関 東 長 竹 弘 関東甲信越ブロック連絡会議事務局長
〃 竹之内 健 次 解放同盟関東甲信越ブロック議長
東 海 林 竜 二 三重県民会議副議長
〃 石 井 輝 男 解放同盟岐阜県連委員長
近 畿 大 槻 信 夫 兵庫県民共闘事務局長
〃 赤 井 隆 史 解放同盟大阪府連書記長
中 国 向 征 人 岡山県共闘事務局長
〃 竹 内 哲 也 解放同盟島根県連書記次長
四 国 赤 澤 健 二 徳島県共闘副議長
〃 岡 本 俊 晃 解放同盟香川県連書記長
九 州 下 田 祐 二 九州ブロック県民会議事務局長
〃 山 口 渉 解放同盟九州ブロック副議長
会計監査 栗 原 典 夫 群馬県民共闘事務局次長
〃 中 島 修 埼玉県共闘事務局次長
「人権侵害救済法」制定にむけ11・11中央集会
−法務大臣と面会、933611筆の署名も提出−
11月11日午後、部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会が東京・憲政記念館で開催され700人が参加した。
主催者を代表して大谷暢顯・部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会会長(真宗大谷派門首)は、「人権侵害救済法制定は、人権や平和が侵されることのない社会の実現にとって必ず達成されなければならない大きな課題」とのべ1日も早い制定をよびかけた。
集会にかけつけた福島瑞穂・社民党党首、民主党の中野寛成・衆議院議員、自見庄三郎・国民新党幹事長は、政権党としても「人権侵害救済法」制定へ全力でとりくむ決意を表明。自民党の鶴保庸介・参議院議員、公明党の西博義・衆議院議員も人権問題は喫緊の課題としてともに取り組む決意を示した。
基調提案は松岡徹・実行委員会事務局長がおこない、@「人権侵害救済法」の国会提出は来年の通常国会で本格化させる、A超党派合意の法提出を目指す、B通常国会での連続した国会闘争にとりくむ、C実行委員会の法案要綱をさらに補強していく、D署名の継続や地域からの運動の盛り上げ、などを呼びかけた。
集会のあと、新たに当選した民主党の議員をはじめ、与野党の国会議員などへの要請行動にとりくんだ。
千葉景子・法務大臣に要請
集会の開催とあわせて、千葉景子法務大臣と部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会代表が面会し、「人権侵害救済法」の早期制定を求める署名と要請書を提出した。要請参加者は大谷暢顯・会長を先頭に、徳永秀昭・連合会長代行、小林眞・「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議議長、長養敏男・東京人権啓発企業連絡会理事長、組坂繁之・部落解放同盟委員長、清水秀行・部落解放中央共闘会議事務局長、松岡徹・部落解放同盟書記長。
要請書では、@「人権侵害救済法」を1日も早く成立させること、A国内の人権問題に関わる法制度の確立、の2点を要請。千葉法務大臣は、「署名の重さを受けとめてがんばりたい。皆さんと一緒にやるべき仕事、旗を高く掲げ、歩みを早くしたい。いろいろサポートや連携をしていただき、がんばりたい」と応えた。
この日提出した署名数は、大衆署名・933611筆、団体代表・6374筆。
検察官の証拠隠しを許さず、東京高裁は証拠開示勧告を
−10・27狭山事件の再審を求め市民集会−
11月27日午後、「狭山事件の再審を求める市民集会〜検察官の証拠隠しは認められない!東京高裁は証拠開示勧告を!証拠開示と事実調べを求める緊急集会」が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から部落解放同盟員、労働組合員、宗教者、市民など2000人が参加した。集会前には、東京高裁、高検へ要請行動をおこなうとともに、東京高裁前などで情宣活動を展開した。
開会のあいさつで辛淑玉さんは、自らの被差別体験を語りながら、あきらめず闘い続ける大切さを強調した。また組坂繁之・部落解放同盟委員長は、12月中旬に2回目の3者協議を迎えるが、検察側の卑劣な証拠隠しを許さず、東京高裁・門野裁判長が証拠開示勧告をおこない、事実調べを開始し、再審への道筋をつけるよう、全力で闘おうと呼びかけた。
石川一雄さんと早智子さんは、「吾生死賭して激闘45年 三次で終結完全無罪で」という歌に託し、いまが大きな山場、チャンスの時、と闘いへの大きな支援をよびかけた。
狭山弁護団の中山武敏・主任弁護人は、10月30日付で提出された検察官の意見書が、再審段階では証拠開示を求める法的根拠がない、「殺害現場」のルミノール反応検査報告書はない、とするまったく不当なものであることを示しながら、弁護団は反論書を作成中であり、それをもとに12月の3者協議にのぞむ、と全力で闘う決意をのべた。
基調で松岡徹・部落解放同盟書記長は、@証拠開示を拒否する検察側に狭山事件の真実をもう一度検証するという態度はない、A検察が「手続き論」で拒否するところまで追い込んできた、B検察の不当性を訴え、再審の開始をかちとるため、えん罪をなくすため、とりくみを強化しようと訴えた。
集会では、民主、社民、新党大地の代表が、えん罪をなくすための「可視化法案」の制定、証拠開示の実現などでの固い連帯のあいさつをおこない、富山・氷見えん罪事件、袴田事件の当事者、関係者も現状と課題を訴えた。そして鎌田慧・狭山事件の再審を求める市民の会事務局長が、身近な人たちにも訴え、再審開始のきっかけになることを門野裁判長にさせるようがんばろうと呼びかけた。
最後に集会アピールを長野県民共闘の中村昌彦幹事が提案し、満場の拍手で採択したあと、石川一雄さんの無実を訴え都内をデモ行進した。
差別・貧困・格差を打ち破る研究・実践を
−部落解放研究全国集会が開催される−
10月24日から26日にかけて、部落解放研究第43回全国集会が広島県福山市のローズアリーナを主会場に開催された。今年の集会テーマは、「差別・貧困・格差を打ち破る、平和・人権・福祉の研究・実践を進めよう」で、全国から部落解放同盟員、行政・教育関係者、企業、労働組合、宗教者、市民など5000人が参加した。
初日の全体集会は、清水秀行・中央共闘事務局長が開会あいさつをおこない、組坂繁之・実行委員長が主催者を代表してあいさつ。組坂委員長は、被爆地ヒロシマでの開催の意義を噛みしめたいと語り、政権交代後の鳩山内閣への期待をのべ、「人権侵害救済法」、取調べの可視化法の実現にむけ、運動を盛りあげようと呼びかけた。そのあと、被爆者からの訴え、「学力格差の社会的背景とその検証」についての記念講演、広島の部落解放運動の報告、がなされた。
2日目は、9分科会とフィールドワークに分かれ、研究や実践の報告をもとに学習と討論が深められた。第1分科会では、連合の磯部行雄・連帯活動局長が「採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査」の報告をおこなった。
3日目は、「日本弁護士連合会の国内人権機関・制度要綱とその意義」、「格差社会日本で働くということ」、「国際人権諸条約と部落問題」と題した3本の特別報告がなされた。
日教組中央執行委員会が狭山事件の学習を深める
−3者協議の山場むかえ石川さん夫妻が支援を訴え−
11月10日午後、日教組中央執行委員会の主催で「狭山事件に関する学習会」が日本教育会館で開かれ、日教組本部の役職員50人が参加した。
はじめに中村譲・中央執行委員長があいさつ、この数年で役職員も新しくなっており、再審闘争の山場をむかえ、あらためて学習を深めようと呼びかけた。
そのあと松岡徹・部落解放同盟書記長が、狭山事件で石川一雄さんがでっち上げられたこと、部落差別にもとづく冤罪であることを説明。3者協議がはじまったことは世論の力だが、検察側は証拠開示に応じない姿勢であり、裁判所が証拠開示勧告を出すようさらに世論を盛り上げることを訴えた。
石川一雄さんは、日頃からの支援にお礼をのべ、獄中で文字を学び無実を訴えることができたと語り、裁判所が事実調べをすれば無実が明らかになると強調した。妻の早智子さんは、第2の石川一雄をつくらないために子どもには勉強してほしいと語り、狭山再審が3者協議という山場にあると支援を訴えた。
狭山事件にまなび再審を求める秋田のつどい
−冤罪性は明らか、力あわせて取り組みを−
10月17日午後、「狭山事件に学び、再審を求める秋田のつどい」が秋田市内のフォーラムアキタで開かれた。主催は秋田県平和センターで、曹洞宗秋田県宗務所、浄土宗秋田教区、情報労連秋田県協議会が協賛し、180人が参加した。
主催者を代表して荘司昊・秋田県平和センター代表があいさつ、「弁護士としての出発は狭山事件であり、冤罪性は明らか」とのべ、「冤罪には単なる誤判とでっち上げの2種類あるが、狭山事件は後者だ」とその悪質さを批判した。
つづいて協賛団体を代表して高橋弘昌・情報労連秋田県協議会議長があいさつ、「足利事件など冤罪についての報道も増えているが国民的課題だ。一人ひとりの力は弱いが無力ではない」と力を合わせて取り組む決意をのべた。
「ザ・スクープ」のビデオ上映のあと、ルポライターで狭山事件の再審を求める市民の会事務局長の鎌田慧さんが講演、狭山事件における冤罪の構造と部落差別の関わりを語った。また、狭山事件再審弁護団の中北龍太郎事務局長が、多くの冤罪の実態、なぜ冤罪が起こるのかを指摘し、司法改革を呼びかけた。
最後に石川一雄さんは、「弁護側の証拠と検察側の証拠をつき合わせればわたしが犯人かどうか必ずわかることを裁判所に訴え続けてきた」と公正で客観的な審理を求めていることを強調、妻の早智子さんも「3者協議が始まった今がチャンス。生きているうちに無罪を」と訴えた。
沖縄の地から証拠開示、再審開始の声を
−狭山事件の再審を求める沖縄のつどい−
10月30日午後6時半から、「狭山事件の再審を求める沖縄のつどい」が沖縄県浦添市の「てだこホール」で開催された。主催は、連合沖縄、全港湾、沖縄高教組、宗教団体、高退教による実行委員会で190名が参加、広範に呼びかけた狭山集会としては沖縄で初めての取り組みとなった。
集会は、松田寛・沖縄高教組委員長の司会ではじまり、大城盛雄・全港湾委員長の開会あいさつのあと、狭山事件を特集した報道番組「ザ・スクープ」を上映した。
主催者を代表して仲村信正・連合沖縄会長は、沖縄全体が今なお政治的差別を受けている、軍事基地が命、人権、財産を脅かしている現状がある、このことを含め狭山事件を考え、再審を求め冤罪をなくすため声をあげていこうと呼びかけた。
そのあと、中央共闘から清水秀行・事務局長、部落解放共闘九州ブロック県民会議から横山節夫議長が連帯あいさつ、部落解放同盟の西島藤彦・書記次長が部落問題の説明も含めて連帯のあいさつをおこなった。また沖縄の彫刻家の金城実さんもかけつけ連帯のあいさつをのべた。
狭山事件の真相についてルポライターの鎌田慧さんが、第3次再審請求の現状について中北龍太郎弁護士が講演したあと、石川一雄さん夫妻があいさつ、沖縄の地から証拠開示、再審開始をという声をあげてほしいと訴えると、参加者は大きな拍手で応えた。
閉会あいさつで日本キリスト教団の西尾市郎・牧師は、「国家権力は、兄への思いという人間として失ってはいけない気持ちを突いて石川さんを『自白』に追い込んだ。国家権力による部落差別にもとづく冤罪だということがわかった」と語り、沖縄から闘いを進める決意をのべた。
関東甲信越ブロック第10回総会・交流会
−フィールドワークなどで学習深める−
10月15日から16日にかけて、部落解放関東甲信越ブロック共闘連絡会議第10回総会・交流会が群馬県草津町のホテル桜井で開かれ、32名が参加した。
総会では、齋藤正美・共闘連絡会議議長の主催者あいさつなどのあと、活動方針と予算、次回開催を埼玉県とすることなどを決めた。また役員は、議長を群馬県民共闘から、事務局長を埼玉県共闘から選出することなどを決めた。
そのあと、各県共闘の活動を報告しあい交流を深めた。
第2部の学習会では、「ハンセン病対策と患者の人権」と題して藤田三四郎・栗生楽泉園入園者自治会会長からの講演をうけた。藤田さんは、不当な隔離と収容生活の過酷さ、衣食住の待遇改善を勝ち取ってきた人権闘争、いまなお強い差別意識と啓発不足などについて語った。また、楽泉園内には、人権を主張し反抗したりする患者を検束し、見せしめのために入れたという「重監房」の跡地が残されており、そこに収容された92名のうち22名が凍死や衰弱、自殺で死亡したが、この「重監房」を復元し人権研修センターにする計画があるとのべた。
また「狭山闘争の現状と課題」と題して小野寺一規・解放同盟埼玉県連書記長が報告、3者協議がおこなわれたが年内が山場だと支援の強化を呼びかけた。
2日目は、栗原典夫・解放同盟群馬県連書記長の案内でフィールドワーク、「重監房」の跡地、「湯の花屋三右衛門」のゆかりの地を回った。そして、「湯の花」の独占販売権をかつて持っていた被差別部落と草津温泉とのかかわりなどについても学んだ。
解放運動の歴史を学びフィールドワーク
−部落解放四国ブロック交流集会−
11月14日から15日にかけて、部落解放地方共闘四国ブロック交流集会が徳島市の阿波観光ホテルで開催され70名が参加した。
川越敏良・徳島地方共闘会議議長の主催者あいさつのあと、「徳島における部落解放運動」と題して、入谷喜久雄・部落解放同盟徳島県連財務委員長が記念講演。市長選挙をめぐる差別事件を契機にはじまった運動の歴史や、失業対策や識字学級の取り組みなどについて語った。そのあと、フィールドワークの事前学習と各県共闘の活動報告をおこない交流を深めた。
2日目は阿南市に移動、柳島地域を歩きながら笹川忠博・阿南市柳島隣保館館長と中西文義・部落解放同盟徳島県連事務局から話を聞いた。そして、水害との闘いや、神社の氏子に参加し祭りの参加を実現したこと、生活用水の確保、消防用の手動式ポンプ購入など、地域住民の団結で実現してきたことを学んだ。
サル社会に学び、人間社会を見つめなおす
−大分県民会議が夏期学習会を開催−
9月5日、部落解放共闘大分県民会議は2009年度夏期学習会を開催した。
学習会では、人間社会に最も近いと言われるニホンザルの生態を知ることにより、「私たち人間社会のあり方を見つめなおす」ことをテーマに、「野生猿の餌付け」で全国的にも有名な高崎山(大分市高崎山管理公社)の専門員の方を講師に、「サル社会に学ぶ〜人間社会ってスバラシイ!?」と題して開催した。
講演は、写真や図解のスライドを活用し、ニホンザルの生態・社会構造を説明した分かりやすいもので、「サル社会は母親中心型社会。子どもサルは、母親の行動を見て学び育つ」「強いもの(オス)が弱いもの(メスや子ザル)を守っていくしくみ」「腕力が強いものが、ボスザルになるわけではない」などの興味深い話や、テレビでも取り上げられた「2本足の母ザル、サヤカ」や「迷子の子ザル、タクマ」のエピソードなどが紹介された。
この講演は、あくまで専門家による「サル社会」の解説であり、一般的な人権講演とは異なるが、参加者が自ら「人間社会との違い」を考え、「人間が忘れていたもの」に気が付くような学習会であった。
最後に講演のなかの印象的な話をひとつ。「サル社会での、個々の付き合いには、出生(誰の子ども)や出身(どこから来た)は関係しない。みんな、現在の立場(群れのなかでの位置付け)のみで関係を保っている。」
部落解放共闘情報bP93(2009,10,9)
3者協議を突破口に再審実現へ展望をきりひらこう
−狭山事件の再審を求める市民集会−
9月15日午後、狭山事件の再審を求める市民集会が、東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から部落解放同盟員、労働組合員、宗教者、市民など2500人が参加した。この集会は、9月10日に東京高裁、弁護人、検察官による3者協議がおこなわれ、新たな局面をむかえたことを踏まえ、市民集会実行委員会が開催した。
開会あいさつで組坂繁之・部落解放同盟委員長は、3者協議の意義を強調し、これを突破口に証拠開示と事実調べを実現し、再審開始を実現しようと呼びかけた。
狭山弁護団を代表して中山武敏・主任弁護人は3者協議の内容を報告。ルミノール(血液反応)検査報告書が証拠開示されれば、「殺害現場」が雑木林でないことが明白となり、「自白」のでっち上げが一層明らかになるとのべ、今が第3次再審闘争の重要な段階にあることを強調した。
基調提案で松岡徹・部落解放同盟書記長は、3者協議が実現した背景に@弁護団による新証拠の積み上げ、A100万人署名の達成、B次々と明らかになる冤罪事件、C裁判員制度の開始、があると指摘し、検察側が証拠を開示するよう世論を盛り上げようと訴えた。
石川一雄さん、早智子さんは、「やっと3者協議にこぎつけた」と一層の支援を訴えた。足利事件の菅家利和さんをはじめ、氷見事件、志布志事件、袴田事件の冤罪事件の当事者、関係者もアピール。連帯あいさつにかけつけた民主党、社民党、国民新党の代表に、取調べの可視化や証拠開示など冤罪防止に関する要請書を手渡した。
集会のまとめを鎌田慧・狭山事件の再審を求める市民の会事務局長がおこない、さまざまな冤罪にとりくむ人たちとスクラムを組み、司法を変えていこうと呼びかけた。
最後に集会アピールを部落解放神奈川県共闘会議の町田清・議長が提案し、満場の拍手で採択し、都内をデモ行進した。
集会前日の14日夕方には、渋谷、新宿、池袋の駅頭に宣伝カーを配置し、石川一雄さんの無実を訴え大々的な宣伝活動をおこなった。
狭山事件の再審実現の闘い重要な段階むかえる
−証拠開示めぐり3者協議おこなわれる−
9月10日午後、東京高裁と狭山事件再審弁護団、東京高検担当検事による3者協議がおこなわれた。この3者協議は、裁判官と検察官、弁護人が一堂に会し協議する場で、77年の第1次再審請求時に開かれて依頼32年ぶりとなり、再審審理においては実質的に初めてのことになる。
3者協議は、証拠開示の問題を中心に1時間にわたりおこなわれた。これまで弁護団は、殺害現場とされる雑木林でのルミノール(血液に反応)検査の報告書をはじめ、22項目にわたる証拠の開示を要求してきたが、東京高検は開示を拒否し続けてきた。この日、門野博裁判長は検察に対し、これらの証拠の有無や開示する意志があるかを10月末までに返答するよう求めた。しかし東京高検は証拠開示をしぶり、「10月末までに返事ができるかわからない」との姿勢だったため、裁判長が「ならば中間報告でもよいから出しなさい」と態度を硬化させる場面もあったという。
この検察側からの回答を受け、12月に3者協議が開かれることになっている。
石川一雄さんは、「すべての証拠が開示され、事実調べをすれば、わたしの無実は明らかになると思う」とのべ、中山武敏主任弁護人も一歩前進と評価、証拠開示への期待を表明するとともに、非常に重要な段階にあるとのべ世論喚起を訴えた。
就職差別撤廃にむけ人権教育・啓発の強化を
−連合が経済3団体に申し入れ−
連合は、昨年から取り組んだ「採用選考に関する実態把握のためのアンケート」の結果を分析、今年1月に報告書としてまとめ公表したが、それをふまえて経済団体に対し就職差別撤廃に向けた要請を実施した。
まず6月5日、日本経団連に対して要請。連合からは大塚敏夫・総合組織局長、植田正知・連帯活動小委員会委員長(フード連合中央執行委員)他が参加し、日本経団連は高橋弘行・労働政策本部本部長、新田秀司・労働政策本部主幹が対応。大塚・総合組織局長からの挨拶後、磯部行雄・連帯活動局長からアンケート調査の概要を説明した。
アンケートの結果では、差別に繋がるおそれのある採用選考が少なくない実態が浮かび上がったため、就職における公正な採用選考を目指す観点から、あらゆる差別の廃絶に向けた人権教育・啓発活動の一層の取り組み強化、会員企業に対する周知徹底などを要請した。
日本経団連の高橋労働政策本部長からは、御手洗会長自ら内定取り消し等の雇用諸問題に関して、理事会等の場で法令遵守を直接呼びかけている。法令を超える部分については、「企業行動憲章」によって企業として呼びかけ、日頃より周知徹底するようにしている。今後も、従前の活動を引き続き強めていきたいと回答を得て、意見を交わした。
つづいて6月10日、日本商工会議所と全国中小企業団体中央会に対して要請。連合からは、大塚・総合組織局長、植田・連帯活動小委員長、磯部・連帯活動局長が出席した。日本商工会議所では、橋本・産業政策第二部長に要請書を手交するとともに、大塚・総合組織局長から連合の取り組み趣旨を述べ、磯部・連帯活動局長からアンケート調査結果の概要について説明を行った。
今回の連合のアンケート結果から、今なお就職差別が存在していることが明らかになったことから、早急な改善を願いたいとの要請に対し、日本商工会議所からは、「これまでも面接時の質問内容等の趣旨は、各企業において徹底してきていると考えていた。今回の連合の取り組み内容には反対する考えはない。差別撤廃のための教育は講習会等で行っているし、趣旨は十分理解している。引き続き担当者向け資料等でも周知していきたい」との回答を得た。さらに、内定取り消しの防止に努めていることについても説明を受けた。
全国中小企業団体中央会に対しても同様に、就職差別の撤廃に向けた取り組みの要請をおこない、「このような調査は行ったことはなく、実態が分からなかった、参考にしていきたい。今なお、採用選考時における差別が存在していることは言語道断であり、実態等については、様々な場をとおして、会員企業に伝えていきたい」との回答を得た。また、「新卒採用のあり方(青田買い)について、大学側と経営者団体との紳士協定としているが、実効性のあるものに見直す必要を感じている」など、新規採用の問題についての意見交換もおこなった。
《要請項目》
1.「統一応募用紙」「厚労省の参考様式に準じた応募用紙」の使用を会員企業に対して周知徹底すること。
2.個人の能力に必要としない戸籍謄(抄)本の提出や、面接時における本籍地・出生地の質問は行わないこと。
3.応募時における健康診断の実施や健康診断書の提出は、業務遂行に必要な特定職種に限定すること。
4.上記、就職差別をはじめとする、あらゆる差別の廃絶に向けた人権教育・啓発活動の強化を図ること。
「2010年度 連合の重点政策」で法務省に要請
−「人権侵害救済法」についても言及−
連合は7月15日、法務省に対して「2010年度 連合の重点政策」の実現を求める要請を行った。
冒頭、古賀伸明事務局長が森英介法務大臣に要請書を手交し、「民法の債権法改正に関する実務への影響、法制審議会の運営、会社法や人権侵害の救済法等について、労働組合や労働者の立場から配慮、検討をお願いしたい」と述べた。
森大臣は、「連合の要請に対し、意見交換させていただき、内容について真摯に検討していきたい。」と述べ、「民法改正については、広範囲にわたる検討課題があるが労働・雇用契約に関する実務への影響も考えながら検討を進めていきたい。法制審議会については委員の選出のあり方について見直しを検討したい。会社法については、株主と会社との関係に関する法律であるが、労働者や取引先等のステークホルダーとの関係についても検討していく必要がある。人権擁護法案については廃案になったが、引き続きILO第111号条約の内容も踏まえながら人権救済に関する研究を続けていきたい。」との見解を示した。
その後、連合の要請内容を踏まえ、選択制夫婦別姓制度の導入、配偶者からの暴力の被害者への支援施策、外国人研修・技能実習制度のあり方、労働審判制度の課題検証等について意見交換を行い、課題認識の共有化を図った。
□ 狭山事件の石川さん、自治労中央執行委員会で訴え □
9月28日午後、石川一雄さんと早智子さん夫妻が自治労本部を訪れ徳永秀昭委員長など役員と面談、そのあと自治労中央執行委員会の冒頭で狭山事件の再審実現への更なる支援を訴えた。
石川一雄さん夫妻は、これまでの支援に感謝をのべるとともに、裁判所と東京高検、弁護側の3者による協議が9月10日に32年ぶりに行われたことを報告、わずかな光が見えたと期待を語り、証拠開示にむけて大きなヤマ場を迎えており、このチャンスを生かすため一層の支援をと訴えた。
近畿ブロック・九州ブロックが交流集会を開催
−政権交代をふまえて活動強化を−
9月17日から18日にかけて、部落解放地方共闘近畿ブロック・九州ブロック第23回交流会が、宮崎市内のホテルで開催され128名が参加した。
まず横山節夫・九州ブロック議長があいさつ、「鳩山政権が誕生し、ひとつの扉を開けることができたが、私たちがなにもやらずに政策は実現しない」とのべ、「人権侵害救済法」や可視化法案成立へむけ活動を強化しようと呼びかけた。
つづいて田上武・近畿ブロック議長は、総選挙で新人議員が非常に多くなったが「人権侵害救済法」などについて如何にして理解をしてもらうか、各府県共闘会議からの働きかけの重要性を強調した。
交流会の基調は、下田祐二・九州ブロック事務局長が提案し満場の拍手で採択した。活動報告は、九州ブロックから宮崎と佐賀、近畿ブロックから大阪の代表がおこなった。とくに大阪から報告された「不動産取引における部落差別の実態」は、マンション建設の事前調査などで近くに「同和地区」があるか調べるなど、あいつぐ「土地差別調査事件」の深刻な実態と課題を明らかにした。
そのあと地元報告として、部落解放同盟宮崎県連の山崎克彦さんが講演、自分のおいたち、結婚差別を受けたこと、職場での差別と闘った父親のことなどを宮崎における部落解放運動の歴史と重ね合わせながら語った。また労働組合運動にも参加し、職場の部落解放研究会の仲間に支えられながら、あらゆる差別を許さない取り組みをすすめていることが報告された。
2日目はフィールドワークで、「八紘一宇」の巨大な塔がある平和台公園、爆撃から守るため戦闘機を隠した掩蔽壕など宮崎の戦跡を訪ね、平和への思いを新たにした。
「子ども支援フォーラムINふくおか」を開催
−就学や就職の機会を保障する支援制度の充実を−
5月16日午後、「子ども支援フォーラムinふくおか〜子どもたちの未来をきり開く学習会」が福岡市立早良市民センターで開催され、連合を中心とした労働者、教育関係者、部落解放同盟の同盟員、行政関係者など200人が参加した。
この集会の趣旨は、格差社会が大きな社会問題となり庶民の貧困化が進むなかで、家庭の経済的理由で子どもたちの就学の機会が奪われることがないように支援制度の充実をはかり、また就職差別をなくし進路を保障していこうというもの。部落解放共闘福岡県民会議、福岡県人権・同和教育研究協議会、部落解放同盟福岡県連合会の三者による実行委員会が主催し、福岡県、県教育委員会、県私学協会、県PTA連合会、県企業同和問題推進連絡会も後援団体となった。
開会あいさつを下田祐二・部落解放共闘福岡県民会議議長がおこなったあと、高校生の就学支援について小西幸恵・部落解放同盟福岡県連執行委員が報告、「旧奨学金制度では01年度で380人だった支給対象者が、02年度に改善された制度で1480人に増えた。05年度に成績条項の撤廃、保証人制度の緩和など制度が改善され、新奨学金制度では08年度で5800人(うち部落の子どもは300人)と大幅に拡充してきた」と運動の成果を強調した。
県人権・同和教育研究協議会研究委員で中学校教員の江嵜文寿さんは、義務教育における就学支援について、「行政の支援策は申請主義。制度を紹介するだけでなく、一緒に手続きに行くなどの行動も必要だ」と訴えた。
また、連合本部がおこなった「採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査」について磯部行雄・連合連帯活動局長が報告、「採用前に戸籍謄抄本の提出を求める企業や自治体が1割もあることなど、統一応募用紙の趣旨に反する実態がかなり多くある。連合としても調査結果をふまえ、就職差別撤廃の取り組みを強化する」と決意をのべた。
会場から参加者の発言を受けたあと、小西清則・県人権・同和教育研究協議会会長が「子どもの未来を守るため、三者で開いた今回のフォーラムを契機にさらに取り組みを前進させたい」とまとめた。
□ 京都地方共闘が部落解放連続講座を開催 □
部落解放京都地方共闘会議の主催する第31回部落解放連続講座が3月17日、24日、27日と京都府部落解放センターで開催され、毎回130人が参加した。
第1回は「狭山第3次再審請求第3補充書」について、中北龍太郎・狭山弁護団弁護士が講演。警察の筆跡鑑定、Uさんの目撃証言について厳しく批判した。そして、志布志事件や氷見事件で無罪判決が出ているが、こうした冤罪事件をなくすためにも、取調べ過程での弁護士の立会い、録音録画などの可視化法案が必要と訴えた。
第2回は「隔離から解放へ」のテーマで、ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会・関西実行委員会共同代表の訓覇浩さんが講演、国の進めた隔離政策が差別と偏見を肯定するものであったことを歴史的に展開し、「ハンセン病問題基本法」によって差別の連鎖を断ち切ろう訴えた。
第3回は「広がる貧困と『反・貧困』運動」について、「生存権裁判」京都弁護団の舟木浩さんが講演、年々広がる貧困と格差、生存権を脅かす社会全体に懸念を表明し、セーフティネットや賃金・生活を底上げする施策が必要だと訴えた。
□ 三重県民会議が狭山フィールドワーク □
5月22日から23日にかけて、部落解放三重県民会議の主催で狭山フィールドワークが実施され30名が参加した。
22日の早朝に貸し切りバスで津市を出発、車中で狭山事件や裁判員制度のビデオ学習をおこないながら東京に向かった。午後から東京・代々木公園で開催された「狭山事件の再審を求める市民集会」に参加し、石川一雄さん本人から「無実の叫び46年」の訴えを聞いた後、デモ行進をおこなった。そのあと、埼玉県狭山市に移動し参加者の交流会を持った。
23日は狭山現地調査で、でっちあげられた犯行現場など、当時の足取りを再現して説明を受けながら徒歩で体験した。現場周辺は新興住宅街で、今は荷小屋や雑木林もなくなり46年前の状況が想像しにくくなっており、取り組みの見直しが必要に思われた。
5月21日から裁判員制度がスタートしたが、部落解放三重県民会議としても冤罪や裁判に関心を持ち、差別のない社会づくりをめざして活動を進める決意を新たにした。
□ 新潟県共闘が狭山現地調査 □
部落解放新潟県共闘会議は、昨年の第13回総会で狭山事件の解決をめざし、市民集会への参加と狭山現地調査を毎年おこなうことを決定した。そして、今年5月22日に代々木公園で開催された市民集会に参加、翌日は狭山現地調査をおこなった。
新潟から23名がバスで早朝出発、車中では、狭山事件をとりあげたドキュメンタリー「ザ・スクープ」を鑑賞し事前学習をおこなった。市民集会とデモ行進に参加したあと、新狭山ホテルに移動し交流会をもった。
翌日は、部落解放同盟埼玉県連の小野寺書記長の案内で約2時間現地視察をおこない、警察のつくりあげた調書の矛盾点を体感した。現地事務所の中に再現された石川さん宅では、「かもい」に万年筆が置かれていればスグ見えることを自らの目で確かめた。参加者は、二日間の行動を通して、差別と冤罪を二度と繰り返してはならないことを確かめあった。
□ 群馬県共闘が労働局、県、県教育委員会へ要請 □
7月15日午後、部落解放群馬県民共闘会議と部落解放同盟群馬県連合会は、群馬労働局、群馬県、県教育委員会に対し、就職差別撤廃に向けた要請をおこなった。この行動には群馬県民共闘の桜沢政晴・副議長、解放同盟群馬県連の金子喜代美・委員長、栗原典夫・書記長ら12人が参加、行政側は有賀利一・労働局職業安定部長、根岸富士夫・県労働政策課長ら15人が対応した。
労働局からは、対象事業所での「公正採用選考人権啓発推進員」の選任率は95・9%であり、研修会は労働局1回、職安2回で、参加者は微増との説明がなされた。
県高校教育課からは、あらたに就職する生徒へのリーフレットの作成と配布が報告され、県教育委員会からは「受験結果報告書」でさらに徹底したいとの回答がなされた。また、就職差別撤廃月間の設定については、関係機関と協議をしていくとの答弁にとどまった。
参加者からは、県内自治体の職員採用について、安中市と高山村で本籍地と家族構成の記載欄があり、太田市でも家族欄があったこと、みどり市では本籍、続柄を記載した住民票の提出を求めていたことを指摘した。しかし県側は、「違反事例はすでに改善され、何も問題ない」かのように答弁。参加者からは、いままで就職差別につながる情報を取り続けていたという人権感覚の欠如への反省が必要であり、その反省にたって統一応募用紙の趣旨の徹底や人権教育の推進が必要と強調した。
□ 就職差別撤廃にむけて宮崎労働局、宮崎県へ要請行動 □
部落解放共闘宮崎県民会議は、6月22日午後に宮崎労働局、7月21日午前に宮崎県に対して、就職差別撤廃にむけた要請行動を行った。
宮崎労働局への要請は労働局の会議室でおこなわれ、横山節夫・議長をはじめ、連合宮崎、部落解放同盟宮崎県連合会、宮崎県人権・同和教育研究協議会の役員9名が参加した。
横山議長は、「就職差別撤廃にむけた要請行動は、昨年に引き続き九州ブロックで統一して取り組みを強化している。アンケートや調査結果からもまだまだ差別の実態が明らかになっており、平等な社会をつくるために更なる対策が必要である。昨年は連合が初めて、採用選考に関する実態把握のためのアンケート報告書を行い、結果資料をお持ちしたので、行政の立場からも更なる強化をお願いしたい」と挨拶した。宮崎県人権・同和対策協議会進路保証担当の森さんは、宮崎県内の不適正選考項目別数集約の結果を説明し、依然として面接時の違反質問が多いことなどを説明した。
宮崎県への要請は商工観光労働部の会議室でおこなわれ、横山議長をはじめ、連合宮崎、日教組、部落解放同盟、宮崎県人権・同和教育協議会の役員11名が参加した。宮崎県からは、人権週間やあらゆる場面で宮崎労働局など関係機関とも連携し、就職差別撤廃にむけた取り組みを強化したいとの回答があり、今後も各団体で就職差別撤廃にむけた行動をさらに強化していくことを確認した。
部落解放共闘情報bP92(2009,6,10)
連合のアンケート調査ふまえ就職差別撤廃へ取り組み強化を
−中央共闘で総務省、厚生労働省に要請行動−
連合が昨年6月からおこなった就職差別撤廃にむけたアンケート調査の結果が、今年1月に「れんごう政策資料〜採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査報告書」として発行された。アンケート結果では、応募用紙やエントリーシートで本籍地や家族関係など就職差別につながる個人情報の記入を求めている事業所が1割以上ある実態をはじめ、「職業安定法第5条の4」と「統一応募用紙」の趣旨に反する採用選考の実態が浮き彫りになった。
このアンケート調査の結果を踏まえ、連合は構成組織や都道府県の連合に対し就職差別撤廃の取り組み強化を呼びかけるとともに、経営者団体にも会員企業への教育・啓発強化などを要請することにしている。
中央共闘としても毎年6月を「就職差別撤廃月間」として、啓発資料を加盟単産や府県の共闘会議に配布し、各職場への周知と点検活動を呼びかけてきたが、このアンケート結果をふまえ取り組みを強化することが求められている。
そして、中央共闘は連合のアンケート結果を踏まえて5月20日午後、厚生労働省と総務省にたいし要請行動をおこなった。
厚生労働省要請行動
厚生労働省への要請行動には、徳茂万知子・副議長(自治労副委員長)、清水秀行・事務局長(日教組書記次長)、磯部行雄・連合連帯活動局長、西島藤彦・事務局次長(部落解放同盟書記次長)、井加田まり・事務局次長(自治労政治政策局次長)、會田邦昭・事務局次長(連合連帯活動局部長)、岡戸裕・常任幹事が参加、厚生労働省は職業安定局・就労支援室の北條憲一・室長、下角圭司・室長補佐ほか5名が対応した。
まず中央共闘から、連合のアンケート調査結果を説明、@「職業安定法第5条の4」と「統一応募用紙」についての啓発・指導の強化、A点検の手段として「受験結果報告書」の全国化、B違反の率が高い小規模事業所や東北・北海道などの対策強化、C健康診断についての事例を示したわかりやすい啓発、D人事関係書類記載事項の点検指導、E採用における差別禁止の法整備、などについて要請した。
これに対し北條室長は、アンケート結果を見ても遺憾な実態がまだあり、身を引き締めて取り組む必要があるとの考えを示した。そして@については、パンフレットを作成・配布しており、各企業に設置している公正採用選考人権啓発推進員に対する職安による研修会は全国で昨年のべ900回開催、5万5千人が参加との実績を報告、欠席企業への働きかけや研修内容の充実で実効性を上げていきたいと答えた。
Aについては、採用試験を受けたあとの点検方法は口頭で聞いている学校もあり、「受験報告書」という書類を使う都道府県も増えているが、一律に強制することはできないと答えた。これに対し参加者から、何が就職差別につながるか項目を示さないと受験者は報告できないし、実施している県では成果が上がっていると反論した。これに対し室長は、労働局と県教育委員会の定期会議の場で、好事例を示し議論を深めることも重要との考えを示すにとどまった。
また、Bについては、東北・北海道の実情に合わせた研修の内容など工夫して取り組む。Cについては、健康診断の必要性は職種によるが、パンフの内容をわかりやすいものにしたい。Dについては、個人情報保護法にもとづいた雇用管理指針が定められており、指導啓発をしていきたい。Eについては、採用差別を禁止する法律は一般法には無く、個別法で「均等法」があるが、廃案になった人権擁護法案の内容として禁止が明記されていたこともあり、今後の法案をめぐる国会の動きも注視していきたい、と答えた。
さらに参加者からの要望に答え室長は、自治体関連の違反をなくすため、総務省や各自治体と連携を強めることも約束した。
総務省要請行動
総務省への要請行動では、前記の中央共闘参加者と武内則男・参議院議員(民主党)が参加、総務省は自治行政局公務員部公務員課の高尾和彦・課長、鈴木稔郎・課長補佐ほか1名が対応した。
総務省には、連合のアンケート調査の結果を踏まえ、07年11月の前回交渉以降の取り組みについて回答を求めた。
高尾課長は、各都道府県の財政課長や市町村担当課長を集めた会議や、全国6ブロックに分けて都道府県の人事課長や市町村担当課長を集めた会議で、公正採用の徹底について注意を喚起したこと。08年の7月から9月にかけて、各県の人事担当課と市町村担当課から勤務条件をヒヤリングしたさいに、職員採用が公正におこなわれているか聞くとともに、厚生労働省発行の公正採用に関するパンフを開き話をしたこと。それをふまえ、パンフ2千部を都道府県を通して市町村に配布したことを報告、今年も継続して取り組みたいと答えた。
参加者からは、アンケートを見ても現実に自治体関係で多くの違反事例があり、これで民間企業に指導していけるのかとの疑問がだされ、自治体には一段高いレベルが求められており、総務省版のパンフが必要だと強調した。高尾課長は、今年は、どのような趣旨でパンフを送るのかという送り状をつけて送付したいと答えた。
また武内参議院議員から、「職業安定法第5条の4」と公務員法の関係の再確認が求められ、高尾課長は「地方公務員法の平等取り扱いの原則の解釈運用として同様の趣旨を含んでいる」と回答した。
さらに参加者から、ことがらは公務員法違反の問題だが、取り組みの成果を今後お互い分析できるよう、都道府県が実態把握するよう働きかけてほしいと要望したが、都道府県からのヒヤリングで事例を把握していくとの回答にとどまった。
中央共闘としては、今後も取り組みが前進するよう要請していくことにしており、各都道府県段階でも労働局や都道府県行政に対する働きかけをおこなうよう呼びかけている。
無実の叫び46年、狭山事件の再審を求め市民集会
−都内11か所で一斉街頭宣伝も−
5月22日午後、狭山事件の再審を求める市民集会が東京・代々木公園で開催され、解放同盟、労働組合、宗教者、市民など全国から2500人が集まった。
主催は同集会実行委員会で、代表して組坂繁之・部落解放同盟委員長があいさつ、今年中に何らかの判断がくだされる可能性が強いと緊迫した情勢を語り、再審開始へ大きな一歩となる集会にしようと呼びかけた。
石川一雄さん、早智子さんも「元気に全国を回り無実を訴えている。第3次で何としても再審開始、無罪を勝ち取りたい」と支援を訴えた。
狭山弁護団からは、この日の午前中に4通の補充書と事実調べ請求書を東京高裁に提出したことが報告された。中山武敏・主任弁護人は、脅迫状の文字と押収した万年筆のペン先の太さが違うことを示す新鑑定を例にあげ、確定判決は根底から崩れたとのべ、事実調べをおこなわせ再審への道を切り拓きたいとのべた。
基調報告で松岡徹・部落解放同盟書記長は、「裁判員制度がスタートしたが、市民が冤罪の片棒を担ぐことはあってはならない。冤罪は密室での自白強要と証拠のねつ造・証拠隠しで生み出される」とのべ、「取調べの可視化法案」成立の必要性を強調し、狭山再審実現へ世論喚起を呼びかけた。
また各団体からのあいさつで、労働組合の立場から清水秀行・中央共闘事務局長がアピール、共闘会議の取り組みを報告し再審実現へ闘う決意を表明した。
氷見事件で無罪となり国家賠償を提訴している柳原浩さんの連帯あいさつのあと、集会アピールを冨永猛・大阪府民共闘議長が提案、拍手で採択された。
集会後、参加者は渋谷駅近くの宮下公園までデモ行進をおこない、再審実現を訴えた。
集会に先立ち正午から1時間、都内11か所で一斉情宣活動をおこない、労働組合は検察庁、弁護士会館付近で約25名が参加し、中央共闘作成のリーフレットを配布した。
また、夜は「裁判員制度と冤罪を考えるつどい」が都内で開かれ、狭山事件、布川事件、袴田事件、足利事件、氷見事件、志布志事件の冤罪事件の当事者、支援関係者がアピールをおこない、代用監獄の廃止、取調べの全面可視化、公正な証拠開示などの制度化を求めた。そして、冤罪被害者は一人では弱く、連帯して司法の改革を訴える必要性が強調された。
労働者の使い捨てを許すな!メーデー中央大会
−狭山再審を求める宣伝活動も23都府県で−
4月29日、「労働者の使い捨ては許さない!今こそ、公正と連帯の社会実現をめざす」をスローガンに第80回メーデー中央大会が東京・代々木公園で開催され、約3万6千人が参加した。
主催者代表あいさつで木剛・連合会長は、非正規労働者が全雇用労働者の三分の一を越え、年収200万円以下のワーキングプア層が1千万人を越える状況に触れながら、「日本社会の有り様に怒りを込め、正規労働者も非正規労働者も共に連帯し、勤労国民の先頭に立ってたたかおう」と訴え、きたる総選挙で何としても政権交代をはかろうと呼びかけた。
「年越し派遣村」で村長を務めた湯浅誠さんも連帯のあいさつ、「新自由主義に基づくグローバル競争が折り返し地点に来ている今、労働組合は誰とともにあるのか。経営者となのか、市民とともにあるのか。皆さんと一緒に考えたい」と問題を提起した。
式典と並行して会場内で開催された「ふれあい祭り」には、63のNGO、NPO、労働組合などが模擬店を出店。部落解放同盟のテントでは、狭山事件の真相を訴えるパネル展示やパンフの販売、リーフレットの配布と署名活動などがおこなわれた。
また、中央共闘の呼びかけに応えて、全国23都府県のメーデー各会場でも狭山事件のリーフレット約6万枚が配布された。
市民自治の豊かな社会の創造かかげ自治研集会
−人権・平和・共生のまちづくりも議論−
4月16日から18日にかけて第32回地方自治研究全国集会が札幌市を主会場に開催され、全国から自治労組合員を中心に、研究者、市民など約2千人が参加した。
16日の全体集会では、旭川動物園名誉園長の小菅正夫さんが「旭川動物園、革命と出会い」と題した記念講演をおこない、動物たちの魅力を見せるための発想の転換と工夫など、現状を徹底して分析し考え抜いて動物園を変えていったことを語った。
午後からは、哲学者の内山節さんと自治総研研究員の飛田博史さんによる「転換期の苦しさと『ローカル』の可能性」と題したトークショーがおこなわれた。そのなかでは、グローバル化と労働の劣化など社会・経済の現状が掘り下げられ、人間同士の多様な結びつきや助け合いを積み上げ地域社会を再建する必要性が強調された。
2日目の午前は5つの統合分科会と夕張特別分科会にわかれて議論を深めた。「人権・平和・共生のまちづくり」と題した第4統合分科会では、北海道アイヌ協会の阿部一司副理事長が「アイヌ民族の歴史と現在」と題して特別報告をおこなった。そのあと、部落解放同盟の西島藤彦書記次長とエファ・ジャパンのイーデス・ハンソンさんが加わりパネルディスカッションがおこなわれた。
西島さんは、「02年に同和対策事業特別措置法が失効したが、同和行政が終了したわけではない。近年ではインターネットによる差別事件や戸籍等の不正入手と身元調査事件が多発し、自治体の制度やシステムの構築に引き続き取り組みが必要」とのべた。
イーデス・ハンソンさんは、自らの経験も交え「自分の生活における人権の基準を誰もが持つべき。とくに様々な境遇の市民に対して仕事をする自治体にはそうした感覚が大事」と話した。
2日目の午後と3日目の午前は、14のテーマ別分科会などに分かれて議論をさらに深めた。「これでいいのか!?日本の人権」の分科会では、部落差別の現状と課題、自治体における公正な採用選考に関するアンケート結果、多文化共生社会、外国人労働者への支援、医療通訳の取り組み、自治体の人権行政の現状などが語られ、議論を深めた。
反差別・人権確立・福祉の向上めざし県民運動を
−第29回部落解放・人権徳島地方研究集会−
2月25日から26日にかけて、第29回部落解放・人権徳島地方研究集会が徳島市内で開催され、延べ2200人を超える参加があった。
初日の全体集会は徳島市文化センターで13時から開かれ、川越敏良・実行委員長(地方共闘議長)が主催者を代表してあいさつ、「今日の社会情勢を受け、凶悪犯罪、差別事件や差別落書きも増加する傾向にあり、一日も早く『人権侵害救済法』を制定させなければならない。また、狭山事件の第3次再審に向け全力で取り組み、地域や職場から部落差別撤廃・人権確立の取り組みの強化を図ろう」と呼びかけた。
続いて、来賓のあいさつの後、狭山事件の石川一雄・早智子さんが日頃の支援に対するお礼をのべ、第3次再審に向けての更なる支援を訴えた。
そのあと、部落解放同盟中央本部の組坂繁之委員長が「部落解放運動をめぐる今日の情勢と課題」について基調講演し、人権侵害救済法制定に向けての動きや狭山事件の第3次再審闘争などについて詳しく語った。
続いて、県肢体不自由児協会顧問の圓井さんが「共に生きる〜共に学び育つ教育を求めて〜」と題して特別報告、重度心身障害を持つ娘さんを通して知った地域生活での喜びや共生社会の意義について語り、これからの地域社会のあり方について訴えた。
また、記念講演では日本人権ジャーナリストの会・北口学事務局長が「インターネット上の差別事件の現状と課題」について講演。北口さんは、「グーグル・ストリートビュー」「グーグル・マップ」「地図サービスへの書き込み機能の追加」など実際の画像を見せながら説明し、被差別マイノリティに対する差別書き込みは深刻の度合いを増しているとのべ、早急な法規制が求められていると訴えた。
2日目は、部落解放・人権教育(I〜V)、社会教育と啓発、狭山・共同闘争、企業・職域、自治体の課題、男女平等(ジェンダー)をテーマに8会場で分科会議論を進めた。
□ 愛媛県共闘が差別撤廃に向け学習会を開催 □
昨年12月12日、部落解放愛媛県共闘会議は愛媛県勤労会館で「あらゆる差別の撤廃にむけた学習会」を開催、加盟組織から40名が参加した。
主催者を代表して大原英記・議長があいさつ、新自由主義にもとづく格差社会・差別社会を批判し、総選挙での政権交代を訴えた。
学習会では、「今日における部落解放共闘運動の意義と任務」と題して、部落解放大阪府民共闘の山根健二・事務局次長が講演。大阪府民共闘が全国で初めての労働組合と部落解放同盟の共闘組織として1966年に誕生し、闘いを通して反差別共同闘争を発展させてきたことを語った。そして、これまで培ってきた解放共闘運動の成果を今一度学習し、しっかりと若い世代に引き継ぎ発展させなければならないと強調し、あらゆる差別撤廃と人権確立に積極的に取り組もうと訴えた。
□ 三重県民会議が「いのちの電話」カードを作成・配布 □
部落解放三重県民会議は、人権問題の取り組みの一環としてカレンダー付き「三重いのちの電話」のカード(名刺の大きさ。裏にカレンダー)を1万枚作成し、組織を通じて配布したほか、公共施設や組合事務所などに置いている。
取り組みのきっかけは、昨年7月に開催した学習会後のアンケートで、メンタルヘルスの問題をとりあげてほしいと言う要望が多かったこと。
近年、全国の自殺者数は年間3万人を超え、県内でも毎日約1人が自ら命を絶っている現状がある。県民会議は三重県内の人権確立の運動センターとしての役割を果たすべく、仕事や人間関係などで悩んでいる方が、一人でも多く解決にむけての糸口が見つかるよう「三重いのちの電話」を幅広く紹介し、活動に取り組んでいくことにしている。また今後、学習会の開催なども予定している。
□ 浦和地裁「死刑判決」45カ年糾弾し狭山再審へ埼玉集会 □
狭山事件で一審の浦和地裁(当時)が石川一雄さんに死刑判決を言い渡してから45年が経過した3月11日夜、部落解放埼玉県共闘会議や部落解放同盟県連、石川さんを支援する会埼玉連絡会は、再審開始を求める埼玉集会をさいたま市で開いた。
集会には310人が参加し、基調報告などに続いて中山武敏主任弁護人が弁護団報告を行い、「事実調べ、証拠開示を勝ち取り、再審の扉を開かせるため全力を挙げる」と述べた。
続いて、やはり再審の開始を求め最高裁の決定を待っている布川事件の元被告・桜井昌司さん(62)が特別報告した。桜井さんは警察による夜中までの取り調べや嘘発見器にかけられたことなど、「自白」強要の様子を生々しく述べながら、「冤罪は苦しくつらい。しかし、裁判に勝つことでしかこの苦しみから逃れることはできない。私の布川事件で必ず再審の道を切り開き、狭山をはじめとする冤罪事件の再審勝利の道を切り開きたい」と決意を語った。
石川一雄さんが妻の早智子さんとともに登壇し、「古希を迎えたが、闘争心は衰えていない。再審開始を勝ち取るために不退転の決意で闘う」と述べた。
□ 福岡県民会議が「報道と人権」テーマに学習会 □
2月24日、部落解放共闘福岡県民会議が「人権学習会」を開催し85人が参加、「報道と人権」をテーマに松本サリン事件の河野義行さんから講演をうけた。河野さんの話を聞きたいという声は、狭山事件をはじめ冤罪事件を学習する中で早くから出ていたが、やっと実現したもの。
河野さんは、1994年6月の松本サリン事件の第一通報者で、被害者でありながら犯人扱いされ家宅捜査を受け、マスコミからも犯人視の報道をされた。95年3月初めに日弁連の人権擁護委員会に人権救済を申し立て、地元新聞社に対して民事訴訟を起こした。3月20日に地下鉄サリン事件が発生し、身の潔白が証明された。河野さんは、自分が経験した具体的事実にもとづき、警察の理不尽な取調べ、予断と偏見にもとづく報道、それにもとづく「世間」からの嫌がらせ、などによって人権が踏みにじられ冤罪が作られていくことを語った。
参加者は、松本サリン事件でも狭山事件でも冤罪をつくりだすことにマスコミ報道が加担したことを学んだ。そして、マスコミの影響の大きさと真実を伝える努力や検証の大切さ、また、読者・視聴者も真実を見抜く目を養う必要があることを実感した。
□ 鳥取県共闘が「第17回現地学習会」を開催 □
部落解放鳥取県共闘会議は4月7日、「差別の現実から学ぶ」をテーマに「第17回現地学習会」を開催し、役員をはじめ31名が伯耆町文化センターを訪ねた。同センターは、社会福祉と人権・同和問題の解決を図ることを目的とした隣保館と児童館の複合施設。
学習会では、町文化センター所長、町教育委員会教育推進員、児童館職員の皆さんに「地域の成り立ちと概要、文化センターの取り組み」について説明を受けたあと、フィールドワークをおこなった。そして、山あいの勾配がきつい危険な村の中で、以前はあぜ道といっていいような狭い軒先の道しかなかったが、同和対策事業により集落を一周する消防車が入ることのできる道路が作られたこと、つい20年ほど前まで行われていた村人の手による葬儀の仕方などの説明を聞いた。
またこの地域では、同様のフィールドワークが近隣町村の小学生によって毎年実施されており、「伝えていく」ことに力を入れた取り組みがなされている。続いておこなった意見交換でも、自分たちの住んでいるところを大切に思い活動に取り組んでいることが語られた。
鳥取県共闘会議では、年に3〜4回このような「現地学習会」を実施しており、今後も継続していくことにしている。
部落解放共闘情報bP91(2009,3,23)
市場万能主義の破綻ふまえ、人権を重んじる社会へ変革を
−部落解放中央共闘会議第33回総会−
2月27日午後、部落解放中央共闘会議第33回総会が東京・全水道会館で開催され、15中央団体・25府県共闘から120人が参加した。
総会は徳茂万知子・副議長の開会あいさつで始まり、議長団に森下和哉・全農林中央執行委員と和田献一・部落解放同盟中央執行委員を選出した。
主催者を代表して加藤友康・議長代行があいさつ、市場万能主義の破綻による金融危機や貧困の広がりという危機的状況にふれながら、「総選挙も近づいているが、生活者、働く者に視点をあてて、本当の意味で人権を重んじる社会に変えていかなければならない」とのべ、「人権侵害救済法」制定は焦眉の課題と訴えた。そして、狭山事件の再審実現、就職差別撤廃と公正なワークルール確立へ全力を尽くそうと呼びかけた。
そのあと連合を代表して大塚敏夫・総合組織局長があいさつ、いま春闘にとりくんでいるが、労働分配率は10年間で7%下がり株主配当や役員報酬は倍近く増大したとのべ、この分配の歪みが経済を歪めていると指摘。また、使い捨てやすい労働者がつくられ、正規と非正規など労働者と労働者を対立させる構造がつくられていると語り、すべての労働者が連帯してディーセントワーク(人間らしい尊厳ある労働)を実現できるよう邁進したいとのべた。
つづいて部落解放同盟を代表して組坂繁之・委員長があいさつ、小泉のエセ改革で日本は大きく疲弊しており、今度の総選挙は世直しのための歴史的分水嶺となるとのべ、全力で闘おうと訴えた。また、権力者が支配を維持するために国民を分裂・対立させようとすることは常套手段だとのべ、貧困の広がりのなかで、ねたみ意識をあおり労働者・国民を分裂させようとする動きを許してはならないと強調した。
そのあと議事に入り、活動報告と総括案を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を井加田まり・事務局次長、会計監査報告を清澤祐司・会計監査がおこなった。そのあと、一括して拍手で採択された。
つづいて活動方針案を清水秀行・事務局長が提案、予算案を井加田まり・事務局次長が提案した。質疑では、連合が実施した公正採用選考に関するアンケートをふまえ、具体的に取り組みを強化して欲しいとの要望が出された。そのあと一括して拍手で採択された。
新役員については、佐々木貢・事務局次長が提案し、拍手で採択され、新役員を代表して加藤友康・議長が決意を表明した。
特別報告では、『連合・採用選考に関する実態把握アンケート結果』について磯部行雄・連合連帯活動局長が報告、『「統一応募用紙」違反の現状と課題』について西島藤彦・部落解放同盟書記次長が問題提起した。
そのあと総会宣言案を政木みき・日放労渉外部長が提案、拍手で採択された。
最後に閉会のあいさつを竹内法心・副議長がおこない、加藤友康・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。
《部落解放中央共闘会議役員》
議 長 加藤 友康 連合副会長、情報労連委員長
副 議 長 組坂 繁之 部落解放同盟委員長
副 議 長 山口 洋子 連合副事務局長
副 議 長 徳茂万知子 自治労副委員長
副 議 長 竹内 法心 JP労組副委員長
副 議 長 堀 峰夫 私鉄総連副委員長
事務局長 清水 秀行 日教組書記次長
〃 次長 會田 邦昭 連合連帯活動局部長
〃 次長 西島 藤彦 部落解放同盟書記次長
〃 次長 井加田まり 自治労政治政策局次長
〃 次長 佐々木 貢 JP労組中央執行委員
〃 次長 吉澤 芳雄 私鉄総連組織教宣局長
会計監査 清澤 祐司 NTT労組中央執行委員
〃 岡 一広 全水道書記次長
常任幹事 岡戸 裕 部落解放同盟事務局、中央共闘専従
総 会 宣 言
米国発の金融危機は、世界と日本の経済に深刻な影響を与え、わたしたちの生活を直撃している。この危機は、グローバルスタンダードとされた米国流の金融資本主義、市場万能主義の破綻によるものであり、世界恐慌を防ぐために新たな国際協調体制をつくる努力が続けられている。また同時に、これまでの市場万能主義からの転換と新たな道の模索が始まっている。
日本においても市場万能主義を基調に進められてきた「構造改革」は、競争を煽り、社会的連帯や公正、ゆとりを失わせ、格差拡大と多くの人々の貧困化をもたらした。そして、経済のマネーゲーム化といわれる状況が進み、物づくりやまっとうに働くことが軽視され、モラルの低下や犯罪の増加など、社会の荒廃が進んだ。そして、この状況を背景に大量差別はがき事件やインターネットでの差別煽動に見られるように、弱い者や被差別者に不満の矛先をむけるような事件も多発している。
私たちは、このような現在の経済・社会のあり方を転換させ、公正と連帯を重んじゆとりのある社会を実現し、人間の尊厳を回復していかなければならない。また、そのためにも来るべき総選挙で政治の流れも大きく変えなければならない。
私たちは本日決定した方針に基づき、「人権侵害救済法」制定にむけた署名運動に取り組み、今年こそ法制定を実現するとともに、採用を含む雇用差別禁止の法律とシステムの確立を勝ち取ろう。そして、「人権教育・啓発推進法」を活用し、地域から人権擁護と平和の機運を盛り上げていこう。
また、狭山事件の再審実現にむけ、石川さんの無実を多くの人に訴え、司法のあり方を正していこう。
私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。
2009年2月27日
部落解放中央共闘会議第33回総会
差別をなくし、真面目に働く者が報われる社会を
−部落解放地方共闘全国連絡会議第25回総会−
2月27日午前、部落解放地方共闘全国連絡会議第25回総会が東京・全水道会館で開催され、府県共闘や中央団体から80名が参加した。
総会は會田邦昭・事務局次長の司会で進行し、総会議長に中島修・埼玉県共闘事務局次長を選出した。
はじめに組坂繁之・全国共闘議長があいさつ、大変な情勢になっているが、このような社会を抜本的に変える世直しが必要とのべ、総選挙で人権・平和・民主主義・環境を守り確立する議員を多数国政に送って政権交代させ、差別をなくし、まじめに働く者が報われる社会をつくろうと呼びかけた。
そのあと、活動報告と総括案を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を井加田まり・事務局次長が提案し、会計監査報告を栗原典夫・会計監査がおこなった。質疑では、鳥取県共闘から、「鳥取県人権侵害救済推進および手続に関する条例」の見直し作業が進められてきたが、相談窓口の充実だけに終わり、条例が廃案になる残念な情況にあることが報告された。そのあと一括して採択された。
つづいて方針案を清水秀行・事務局長が、予算案を井加田まり・事務局次長が提案し、一括して採択された。
役員は西島藤彦・事務局次長が提案し、拍手で承認された。最後に、田上武・副議長の音頭で団結ガンバローを三唱し、各地での取り組み強化を誓い合った。
《部落解放地方共闘全国連絡会議・新役員》
議 長 組 坂 繁 之 部落解放同盟委員長
副 議 長 横 山 節 夫 九州ブロック県民会議議長
副 議 長 田 上 武 近畿ブロック連絡会議議長
副 議 長 酒 井 寛 二 四国ブロック共闘会議議長
副 議 長 齋 藤 正 美 関東甲信越ブロック連絡会議議長
副 議 長 三 島 和 弘 愛知県共闘会議議長
副 議 長 佐 古 正 明 広島県共闘会議議長
事務局長 清 水 秀 行 中央共闘事務局長
〃 次長 會 田 邦 昭 中央共闘事務局次長
〃 次長 西 島 藤 彦 中央共闘事務局次長
〃 次長 井加田 ま り 中央共闘事務局次長
〃 次長 佐々木 貢 中央共闘事務局次長
〃 次長 吉 澤 芳 雄 中央共闘事務局次長
常任幹事(各ブロックの労組側から1名、解放同盟から1名)
関 東 町 田 修 関東甲信越ブロック連絡会議事務局長
〃 竹之内 健 次 解放同盟関東甲信越ブロック議長
東 海 林 竜 二 三重県民会議副議長
〃 石 井 輝 男 解放同盟岐阜県連委員長
近 畿 大 槻 信 夫 兵庫県民共闘事務局長
〃 赤 井 隆 史 解放同盟大阪府連書記長
中 国 向 征 人 岡山県共闘事務局長
〃 竹 内 哲 也 解放同盟島根県連書記次長
四 国 酒 井 寛 二 徳島県共闘副議長
〃 岡 本 俊 晃 解放同盟香川県連書記長
九 州 下 田 祐 二 九州ブロック県民会議事務局長
〃 山 口 渉 解放同盟九州ブロック副議長
会計監査 栗 原 典 夫 群馬県民共闘事務局次長
〃 中 島 修 埼玉県共闘事務局次長
総選挙に勝利し、差別・貧困・格差を打ち破る闘いを
−部落解放同盟第66回全国大会−
3月3日から4日にかけて、部落解放同盟第66回全国大会が東京・九段会館を主会場に開催され900人が参加した。
本部を代表して組坂繁之・中央執行委員長は、厳しい経済状況の中で、部落のきょうだいの就労・教育権の保障に全力をあげ、同じように苦しんでいる人々とも連帯を強め、格差社会の中で陰湿化する差別をなくす闘いを展開しようと訴えた。また来賓として、中央共闘を代表して清水秀行・事務局長が、連合を代表して岡部謙治・会長代行が連帯のあいさつをおこなった。
大会では、一連の不祥事への反省から有識者による「提言」を受けとめ、規約改正をおこない「部落解放同盟行動指針」を決定、組織の再生・改革にとりくむ決意を示した。また、差別・貧困・格差を打ち破る闘い、「人権侵害救済法」制定、狭山事件の再審実現、総選挙闘争勝利などに全力で取り組むことを誓い合った。
新たな活動にチャレンジし運動の前進を
−九州ブロック県民会議第13回総会・交流会−
3月13日から14日にかけて、部落解放共闘九州ブロック県民会議第13回総会・交流会が宮崎市内で開催され93人が参加者した。
主催者を代表して横山節夫・議長があいさつ、広がる格差社会と貧困の実態や、差別事件が多発する現状にふれ、政権交代で世の中を変える必要性を強調、昨年は就職差別撤廃で九州各県の労働局などに申し入れをおこなったが、九州ブロックとしても新たな活動に挑戦し運動を前進させていきたいとのべた。
議案は下田祐二・事務局長が提案、経過報告、会計決算報告、活動方針、予算などを採択した。また、横山議長、下田事務局長などブロックの役員を選出した。
第2部として講演会を開催、「報道と人権」と題して、松本サリン事件の第1通報者で、被害者でありながら犯人扱いされ人権を侵害された河野義行さんが講演をおこなった。河野さんは、事件が発生し犯人扱いされ無実が明らかになるまでの経過を語り、警察による「自白」の強要とあいまって、マスコミがきちっとした取材や裏付けにもとづかない誤報を流し、犯人と決め付け人格を傷つけるような意図的な「誤報」を流し続けたことによって、いかに苦しめられたか、家族や周辺の人々にも被害が及んだことなどを語った。そして、新聞記者などマスコミが警察と同じ視点に立ってしまい、権力の監視の役目を果たしていないと批判。犯人扱いの契機になった誤報についても、放送局が誤報と認識しても1年半も訂正されなかったこと。裁判になれば有罪を立証する責任は検察にあるが、マスコミや世間は本人に無実であることを立証させようとする、とその論理の理不尽さを強調した。
2日目は、各県民会議の活動を報告しあい、経験交流を深めた。
そのあと、「同和行政に携わって」と題して、日向市役所・市民協働課の吉本靖・課長補佐が講演、労働組合や部落解放研究会の活動、同和行政の仕事の中で学んだこと、自分の意識が変わってきたことなど、具体的エピソードを通してわかりやすく語った。
岩手の地から石川さんの冤罪を晴らす運動を
−狭山事件の再審を求める岩手の集い−
2月27日、「狭山事件の再審を求める岩手の集い」が岩手県盛岡市の県高校教育会館で開催され150人が参加した。主催は、岩手県教組、高教組、自治労、情報労連、JP労組、全水道、県交通労組、全農林、森林労連、全自交、国労、I女性会議、曹洞宗岩手県宗務所、日本キリスト教団と、賛同団体のフード連合でつくる実行委員会。
まず主催者を代表して実行委員会代表の千葉進・県高教組委員長が、野間宏さんらの狭山事件の著作にもふれながら、「岩手の地から石川さんのえん罪を晴らすための運動をすすめていきたい」とあいさつをおこなった。
つづいて、連合岩手の砂金文昭・会長があいさつ、「狭山事件は国家権力が差別構造を利用したえん罪。石川さんは46年間、差別に抗し人間らしく生きようとする権利を守りつづけてきた。勇気づけられる思いだ。今日のつどいは、一人ひとりの人権感覚を問い、行動する確かなヒントを与えられるだろう。連帯していきたい」とのべた。
また、平和環境岩手県労組センターの来内広幸・議長は、「刑事司法において国家的な誤りがあれば、それを民主的に糾していくのも私たちの任務だ。えん罪が生まれない社会のために頑張っていこう」とのべた。
集会では、テレビ朝日系列で放映された「ザ・スクープ 見えない手錠をはずして」が上映されたあと、狭山事件の再審を求める市民の会事務局長でルポライターの鎌田慧さんが講演をおこなった。鎌田さんは、「石川さんは当時、差別され非識字者だった。脅迫状を書けないし書こうと思わない。石川さんの無実は証明されている。しかし、石川さんは未だに自由ではない。46年間無実を訴える人に聞く耳を持たない国というのは一体どういう国なのか」と問いかけた。
つづいて、狭山事件再審弁護団事務局長の中北龍太郎・弁護士が、狭山事件の無実の証拠と第三次再審請求の現状を報告した。また、富山・氷見冤罪事件や鹿児島・志布志選挙違反事件を例に、予断・偏見による捜査、別件逮捕、代用監獄での密室での自白の強要、客観的証拠にもとづく科学的捜査の無視など、冤罪がつくられる背景を説明した。そして、捜査の可視化、証拠開示の保障、事実調べの必要性を訴え、狭山再審闘争はえん罪をなくす司法改革実現の突破口だと支援を求めた。
そのあと石川さん夫妻が登壇、石川一雄さんは「仮出獄して15年。やるせない気持ちになるのは、70歳になったが無罪が晴れないために、こうして全国を回り、多くのみなさんにご迷惑をかけていることだ。岩手県をはじめ全国のみなさんから多くの署名を頂き、門野裁判長ももう少しで事実調べに動いてくれると確信している。もう一押しなので支援をお願いしたい」と訴え、早智子さんも「どうしても生きているあいだに無罪をかちとってやりたい。みなさんの支援をお願いしたい」と訴えた。
最後に、曹洞宗岩手県宗務所、I女性会議から感想と決意がのべられ集会を終えた。
人権感覚をもちあい、ゆたかな学びの保障を
−日教組第58次教育研究全国集会−
2月21日から23日にかけて、日教組第58次教育研究全国集会が広島市内で開催され、全国から延べ1万2千人が参加した。
初日の午前中は広島国際会議場で全体集会が開催された。主催者あいさつで中村譲・日教組委員長は、子どもたちには仲間を大切にするために相互に人権感覚を持ち合い、ゆたかな人間関係をつくってもらいたいとのべ、憲法・子どもの権利条約を生かす教育改革を実現するため、ゆたかな学びを保障するカリキュラムづくりをすすめようと呼びかけた。
基調は岡本泰良・日教組書記長が提案、経済格差からくる教育格差をなくすため政府に高校無償化や奨学金制度の充実を求め、「ゆたかな学び」を実現するため総合学習の推進や子どもの実態に合ったカリキュラムづくりを進めることを強調した。
初日の午後から3日目の午前までは、24の分科会と2つの特別分科会が開催された。人権教育の分科会では、30本あまりの実践報告がなされ、熱心な討論がおこなわれた。そして、被差別や様々な困難をかかえる子どもとの出会い、その子どもや親とのふれあいのなかでの教職員の気付き・自己変革、人権教育の具体的実践内容、子どもたちの豊かな関係づくり、進路問題など、教育現場での多岐にわたる具体的取り組みを共有しあい、明日からの実践に生かしていくことを誓い合った。
「障害者差別をなくす千葉県条例」からみえてくるもの
−神奈川県共闘が秋季学習会−
昨年11月6日、神奈川県労働プラザにおいて部落解放神奈川県共闘会議主催の秋季学習会が開催され80名が参加した。
学習会では、「千葉県障害者差別禁止条例から見えてくるもの」と題して、毎日新聞夕刊編集部長で千葉県の「障害者差別をなくすための研究会」座長をつとめ条例実現に中心的役割を果たしてきた野沢和弘さんの講演を受けた。
野沢さんは、障害の違いによる利害の対立で議論がまとまらない状況から、少しずつお互いが理解を深めていく過程をエピソードや具体例を挙げながら語り、条例について「私たちが作ろうとしている条例は、障害者のための条例ではあるけれども、決して障害者のためだけではない。すべての人間にとって、とくに子どもたちに、お互いの人間の違い、お互いの悲しみやつらさを分かり合い理解しあって、同じ時代を同じ地域で生きていこうということなのです」と強調。最後に「私たち親は自分が生きている間は、なんとしてもわが子の生活を守ろうとします。しかし、自分が老いて死んでいった後の生活が障害のある子には長いのです。そのときに同じ世代や下の世代が障害者のことを理解してくれる有権者や納税者になってほしいのです。そのための条例なのです。」と結んだ。
部落解放共闘情報bP90(2008,12,16)
裁判員制度導入の前に、冤罪を生み出す司法の変革を
−狭山事件の再審を求める市民集会−
10月31日午後、「狭山事件の再審を求める市民集会」が集会実行委員会の主催で開催され、全国から部落解放同盟や労働組合員、宗教者や市民など1000名が参加、会場となった東京・日本教育会館ホールは満員となり人があふれた。
主催者を代表して組坂繁之・部落解放同盟委員長は、東京高裁・寺尾判決から34年が経過し第3次再審を闘っているが、何としても勝利しなければならない。近くある総選挙で風通しのよい政治を実現し、司法を民主化し、その大きな流れの中で再審を実現しようと訴えた。
民主党や社民党からの連帯あいさつのあと、石川一雄さんと早智子さんがあいさつ。10月中旬にスイス・ジュネーブの国連・規約人権委員会に証拠開示や無実を訴えたこと(別記)を語り、命あるうちに再審開始をと支援を訴えた。
弁護団報告で中山武敏・主任弁護人は、5月23日と8月13日に新たな鑑定書を提出し、9月11日に門野博裁判長と面会し、@必ず鑑定人尋問をおこない、カモイの現場検証をおこなうこと、A門野裁判長が担当した布川事件の再審開始決定では、証拠構造の分析のうえで新旧の証拠が総合評価されたが、狭山事件でも同じ立場にたつべき、と強く求めたことなどを報告した。
基調提案は松岡徹・部落解放同盟書記長がおこない、来年5月に裁判員制度が始まるが、「自白」の強要が今もおこなわれ、証拠開示もなされない現状は変わっていないと指摘。様々な冤罪事件を通じて闘う課題を共有し、司法に世論の関心が集まる今こそ取り組みを強めようと呼びかけた。
集会の第2部として、「こうしてウソの自白はつくられる〜志布志・氷見・狭山をつなぐ冤罪の構図」と題してシンポジウムがおこなわれ、それぞれの冤罪被害者が取り調べの過酷な状況を語り、長期拘留と家族を巻き込む警察のやり口などを語った。志布志事件で被告にされた谷田則雄さんは、「取調べを可視化しないと冤罪はどんどん増える。私のような人はどんどん出てくる」と絞り上げる声で訴えた。
シンポジウムのあと、無実でありながら死刑が執行された福岡事件の再審を求める支援者からもアピールがなされた。
シンポジウムのコーディネーターの鎌田慧さんは、「こうした冤罪をなくすには取り調べの可視化が不可欠、司法制度を変えていくしかない。そういう機運が今高まっている。第3次再審の開始が実現するよう頑張ろう」と訴えた。
石川一雄さんが国連で証拠開示など訴え
−自由権規約委員会の意見交換会に出席−
「アイ・アム・イノセント(私は無実です)」―。10月15日、スイスのジュネーブで開かれた国連・自由権規約委員会の意見交換会に出席した石川一雄さんは、証拠開示を委員に訴えたあと、発言の最後に万感の思いをこめてこう叫んだ。
国連の自由権規約委員会は、ちょうど10年前にも「公正な裁判を実現するために証拠開示をすべき」という勧告を日本政府におこなったが、日本政府と裁判所は国連の勧告を無視しつづけてきた。そこで、今回は狭山事件の石川一雄さん本人が出席して訴えることにした。石川さんは仮釈放中なので国外渡航の許可が出るか心配されたが、直前になって1回限りのパスポートが発行されることになった。
自由権規約委員会は、「市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」を批准した国が、規約を遵守しているかどうか定期的に審査する機関で、批准国政府からの報告書をもとに審査する。また、当該国のNGOや人権団体からも事前に意見を聞く機会を設けている。その意見交換会は2日間に分けておこなわれ、1日目は日弁連、アムネスティ日本支部、IMADR(反差別国際運動)などが発言し、2日目は石川一雄さんや冤罪事件の当事者が発言した。
石川一雄さんは、やや緊張した面持ちで「マイ・ネーム・イズ・カズオ・イシカワ」と英語で自己紹介し、そのあと日本語で「私、石川一雄は、1963年におきた狭山事件で、被差別部落にたいする予断と偏見にもとづいて犯人とされ、無実でありながら32年間の獄中生活を強いられました」「事件発生から45年すぎた今も無実を訴え続けています」と語った。
石川さんの訴えは、通訳を通して各委員に伝えられた。狭山事件の石川一雄さんの存在は、日本から参加したNGOはもちろん、規約委員会の委員の間でも知られていると見えて、会場の出席者は顔を上げて石川さんに注目した。
会場内が注視する中で石川さんは、「私の裁判では、開示されていない証拠物件が、積み上げれば2〜3メートルあることを認めていながら、検察庁はまだ開示していません」「私も69歳になりました。何としても生きている間に無実の罪を晴らしたいと必死に訴え続けております」「委員の皆様に公正・公平な裁判はもとより、日本政府に対して証拠開示するよう働きかけていただきたいので、私、石川一雄が直接お願いに参りました」とのべ、最後に「アイ・アム・イノセント」と結んだ。
10月30日に国連から出された勧告では、「締約国は、代用監獄システムを廃止すべきで、条約第14条(公正な裁判を受ける権利)にあるすべての保障への適合を確保すべきである。取調べのときでもすべての容疑者が弁護士へのアクセスができる権利、犯罪嫌疑の性質に関わりなく逮捕されたそのときから法的支援が受けられる権利、自分の事件に関わる警察の記録すべてにアクセスできる権利、そして医療措置が受けられる権利が保障されるべきである。さらに、起訴前保釈システムが導入されるべきである。」と記されており、日本における改善を求めている。
日本における人権の法制度の確立を
−世界人権宣言60周年記念集会−
12月8日午後、「日本における人権の法制度の確立にむけて」をテーマに、世界人権宣言60周年記念集会が東京・日本教育会館で開催され、500人を超える人々が参加した。主催は、部落解放同盟や連合、宗教者、企業などが参加する世界人権宣言中央実行委員会で、連合の構成組織・地方連合会からも多くの組合員が参加した。
主催者あいさつで大野昭則・部落解放同盟副委員長は、「世界人権宣言の基本精神は、あらゆる差別を撤廃し人権を確立することが世界の平和実現につながるということだ」とのべ、人権と平和の確立に向けた不断の取り組みを呼びかけた。
基調報告は松岡徹・部落解放同盟書記長(民主党・参議院議員)がおこない、世界人権宣言が国連で採択されたあと、その精神を具体化するために30に及ぶ人権諸条約が採択されてきたことを紹介。人権をめぐる国内外の情勢にふれながら、第2次世界大戦の反省から生み出された世界人権宣言と憲法の基本精神を発展させる取り組みが重要だと語り、とくに差別の禁止、人権侵害被害者の効果的な救済を実施するための法制度の整備が緊急の課題だと強調した。
そのあと、(社)北海道ウタリ協会の加藤忠・事務局長から「アイヌ先住民族国会決議の意義と課題」、全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏・事務局長から「ハンセン病問題基本法の制定と今後の課題」と題して、これまでの運動の経過と今後の課題について報告がなされた。
加藤さんは、昨年9月に国連で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択され、今年6月に衆議院と参議院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、7月に「有識者懇談会」が設置され、ようやく抜本的なアイヌ政策を議論する環境が整ったと喜びを語った。そして、現状はアイヌの子どもたちが自己肯定感や自尊心をはぐくむには程遠いほど差別が横たわっていると語り、啓発の強化と貧困の克服、先祖が築いた歴史や文化の正当な評価など、子どもたちの豊かな未来実現のため、積年の思いを有識者懇談会で結実させたいとのべた。
神さんは、ハンセン病の特効薬は60年代に発見され、今の療養所は後遺症や複合障害を持った高齢者の施設に変貌しているが、根強い差別があり、問題は解決していないとのべた。そして「ハンセン病問題基本法」は、わずか10か月に93万もの署名をいただき、来年4月から施行されるが、療養所は地域に解放し垣根を取り払い、療養所そのものの社会復帰をしたいと語った。
最後に、連合の大塚敏夫・総合組織局長があいさつ、経済危機の中で格差と貧困、差別が拡大しかねないとのべ、世界人権宣言60周年を契機に取り組みを強めようと呼びかけ集会を締めくくった。
すべての人に人間らしい労働を取り戻そう
−ディーセントワーク世界行動デー中央集会−
10月9日夜、ディーセントワーク世界行動デー中央集会が日比谷公会堂で開催され、連合の組合員や市民など1500人が参加した。
この集会は、国際労働組合総連合(ITUC)が「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現を求める世界一斉行動を呼びかけ、その一環として開催されたもの。新自由主義の蔓延と公正を欠いたグローバル化の進展が、世界中に貧困・格差・抑圧・不平等の拡大をもたらしており、この情況を打ち破る新しい公正なグローバル化を実現するために、ディーセントワークが必要と呼びかけた。
主催者を代表して木剛・連合会長は、「公正な働き方のルールが確立されないまま、あるいはあったにもかかわらず、ルールがどんどん壊されるなか、新自由主義的な経済政策が横行し、市場原理優先のグローバル化が急速に進展した結果、貧困や格差などが拡大し、日本だけでなく世界中でさまざまな問題が顕在化し、労働者や社会的弱者がひどい目にあっている」とのべ、低賃金、不安定雇用、長時間労働、メンタル障害、過労死・過労自殺など、ディーセントワークと程遠い状況が広がっていることを指摘。「労働者の権利を再確認し、働いても働いても報われない社会から脱却し、すべての人に健康で文化的な生活と人間らしい労働を取り戻すため、大きなうねりと流れをお互い努力してつくりあおう」と呼びかけ、政権交代の実現も訴えた。
中央集会には、労働組合の国際組織(ITUC)や韓国労総(FKTU)の代表も出席し取り組みを報告、日本マクドナルドユニオンや地方連合会(連合大阪)からも職場と地域で、人間らしい働き方を求める日々の奮闘が報告された。また、民主党から鳩山由紀夫幹事長も駆けつけ、政治の立場からディーセントワークの実現に協力していきたいと連帯の挨拶もなされた。
最後に、「労働は商品ではない。労働は人間社会を支える大切で尊い営みである」「差別がなく安全で健康な職場環境、適切な労働条件や社会的保護、結社の自由や団体交渉権、こうしたことが保障されてこそ、働きがいのある人間らしい仕事が可能となり、社会は初めて持続可能となる」「わたしたちは、労働者を使い捨てにする社会を許さない」「政権交代を通じてわたしたちの要求を勝ち取ろう」「世界の働く仲間との連帯強化」などを盛り込んだアピールを採択。その後、ストップ!ザ・格差社会、失業や不安定雇用のない社会実現を訴えながら銀座方面にむけてアピール・ウオーク(デモ行進)をおこなった。
この中央集会のほか、日本の全国でディーセントワークを求める行動が10月19日まで行われた。また、世界100カ国以上でNGO等と連携した行動が展開されるなど、グローバルな連帯も広がった。
国連・自由権規約委員会が日本政府に勧告
−28項目にわたり改善を求める−
国連の自由権規約委員会が10月30日、日本政府に対して勧告をおこなった。この勧告は、国際人権規約の自由権規約を批准している国が、その遵守情況について5年ごとに出す報告書にもとづいて、国連・自由権規約委員会での審査を経てだされるもの。
国連は、政府が出した報告書が政府に都合のよい内容になりやすいため、NGOからの報告レポートも歓迎しており、自由権規約委員会の委員もNGOの意見を聞く場を設けている。今回も日本のNGOが政府報告に対する反論レポートを提出し、審査がおこなわれたジュネーブでも自由権規約委員とNGOとの意見交換会が開かれた。
そして今回の勧告が出されたことを受け10月31日、アムネスティ・インターナショナルなどのNGOは、参議院議員会館で合同記者会見をおこなった。
この中で反差別国際運動の小笠原純恵さんは、狭山事件の石川一雄さんが証拠開示の問題でロビーイングに取り組んだことを報告、刑事取調べに関する勧告の中に「警察の持つすべての記録へのアクセス保証」が盛り込まれているのはその成果だと思うとのべた。また、98年に勧告された部落差別禁止法制定が、今回盛り込まれなかったのは問題と指摘。しかし、過去の勧告も今回の勧告と同様に有効とすべきと明記されていることから、政府はこれを重く受け止めるべきだと訴えた。さらに、アイヌ民族と琉球民族を先住民と認め権利保障することが勧告されたことを評価した。
日弁連の田川章次・副会長は、取調べの時間制限や全過程の可視化、弁護士の立会い、接見の権利などが勧告されたことを報告。とくにこの項目については、フォローアップの報告書を1年以内に出すよう求めており、委員会が注目していると語った。
そのほか今回の勧告では、国内人権機関の設立、雇用などでの女性差別撤廃、死刑制度の廃止、日本軍「慰安婦」への法的責任と謝罪・補償・訴追、婚外子差別の撤廃、などが盛り込まれ、ビラの戸別配布を不法侵入として逮捕・起訴した事件に懸念が表明された。
教科書無償化の闘いや解放理論を学ぶ
−四国ブロック共闘交流会−
11月29日から30日にかけて、部落解放地方共闘四国ブロック交流会が高知市・朝倉総合市民会館で開催され83人が参加した。
主催者あいさつ、来賓あいさつのあと、「ありのままの自分を愛する〜愛するとき奇跡は創れる」と題して、宋富子(ソン・プジャ)さんが講演、歌も交えながら親や自分の半生を語った。差別を受ける中で、若いころは朝鮮人としての自分を否定していたが、多くの人との出会いや歴史を学ぶ中で、自分を愛するようになれたと語り、一人から変わる、自分が変わることが大切だとのべた。そして日本と朝鮮の歴史を伝える大切さを強調し、2001年に東京都新宿区に開館した高麗博物館の活動への協力を呼びかけた。
つづいて「解放運動と労働運動」と題して、森田益子・部落解放同盟高知県連合会顧問が講演した。森田さんは、自分が失業対策事業で働いた時期、9割が被差別部落の人々であり、8割が女性だったと語り、失業は本人だけの責任ではないことを強調。「差別によって主要な生産関係から除外されてきたことが差別の本質」であり、「部落差別は差別分断支配に利用されてきた」「社会意識としての差別観念」という「三つの命題」の解放理論を紹介、部落解放運動と労働運動を結びつける理論を大切にすることを呼びかけた。
そのあと、各県共闘の活動報告をおこない交流を深めた。
2日目は、高知市内の長浜地区でフィールドワークをおこない、長浜市民会館に場所を移して「教科書無償化の闘い」についてDVDを観たあと、光内聖賢・部落解放同盟長浜支部長から話を聞いた。長浜の被差別部落では教科書を買えない家庭も多く、1961年に地域の人々や教員、子どもたちを中心に運動が始まり、高知市交渉、署名運動や教科書の不買運動、教科書を使わすプリントを作っての授業など、地域ぐるみの熱烈な粘り強い闘いが数ヶ月続いた。この闘いを推進した「長浜地区小中学校教科書をタダにする会」には、部落解放同盟を中心に教組、全日自労、長浜地区労が参加していた。この闘いはマスコミにも大きく取り上げられ、この長浜での教科書無償化を勝ち取ったことが、その後の全国の小中学校での無償化実現に発展した。
「反貧困」全国キャラバン大阪に府民共闘も参加
−最低賃金を引き上げ、不安定雇用をなくせ−
急速に格差と貧困が拡大するなか、安心して働ける社会、生きることが保障される社会を目指そうと、「反貧困」全国2008キャラバン隊(生活保護問題対策全国会議主催)が、7月にさいたま市と北九州市の東西2コースにわかれて出発し、全国各地をまわりながら街頭宣伝や集会、要請行動など行なった。
西ルート隊は、10月15日大阪入りし、府内各地で活動した。大阪では、反貧困キャラバン大阪実行委員会(大阪弁護士会、大阪司法書士会、労組、部落解放同盟、部落解放大阪府民共闘など貧困問題にとりくむ30団体で構成)が結成され、貝塚市や大阪市で市民集会をひらいたほか、17日には最低賃金の引き上げや貧困の連鎖を防ぐための教育支援の充実など求め、橋下大阪府知事、平松大阪市長に6項目の「要望書」を提出した。
最終日の18日には、約400人が参加して大阪市中央区の南御堂から難波高島屋前まで御堂筋をパレード、道行く市民に生活保護基準(最低生活費)の切り下げ阻止や最低賃金の引き上げ、不安定雇用をなくせと訴えた。
大阪市中央区のエルおおさか南館で16日ひらかれた「反貧困キャラバン2008垣根を越えてつながろうin大阪」には、生活保護受給者、不安定雇用労働者、母子家庭、障がい者など当事者をはじめ、大阪弁護士会、大阪司法書士会、労組、解放同盟、解放共闘などから約350人が参加した。
夫の病気で自己破産し生活保護を受けている女性、DV被害で離婚し2人の子どもを育てているシングルマザー、飲食店で名ばかりの管理職にされ長時間労働で健康を害し失業してホームレス生活に追い込まれた男性、偽装請負を訴え解雇された男性、自立支援法のもとで生活破壊が進む障がい者などの当事者が、健康で文化的な最低限の生活を保障する憲法が守られていない実態を訴えた。
福祉事務所の現場からは、大阪市職の西森康博さんが生活保護申請を受け付ける側の自治体職員としての悩みなど報告した。
教育の現場から大阪教組の近藤美登志さんが「朝ごはんも食べられず登校してくる生徒や、授業料が払えず退学していく高校生が増えている」と貧困が学校現場に及んでいる現状を報告した。
また解放同盟の大和聖司さんは、住宅に困っている人たちのセーフティネットの機能が縮小される公営住宅の家賃値上げ反対を訴えた。
経済的困難をかかえる子どもに就学保障を
−大阪府民共闘が府交渉−
11月19日、部落解放大阪府民共闘は大阪府との2008年度基本要求交渉をおこない80名が参加した。
府民共闘を代表して蜂谷紀代美議長があいさつ、部落差別がある限り差別をなくすための施策を後退させないこと、管理職を含むすべての教職員へ充実した研修の実施、橋下知事のもとで行われた教育予算削減の速やかな復活、などを求めた。
綛山哲男・教育長は「あらゆる差別をなくし、人間が尊重される社会を実現するためには教育の果たす役割は極めて重要」とのべ、「部落差別が現存する限り、その解決のための施策を推進することを基本姿勢とする」と回答した。さらに、これまでのノウハウや実績等を活かし、すべての学校において同和問題解決にむけた取り組みを一層広げることが重要」とのべ、今後も人権教育の推進に努めることなどを回答した。
19日の基本要求交渉をふまえ、26日には「夜間中学校教育」「障害児教育」、27日には「進路保障」「男女共生教育」、12月3日には「在日朝鮮人教育」「帰国・渡日教育」、5日には「同和教育」、と7つの課題別交渉もおこなわれた。
部落解放共闘情報bP89(2008,10,15)
平和・反差別・人権を確立する実践を
−部落解放研究第42回全国集会−
10月3日から5日にかけて、部落解放研究第42回全国集会が「世界人権宣言60周年を機に、平和・反差別・人権を確立する実践をさらに推し進めよう」をテーマに、宮崎市総合体育館を主会場に開かれ、全国から4800人が参加した。
集会は清水清秀・集会実行委員会事務局次長(中央共闘事務局長)の開会あいさつで始まり、主催者を代表して組坂繁之・実行委員長があいさつ、「非正規雇用の増加などで新たな差別が起きている。このような差別撤廃に解放同盟が中心的役割をはたさなければならない」とのべ、「来るべき総選挙では、真に人権派の議員を多数当選させたい」と力強く決意をのべた。
来賓の東国原英夫・宮崎県知事は「宮崎も県民総力戦で人権問題に取り組む」と決意をのべるとともに歓迎のあいさつをおこなった。
記念講演は、「21世紀初頭の地方財政の危機、その原因と政策課題」と題して、澤井勝・奈良女子大学名誉教授が、分権と自治の時代を開くために自治体、市民、各級議員が何をなすべきかについて話した。
2日目は、部落の歴史、狭山再審闘争と司法民主化、部落差別の実態と糾弾闘争の課題、部落問題報道のありかた、格差問題、教育、社会保障、同和行政、人権侵害救済制度など9分科会で議論と学習を深めた。
3日目の全体集会では、「学力形成の社会的メカニズムを考える」と題して、耳塚寛明さん(御茶の水女子大学)が特別報告。また、「宮崎同宗連のとりくみ」を登尾唯信さん(浄土真宗本願寺派松尾寺)が報告、「人権教育の世界プログラム」と「人権教育・啓発推進法」を活用した取り組みについて友永健三さん(部落解放・人権研究所)が、自治体アンケート調査をふまえた報告をおこなった。
山形県で人権を考えるつどいが開催される
−狭山事件の真相と冤罪の構図を学ぶ−
9月5日、「人権を考える山形のつどい〜狭山事件を通して私たちの社会を考える」が山形県天童市・舞鶴荘で開催された。
主催は「人権を考える山形のつどい実行委員会」で、山形県教職員組合協議会、自治労山形県本部、山形県平和センター、I女性会議、曹洞宗、日本キリスト教団で構成、情報労連山形県協議会が協賛した。山形県で狭山事件の真相を広く訴える集会が開催されるのは初めてで、当日は山形県内の労働組合を中心に、宗教者や市民も含め145人が参加した。
実行委員会を代表して門脇玄・山形県教職員組合協議会議長があいさつ、「西日本と比べると、山形では部落問題は大きな社会問題としてとりあげられてこなかったが、そのことで悲しくつらい思いをされた方々がいたことも事実ではないか」とのべるとともに、「来年に裁判員制度が導入されるが、冤罪を生み出す警察の捜査や司法の問題点が改善されておらず、裁判員になりたくないという人も多い」と語り、人権・部落問題と同時に冤罪について一人ひとりが真剣に考えていくことを訴えた。
つづいて、連合山形の安達忠一・会長が「マスコミもコマーシャリズムに翻弄され、私たちが時代を凝視していかないと大変危険な世の中になる」と指摘、その意味で山形でこのような会議が開催されることは大変意義があるとのべ、連帯のあいさつをおこなった。
狭山事件をとりあげた「ザ・スクープスペシャル(テレビ朝日)」が上映されたあと、「冤罪・狭山事件の真相」と題して鎌田慧さん(ルポライター・狭山事件の再審を求める市民の会)が講演した。鎌田さんは、狭山裁判の不公平さを野球にたとえ、弁護団は全部ストライクを投げてきたが、審判は全部ボールにしている、と表現。部落差別からくる貧しさの中で小学校にもろくに通えず、読み書きがほとんどできなかった石川一雄さんが「脅迫状」を書くような犯罪を考えるのか、エリートである裁判官はそのことを理解しようとしないと批判した。
つぎに「狭山事件第3次再審請求の現状」と題して中北龍太郎弁護士(狭山事件再審弁護団事務局長)が講演。中北さんは、「日本に巣くっている冤罪の構図がすべて狭山事件に現れている」とのべ、狭山事件とともに、富山県の氷見事件や鹿児島県の志布志事件での長期間身柄拘束、長時間の取調べなど自白強要の実態を明らかにした。また、一度犯人と決めつけると、無実の証拠が無視されたり隠される実態も共通しており、証拠の捏造さえおこなわれる恐るべき実態も明らかにし、裁判員制度の導入の前に、冤罪を生み出す刑事司法の改善が必要だと強調した。
石川一雄さん夫妻もあいさつ、裁判所に上申書をだす準備をしていると報告、「この第3次再審請求で勝利できるよう一層のご尽力を」と支援を訴えた。
関東甲信越ブロックが総会と交流会を開催
−人権救済機関と差別禁止法の必要性を学ぶ−
9月20日から21日にかけて、部落解放関東甲信越ブロック共闘連絡会議第9回総会と交流会が新潟県新発田市で開催され、6県から50人が参加した。
総会では、新議長に齋藤正美・新潟県共闘議長、事務局長に桜沢政晴・群馬県共闘事務局長を選出、次回の総会・交流会の開催地を群馬県にすることなどを決めた。
各県共闘の活動報告をおこない交流を深めたあと、「くやしさを共有し、進路保障をめざす」と題して高山弘・新潟県人権・同和センター事務局長が講演をおこなった。高山さんは、教員をしていた時に神林村差別行政糾弾裁判闘争に参加し、被差別部落に署名運動に入ったときの体験や、新潟県同和教育研究協議会(県同教)の結成に参画した当時の運動について語った。そして、就職差別をなくすため1996年から県同教が「新規高卒者採用選考にかかわる実態調査」を開始し、「統一応募用紙」違反がけた違いに多いことがわかったこと。さらに2004年に自治体をまわり調べた結果、自治体にも「統一応募用紙」違反が多数発見され、それらの改善を要求して取り組んでいることを報告した。
つづいて「人権侵害救済法の意義と課題」と題して、山崎公士・新潟大学法科大学院教授が講演。山崎さんは、「インターネット上における特定地区の地名、写真などを被差別部落として掲載した事例」や「身体障害者に対する公衆浴場の利用拒否の事例」をあげ、「削除要請」や「当事者間の調整」にとどまっている法務省の消極的対応を指摘した。また裁判所による救済は、時間と費用がかかり、原則として公開法廷で自分が受けた被害を語らなければならないという障壁もあり、泣き寝入りすることが多いと語り、安く、簡単に、早く、実効性のある人権救済機関が必要だと強調した。さらに、人権救済機関の判断基準を明確にするために、差別が禁止される理由と差別が許されない状況を法律で明記し、裁判による人権救済を容易にするため差別禁止法の制定が望まれるとのべた。
2日目は、新発田市隣保館で被差別部落の現状を聞き、新潟県下越地方の未組織部落もまわった。新発田市では堤防の高さが違い、川があふれれば部落に水が流れ込む状態になっており改善を要求していることや、家が密集している状況など、差別の実態と多くの課題があることを学んだ。
兵庫県民共闘が公正採用で県へ申し入れ
−統一応募用紙の周知徹底をはかれ−
6月3日午前、部落解放兵庫県民共闘会議と部落解放同盟兵庫県連は、自治体関連の職場における公正採用選考の徹底について、兵庫県に対する申し入れをおこなった。 この申し入れは、全国の自治体現場で「統一応募用紙違反」が相次いで発覚したことから、中央共闘が総務省交渉を07年2月と11月におこなった動きを受けて実施したもの。
兵庫県は産業労働部しごと支援課が対応に当たり、人権推進課や市町振興課、県教育委員会などの関係部局が同席した。
県民共闘会議の申し入れ内容は、統一応募用紙の趣旨と職安法第5条の4、さらには関連する「大臣指針」の周知徹底と、あらたに県民運動として公正採用・就職差別撤廃に取り組むこと、自治体でも統一応募用紙違反の事例があることから、この問題の周知と点検を行うこと、など。
この日は、申し入れ趣旨を大槻信夫・事務局長が読み上げ、県のあるべき姿勢を正した。兵庫県は「労働行政は国にあり、県としても決して看過しているわけではない。さまざまな機会で事業所や関係団体に周知を図ってきた」など経緯を説明した。県民共闘会議からは、県内の事例をあげて、なお解決されない課題があることを示し、県の姿勢を正した。兵庫県側は「県民共闘会議の申し入れの趣旨を重く受け止め、事業所・市町および関係先にさらに周知徹底をはかりたい。差別があってはならないとの認識に立っている」旨の回答がなされた。
07年に『兵庫県被差別部落の就労実態の課題』が解放同盟県連によってまとめられ、ここでも採用時に「本籍を問われた」などの回答もあったことから、兵庫県民共闘では、引き続きこの問題で取り組みを強化する予定。
就職差別撤廃に向け福岡県共闘が申し入れ
−九州ブロック各県民会議もとりくみ−
7月1日、部落解放共闘福岡県民会議は、就職差別撤廃に向けて福岡労働局長と福岡県知事に申し入れをおこなった。
共闘会議からは下田祐二議長をはじめ役員らが参加、それぞれ要請書を手渡した。下田議長は、「就職時に差別と受け止められる不適切な採用選考事案が全国で多発しており、県内でも県高同教が把握した事例だけで77件にのぼる」とのべ、関係機関の取り組み強化を要請した。
要請にたいし県、労働局ともに「就職活動は人として生涯の中で一大事であり、不適切な採用選考はあってはならない」とのべ、引き続き解消に向けとりくむ決意を表明した。
意見交換では、「それぞれの不適切な質問項目がなぜ差別につながるのか、充分理解してもらう必要がある」「社内に人権に配慮したシステムをつくることが大事で、そのことが企業の社会的責任やイメージの向上につながる」「就職後におこなわれる社内調査が流出した事例もあり、調査そのものが必要かどうかも含め検証・指導を徹底する必要がある」などの意見が出され、認識を共有した。
最後に下田議長は、「部落解放九州ブロック県民会議として、九州各県で同様の要請行動を取り組んでいる。就職差別撤廃にむけてそれぞれの立場で周知徹底をはかるため、今後も引き続き意見交換をおこなっていきたい」とまとめた。
大阪府民共闘が和歌山で一泊交流会ひらく
−地域共闘の活性化と再建を議論−
6月7、8日、部落解放大阪府民共闘会議の一泊交流会が和歌山県みなべ町の南部ロイヤルホテルで5年ぶりにひらかれ、9単産・団体、20地域共闘から50人が参加した。共闘の再編、活性化へ「組織改革提言」の実践、特に、地域共闘の活性化と再建について2日間にわたって熱心に学習・討論した。
主催者を代表して蜂谷紀代美・議長が「橋下知事の財政改革は削減ありきだけで何のビジョンも理念もない。解放運動が永年築いてきた同和・人権行政の成果を否定するものだ」とのべ、さらに「人権を大切にしていくという立場で、府民の命や安心、安全な暮らし、子どもの教育や育ちを守る取り組みの強化を」とあいさつ。新居晴幸・副議長が交流会の基調報告をおこない、休眠状態にある地域共闘の再開、共闘活性化へ交流会を通じて努力しようと提起した。
そのあと、北口末広・事務局長が「部落解放運動の現状と課題、これからの運動は」〜今、何をなすべきか〜について問題提起。このなかで北口事務局長は「法が失効したこと、格差拡大社会・差別拡大社会の進行、増加する社会問題、反人権主義的傾向、部落解放運動に対するマイナスイメージの増幅など5つの傾向を冷静に分析し、これからの運動を展開していく必要がある」と指摘、「組織改革提言」具体化・行動計画について提案した。
5地域共闘が実践報告
地域共闘活性化にむけて5地域共闘が報告。まず、池田市民共闘の草野洋和さん(池田教組会計)が、狭山闘争、解放講座の開催、「平和と人権・狭山を考える市民集会」や「部落解放池田地区研究集会」の企画・運営、地域の市民活動との連携など報告。
羽曳野・藤井寺・太子市民共闘の今木誠造・事務局長(元教組)は、「以前は護憲集会、反核平和集会、教育研究集会の開催など活発に活動してきたが、ここ数年停滞している。現在は定期的に学習会や、総会後の交流会など開催している。今後、人権の街づくりと連携を深めたい」と地域の経験をのべた。
城北・東区民共闘の矢野知・事務局長(解放同盟生江支部)は、人権啓発推進協議会と連携した「人権啓発連続講座」や「人権フェスティバル」などを報告。人材育成や組織拡大が今後の課題と決意を語った。
大東・四條畷地域共闘の羽路好雄・議長(大東教組委員長)は、毎月23日に狭山、平和、人権、護憲などのテーマでビラ配布、ピースフォーラムの開催、非核平和行進などの取り組みを報告。
泉佐野・田尻・熊取地域共闘の阪本光司・議長(泉佐野教組委員長)も、狭山にこだわり毎月23日に欠かさずビラ配布を行なっていることや、護憲集会、戦争展、一泊学習会など地域活動について報告した。
2日目は参加の各組織から活動報告と地域共闘の再開への決意などが報告された。
最後に北口事務局長が交流会のまとめとして、@今回の一泊交流会の目的は地域共闘の再構築にあること、A特に総会が開かれていない地域共闘において、早急に責任者を明確にし、解放同盟、自治労、教組を中心に総会開催に向けた準備委員会を立ち上げること、B総会開催とともに、それぞれの加盟団体の課題や今日の部落問題の状況、格差社会についてもしっかりと学習し、共闘としての団結を固めること、C平和、人権、福祉、教育の課題を共闘の運動にきちんと位置づけ、部落解放共闘、地域共闘が果たすべき役割と必要性を再確認し、秋までにはいくつかの地域共闘が再開できるよう全力で取り組もうと訴えた。
愛知県で「公正な採用選考啓発キャンペーン」はじまる
愛知県と愛知労働局は、今年から9月を啓発強化月間として「公正な採用選考啓発キャンペーン」に取り組むことになった。これは部落解放愛知県共闘会議が、愛知県や愛知労働局との交渉を積み重ね実現したもの。啓発ポスターの掲示や啓発リーフレット・冊子の配布が中心で、このキャンペーンを記者発表することにより広く県民に周知するとしている。また、12月に愛知県が開催する「人権ハートフルフェステバル」会場内でもパネル展示や啓発資料配布に取り組むとしている。
石川県が高校奨学金の成績条項を完全撤廃
部落解放同盟中央本部は、部落解放同盟の支部のない石川県における同和行政や人権行政の推進を働きかけてきたが、5月28日の交渉で石川県は、高校奨学金の成績条項を完全撤廃し、今年度は60人増員し225人枠としたことを明らかにした。また、条例・規則にあった「品行方正、学術優秀、身体強健」を「勉学意欲のある」に改正した。「人権教育・啓発推進法」にもとづく市町村の施策の策定状況を把握する必要があることも確認した。
1部上場企業I社が採用内定者から本籍など収集
−反省のうえ社内体制・書類など見直す−
高校新卒採用内定者149人に07年2月、家族状況届出書を送付し「本籍」「家族の職業」「不具廃疾の事由」などを記入させ、3月の入社前研修で回収しようとした1部上場企業I社(本社は岐阜県)は、部落解放同盟との今年7月2日の話し合いで、反省と社内体制の見直しなどを表明した。
この事件は、採用内定となっていた高校生から問題の指摘があり発覚したもので、滋賀県の高校から関係行政機関や部落解放同盟に通報され取り組みがはじまった。
当初、労働行政の取り組みも鈍く、I社の「認識不足だった。本籍地を人事管理に使用したことはない。人事関係用紙を総点検し見直す」との対応で済ませようとしたため、部落解放同盟は労働行政の対応を批判、I社との話し合いをおこなってきた。
I社では30年前から公正採用人権啓発推進員が設置されており、そのなかで家族状況届出書という差別につながる調査が続けられており、「認識不足」では説明がつかない状況があった。届出書は1960年代に作成され、その後2回の見直しがされたが、問題の項目が残されたという。
I社は話し合いで、岐阜労働局からの指導を受け、@グループ各社も含めた人事に関するすべての書類を点検し、多数の書類を改正、A公正採用人権啓発推進員を増員し人事担当責任者を追加登録、B社内に「基本的人権推進委員会」を設置、C各種法改正を情報収集する仕組みを構築した、ことを報告。本籍地など個人情報を収集していたことについても「社用紙作成時から見ようという意図があったということだと思う」との認識を示した。
部落解放同盟からは、見ようとする意図をもって個人情報を収集する書類を作成し、それを長い間使用し、慣習という名のもとで差別をしてきたことの反省に立って、全社的に変わるためにも、社長の決意を文書で明らかにすることを要請し、とりくむ方向を確認した。
I社は、仕組みを作ったら会社の風土が変わるかというとそれだけでは変わらない。社内研修を進め全員で意識を変えようと人権啓発に取り組む決意をあらためて表明した。
部落解放同盟は、調査そのものが差別との共通認識ができたことと4項目の改善を評価、今後の取り組みを見守り、今回の話し合いを中間総括とすることにした。
今回の事件は、高校生からの指摘で明らかになった。公正な採用選考がなされているかを点検するために「受験結果報告書」が多くの都府県で高校を通して取り組まれている。この取り組みを全国化するとともに、大学にも広げる必要がある。今回の「届出書」がこれまで発覚しなかったのは、内定後の提出書類のためで、その点の充実も必要になっている。
各地の結婚相談所の個人情報収集で問題あり
−「独身証明書」の活用や相談カードの改善を−
山口県の萩市が結婚相談所を今年5月に開設、申込者の戸籍謄本と運転免許証などの写しを提出させ、申込書(相談カード)に本籍地、宗教、既往症、家族とその職業、障害の有無、身体状況などを書かせていたことが判明。部落解放同盟山口県連が指摘し、戸籍謄本は「独身証明書」に変更、運転免許証などは本人確認のための提示に、申込書は大部分を削除し改正された。
その後も長崎県佐世保市の結婚相談所、川越市が開設している結婚相談所と、申込者に戸籍謄本の提出を求めていた問題があいついで発覚している。
このような問題は昔から問題になっており、部落解放運動の要求によって、通産省(現経済産業省)は、95年に結婚紹介業者に対し自治体発行の「独身証明書」(通称)を利用することを求め、法務省も00年に市町村の戸籍窓口に通達し「独身証明書」の利用の徹底をはかった。
また厚生省と全国社会福祉協議会は97年、結婚相談事業を実施する社協にたいして、「相談カード等では本籍欄、宗教欄、親の職業欄等の基本的人権に関わる項目は削除すること」など通達を出し、「氏名、生年月日、住所、職業、趣味、自己PR」と雛形まで示している。
部落解放同盟では、民間の結婚相談所も含め、あらためて「独身証明書」の周知徹底に取り組むとしており、全国的な点検が必要である。
部落解放共闘情報bP88(2008,6,5)
「人権侵害救済法」の意義や狭山事件の真相を学ぶ
−連合と中央共闘で人権学習フィールドワーク−
4月10日〜11日、連合と部落解放中央共闘会議の共催で「人権学習フィールドワーク」を開催し、63人が参加した。
初日は連合本部の会議室で、磯部行雄・連合連帯活動局長の司会で学習会を開催した。主催者を代表して連合の大塚敏夫・総合組織局長、中央共闘の森嶋正治議長(連合副会長)からそれぞれ挨拶を受けた。大塚総合局長は、差別が社会構造の中に組み込まれることの危険性を指摘、「あらゆる差別を許さない、人権を確立していくことを社会的課題として取り組みたい」と語り、職場・地域での奮闘を訴えた。森嶋議長は、日本における人権状況を改善するために「人権侵害救済法」制定の展望を切り開こうと呼びかけるとともに、狭山事件には司法の問題点が凝縮しているとのべ、「フィールドワークで得た確信を運動に」と訴えた。
そのあと、「『人権侵害救済法』制定の意義と経緯、法律の概要について」と題して民主党・部落解放推進委員会事務局長の福山哲郎参議院議員が講演した。福山議員は、法務省作成の資料を示しながら、法務局の人権相談窓口への相談は年間22万〜25万件で、そのうち実際に何らかの処理をしているのは2万2千件ほどだが、これさえ氷山の一角だとのべ、被害者が泣き寝入りしないで済むような身近で簡易な人権救済機関の設置は不可欠だと語った。また、人権救済に関する政府案と民主党案などの比較表をもとに問題点を解説し、「早く実態に即した人権救済機関を設置することが目的」とのべ、法制定の意義や内容を広めて欲しいと訴えた。
つづいて「就職差別と職場における差別の現状と取り組みの課題」について西島藤彦・部落解放同盟書記次長が説明、「統一応募用紙」の取り組みが発展してきた40年にわたる歴史的経過を追いながら、差別につながる求職者の個人情報収集を防止する「職業安定法第5条の4」制定(1999年)は運動の大きな成果だと強調した。また、差別身元調査が水面下で続発している実態や、「統一応募用紙」の趣旨と「職安法第5条の4」に違反する企業、自治体が多い実態を紹介、周知徹底・点検など取り組み強化を訴えた。
これらを受け、連合本部として6月実施予定の「就職差別の廃絶に向けた実態把握のためのアンケート」について、その取り組みの意義とアンケート内容の説明が片岡千鶴子・男女平等局長からおこなわれた。また、「2008年度連合の人権政策・運動の取り組み」について磯部行雄・連帯活動局長から説明がなされ、意見交換がおこなわれた。
狭山事件の現地で学習
2日目は、会場を埼玉県狭山市の富士見集会所に移し、狭山事件についての学習と現地調査を行った。
まず、松永茂樹・連合連帯活動局部長の司会で学習会を開催、地元の片岡明幸・部落解放同盟埼玉県連委員長があいさつ。狭山事件をとりあげたテレビ番組「ザ・スクープ」のビデオ上映のあと、小野寺一規・部落解放同盟埼玉県連書記長が狭山事件の概要と裁判の現状を説明、背景にある部落差別と司法の問題点を指摘した。
石川一雄さんからは「今は仮出獄中の身のため、国外へ行くことはできず、国内の移動も自由にできない。当時の刑務官に『文字を取り戻して無罪を訴えるしかない』と字を教えてもらった。何としても第3次再審で無罪を勝ち取りたい。冤罪が晴れたら本当の人生が始まる。そうしたら夜間中学校へ行きたい」と訴えがあった。また、妻の早智子さんも「狭山事件から45年たってもこうして現地に来てくれることがありがたい。冤罪を晴らすことは夢ではなく、権利であり、人間としての尊厳回復だと思っている」と訴えた。
そのあと「ウソの自白コース」をたどり、「自白」内容の不自然さや物証との食い違い等をひとつひとつ確認し、石川さんの無実を再確認した。参加者からは「単なる冤罪事件ではなく、根深い差別を感じた。裁判できちんとした判決を出させるためには、傍聴などを行い、市民が見ていることをアピールすることが大事」、「何度か現地調査に参加しているが、来るたびに石川さんの無実を感じる。狭山事件や志布志事件など、それぞれ単独の冤罪事件と捉えるのではなく、いつでも私たちは犯人にされてしまうという共通認識を持つことが大事」との感想がのべられた。
最後に、磯部行雄・連合連帯活動局長が「今までより人権の取り組みをさらに進めたい。連合と中央共闘の連携を強めると同時に、地方連合会においても地方共闘との連携を進めてほしい」と挨拶し、2日間にわたる「人権学習フィールドワーク」を締めくくった。
就職差別撤廃にむけて取り組みを強化しよう
−6月から連合がアンケート調査を実施−
中央共闘および全国共闘として、6月を「就職差別撤廃月間」と位置づけ、労働組合としての啓発と点検活動、各都道府県行政や労働局への働きかけなどを毎年呼びかけてきた。また、この取り組みに活用するための啓発資料を中央共闘として作成し、各産別組織や府県共闘会議を通じて配布しながら、就職差別につながる個人情報の収集を制限する「統一応募用紙」の趣旨を広めてきた。この取り組みは今年も呼びかけをおこなっており、現在取り組まれている。
さらに今年は、連合による就職差別撤廃に向けたアンケート調査がおこなわれる。このアンケートは数年前から検討され、昨年の連合の「政策・制度 要求と提言」の中に「就職差別の廃絶に向けた応募採用の実態把握を行い企業への指導を強化するとともに、ILO111号条約を早期に批准する」と明記され、今年の実現となった。これまで中央共闘では1993年と2000年の2回にわたりアンケート調査を実施したことがあるが、ナショナルセンターである連合として取り組まれることの意義は大きい。
アンケートの内容は、「統一応募用紙」の使用、差別につながる求職者の個人情報の収集の有無が中心で、6月から8月にかけて連合の各構成組織を通じて取り組まれる。
また、連合のホームページにも関連する啓発資料などが掲載される。アンケートの結果が、今後の取り組みに活かされることを期待したい。また、これを契機に各地で取り組みを強化していこう。
「人権侵害救済法」制定を求め中央行動
−今通常国会に政府案の提出を−
5月22日午後、08年部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会が参議院議員会館第1会議室で開催され、全国から予定を大幅に上回る580人が参加し会場からあふれた。
開会のあいさつで組坂繁之・実行委員会副会長は、1日も早く論議を整理して自民党案を作り、与党協議、与野党協議をへて「パリ原則」にもとづく「人権侵害救済法」をつくって欲しいと訴えた。
主催者を代表して坪井俊映・実行委員会会長(代読・浅野義光浄土宗人権同和室長)は、人権・平和の問題では党派を超えて英知を集めることが大切とのべ、「人権侵害救済法」制定へ更なる連帯を呼びかけた。
来賓として自民党、公明党、民主党、社民党、国民新党から国会議員が出席し、それぞれ法制定への決意をのべた。
集会の基調で松岡徹・実行委員会事務局長は、今国会で少なくとも政府提案までもちこみ、どのような政権ができても政治が責任を持って議論することができるようにすることが重要と語り、要請行動を強めようと呼びかけた。
集会後は、国会議員などへの要請行動をおこなった。
連合も自民党・調査会に法案提出を要請
5月27日、連合は「人権侵害救済法(仮称)」の早期実現に向けて、自民党・政務調査会人権問題等調査会に要請を行った。連合の山口洋子副事務局長と大塚敏夫総合組織局長は、「就職差別をはじめ、職場における人権侵害は依然として深刻である。人権を守るための法律が必要であり、とりわけ『パリ原則』にそって独立した人権救済機関の設置が不可欠だ。党内には様々な議論があるとは思うが、ぜひ早期実現に向けて法案を今国会に提出できるよう尽力して欲しい」と訴えた。
これに対し、自民党・人権問題等調査会会長の太田誠一衆議院議員は、「人権を守る法律の制定には、世の中の多くの方が前向きだと思う。人権侵害された場合に駆け込む窓口は地方にあり、調停・仲裁を行う人権委員会は一元化することが必要だ」と応えた。同調査会・幹事長の岩永峯一衆議院議員は「党内でも議論を重ねている。今国会の会期末までに法案を提出できるよう努力したい」と回答した。また、翌28日には、自民党・同調査会・会長代理の塩崎恭久衆議院議員に対しても要請を行った。
狭山事件の再審を要求して市民集会
−「取調べの可視化法案」の制定も求め−
狭山事件の石川一雄さんが不当逮捕されてから45カ年にあたる5月23日午後、狭山事件の再審を求める市民集会が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から3000人が参加した。主催は、解放同盟、労働組合、宗教界、各地の「住民の会」、市民団体などでつくる集会実行委員会。
人材育成コンサルタントの辛淑玉さんの開会あいさつのあと、主催者を代表して組坂繁之・部落解放同盟委員長があいさつ、「事件から45年経っても石川さんには見えない手錠がかかったままだ。司法の民主化、再審実現に全力を」と訴えた。
民主党、社民党からの連帯あいさつのあと、狭山事件再審弁護団がこの日に東京高裁へ提出した「殺害方法についての法医学鑑定」「殺害現場に関するルミノール反応実験」「雑木林で農作業をしていたOさんの証言」など新証拠について報告。ルミノール反応実験では、「2tのごく少量でも2ヶ月経っても血液反応がはっきり出た」ことを強調、殺害現場も死体処理の自白もウソであることなどを証明した。
石川一雄さんと早智子さんは「第3次再審請求を最後に、の決意でがんばる。皆さんのご支援を」と力強く訴えた。
基調提案で松岡徹・部落解放同盟書記長は、取り調べ過程の録音・録画、証拠開示の公正化を含めた「取調べの可視化法案」が参議院で可決できる見込みであることを報告しながら、狭山事件の再審を実現することは司法の姿勢を正し公正な裁判を実現することだとのべ、広範な世論を盛り上げようと訴えた。
労働組合関係と宗教界からもアピールがあり、部落解放共闘宮崎県民会議の中川育江事務局次長は、「初めてこの集会に来て、全国からこられた皆さんの力をあらためて感じた。宮崎には住民の会が4つある。労働組合の中でも事件について知らない人がまだいるので、原点に返ってとりくみたい」と決意を表明した。
最後に、フリーライターの鎌田慧さんは、「この45年間の石川さんの悔しい思いを自らのものとし、あらゆる場で狭山を訴え運動を広げよう。狭山の勝利なくして日本の民主主義はない」と集会を締めくくった。
集会後は、国会に向けデモ行進し、狭山事件の再審とともに「冤罪をなくせ」「可視化法の制定を」と訴えた。
集会前日の22日には、中央共闘加盟の労働組合員と部落解放同盟員が参加し、新宿、渋谷、池袋のターミナルで大々的な街頭宣伝をおこない、チラシとティッシュを配布、署名活動もおこなった。
※ 「取調べの可視化法案」は、6月4日に参議院本会議で可決され、衆議院に送られました。
北海道で狭山事件の再審を求めるつどいを開催
−札幌と北見の集会実行委員会が主催−
4月4日夜、狭山事件の再審を求める札幌のつどいが札幌市・北農健保会館で開催され、140人が参加した。また翌5日夜には、北見のつどいが北見市民会館で開かれ、60人が参加した。
札幌のつどいの主催は、自治労、北教組、北海道平和運動フォーラム、I女性会議、曹洞宗、日本基督教団、浄土真宗本願寺派、狭山事件を考えるオホーツク住民の会で構成する実行委員会。北見のつどいは、平和フォーラム網走ブロック協議会、同北見連絡会、狭山事件を考えるオホーツク住民の会で実行委員会をつくり、連合北海道網走地域協議会・北見地区連合会、民主党、社民党、国労の北見支部が協賛した。北海道でこのような実行委員会が広く呼びかけた狭山集会は初めて。
札幌のつどいでは、主催者を代表して北海道平和運動フォーラム代表の住友肇さんがあいさつ、「戦争への道と冤罪はどこかでつながっている。石川さんは仮出獄しているが、人権侵害は続いている。司法の正義を求める闘いを北海道でも広めていきたい」とのべた。
そのあと狭山事件をとりあげた「ザ・スクープスペシャル(テレビ朝日)」を上映。つづいて、ルポライターで「狭山事件の再審を求める市民の会」事務局長の鎌田慧さんが講演、冤罪事件を取材した経験を話し、冤罪を生み出す司法の問題点を指摘した。そして狭山事件について「当時の石川一雄さんは字がほとんど書けなかった。自分の名前さえ『一夫』と書きやすい字を書いていたぐらいだ。脅迫状を書こうなどと思いつくはずがない。そのことをエリートである裁判官は理解できていない」と批判、「弁護団はストライクを投げ続けているのに、裁判所はボールの判定を出し続けている。観客がおかしいと総立ちになる状況を作り出していこう」と訴えた。
狭山事件再審弁護団の中北龍太郎弁護士は、多くの冤罪事件に共通する点として、弁護士との接見妨害で孤立させ、家族を人質に取り自白を迫る手法、無実を示す証拠が裁判に提出されず無視されることなどをあげ、冤罪を防ぐには取調べの全過程の可視化と証拠開示の公正化が必要だと強調した。そして、狭山事件の「万年筆」発見過程の疑問にふれ、発見された場所である「かもい」は家宅捜索では必ず調べる重点捜査の場所であり、発見以前の2回の家宅捜索で発見されないのはおかしいとのべ、「見えにくい場所」という裁判所の詭弁は許されないとのべた。
石川一雄さんは、署名活動へのお礼をのべ、公正裁判をおこなえという声を裁判所に届けて欲しいと支援を訴えた。妻の早智子さんも、「皆さんとの出会いが力を与えてくれている」とのべ「勝利につながることは何でもやりたいという気持ちだ」と訴えた。
北見のつどいでは、主催者を代表してオホーツク住民の会の高橋英雄・事務局長(連合網走地域協議会・北見地区連合会会長)があいさつ、「99年に結成した当時は北海道に狭山事件を支援する組織はなかったが、細々と活動してきた。今回の集会は共催や協賛で広がりを見せた。この勢いで再審を勝ち取ろう」と呼びかけた。そして「北見は梅田事件という冤罪事件があり、再審無罪を勝ち取った梅田さんも住んでいた。昨年亡くなったが、石川さんの無実を確信し、亡くなるまで狭山事件を気にかけていた」と語った。そのあと、「ザ・スクープ」を上映し、鎌田さん、中北弁護士が講演し、石川夫妻が支援を呼びかけた。これらの取り組みは、北海道新聞などでも大きく取り上げられた。
STOP・THE格差社会かかげメーデー中央大会
−狭山再審を求める宣伝活動も23都府県で−
すべての働く者の連帯で「平和・人権・労働・環境・共生」にとりくみ、労働を中心とする福祉型社会と自由で平和な世界をつくろうと、STOP!THE格差社会をスローガンに、第79回メーデー中央大会が4月26日、東京・代々木公園で開催され4万5千人を超える人々が参加した。
会場の「ふれあい広場」では、67のNGO、NPO、労働組合や政党などが模擬店を出店するとともに、大道芸などのイベントや各国料理のレストランカーが軒を連ねるなど、労働者の祭典は今年も大いに盛り上がりを見せた。部落解放同盟も出展し、狭山事件のパネルを展示、リーフレットを配り署名活動もおこなった。
また中央共闘は、狭山事件の再審を訴えるリーフレットを作成し、全国各地のメーデーにおける配布など宣伝活動を呼びかけ、23都府県でとりくまれた。
中央大会式典の主催者代表あいさつで高木剛・連合会長は、格差社会の拡大に強い懸念を示し「非正規問題は格差社会是正の最大の課題であり、私たちの職場にかかわる問題だ」と述べ、運動へのさらなる協力を訴えた。そして、格差是正にむけ「最低賃金の大幅引き上げ」「派遣法見直し」など働き方を改革、政策実現のため「衆院選での政権交代の実現」、「世界の恒久平和の実現や人権侵害救済」などをうたったメーデー宣言とともに、「ガソリン税等の暫定税率の復活反対」、「後期高齢者医療制度の廃止」、「年金記録問題の早急な解決」を求める特別決議を採択し、団結ガンバローでしめくくった。
午後からは、代々木公園野外音楽堂で、連合としては初めての「非正規労働メーデー」を開催。「労働者の使い捨ては許さない!」のテーマで、高木会長と作家の雨宮処凛さん他がトークセッションを行い、ザ・ニュースペーパーのコントがイベントを盛り上げた。
狭山第3次再審闘争勝利へ埼玉集会
−えん罪と闘う人々と手をつなごう−
狭山差別裁判の元凶となった第1審の浦和地裁(当時)の死刑判決から44年にあたる3月11日夜、さいたま市で第3次再審闘争の勝利をめざす埼玉集会が開かれた。主催は、部落解放同盟県連(片岡明幸委員長)と部落解放県共闘会議(浪江福治議長)、石川一雄さんを支援する会埼玉連絡会(秦哲美代表)で325人が集まった。
集会では、再審を求めながら2月13日に宇都宮地裁で棄却された足利事件について、特別報告がビデオの上映も交えて行われ、連帯して闘っていくことを確認した。
主催者を代表して片岡委員長は、「ここ数年えん罪事件が次々と発生しているが、自白で事件がつくられていることが共通している」と指摘、「全国のえん罪事件を闘う人々と手をつないでいこう。石川さんの無実を確信して闘っていこう」と訴えた。
狭山弁護団の指宿昭一弁護士から講演を受けたあと、石川一雄さんが妻・早智子さんとともに登壇し、今後の闘いへの決意をのべ支援を訴えた。
決議を採択したあと、浪江議長の発声で団結がんばろうを三唱し集会を締めくくった。
群馬県民共闘が第26回狭山現地調査を実施
昨年9月26日、部落解放群馬県共闘会議は第26回目となる狭山現地調査にとりくんだ。40名の参加者は、早朝からバス2台に分乗し10時に狭山市に到着。午前中におこなった学習会では、部落解放同盟中央本部の安田聡さんから「狭山第3次再審請求の現状と課題」について説明を受け、石川一雄さんから再審実現に向けての熱い決意を聞いた。
昼食後は実際に現地を歩いてまわり、石川さんの無実を確かめた。参加者は、「現地に立ってみると、事件が矛盾だらけであることがよくわかる」「鴨居での万年筆の発見はどう見てもおかしい」などの感想を語っていた。
部落解放共闘情報bP87(2008,3,17)
公正なワークルール確立で格差社会の変革を
−部落解放中央共闘会議第32回総会−
2月27日午後、部落解放中央共闘会議第32回総会が全水道会館で開催され、13中央団体・25府県共闘から105人が参加した。
総会は徳茂万知子・副議長の開会あいさつで始まり、議長団に小山正樹・JAM副書記長と小野寺一規・部落解放同盟中央委員を選出し進められた。
主催者を代表して森嶋正治・議長は、「『人権侵害救済法』早期制定と狭山事件の真相を広く訴える取り組みを強化しよう」と呼びかけるとともに、「格差社会は差別と人権侵害も拡大させる。連合はストップ格差社会を掲げている。そのために公正なワークルールづくりと雇用差別撤廃が重要」と指摘し、就職差別撤廃のとりくみ強化を訴えた。
そのあと連合の山口洋子・副事務局長があいさつ、格差社会の中で、賃金・労働条件をはじめ、不当解雇やいじめ、パワハラ、セクハラの労働相談も増えており、職場で人権が守られているのか疑問視せざるを得ないと指摘、非正規労働センターなどの取り組みを強化すると語った。また、6月に連合として加盟単組を通じて「就職差別撤廃にむけたアンケート調査」を実施するとのべるとともに、「人権侵害救済法」制定や人権啓発などに取り組む決意を語った。
つづいて部落解放同盟の組坂繁之・委員長があいさつ、世界人権宣言が第二次世界大戦の反省から生まれた意義を強調、その60周年をむかえる今年こそ「人権侵害救済法」制定を実現しようと訴えた。また、格差社会を是正できなければ差別もなくせないと語り、連合の非正規・未組織労働者への取り組みに連帯していく決意を述べた。
そのあと議事にはいり、活動報告と総括を山本潤一・事務局長が提案、JP労組の組織参加も報告された。会計決算報告を井加田まり・事務局次長がおこない、会計監査報告を岡崎徹・会計監査がおこなったあと、一括して拍手で採択された。
つづいて活動方針案を山本潤一・事務局長が提案、予算を井加田まり・事務局次長が提案したあと、一括して拍手で採択された。
新役員については、松永茂樹・事務局次長が提案、拍手で採択された。新役員を代表して森嶋正治・議長があいさつ、世界人権宣言60周年の今年こそ「人権侵害救済法」制定を実現したいと決意をのべた。
記念講演は、『「人権侵害救済法」制定の意義とその内容』と題して、山崎公士・新潟大学法科大学院教授が講演。つい数日前まで訪問していたニュージーランドで、人権委員会の活動状況など聞き取りをしてきた最新情報をまじえながら、日本における人権救済制度の不充分性を指摘した。そして、人権侵害を受けた当事者が泣き寝入りしないですむよう、安価で、簡単に、迅速で、実効的な救済が受けられるような人権救済機関の設置、そして差別禁止法の整備が必要だと強調した。また、これまでの政府案の「人権擁護法案」の問題点をあげ、人権規定の精密化、人権委員会を内閣府のもとに設置、地方人権委員会も必要、メディアによる人権侵害を対象から削除、などの考え方を示した。
講演のあと、総会宣言を佐々木貢・事務局次長が提案、拍手で採択された。
最後に閉会あいさつを竹内法心・副議長がおこない、森嶋議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。
《部落解放中央共闘会議役員》
議 長 森嶋 正治 連合副会長、情報労連委員長
副 議 長 組坂 繁之 部落解放同盟委員長
副 議 長 山口 洋子 連合副事務局長
副 議 長 徳茂万知子 自治労副委員長
副 議 長 竹内 法心 JP労組副委員長
副 議 長 堀 峰夫 私鉄総連副委員長
事務局長 山本 潤一 日教組副委員長
〃 次長 松永 茂樹 連合連帯活動局部長
〃 次長 西島 藤彦 部落解放同盟書記次長
〃 次長 井加田まり 自治労政治政策局次長
〃 次長 佐々木 貢 JP労組中央執行委員
〃 次長 吉澤 芳雄 私鉄総連組織教宣局長
会計監査 中村 修 NTT労組中央執行委員
〃 岡崎 徹 全水道書記次長
常任幹事 岡戸 裕 部落解放同盟事務局、中央共闘専従
総 会 宣 言
急速に進むグローバル化を背景に、歴代政権が市場万能主義を基調に進めてきた「構造改革」は、競争を煽り、社会的連帯や公正、ゆとりを失わせ、格差社会と庶民の貧困化をもたらしている。そして、まともに働いても生活できない労働者が激増する一方、経済のマネーゲーム化といわれる状況が進み、まっとうに働くことが軽視され、モラルの低下や犯罪の増加など、社会の荒廃が進んでいる。そして、その中で、大量差別はがき事件やインターネットでの差別煽動に見られるように、弱い者や被差別者に不満の矛先をむけるような事件も多発している。
私たちは、このような危機的な社会状況を打破し、方向転換させるために力を合わせて行動しなければならない。そして人間の尊厳や労働の尊厳を回復していかなければならない。
今年は、国連で世界人権宣言が採択されてから60周年にあたる。私たちは本日決定した方針に基づき、今年こそ「人権侵害救済法」制定を実現し、人間の尊厳が守られる社会を築きあげていこう。
そして、採用を含む雇用差別禁止の法律とシステムの確立を勝ち取り、「人権教育・啓発推進法」を活用し地域から人権擁護と平和の機運を盛り上げていこう。
また、狭山事件の再審実現にむけ、石川さんの無実を多くの人に知らせ、裁判所の姿勢を正していこう。
私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。
2008年2月27日
部落解放中央共闘会議第32回総会
組織と運動の議論ふまえ再生・改革へ
−部落解放同盟第65回全国大会−
3月3日から5日にかけて、部落解放同盟第65回全国大会が東京・九段会館を主会場に開催され、代議員など900人が出席した。
大会には来賓として、連合の木剛会長と中央共闘の森嶋正治議長も出席し連帯のあいさつを述べた。
大会では、一連の不祥事の原因と背景を明らかにし、外部の有識者による提言をうけとめ、再生・改革に向けた運動のあり方を議論。2日目には役員選挙もおこなわれ、組坂繁之委員長、松岡徹書記長など立候補した役員全員が信任された。活動方針では、当面する「人権侵害救済法」の早期制定、狭山事件の第3次再審をかちとること、格差拡大・固定化のなかで激発する差別事件にたいする糾弾闘争を柱に運動を展開することを決めた。
全国の自治体関係職場で公正採用選考の徹底を
−中央共闘で総務省と再交渉−
新潟県、長野県、福井県と、自治体関係で多くの「統一応募用紙違反」が発覚した深刻な事態をふまえ、中央共闘では昨年2月16日に総務省に自治体関係職場での公正採用選考を申し入れ、交渉をおこなった(本紙bP83に掲載)。しかし、きわめて不十分な回答のため、11月30日午後、中央共闘は総務省と再交渉をおこなった。
中央共闘からは、徳茂万知子・副議長(自治労副委員長)、山本潤一・事務局長(日教組副委員長)、西島藤彦・事務局次長(部落解放同盟書記次長)、井加田まり・事務局次長(自治労政治政策局次長)、松永茂樹・事務局次長(連合連帯活動局部長)、岡戸裕・常任幹事が出席。総務省は自治行政局公務員部公務員課の永井克典・課長補佐らが対応した。
前回交渉で指摘した「口頭でなく文書や資料を配布し自治体に要請を」との点について総務省は、全国6ヶ所で開催したブロック会議(各都道府県の人事課長と市町村課長が参加)で厚生労働省が作成したリーフレットを配布し、公正な採用選考を要請したとのべた。また、各都道府県の担当者と顔を突き合わせてのヒヤリングの機会を活用し、念を押していくことも検討したいと応えた。
これに対し中央共闘側からは、配布したリーフではどんな項目を質問することが差別につながるか列記しているが、なぜ差別につながるかは説明されておらず、厚生労働省が配布している冊子のような親切なわかりやすい資料を総務省(公務員)バージョンとしてつくるべきではないかと指摘した。しかし総務省は、予算の関係もあり厚生労働省の冊子のデータがあるか確認し活用したいと応えるにとどまった。
また、都道府県総務部長会議でも周知徹底したと答えたが、議題が300項目もあることを理由に公正採用については項目にもあげていないことが判明、項目だてをして話をしなければ印象にも残らず、話をした証拠も残らないと追及した。この点について中央共闘の徳茂副議長は、ブロック会議の次第には項目があるということなので、趣旨が徹底されるよう私たちのネットワークを活用して点検していきたい、ヒヤリングの機会の点検もぜひ実現をしてほしいとのべた。
最後に山本事務局長が、一定の前進を評価しつつも、総務省バージョンの啓発冊子の検討、全国の自治体・外郭団体の状況把握などより有効なとりくみを工夫してほしいと要請、また話し合いの機会をもつことを確認した。
第57次教育研究全国集会に800本の実践レポート
−人権教育など26の分科会で議論深める−
2月2日から4日にかけて、「平和を守り真実をつらぬく民主教育の確立」をスローガンに日教組第57次教育研究全国集会が東京都内で開催され、のべ12000人が参加した。
今回の教研集会は、グランドプリンスホテル新高輪(株式会社プリンスホテル)の「会場使用拒否」という暴挙により、初日の全体集会を中止とせざるをえなくなり、史上初めて分科会のみの開催となった。日教組は昨年5月にホテルと契約し準備を進めてきたが、ホテルは11月になって一方的に契約解除を通告、ホテル側のかたくなな姿勢から裁判となった。
ホテル側の解除理由は、右翼団体の街宣活動により周辺に迷惑がかかり、営業に支障を来たすというものであったが、東京地裁、東京高裁とも「会場を使用させるべき」と判決を出し、「ホテル側が日教組や警察当局と十分打ち合わせることで混乱は防止できる」と判断した。しかしホテルは司法の判断を無視し、「集会・結社・表現の自由」を守ろうとせず、暴挙を押し通した。このホテル側の暴挙に対して日教組は強く抗議、連合も「正当な労働組合活動を妨害するもの」「憲法で保障されている集会・結社の自由と民主主義にもとづく労働運動を守るため、今後とも断固たる姿勢を堅持していく」と抗議の意思を表明、様々な団体も強い抗議の意思を表明した。また後日、連合はプリンスホテルの使用自粛をよびかけ、日教組はプリンスホテルを相手に3億円をこえる損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提訴し、責任追及を続けている。
教研集会は、2日午後から4日午後にかけて24の分科会と2つの特別分科会に分かれて開催された。市場原理・競争主義政策は格差社会をもたらしたが、その教育への影響も計り知れない。そのような社会を変革するとともに、「ゆたかな学び」を実現するカリキュラム、子どもたちが生きて働く力、互いに認め合う関係をいかにつくっていくかなど、約800本の実践リポートをもとに論議を深めた。
人権教育分科会では、部落問題やアイヌ問題などと教職員自らの出会い、自分の意識変革の過程などを出し合い、子どもや親とどう向き合ってきたか、子ども同士の関係づくりなど、議論を深めた。その中では、フィールドワークなどを含め1年間をかけて人権総合学習に取り組んだ内容なども報告された。また、「人権教育・啓発推進法」の制定(2000年)を受けて文科省が「人権教育の指導方法等の在り方について」(第3次とりまとめ)を作成しつつある情勢の中で、積極面を活用していくことも呼びかけられた。
各地の活動を交流し、2つの講演を受けて学習
−九州ブロック県民会議第12回総会・交流会−
2月7日から8日にかけて、部落解放共闘九州ブロック県民会議第12回総会と交流会が宮崎市・ホテルプラザ宮崎で開催され、九州各県から90人を超す参加があった。
7日午後から始まった総会では、押川浩一郎・九州ブロック議長代行のあいさつのあと、下田祐二・九州ブロック事務局長代行が議案を提案し、方針案などを採択した。方針の中では、交流会の開催や研究集会への参加のほか、九州ブロックで毎年おこなっている狭山現地調査に新しい人を参加させていくことや、就職差別撤廃の取り組みを進めることも申し合わせた。
そのあと、横山節夫・宮崎県民会議議長を九州ブロック議長に、下田祐二・福岡県民会議議長を九州ブロック事務局長に選出するなど、新役員を決めた。
総会のあと、交流会では各県民会議の活動報告がなされ、それぞれの取り組みから学びあった。
2日目は講演学習会として、「いのちの大切さ〜生きていてよかった」と題して宮崎県身体障がい者相談役の山内文代さんが、そして「私の解放共闘運動」と題して連合宮崎前副事務局長の平野英司さんが講演をおこなった。
山内さんは、労災事故で片腕を失い自殺を考え思いとどまったこと、生活訓練や職場復帰のこと、子どもが受けた差別などについて語り、幼少期から障がいがある人とふれあう事が大切だと強調した。
また平野さんは、部落解放運動との出会いや連合宮崎での4年間の取り組みにふれるとともに、労働金庫の職場に戻り、職場の個人情報の取り扱いや六曜の扱いなど問題点に気付き、それを正した経験を語った。そして、運動が職場に浸透していない現状があり、労働組合役員が運動内容を職場に持ち帰り伝えていくことが大切だと強調した。
一人ひとりが差別撤廃へ行動し人権感覚を高めよう
−第28回部落解放・人権徳島地方研究集会−
第28回部落解放・人権徳島地方研究集会が2月7日と8日の2日間、「すべての力を集めて『部落解放・人権政策』を確立しよう。反差別・人権確立・福祉の向上をめざした県民運動を展開しよう」をスローガンに徳島市内で開催され、延べ2200人が参加した。
初日の全体集会は徳島市文化センターで開かれ、藤原実行委員長(地方共闘議長)は「日本では『格差問題』が大きな社会問題となっており、非正規雇用による所得格差は『生存権』の問題として早急な解決が求められている。ILOでは、ディーセントワーク(安心して働き続けられる仕事)を提唱しており、その推進がワーク・ライフ・バランス社会を構築することであり、格差社会の解決を進めるものだ。一方、最近の日本社会は『医食住』が崩壊の危機にあり、人権が大きく揺らぐ事件が相次いでいる。インターネット上での差別書き込み、行政書士による戸籍取得事件も相次いで発覚しており、『人権侵害救済法』の早期制定が求められている。また、狭山事件の第3次再審に向け、全力を挙げて取り組む。私たち一人ひとりの差別撤廃を求める行動が人権感覚を高め、民主主義を定着させることにつながっていく。」と主催者を代表してあいさつを行った。
来賓あいさつの後、石川一雄・早智子さんが、日頃の支援に対するお礼を述べるとともに、狭山第3次再審に向けての更なる支援を訴えた。
基調講演は、部落解放同盟中央本部・組坂委員長が「部落解放運動をめぐる今日の情勢と課題」について講演し、人権侵害救済法制定に向けての動きや狭山事件の第3次再審闘争などについて語った。
つづいて、昨年12月9日と10日に実施した反差別(京都・奈良)研修報告をJP労組の峰行さんがおこなった。
また、記念講演では近畿大学・北口末広教授が「部落差別の今日的状況と撤廃のための課題〜格差社会の現状をふまえ〜」について講演。北口教授は、経済的な格差拡大や世間に対する同調行動が差別を生む原因になっていると強調。結婚差別に苦しむ女性の実例を挙げ、信用調査会社による戸籍の不正入手が多発している現状などについて語り、部落差別意識の存続要因と克服のための課題やこれからの部落差別撤廃行政について訴えた。
2日目は、部落解放・人権教育(T〜V)、社会教育と啓発、狭山・共同闘争、企業・職域、自治体の課題、男女平等(ジェンダー)をテーマに8会場で分科会議論を進めた。
差別分断を許さぬ連帯共闘の重要性を学ぶ
−福岡県民会議が「人権学習会」−
2月20日夜、部落解放共闘福岡県民会議主催の「人権学習会」が福岡市・全労済モルテイビルで開催され、80人が参加した。
学習会では、「最近の部落差別事件と課題」をテーマに組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長から講演を受けた。組坂委員長は、世界人権宣言60周年の意味を強調、2度の大戦の教訓、今の日本の情況が戦前とよく似ていることを語り、「平和なくして人権なし、人権なくして平和なし」ということをもう一度確認し行動しようと呼びかけた。また「厳しい生活状況が続くと『下見て暮らせ』と自分より下の者がいるという安心感を得ようとして差別的な考えが広がる」と、労働組合だけでなく様々な連帯共闘の必要性を強調した。
高校奨学金制度にもふれ、福岡県では現在は成績条項を撤廃し利用しやすくなったが、親がリストラなどで困難な情況にある5396人が利用しており、そのうち部落の子どもは230人だとのべ、教科書無償化や「統一応募用紙」など先人の闘いに学び、部落解放運動の成果を広く一般市民におよぼすことができたと語った。さらに、奨学金の闘いは、幅広い共同闘争の成果であることも強調、今後も共闘会議やPTA、全国同和教育研究協議会などと充実強化をめざしていきたいと決意を述べた。
また、「人権侵害救済法」早期制定や衆議院選挙にもふれ、「人権・平和・環境」が大切にされる社会をつくっていこうと呼びかけた。
就職差別撤廃にむけた取り組み強化を
−愛知県共闘が県交渉で要求−
昨年12月18日、部落解放愛知県共闘会議(議長:中村宜熙・情報労連愛知県協議会議長)は、就職差別撤廃の取り組み強化を求め愛知県交渉をおこなった。この交渉は、この間の交渉の積み重ねによって「受験結果報告書」の施策を勝ち取ってきた成果をふまえておこなわれたもの。
「受験結果報告書」は、企業などの採用選考が「統一応募用紙」の趣旨に沿っているか、差別につながる応募書類の提出や面接での質問がないかを点検する仕組みで、高校などを通じて取り組まれているが、いまだに全都道府県の取り組みになりきれておらず、全国での実施が課題となっている。
交渉では、愛知県で07年度から始まった「受験結果報告書」の取り組み結果を明らかにし、高校教員にたいして、「受験結果報告書」の趣旨を徹底するよう要請した。
愛知県からの回答では、すべての県立高校に就職試験の際の不適切な質問内容例を配布し、全教員・生徒に周知したこと。また面接時などの不適切事例を確認した場合は、所管ハローワークへの報告の徹底をあらためて求めたこと。07年度では191件の不適切事例があったこと、が報告された。
愛知県は今後も愛知労働局と連携し、校長会・進路指導主事の会議等で「受験結果報告書」の提出や不適切事例の報告について徹底を図ることとしている。