部落解放共闘情報
部落解放中央共闘会議の機関誌『部落解放共闘情報』の内容を掲載します。(年4〜5回程度発行)

部落解放共闘情報bQ18(2016,6,14)

自白の誘導・証拠ねつ造がいっそう明らかに
――狭山事件の再審を求める市民集会――

 5月24日午後、「狭山事件の再審を求める市民集会〜不当逮捕53年!いまこそ事実調べ・再審開始を!」が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から2500人が集まった。
 はじめに、組坂繁之・部落解放同盟委員長があいさつ、「証拠開示や弁護団による新証拠提出などによって石川さんの無実がいっそう明らかになってきた。狭山の勝利なくして部落解放の大道は築くことはできない。ともに頑張ろう」と呼びかけた。
 そのあと、民進党の江崎孝・参議院議員、社民党党首の吉田忠智・参議院議員から連帯のあいさつがあった。
 つづいて石川さん夫妻がアピール、一雄さんは、「不退転の決意で各地をまわり、みなさんの大きな支援をいただいてきた。ひとつでも多くの証拠を開示させるためには各地でいっそうの取り組みが不可欠だ」とさらなる支援を呼びかけ、「私は今年で77歳。元気なうちに無罪を勝ち取るため訴えを続けていく」と力強くアピールした。早智子さんも「狭山の闘いが日本の司法、歴史を変えるんだと信じ、力の限り闘い続ける」と強く訴えた。
 弁護団の報告で中山武敏・狭山事件再審弁護団主任弁護人は、「これまで開示された証拠は185点にのぼる。石川さんが逮捕当日に書かされた上申書、取調べ録音テープをみると、石川さんへの自白の誘導や証拠物ねつ造がくっきりと明らかになっている。新証拠も182点提出し前進している」と述べるとともに、憲法学者の小林節・慶応大学名誉教授と宇都宮健児・元日弁連会長が弁護団に加入したと報告、強化された弁護団もしっかり頑張っていくと決意表明した。
 集会に初めて参加した小林節さんは、「無実の罪に50年以上苦しめられている石川さんとともに闘わなければ、憲法学者だという私自身がウソになる」と弁護団加入の決意を述べた。
 基調提案を片岡明幸・部落解放同盟副委員長がおこない、「これまで開示された証拠のなかでも特に、石川さんが逮捕当日に書かされた上申書、てぬぐい、取り調べ録音テープは、どれもひとつだけで石川さんの無実を証明するのに充分なものだ。検察がこれまで不見当とした『犯行現場の雑木林を映した8ミリフィルム』などの証拠を開示させなければならない」と訴えた。
 集会アピールは則松佳子・部落解放中央共闘事務局長が提案し、拍手で採択された。
 集会のまとめを鎌田慧・狭山事件の再審を求める市民の会事務局長がおこない、「えん罪事件は日本の司法の間違いを象徴している。被害者や支援者と共闘し、つながることの楽しさを見い出してきた運動をさらに広げていこう」と呼びかけた。
 集会後、日比谷公園から芝公園までデモ行進し、再審実現、石川さんの無実を訴えた。

現場を見るのが無実を確信する特効薬
――狭山事件の現地調査・学習会――

 4月8日午後、連合と部落解放中央共闘会議の共催による狭山事件の現地調査・学習会(人権フィールドワーク)が、埼玉県狭山市で行われた。この取り組みには全国から集まった自治労青年部23名をはじめ、連合本部、連合加盟の11構成組織と16地方連合会、および部落解放同盟から74名が参加した。
 学習会は、狭山市中央公民館で開催され、加藤栄二・連合連帯活動局部長の司会で始まった。
 はじめに、連合を代表して南部美智代・連合副事務局長があいさつ、「狭山事件の闘いは53年になる。これからさらに私たちのとりくみをしっかりしていかなくてはならない。現地を見ることが一番の特効薬だ」と訴えた。また、連合で5月25日に開催する「人権フォーラム」への参加要請と、連合として2回目の「採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査を6月に実施すると報告があった。
 続いて部落解放同盟の組坂繁之・委員長もあいさつ、「狭山事件は部落差別に基づく冤罪事件で『証拠ねつ造』という意味で権力犯罪だ。事件が迷宮入りになると権力側は朝鮮人や韓国人、部落差別や障がい者など社会的に存在する差別を利用してでっちあげる。狭山事件も部落差別を利用して権力側が石川さんをでっちあげた。鴨居のところ、殺害現場とされるところ、百聞は一見にしかず、しっかり見て狭山事件の冤罪を理解して、これからの運動に活かしてほしい」と述べた。
 学習会では、2011年にテレビ朝日で放映された報道番組「サンデーフロントライン」の狭山事件特集のビデオを鑑賞し、狭山事件と裁判の概要・現段階と題して、部落解放同盟埼玉県連合会の小野寺一規・書記長が講演を行った。
 石川一雄さん・早智子さんもあいさつにたち、「今はまだ見えない手錠がかかっていて、埼玉県から出るには保護司か法務省に連絡をしなければならない。一刻も早く冤罪が晴れるように、再審実現への支援を」「大詰めの狭山再審闘争にこんなに多くの人が来てくれてとっても心強くて感激している。皆さんが狭山の歴史を動かすと信じている。力を貸してほしい」と訴えた。
 学習会のあと、参加者は2つのグループに分かれフィールドワークを行い、石川さんの「自白」が矛盾に満ち、でっちあげられたものであることを確認した。
 そのあと中央公民館に戻り、「初めて現調に参加して、実際どういった状況なのかをより具体的に確認できた。証拠について、石川さんがやったということを示す証拠になりえていないことを改めて実感した。組織内に持ち帰りどんどん展開していこうと心に決めた」「解決のためにはまず知ることがスタート地点だと思う。自分の組織、周りに伝えていきたい」などの感想を出し合った。

差別は「社会悪」との世論形成を
―部落解放・人権政策確立要求中央集会―

 5月23日午後、「2016年度部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会」が東京・憲政記念館で開催された。主催は部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会で、加盟団体や各地の実行委員会から576人が参加した。
 開会あいさつで組坂繁之・実行委員会副会長は、「『全国部落調査』復刻版では東北から鹿児島まで6000ちかい被差別部落の古い地名と現在の地名、所帯数、主な職業を網羅している。これが蔓延していけば、これまでの私たちの努力が水泡に帰す。部落の子供たちが、就職や結婚でまた厳しい差別の中に投げ込まれる。法制定に向けて最後まで奮闘をお願いしたい」と強く訴えた。
 つづいて、中西啓寶・実行委員会会長(佐々木基文・高野山真言宗社会人権局長が代読)は、「『全国部落調査』復刻版の発行・販売を許さない意思統一をし、さらに大きな反差別のうねりをつくり出し、いっさいの差別を禁止する法律、なかでも『部落差別禁止法』『人権侵害救済法』の制定を早急に実現すること。部落差別の『早急な解決こそ国の責務』だと国・行政に訴え、私たちも『国民の課題』としてだけではなく、『部落解放は私の課題』として行動しよう」と呼びかけた。
 来賓あいさつは、自民・民進各党の国会議員から、ヘイトスピーチ対策法について今国会で成立の見込みだと報告があり、「部落差別の解消の推進に関する法律」については、最後の最後まで取り組むと決意表明があった。公明・社民・生活の各党からは連帯のメッセージが届いた。
 基調は西島藤彦・実行委員会事務局長が提案、近畿中心に1800枚をこえる差別文書が撒かれたが、侮辱罪で科料9900円の略式命令がでたのみだと述べ、人権侵害救済制度確立の必要性と差別実態を訴え、人権政策推進体制の確立、施策の充実・強化に全力をあげようと呼びかけた。
 特別報告として、片岡明幸・部落解放同盟副委員長から「全国部落調査」復刻版出版事件への取り組みの経過が説明された。
 閉会のあいさつで則松佳子・中央共闘事務局長は、「全国部落調査」復刻版事件は、これまで先輩方が努力して作り上げてきた公正採用選考などの取り組みを無にする。差別は人の命を奪うことを再認識し、精一杯取り組んでいくと決意を述べ、団結ガンバローの音頭を取った。
 集会後、参加者は国会議員への要請や各省交渉に取り組んだ。
 

□ ヘイトスピーチ対策法が成立 □

 ヘイトスピーチ対策法が5月24日、衆議院本会議で可決、成立した。正式名称は、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」で、外国出身者へのヘイトスピーチに特化した理念法である。
 昨年5月、ヘイトスピーチなど差別を禁ずる「人種差別撤廃施策推進法案」を民主党、社民党などの参議院議員が参院に提出していたが、昨年8月4日に審議入り。6日に質疑、そのあと審議は進まず継続審議となった。自公両党はこの法案に対する対案として、今回の法案を4月8日に参議院へ提出していた。
 この法律には、禁止規定や罰則がないことや、保護対象を「適法に居住」「日本以外の出身者や子孫」に限定しているという大きな問題点がある。
 国会審議を通じて附帯決議がつけられ、「第2条が規定する『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、本法の趣旨、憲法及び人種差別撤廃条約の精神に鑑み、適切に対処すること」とされたが、法の適切な運用を求める必要がある。
 また国会審議を通じて、「不当な差別的言動」の定義に「著しく侮蔑」する場合も追加された。
 法律の附則第2条には「不当な差別的言動等の実態を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする」との検討条項が明記されており、今後の法運用をふまえて、実効性を高める法改正を求める必要がある。

 

□ 部落差別解消推進法は継続審議 □

  5月19日に自民・公明・民進の3党から衆議院に提出された「部落差別の解消の推進に関する法律」は法務委員会で5月20日、25日に趣旨説明、質疑が行われた。その後、25日の法務委員会理事会で、法案を継続審議あつかいすることが決まった。秋に予定されている臨時国会での成立を目指す。
 部落差別解消法案の概要は次の通り。
 第1条の「目的」で、現在もなお部落差別が存在し、基本的人権を保障する憲法の理念に反し、許されないものであることを明記。情報化の進展に伴う状況の変化もふまえて、部落差別の解消の基本理念を定め、国、地方自治体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実などを定め、部落差別のない社会を実現することをうたっている。
 第2条の「基本理念」では、部落差別に関する施策は、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行わなければならないこと。
 第3条「国及び地方公共団体の責務」では、国は部落差別解消に関する施策を講ずるとともに、地方自治体が施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言をおこなう責務を有すること。
 第4条では「相談体制の充実」として、国及び地方自治体は部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図ること。
 第5条「教育及び啓発」では、国及び地方自治体は部落差別を解消するため、必要・適切な教育・啓発を行うこと。
 第6条「部落差別の実態に係わる調査」では、国が地方自治体の協力を得て、部落差別の実態調査を行うことと定めている。

連合が「人権フォーラム2016」を開催
―あらゆる差別や人権侵害をなくそう―

 5月25日、連合主催の「人権フォーラム2016」が東京・全電通労働会館で開かれ、労働組合員221人が参加した。
 はじめに、逢見直人・連合事務局長が主催者を代表してあいさつ、北朝鮮が拉致問題で今年2月、拉致被害者を含むすべての日本人に関する包括的調査特別委員会を解体すると宣言したと現状を批判した。また、狭山事件について「重要な証拠が不見当(見当たらない)とされている。連携を深め取り組みを強化していく」と決意を述べ、部落地名総鑑復刻版について「就職差別につながる問題であり、各地方連合会、関係団体と連携し対応している」と報告した。
 今年の講演は2つのテーマでおこなわれ、はじめに「北朝鮮による拉致問題・情勢と課題に関して」と題して、荒木和博・特定失踪者問題調査会代表が講演、拉致問題と冤罪は似ている面があると述べ、「何らかの形で証拠が表に出れば生きている人が出てくるかもしれない。北朝鮮の人権問題を解決しながらその中で拉致被害者を取り返す」と強く訴えた。
 続いて「部落差別と冤罪」と題して、藤沢靖介・東日本部落研究所副理事長が講演。自身の生い立ちを話すなかで、狭山事件が部落解放運動へ参加するきっかけになったことを語り、部落問題の歴史にふれ、部落地名総鑑事件や狭山事件の再審実現について訴えた。
 集会アピールは重黒木康江・自治労女性部長が提案、「拉致問題」「えん罪事件」「人権侵害救済法(仮称)」「被爆者援護」を重点課題とし、すべての仲間が安心して働ける社会の実現を目指し、不当な差別や格差をなくすため、引き続き粘り強く取り組んでいくと読み上げ、拍手で採択した。
集会のまとめとして、南部美智代・連合副事務局長があいさつ、「北朝鮮の拉致問題も狭山事件も残された時間に限りがある」と取り組み強化を訴えるとともに、6月に連合として実施する「公正採用選考に関する実態把握のためのアンケート調査」への協力を呼びかけた。 

□ 狭山事件の第28回三者協議の概要 □

 5月25日午後、狭山事件の第28回三者協議が東京高等裁判所でひらかれた。
 弁護団が2月に開示勧告申立書を提出していた「万年筆」「財布」「手帳」関係の証拠開示に対して検察官は、万年筆については、発見された6月26日の供述調書1通(上告審で開示済み)を添付し、その他には弁護団が求めるものは見当たらないと回答した。「財布」「手帳」については関連性、必要性がないとし拒否した。
 今回の3者協議で植村裁判長は、「証拠物が警察から検察庁に送られる際にどのような書類が作成され、どこで保管されるのか」など、捜査段階で集められた証拠物の保管についての一般的な取り扱いも含めて検察官に説明するよう求め、「その説明をうけて証拠物一覧表の開示について、裁判所も検討する」とした。
 弁護団は5月23日に再審請求補充書を提出した。今回の補充書では、新証拠である浜田鑑定、脇中鑑定をふまえて、自白の変遷を取り調べテープに録音されたやり取りに基づいて分析し、自白に信用性がないことを明らかにしたもの。たとえば自白調書では、前日までの「性的目的で連行した」という自白とは大きく枠組みが変遷し、「吉展ちゃん事件のように子どもを誘拐して競輪に使う金を取ろうと考え」「歩いていたら女学生が通りかかったので誘拐して金を取ろうとした」と述べたようになっている。この日の取り調べ録音テープでは、警察官らが、たとえ話も持ち出しながら、あらかじめ子どもを誘拐して身代金を取ろうと考えて脅迫状を書いて持ち歩いていたら、女学生に出会って誘拐相手を変更して連行したという筋書きを延々と話しており、石川さんは「うん」という一言だけを繰り返している。補充書では、自白調書と取り調べテープのやり取りには大きな落差があり、真犯人が自分の犯行体験を語ったとはとうてい言えないと指摘している。
 次回の三者協議は8月下旬に行われる予定。

働くことを軸とする安心社会を作ろう
――メーデー中央大会で狭山事件のパネル展示――

 4月29日、メーデー中央大会が東京・代々木公園で開かれ、4万人が参加した。
 式典で神津里季生・連合会長は、熊本地震で被災された方々が、いち早く普通の暮らしと仕事を取り戻せるよう被災地への支援を強く呼びかけた。続いて、「みかけの失業率は改善しているが、中身は非正規労働者の増加だ。放置すれば社会の底割れを招き、格差はさらにひろがる」と懸念を示すとともに、「すべての働く者の暮らしの底上げに向けた社会的うねりを巻き起こしていくことが重要だ」と訴えた。
 式典の最後に、「今こそ、暮らしの底上げが必要である。パートや派遣、有期などで働く非正規労働者や中小・地場企業で働く労働者、未組織労働者と手を携え、すべての働く者・生活者を代表し、志を同じくする関係団体やNPO・NGOとの連携を深め、『働くことを軸とする安心社会』をつくろう!」と呼びかけるメーデー宣言を採択した。
 中央大会では、式典のほか結集デモ行進、各種メーデーイベントが実施され、公園内のブースコーナーでは、NGO・NPOなど80近い団体が展示や出店をおこない、メーデー参加者と交流した。部落解放同盟も狭山事件の再審実現をアピールするパネル展示やビラ配布・署名活動をおこなった。
 また、全国29府県のメーデーでも中央共闘が作成したリーフレットの配布など狭山事件の宣伝活動が取り組まれた。

□ 全水道労研で石川さんが訴え □

 全日本水道労働組合の労働運動研究全国集会が6月2日から4日まで、栃木県宇都宮市内のホテルでひらかれ、初日の特別報告として、「狭山再審闘争の現状と展望」と題して、石川一雄さんが訴えた。集会には北海道から九州まで全国から330人の組合員が参加し、職場の課題や熊本地震と復旧への取り組みなどの課題について熱心に議論した。立憲フォーラム代表の近藤昭一・衆議院議員が「労働運動で時代の流れを変えよう」と題して基調講演をおこなった。
 石川さんは、部落差別によって奪われた文字を獄中で取り戻したこと、第3次再審では三者協議が始まり証拠開示がすすみ、多くの新証拠が提出されていることを報告するとともに、裁判所が事実調べをおこなうことが不可欠、いまが正念場と支援を訴えた。とくに取調べ録音テープが証拠開示され、死体のことや犯行内容をまったく知らず、警察官に教えられながらウソの自白がつくられていった実態が明らかになり、無実は明白になっていると述べた。
 また、石川早智子さんのメッセージも読みあげられた。早智子さんは被差別部落出身を隠して生きてきた自分を変えたのは、獄中からの石川一雄さんのメッセージであり、職場の仲間、労働組合運動を通して出会った部落解放運動であったと述べ、支援を訴えた。

□ 狭山第3次再審闘争勝利3・11埼玉集会ひらかれる □

 狭山事件で一審の浦和地裁が石川一雄さんに死刑判決を言い渡してから52年にあたる3月11日夜、さいたま市で狭山第3次再審闘争に勝利しようと、埼玉集会が開かれ180人が参加した。部落解放同盟県連や部落解放県共闘会議、石川一雄さんを支援する会埼玉連絡会が主催した。
主催者あいさつで秦哲美・埼玉連絡会会長は、「団結を強め、高裁、高検に訴えていく。石川さんの人権が回復し、本当に喜びを喜びとして楽しさを楽しさとして生活できる環境に戻したい」とのべた。
 小野寺一規・部落解放同盟県連書記長の基調報告に続いて、片岡明幸・部落解放同盟埼玉県連委員長が特別報告をおこない、狭山事件の証拠開示された「上申書」「手拭い」「取調べの録音テープ」を「3大新証拠」と名付けて説明。「今度(第3次)は勝てると思う。今年こそメドをつけたい」と呼びかけた。
 妻の早智子さんと登壇した石川一雄さんは、「事件当時、読み書きができず恥ずかしかった。第3次で終結するようがんばりたい」と力強く決意を語ったほか、義姉の石川ウメ子さんも協力を訴えた。

 □ 示現社を提訴、HP削除、損害賠償で □
 鳥取ループ・示現舎が全国の被差別部落の所在地や解放同盟の役員など関係者の名前、住所、電話番号など個人情報を一覧にしてインターネット上で公開、拡散していることにたいして、4月19日、解放同盟と同盟員211人が原告となり示現舎と経営者2人を東京地裁に提訴した。
提訴の内容は、出版差し止めとホームページの情報削除、原告1人あたり110万、合計約2億3千万円の損害賠償を求めたもの。

部落解放共闘情報bQ18(2016,4,14)

安倍政治を終わらせ差別・格差のない社会の実現を
−部落解放中央共闘会議第40回総会−

 2月23日午後、部落解放中央共闘会議第40回総会が東京・自治労会館で開催され、15中央団体・18府県共闘から101人が参加した。
 総会は相馬真琴・副議長の開会あいさつで始まり、議長団に定居美稚子・NTT労組中央執行委員と片岡明幸・部落解放同盟財務委員長を選任した。
 主催者を代表して小俣利通・議長があいさつ、安倍政権によっていま、日本の政治、経済、社会が非常に危険な方向へ向かっている。憲法違反の安全保障関連法を強行採決し、アベノミクスというまやかしの経済政策も負の影響が現れはじめている。格差社会と貧困化の進行の中で様々な差別や人権侵害、ヘイトスピーチが多発しており、人権侵害救済法や差別禁止法制定の展望を切り開くためにも、参議院選挙に全力を尽くし、安倍政治を終わらせようと訴えた。
 つづいて連合の山根木晴久・総合組織局長があいさつ、連合は4月に狭山事件のフィールドワークをするが、現地を見て、検察がいかにいい加減なことを言っているかということを広めていきたい。また、採用選考にかかわる実態把握アンケートを6月に行う。労働団体として、最初の入口である採用のところで差別があってはならない。安心して働ける格差のない社会にしたいと述べた。
 部落解放同盟の組坂繁之・委員長もあいさつ、昨年5月24日、国連の人権理事会でヘッジファンドに対する非難決議が採択された。ヘッジファンドは少ない富裕層と多数の貧困層という大きい格差をうみだし、貧困層の弱い者同士がいがみ合うようになる。また、日本は人種差別撤廃条約に加入しながらいつまでたっても国内法の整備をしないのはおかしい。今国会でヘイトスピーチの法律を作り上げていく必要がある。部落地名総鑑がインターネットで販売される動きがあった。販売されると孫の代まで差別される。全力で取り組むのでご協力をお願いしたい、と訴えた。
 議事にはいり、活動報告と総括を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を竹内広人・事務局次長がおこない、会計監査報告を村上彰一・会計監査がおこなった。提案は一括して拍手で採択された。
 つづいて活動方針を清水・事務局長が提案、予算を竹内・事務局次長が提案し、若干の質疑のあと一括で採択された。方針では、正念場である狭山事件の再審実現、部落地名総鑑40年を踏まえた就職差別撤廃の取り組み、ヘイトスピーチをはじめとする人権の法制度確立など、地域から闘いを強化していくことを確認した。
 新役員は加藤栄二・事務局次長が提案、拍手で承認された。新役員を代表して、小俣・議長があいさつ、立憲、人権平和、民主主義を守る闘いを共闘会議の先頭に立って頑張っていくと決意を述べた。
 今年は記念講演として、『人種差別撤廃施策推進法のゆくえ〜ヘイトスピーチ(差別煽動)をなくすために〜』と題して、有田芳生・参議院議員から講演をうけた。有田さんは、かつて関東大震災において朝鮮人の大虐殺が実際におこなわれた事実があったことを忘れてはならず、ユダヤ人にナチスがした煽動といま日本でおこなわれているヘイトスピーチは同質だと指摘した。自民党は現行法で対処するとの姿勢だが、ヘイトスピーチに現行法では対応できない、OECD32カ国で規制法がないのは日本と韓国だけだと批判。大阪市の条例のヘイトスピーチの定義は参考になると指摘、法制定に向け頑張ると決意をのべた。
 総会宣言は北ア衛・事務局次長が提案、拍手で採択された。最後に閉会のあいさつを荒金廣明・副議長がおこない、小俣・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。

≪部落解放中央共闘会議役員≫
                             
議   長  小俣 利通  連合副会長、JP労組委員長
副 議 長  西島 藤彦  部落解放同盟書記長
副 議 長  南部美智代  連合副事務局長
副 議 長  荒金 廣明  自治労副委員長
副 議 長  相馬 真琴   NTT労組副委員長
副 議 長  清水 昭男  私鉄総連副委員長
事務局長  清水 秀行  日教組書記次長
 〃 次長  加藤 栄二  連合連帯活動局部長
 〃 次長  高橋   定  部落解放同盟中央執行委員
 〃 次長  竹内 広人  自治労連帯活動局長
 〃 次長  北ア   衛  JP労組組織局次長
 〃 次長  木村 敬一  私鉄総連組織教宣局長
会計監査  定居美稚子  NTT労組中央執行委員
 〃      村上 彰一  全水道書記次長
常任幹事  岡戸   裕  部落解放同盟事務局、中央共闘専従


総 会 宣 言

 安倍政権は、ほとんどの憲法学者が違憲と指摘した安全保障関連法案を反対が圧倒的多数の世論を押し切って強行採決する暴挙をおこなった。憲法にもとづく臨時国会の開催要求も無視した政権運営、「特定秘密保護法」の強行可決、労働者派遣法をはじめとする労働者保護ルールの改悪、年金積立金の身勝手な運用変更など、平和・人権・民主主義と庶民の生活を危機に陥れる安倍政権の暴走が続いている。来るべき参議院選挙は、この安倍政治を終わらせ、憲法を守り立憲主義と平和・人権・民主主義、生活の安定をとりもどす重要な意味を持つ闘いとして全力を尽くして取り組んでいこう。
 格差社会の中で閉塞感が強まり、ヘイトスピーチやネット上の差別煽動をはじめ様々な人権侵害も多発している。差別禁止の法整備と人権救済機関の設置が今こそ必要であり、「人権侵害救済法」制定をめざし運動を強化しなければならない。
 さらに「部落地名総鑑」差別事件から40年を経たことをふまえ、就職差別撤廃の取り組みを強化するとともに、雇用差別禁止の法整備と公正なワークルール確立によって格差と貧困拡大からの転換を図る必要がある。
 狭山事件の再審をめぐる闘いは今年が正念場であり、証拠開示、事実調べ実現の世論を喚起し、今年こそ再審を実現しなければならない。
 そして、地域・職場からあらゆる差別と人権侵害をなくすため、「人権教育・啓発推進法」を活用し、人権擁護と平和の機運を盛り上げることが求められている。
 私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。

  2016年2月23日
                                                                        部落解放中央共闘会議第40回総会

□ 狭山事件の第27回三者協議の概要 □

 3月4日午後、狭山事件の第27回三者協議がおこなわれた。
 弁護団が2月12日付で開示勧告申立書を提出していた「万年筆」「財布」「手帳」関係の証拠開示について、検察官は検討するとした。
 また、2月26日付で事件直後に被害者宅周辺の聞き込みをおこなった捜査官らの作成した捜査報告書の証拠開示勧告申立書を提出していたが、不見当と回答した。
 前回の三者協議で検察は「車の追い越し」や「車の駐車」関係の証拠を「不見当」と繰り返し、裁判所から書面で回答するよう検討を求められていたが、「証拠は不見当であり、当初から存在しないかどうかは不明」とする意見書を提出してきた。また、埼玉県警など、東京高検以外で作成された証拠物一覧表の開示を求めていたが、開示の必要がないと拒否した。
 弁護団は、2月26日付けで新証拠として車両の視認性についての鑑定書、実験報告書、再審理由補充書を提出した。石川さんの自白で、脅迫状を届けた5月1日午後7時から午後7時40分の間、約64メートル離れた場所から駐車中の車に気付いたとなっており、犯人しか知り得ない客観的事実である「秘密の暴露」と認定され、寺尾判決で有罪証拠の1つになった。色彩画像処理解析の専門家である三宅洋一・千葉大学名誉教授が、車両の目撃の再現実験を実施した結果、暗すぎて車両の識別は不可能であることが科学的に明らかになった。
 これまで開示された証拠は185点、弁護団が提出した新証拠は182点になった。

差別と戦争に反対する闘いを推し進めよう
−部落解放同盟第73回全国大会−

 3月2日から3日にかけて、部落解放同盟第73回全国大会が「部落解放運動を前進させ、人権と平和、民主主義の確立を目指して差別と戦争に反対する闘いをすすめよう」をスローガンに、東京・日本教育会館で開催され、636人の中央役員と代議員が集まった。
 主催者あいさつで組坂繁之・部落解放同盟委員長は、昨年の「同和対策審議会」答申50年全国行動で、各都府県知事に会い、部落差別がある限り同和行政が必要との決意をもらったと成果を報告。ヘイトスピーチについて、規制などを求める法を今国会で成立させたいと述べた。「部落地名総鑑」が販売されようとした件では、「こういう差別図書が売られ出回ることは絶対許せない」と怒りを込めて強調、全力をあげた闘いを呼びかけた。戦争する国への道を許さず、衆参同日選になることが予想される7月の参議院選挙闘争に全力をあげよう、と訴えた。
 来賓あいさつでは、各政党の国会議員のあと、連合の神津里季生・会長と中央共闘の小俣利通・議長があいさつ、「人種差別撤廃施策推進法」の制定推進、狭山事件のとりくみ、就職差別撤廃のとりくみも改めて強化したいと述べた。狭山事件の石川さん夫妻からの訴えや弁護団のあいさつもおこなわれた。
 大会では役員選挙もおこなわれ、組坂繁之・委員長、西島藤彦・書記長をはじめとする役員が選出された。

人権教育など実践報告をふまえ現場からの教育改革を
−日教組第65次教育研究全国集会−

 2月5日から7日にかけて、日教組が主催する第65次教育研究全国集会が岩手県内で開催され、全国からのべ1万人が参加した。
 初日の全体集会には3千人が参加し、開会前に岩手と福島から東日本大震災後の子どもたちや教職員の現状、課題に関する報告がなされた。
 全体集会で加藤良輔・日教組委員長が主催者あいさつ、「あの震災と福島の原発災害から5年。復興は未だその途上にある。『フクシマ』を繰り返してはならないという思いも、再稼働の流れの中で踏みにじられようとしている。今回の全国教研をここ岩手の地で開くこと。それは震災の過酷な経験を、そして、あの時日本中の人々や日本に心を寄せてくれた全世界の人々が胸に抱いた、『原発に頼る社会のありようを変えよう』という誓いを、私たちは決して忘れないというメッセージだと思っている」とのべた。
 来賓として、神津里季生・連合会長、達増拓也・岩手県知事、日本PTA全国協議会からあいさつがあった。
 基調報告で岡本泰良・日教組書記長は、平和と教育の危機的状況や貧困、いじめ、虐待や不登校など子どもをとりまく山積する課題にふれるとともに、道徳が「特別の教科」とされたことへの危惧を表明した。また、給付型奨学金制度の創設、人権教育の深化、労働教育、メディアリテラシー教育などを通した主権者の育成、「現場からの教育改革」を呼びかけた。
 そのあと白井聡・京都精華大学専任講師による「ネオリベ文化に抵抗する教育」と題した記念講演がおこなわれた。白井さんは、大学生の学力低下の惨状などに触れ、教育が商品となっており古典的教育観が通用しなくなってきているとのべた。また、権力者はいかなる収奪にも無頓着な大衆、従順な労働者をつくろうとしており、新たな階級社会になってきていると指摘した。
 分科会は、「日本語教育」「外国語教育」「理科教育」などの教科別、「人権教育」「障害児教育」「平和教育」など課題別、さらに「特別分科会」などあわせて25分科会が開かれた。
 人権教育の分科会では、33本の実践報告をもとに議論がなされた。また来賓として部落解放同盟の高橋定・中央執行委員があいさつ、近畿各地で起こっている大量差別文書事件について報告し救済制度の必要性を強調、貧困の連鎖が断ち切れない被差別部落の現状が今もあるとのべ、これらの課題に連携して取り組むことを呼びかけた。

□ 広島県共闘第28回総会で連合広島が加盟 □

 2月26日、部落解放広島県共闘会議第28回総会が広島市内の自治労会館で開かれ、78人が参加した。
 冒頭のあいさつで佐古正明・議長は、平和・人権・民主主義の危機、貧困・格差の拡大と差別・排外主義の蔓延などの現状に触れるとともに、「県共闘会議は、民主主義を守り憲法改悪阻止と人権の法制度確立にむけ運動を強化していく。課題であった連合広島の県共闘への加盟が本総会で実現した。心から歓迎するとともに関係者のご努力に感謝したい」とのべた。来賓として出席した連合広島の山ア幸治・事務局長は、「県共闘会議の中で連合広島の任務をしっかり果たしていきたい」と決意を表明した。
 議事では、活動方針や予算、役員体制などが提案され採択された。役員では、佐古正明・議長や石岡修・事務局長が再選され、連合広島からは山ア幸治・事務局長があらたに副議長に選出された。
 総会後の学習会では、大内裕和・中京大学教授から「教育における格差と貧困〜奨学金とブラックバイトから考える」と題した講演を受けた。大内さんは、奨学金を借りなければ大学進学できない人が急増したが、多くが有利子奨学金で、労働実態の劣化により返済が困難な人が増え、滞納者が33万人となり、3カ月以上の滞納額1660億円、ブラックリスト化が1万人超と言う実態を報告。未婚と少子化も促進していることを指摘し、希望を持ち安心して暮らせる社会への改善を訴えた。

□ 第36回部落解放・人権徳島地方研究集会 □

 2月4日から5日にかけて、第36回部落解放・人権徳島地方研究集会が徳島市内で開催され、労働組合や企業、行政などのべ1915人が参加した。
 初日の全体集会で主催者を代表して森本佳広・実行委員長(地方共闘議長)があいさつ、「昨年は戦後70年であり、政府が強引に安全保障関連法を成立させて『平和と戦争』について考えた年だった。『戦争は最大の人権侵害である』とよく言われるが、今こそ世界の平和と安全のために貧困と差別の解消に向け行動しなければならない。悪質な事件も後を絶たず、戸籍等不正取得による身元調査、ネット上での差別情報、ヘイトクライム、ヘイトスピーチなどが大きな社会問題となっている。今こそ『人権侵害救済法』の制定と救済機関の設置を強く望むとともに、狭山事件の証拠開示と事実調べを行えという世論をさらに大きくしていこう」とよびかけた。
 つづいて徳島県、県教委、市長会が来賓あいさつ、狭山事件の石川一雄・早智子さんから第3次再審に向けた支援の訴えがなされた。
 基調講演は、組坂繁之・部落解放同盟委員長が「これからの部落解放運動〜『同和対策審議会』答申50年をふまえて」と題して講演。全国水平社宣言の意義と「人権侵害救済法」の早期制定を訴えた。
 続いて、昨年10月に広島県福山市で実施した2日間の反差別研修について、徳島県国民健康保険団体連合会の滝口広樹さんが「反戦・平和・人権について学ぶ」と題して報告をおこなった。
 そのあと「女性の人権」と題して乾晴美・元参議院議員が記念講演。パネルディスカッションでは、男女雇用機会均等法施行30年をふまえ、男女が共に活躍できる職場環境を作るため議論を深めた。
 2日目は、部落解放・人権教育(3会場)、社会教育と啓発、狭山・共同闘争、企業・職域、自治体の課題、男女平等(ジェンダー)をテーマに8会場で分科会が開かれ活発な議論が展開された。

◆「部落地名総鑑」復刻版の発行・販売を許さない◆

 「部落地名総鑑」差別事件が発覚してから40年が経過したが、同様の差別を商う行為をおこなおうとするグループが現れている。部落解放同盟中央本部は3月4日に抗議声明を出したが、部落解放中央共闘会議としても4月13日に開催の第1回幹事会で抗議声明を確認し発表した。

「全国部落調査 部落地名総鑑の原典復刻版」の
発行・販売に対する抗議声明

 1975年11月に「部落地名総鑑」差別事件が発覚して大きな社会問題となったが、それから40年が経過した。今日、この「部落地名総鑑」を公然と発行・販売しようとするものが再び現れた。このような差別を商う行為は絶対に許せるものではなく、怒りを込めて抗議するものである。
 ここで「部落地名総鑑」事件の本質を明らかにするため、経過をもう一度振り返っておきたい。
 この事件は1975年11月に一通の匿名の投書から発覚した。全国の被差別部落の所在地を新旧地名で示し、主な職業や世帯数などを記載した書籍が、一冊3万円など高額で売られていた。企業の人事担当に送られたダイレクトメールは、採用において被差別部落出身者を排除することをそそのかすものとなっており、書籍の内容もその目的にしか使えないものだった。その後の調査で同種の「地名総鑑」が次々と発見され8種類となり、購入した企業は一部・二部上場企業を中心に二百数十社も判明した。
 これに対し部落解放同盟は、就職や結婚における差別につながる重大事件として全国の組織をあげて糾弾闘争をおこない、購入企業に反省を迫った。そして購入企業は反省し部落差別撤廃のために尽力することを約束した。
 また、政府に対しても責任を追及し対策を要求した。1975年12月15日に「労働大臣談話」がだされ、「同和関係住民の就職の機会均等に影響を及ぼし、その他様々の差別を招来し助長する悪質な冊子が発行され、一部企業の人事担当者に販売される事件が発生したことは、誠に遺憾であり、極めて憤りにたえない。」として、それまでの国の施策の点検をおこない、企業啓発・指導などを強化する決意が表明された。
 同時に、「地名総鑑事件」についての見解と取り組みについて、関係各省(総理府、法務、労働など12省)事務次官連名による経済6団体への要請文書がだされ、全国の自治体へ周知する文書、さらに労働省職業安定局長名による業種別民間企業92団体に対する要請文書がだされた。これらは国会やマスコミでも大きくとりあげられ大きな社会問題になった。そして法務省は、この差別書籍を回収し焼却した。労働省は、「企業内同和問題研修推進員制度」を作り、各企業で公正な採用選考システム作りやその為の研修がおこなわれるよう取り組みを推進した。
 その後、2006年に興信所が新たな種類の「部落地名総鑑」を保有していた事件が発覚した。さらにフロッピーに電子情報化された「部落地名総鑑」が回収され、その電子情報の拡散の危険性が指摘された。
 そして今日、ネット上に被差別部落の所在地の一覧を載せる差別行為が続発しており、なかでも「鳥取ループ・示現社」によるものは執拗で確信犯と言える。
 そして、その「鳥取ループ・示現社」が、「全国部落調査 部落地名総鑑の原典復刻版」と題した書籍を2016年4月1日に発行・販売するという情報がインターネット上に掲載されていることが判明した。全国の被差別部落の新旧地名、世帯数、職業などをリスト化したものだと宣伝されている。
 今もなお結婚や就職で部落差別があとを絶たない現実がある。戸籍等の不正請求・取得や差別身元調査が無くならない実態がある。土地・家屋の取得や引っ越しに際して、被差別部落の所在地を問い合わせる差別事件も後を絶たず、部落差別の深刻な実態が今なお存在する。そのような中で「部落地名総鑑」を発行・販売することは、差別を商う行為であり、絶対に許すことはできない。
 幸い出版・流通関係各社は、部落解放同盟からの要請の趣旨を理解し、この差別書籍を取り扱わないことになった。また、出版や販売を禁止する仮処分申請に対し、横浜地裁から「禁止」の決定が出された。しかし、この差別書籍の内容が他の何らかのかたちで発行・販売されない保証はない。インターネット上に掲載された被差別部落の地名一覧についても削除する必要があり、そのための法的整備を急ぐ必要がある。
 部落解放中央共闘会議として、「部落地名総鑑」差別事件を再度教訓化し、今回の差別書籍の発行・販売を許さず、ネット上の「被差別部落地名一覧」を削除させるため、関係行政機関へ働きかけるとともに、差別煽動の禁止をはじめ差別を禁止する法制度の整備にとりくんでいく。

2016年4月13日
                                                                           
部落解放中央共闘会議

部落解放共闘情報bQ17(2016,2,9)

安倍政権の暴走を止め人権・平和・民主主義をうちたてよう
−部落解放共闘第32回全国交流会、全国共闘第32回総会−

 12月2日から3日にかけて、部落解放共闘第32回全国交流会と部落解放地方共闘全国連絡会議第32回総会が横浜市内のワークピア横浜で開催され、21府県9中央団体から100名が参加した。
 午後2時から始まった全国交流会は、加藤栄二・連合連帯活動局部長の司会で進行。主催者あいさつで組坂繁之・全国共闘議長は、日本を戦争に引きずり込む安倍政権の暴走を止めるため、参議院選挙に全力で取り組むことを呼びかけた。そして安倍政権を倒し「人権侵害救済法」制定の展望を切り開くとともに、正念場にある狭山事件の再審実現のとりくみを強化しようと訴えた。
 つづいて連合を代表して南部美智代・副事務局長があいさつ、就職差別撤廃の取り組みを前進させるためにも「人権侵害救済法」が必要だとのべ、中央共闘と連携し取り組みを強化する決意を語った。また参議院選挙に総力を挙げ、安倍政権の暴走にストップをかけたいとのべた。
 そのあと連合神奈川の柏木教一・会長が連帯のあいさつをおこない、就職差別撤廃について神奈川労働局に連名で要請をおこなっていることにふれ、神奈川県共闘と今後とも連携をしていきたいとのべた。
 地元の神奈川県共闘からは田中剛・議長が、神奈川県共闘の活動を紹介しながら歓迎の挨拶をのべた。
 交流会の基調は清水秀行・中央共闘事務局長が提案。安倍政権のもとでの人権・平和・民主主義の危機、格差と貧困の拡大、差別・排外主義の台頭という情勢にふれながら、「人権侵害救済法」など人権政策の確立、狭山事件の再審実現、就職差別撤廃などの課題を提起した。
 そのあと「『同和対策審議会』答申50年、その意義と今後の課題」と題して、西島藤彦・部落解放同盟中央書記長が講演をおこなった。
 活動交流では、新潟県共闘の長谷川均・事務局長、三重県民会議の吉川秀治・議長、大阪府民共闘の山根健二・事務局次長、広島県共闘の藤本講治・事務局長、福岡県民会議の辻傑・事務局長から取り組み報告を受けたあと、意見交換をおこない、高橋定・中央共闘事務局次長が1日目のまとめのあいさつをおこなった。夜は夕食を囲んで交流をおこなった。
 2日目は、『身元調査の実態と本人通知制度の普及』について片岡明幸・部落解放同盟財務委員長から特別報告を受けた。
 全国共闘第32回総会
 部落解放地方共闘全国連絡会議第32回総会は、総会議長に梶原洋一・岡山県共闘議長を選出。はじめに組坂繁之・議長があいさつ、「安倍政権の暴走を何としても止めなければならない。力をあわせて人権、平和、民主主義、環境を打ち立てる闘いを頑張りぬこう」と訴えた。
 活動報告と総括提案を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を竹内広人・事務局次長、会計監査報告を中島修・会計監査がおこない、一括して拍手で採択された。
 方針案は清水・事務局長が提案、予算は竹内・事務局次長が提案し、一括して拍手で採択された。役員提案は北ア衛・事務局次長がおこない、拍手で承認された。
 新役員を代表して組坂・議長があいさつ、最後に加藤・事務局次長が閉会の挨拶をおこない組坂・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。

≪部落解放地方共闘全国連絡会議・新役員≫
                                
議   長  組 坂 繁 之  部落解放同盟委員長
副 議 長  佐 藤 寛 人  九州ブロック県民会議議長
副 議 長  山 田    清  近畿ブロック連絡会議議長
副 議 長  山 ア 秀 一  四国ブロック共闘会議議長
副 議 長  塩 谷 正 明  関東甲信越ブロック連絡会議議長
副 議 長  豊 田    弘  愛知県共闘会議議長
副 議 長  佐 古 正 明  広島県共闘会議議長
事務局長  清 水 秀 行  中央共闘事務局長
 〃 次長  加 藤 栄 二  中央共闘事務局次長  
 〃 次長  高 橋    定  中央共闘事務局次長  
 〃 次長  竹 内 広 人  中央共闘事務局次長
 〃 次長  北 ア    衛  中央共闘事務局次長
 〃 次長  木 村 敬 一  中央共闘事務局次長
常任幹事(各ブロックの労組側から1名、解放同盟から1名)
関東甲信越 村 田 修 司 関東甲信越ブロック連絡会議事務局長
  〃     片 岡 明 幸  解放同盟関東甲信越ブロック議長
東  海   中 村 武 志  三重県民会議副議長
  〃     田 中    仁  解放同盟三重県連書記長 
近  畿   西 岡    裕  兵庫県民共闘事務局長
  〃     赤 井 隆 史  解放同盟大阪府連書記長
中  国   小野田 義 明  岡山県共闘事務局長
  〃     竹 内 哲 也  解放同盟島根県連書記長
四  国   富 永 裕 史  徳島地方共闘副議長
  〃     松 岡 芳 生  解放同盟愛媛県連委員長
九  州   西 村 芳 樹  九州ブロック県民会議事務局長
  〃     山 口    渉  解放同盟九州ブロック副議長
会計監査  蓼 沼 宏 幸  神奈川県共闘議長代行
  〃     金 子    彰  埼玉県共闘会計


人権・平和・環境を基軸に部落解放運動の新たな展望を
−部落解放研究第49回全国集会−

 11月10日から12日にかけて、部落解放研究第49回全国集会が大分県別府市のビーコンプラザで開かれ、全国から5596人が参加した。集会のメインテーマは、「『同和対策審議会』答申50年をふまえ、人権・平和・環境を基軸にした部落解放運動の新たな展望を切り拓く理論研究と実践交流を進めよう」。
 清水秀行・集会実行委員会事務局次長(中央共闘事務局長)が開会あいさつをおこない、戦争法など危険な情勢にふれ、反人権主義と闘い人権が尊重される社会実現へ、理論・実践を交流し、明日からの運動に活かしていこうと呼びかけた。
 主催者あいさつで組坂繁之・実行委員長(部落解放同盟委員長)は、「人権なくして平和なし、平和なくして人権なし」を合言葉に取り組みを進めようと呼びかけた。
 シンポジウム「『同和対策審議会』答申50年とこれからの部落解放運動」では、答申の内容とその意義が語られ、差別の存在を認め、差別撤廃への国家責任を明らかにし、「寝た子を起こすな」論を否定したことなどが強調された。また、行政責任、差別禁止法、「人権侵害救済法」制定の必要性など、答申を今日の取り組みに活かすことが呼びかけられた。
 2日目は7つの分科会やフィールドワークが開催され、各地の実践や先進的事例に学び、各課題の内容への理解を深めた。
 記念講演では、村山富市・元内閣総理大臣が「戦後70年とこれからの日本を考える」をテーマに、「村山談話」の背景なども語りながら、「戦争をする国」へとつきすすむ安倍政権を批判した。
 大分県における部落差別の現状と部落解放運動の課題」について吉富博見・部落解放同盟大分県連書記長が地元報告をおこなった。

危機的な人権状況に抗し人権の法制度確立を
−世界人権宣言67周年記念東京集会−

 12月8日午後、世界人権宣言67周年記念東京集会が東京・日本教育会館ホールで開催され、労働組合からの83人をはじめ、企業、行政、教育関係、宗教者、市民など550人が参加した。主催は世界人権宣言中央実行委員会。
 はじめに主催者を代表して西島藤彦・実行委員会事務局長があいさつ、新自由主義、ナショナリズム、民族排外主義の世界的台頭のなか、日本でも「70年前の戦争から、基本的人権を、平和な日本をと誕生した日本国憲法がさまざまなところで揺らいでいる。ナショナリズムが高まり全国各地でヘイトスピーチも絶えないし、一部では激化している」と指摘、世界人権宣言の精神をしっかりと共有し取り組んでいこうと呼びかけた。
 そのあと哲学者の内山節さんが「これからの世界と日本を考える」と題して講演。近代的社会が限界を迎え、様々な価値観が生まれてきていることを紹介、ローカル世界の創造、地域主義など、世界の作り直しへの動きについて語った。
 つづいて特別報告として有田芳生・参議院議員が「人種差別撤廃施策推進法」をめぐる取り組みを報告した。有田さんは、ヘイトスピーチは「差別煽動」であり、差別される側にとっては暴力そのものであるとのべ、日本が1995年に批准した「人種差別撤廃条約」に対応する国内法の制定が必要だと強調した。
 なお、世界人権宣言67周年記念大阪集会も12月4日に大阪市東成区民センターで開かれ、400人が参加した。

□ 狭山事件の第26回三者協議の概要 □

 12月21日午後、狭山事件の第26回三者協議が東京高裁内でおこなわれた。
 それに先立ち検察側は12月11日付けで意見書を提出、弁護側が開示を求めていた証拠物4点について、必要性・関連性がないとして開示を拒んだ。また「車の追いこし」や「車の駐車」関係の証拠については、検察官が「不見当」という回答をくりかえし、弁護団は、存在しないというのなら理由や事情の説明を、と追及した。
 弁護団の指摘を受け植村裁判長は、裁判所は従来から秘密の暴露にかかわる証拠開示が重要と考えている、開示の方向で検討してほしいという基本姿勢は変わらないと表明した。
 次回第27回三者協議は3月上旬の予定。
 弁護団は同日、証拠開示された取調べテープにもとづく補充書2通を提出した。1通は、石川さんが警察官に教えられながら、ひらがなを1字1字確認し書いている実態や誤記などを指摘し、石川さんが脅迫状を書けなかったことを明らかにしたもの。もう1通は、取調べテープで石川さんが殺害方法や死体処理という核心部分の犯行内容を語れていないことを指摘し、自白の信用性がないことを明らかにしたもの。

□ 再審を求め石川さんが東京高裁前でアピール □

 狭山事件の再審を求めている石川一雄さんは、1月14日で77歳になった。今年は事件発生、不当逮捕から53年目、確定判決となっている東京高裁・寺尾判決から42年目となる。
 石川一雄さんが東京高裁前で続けているアピール行動は、第26次行動として11月27日、12月3日、12月11日、12月17日の朝と昼の2回づつおこなわれた。足利事件で再審無罪になった菅家利和さん、布川事件で再審無罪の桜井昌司さんも応援にかけつけている。
 12月17日は、東京、埼玉、千葉、山梨、滋賀、大阪、徳島から解放同盟員や住民の会、共闘、労組、フェイスブックや個人参加のなかまなど30人が参加、菅家さんと桜井さんも参加した。
 石川一雄さんは、「検察官の証拠隠しで狭山事件はますます先延ばしになっている」と証拠開示の実現を中心にアピール。「裁判官が開示勧告した証拠を出していただきたい。また開示された証拠物リストに載せていない証拠もまだあるのではないか。検察官がそのすべてを出し、裁判長が再審開始を決定するように、これからも私はこの場に立ち訴え続けたい」と決意をのべた。
 石川夫妻をはじめ、桜井さん、菅家さん、各地からの参加者が次々とマイクを握り訴え情宣活動をおこなった。第27次アピール行動は、1月29日、2月19日、26日。

□ 大阪市がヘイトスピーチ対処の条例を制定 □

 1月15日夜、大阪市議会で「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が、自民党以外の賛成多数で可決成立した。ヘイトスピーチ対策の条例制定としては全国で初めてである。
 条例では、市民団体などが求めた表現規制や罰則は設けられなかった。
 条例では、ヘイトスピーチを「特定の人種や民族を社会から排除する目的で、不特定多数が内容を知り得る場所や方法によって誹謗中傷する」表現活動と定義した。
 被害を受けた市民からの申し立てをうけて、法律専門家などでつくる審査会が表現内容を調査し、ヘイトスピーチだと判断すれば、市長が表現者の名称を公表する。また市長は、そのヘイトスピーチの拡散防止の措置をとる。
 条例案には当初、被害者に訴訟費用を貸し付ける規定もあったが、反対意見もあり削除された。審査会の委員の選任も市議会の同意が必要と修正された。
 現在国会では、ヘイトスピーチの規制に関する法律案を民主、社民などの国会議員が参議院に提出、継続審議になっているが自民党の抵抗が強い。今通常国会で審議が進むよう働きかけていこう。

□九州ブロック県民会議が第20回総会・交流会を開催□

 2月2日から3日にかけて、部落解放九州ブロック県民会議第20回総会・交流会が宮崎県・労働福祉会館で開催され68人が参加した。
 主催者あいさつで佐藤寛人・九州ブロック議長は、紛争・テロが相次ぐ国際情勢や安全保障関連法の強行採決を批判しながら、戦争は最大の人権侵害だと強調した。また、子どもの貧困問題や不安定雇用と低賃金の解決、正念場の狭山再審のとりくみ、同対審答申の精神を活かすことを訴えた。
 そのあと議事にはいり、西村芳樹・九州ブロック事務局長が経過報告、会計報告、活動方針案、予算案を提案し、それぞれ採択された。新役員は、佐藤議長(大分県民会議議長)、西村事務局長(福岡県民会議議長)をはじめとする役員を選出した。
 第2部の講演学習会では、「運動とともに」と題して山ア克彦・部落解放同盟宮崎県連委員長が講演、結婚差別を受けたこと、子ども会の活動、労働組合の活動の中での差別事件などの経験を語り、差別意識が根強い現実の中で、逃げずに差別と闘うことの大切さを強調した。
 2日目は、宮崎の戦跡をめぐるフィールドワークで、第二次大戦中に日本の海外侵略を正当化するスローガンとして用いられた「八紘一宇」の文字がきざまれた「平和の塔」、戦時中に爆撃を避けるために飛行機を隠した掩体壕、宮崎の基地から出撃した特攻隊などの慰霊碑を見学した。

□ 部落解放共闘 東海ブロック研修会を開催 □

 12月9日、「第3回部落解放共闘東海ブロック研修会」が三重県桑名市深谷市民館で開催された。今回は三重が幹事県となり、三重県共闘会議から13名、愛知県共闘会議から16名、岐阜県共闘会議から2名が参加した。
 まず、幹事県である三重県共闘会議の吉川秀治議長があいさつ、「部落問題をはじめ、障がい者や男女差別などあらゆる人権課題について積極的に取り組んでいきたい」と決意をのべた。続いて愛知県共闘の豊田弘議長、岐阜県共闘の大矢浩議長も挨拶をおこない、そのあと各県の取り組みを報告し合い交流した。
 学習会は、部落解放同盟三重県連深谷支部の伊藤支部長より、深谷における歴史とこれまでの取り組み、桑名市と連携した生活実態調査の取り組みなどの説明を受けた。
 そのあと深谷地区のフィールドワークをおこない、同和対策で整備された墓地、火災に巻き込まれた現場や隣保館など、説明を受けながら見学をした。
 最後に、あらゆる人権問題に対する見識を高めていくためにも、引き続き東海ブロックで研修会を開催していくことを確認し閉会した。

子どもの貧困やいじめへ早期対応・財政的支援強化を
−大阪府民共闘が大阪府と教育交渉−

 部落解放大阪府民共闘会議と同教育部会は11月27日、大阪市の大阪赤十字会館で2015年度大阪府教育交渉を大阪府とおこなった。交渉には、大阪教組、全港湾、I女性会議、ふぇみん大阪、解放同盟、能勢共闘などから約60人が参加した。
 交渉の進行を後藤なつき副議長(教育部会代表・大阪教組)が担当、交渉団を代表して石子雅章議長(自治労)があいさつし、「大阪を差別のない人権感覚あふれる街にするには、教育の果たす役割が極めて重要だ」と指摘した。さらに、大阪での児童虐待の相談件数が全国1位であったことや生活保護受給率、就学援助率も高いことへの懸念を示し、「子どもの貧困は親の貧困と直結しており、傷つき、不安定にある子どもたちにしっかりと寄り添い、教育の機会均等が保障されるよう施策の充実を」と強調。また人権感覚の育成について、管理職の研修強化や「パワハラ問題」についても厳しく対策の強化を求めた。
 これに対し、向井正博教育長は教育を取り巻く厳しい情勢についての認識をのべるとともに、「経済格差の拡大で子どもの貧困が進行しているが、一人ひとりの子どもたちが置かれている環境に関わらず必要な知識と技能を身につけ、チャレンジできる力をはぐくむことが重要。すべての学びを大切にして、自尊感情の育成、学力の向上、自己実現の支援にしっかりと取り組んでいく」とのべた。
 また、「教職員の豊かな人権感覚の育成へ初任者をはじめ管理職等に対して資質向上のための研修を実施し、人権問題への理解を深めるなど主体的に学習が深められるよう内容充実に取り組む。解放共闘からの意見を聞き、今後の施策に生かしていきたい」と回答した。
 要求書が手渡された後、37項目の基本要求について、現場や参加組織からの実態報告や問題提起、要望がおこなわれた。
 特に、子どもの貧困問題について、フードバンク活動で見えてきた子どもの状態は、将来に希望や夢がもてないでいることや、家庭崩壊で食事をまともに取れない子どもやひとり親の厳しい実態などを報告。地域でおこなわれている「こども食堂」への支援や地域・家庭・学校の連携した取り組みが大切であることが訴えられた。さらに、実態を踏まえたきめ細かい行政的支援策やがんばっている現場への人的・財政的支援強化を強く求めた。
 また、教科書採択に関わる審議経過、採択結果など公表、パワハラ・セクハラ・体罰での人権侵害防止策と組織的対応システム、管理職(民間校長含め)の人権研修強化、リバティおおさかを「あらゆる差別をなくすための教育」推進のための積極的活用方策など対応も求めた。
 まとめとして、高橋定事務局次長(解放同盟)から「3年ぶりの教育長出席での交渉となったが、様々な課題を抱える子どもたちと寄り添い、現場の想いを受けとめ着実に実践をしていただきたい」と要望して交渉を終えた。

□ 広島県共闘が現地研修会で解放運動の歩みを学ぶ □

 11月28日、部落解放広島県共闘は「部落問題学習会・フィールドワーク」を尾道市人権文化センターで開催し36人が参加した。
 開会にあたり、広島県共闘の石岡修・事務局長があいさつ、「アリさんマークの引越社の採用差別・差別的労務管理の真相究明」に関して、県共闘が広島労働局に対して申し入れをおこなったことに触れ、「労働争議を切り口にして在日コリアンや被差別部落は採用しないなど企業の差別体質が内部告発された。日本の社会構造の中で差別が利用される現実が明らかになった。私たちは、原点に返って部落解放運動に学んでいくことが労働者に課せられた課題である。本日の学習会で学んだことを持ち帰って運動に活かしていこう」と呼びかけた。
 参加者は、解放運動の歩みを紹介した人権文化センター内にある展示室を見学、解放運動によって環境改善された北久保地区を現地視察した。
 そのあと、部落解放同盟尾道市協議会の泉谷等・議長から「北久保地区の差別からの解放を求める運動の歴史」と題して講演を受けた。泉谷さんはパワーポイントを使い映像を映し、住宅、共同浴場、保育所、解放センター、女性が働く作業所の建設闘争、差別事件などについて詳しく説明。「当初、あきらめの意識や『寝た子を起こすな』の意識であった仲間も運動の中で意識変革されてきた。これからも運動の灯を消さないよう頑張っていきたい」と力強く語った。

部落解放共闘情報bQ16(2015,11,17)

証拠開示をバネに事実調べ、再審を勝ち取ろう
−狭山事件の再審を求める市民集会−

 10月30日午後、「狭山事件の再審を求める市民集会〜不当有罪判決から41年!いまこそ事実調べ・再審開始を」が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から3000人が参加した。
 部落解放同盟の組坂繁之・委員長が開会のあいさつをおこない、石川さんの無実を証明する新証拠も積み重ねられてきており、来年は裁判所が何らかの答えを出すと期待したいと語った。
 民主党、社民党の国会議員からの連帯のあいさつのあと、石川一雄さんが白内障の手術後の眼帯も取れ元気な姿で登壇、早智子さんとともに「第3次で再審実現できるよう力いっぱい頑張りたい」と決意を語った。
 弁護団報告で中山武敏・主任弁護人は、三者協議が始まってから185点の証拠が開示され、それらをもとに新証拠・鑑定を提出してきたと述べ、「皆さんの支援が証拠を開示させてきた」と強調した。
 集会基調は片岡明幸・部落解放同盟財務委員長が提案、「開示された取調べの録音テープからも石川さんが事件を何も知らないことが良くわかる」とのべ、もう少し時間はかかると思うが、証拠開示をさらに進めるため世論を高めようと訴えた。
 そのあと足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、袴田巌さんの姉・秀子さんなど、冤罪関係者も石川さんの無罪獲得へ連帯して闘うとアピールをおこなった。
 精神科医の香山リカさんも駆けつけ共に闘うアピールをおこなった。
 最後に集会アピールを部落解放京都地方共闘会議の松田國広・議長が提案し全体の拍手で採択した。
 集会のまとめを狭山事件の再審を求める市民の会の鎌田慧・事務局長がおこない、「民主主義の実現の前には大きな壁が立ちはだかるが、冤罪被害者がともに闘う形ができてきた。若い人、知らない人にも呼びかけ、来年に向けてがんばっていこう」と呼びかけた。
 集会後、参加者は都内をデモ行進し、石川一雄さんの無実と再審開始を訴えた。

厳然と存在する部落差別の実態を訴え、国の姿勢を明確に
−部落解放・人権政策確立中央集会・行動−

 10月29日午後、部落解放・人権政策確立要求第2次中央集会が東京・ニッショウホールで開催され、全国から574人が集まった。
 開会あいさつは部落解放同盟の組坂繁之・委員長がおこない、人権問題はほんらい超党派で取り組むべき課題だと強調、「同和対策審議会」答申50年をふまえ人権政策確立の取り組み強化を呼びかけた。
 主催者あいさつを中西啓寶・中央実行委員会会長(高野山真言宗管長・代読)がおこない、「戦後70年を迎えた今年、各宗教教団から非戦決議や代表者の談話などが出されている。戦争は最大の差別。平和こそ平等実現の基本だ」「部落解放・人権政策確立へ、平和と民主主義を守る、あらゆる差別を許さないすべての仲間の統一的な闘いをすすめよう」と呼びかけた。
 来賓として、自民、民主、公明、生活、社民の各党の国会議員があいさつ、ヘイトスピーチの対策法案の成立や人権救済制度の確立への決意をのべた。
 基調提案は、部落解放同盟の西島藤彦・書記長がおこない、「ヘイトスピーチ禁止を盛り込んだ『人種差別撤廃施策推進法案』は継続審議になったが、法的規制を求める地方議会決議は20都府県と199市町村で採択されている。戸籍等個人情報の不正取得を防止する『本人通知制度』は600自治体に広がっている」とのべ、取り組みの強化を訴えた。また、人権救済制度確立とともに部落差別は社会悪だという国の姿勢を明確にさせる法的措置が必要だと語り、厳然と存在する部落差別の実態を各政党・国会議員に訴えていこうと呼びかけた。
 各省交渉や議員要請行動などの行動提起を連合の大木哲也・連帯活動局長がおこなったあと、同和問題に取り組む宗教教団連帯会議の松岡順海・事務局長が閉会のあいさつをおこない、東京人権啓発企業連絡会の山岡尚哉・理事長の音頭で団結ガンバロウをおこない集会を締めくくった。

□ 中央共闘が狭山事件で東京高裁、高検に要請行動 □

 狭山事件の再審を求め9月18日午後、部落解放中央共闘会議は東京高裁と東京高検に対して要請行動をおこなった。清水秀行事務局長(日教組)をはじめ連合、JP労組、自治労、情報労連、NTT労組、部落解放同盟から10人が参加した。
 高裁、高検ともに、清水事務局長が要請書を手渡し、趣旨を説明する形で要請をおこなった。高裁では刑事訟廷管理官等2名が対応、高検では公判事務課係長など2名が対応した。
 東京高裁では、大木哲也・連合連帯活動局長が「証拠開示の加速を期待している。石川さんはすでに76歳。一刻も早い解決を。弁護団が提出した新証拠や鑑定の事実調べを早期に実現してほしい」と訴えた。高橋定・部落解放同盟共闘部長も、「部落差別にもとづく冤罪事件だ」と強調、「脅迫状」と「上申書」の写真を示し石川さんがまともに字を書けなかったことを訴えた。
 東京高検では、大木・連合連帯活動局長が「不見当とされる証拠についてもう一度調べてほしい。正義と真実を追求する姿勢を示してほしい」と訴えた。また清水・事務局長は、「様々な冤罪事件が明らかになっているが、狭山事件の証拠開示の進み方が遅い。早期解決を」と訴えた。
 高裁と高検で対応した事務官は、それぞれ要請の趣旨を裁判官と検察官に伝えることを約束した。

□ 狭山事件の第24回・第25回三者協議の概要 □

 7月27日、東京高裁で狭山事件の第24回三者協議が開かれ、東京高裁第4刑事部の植村稔裁判長と担当裁判官、東京高検の担当検察官、中山主任弁護人など11人の弁護士が出席した。
 今回の三者協議は、狭山事件を担当する東京高裁第4刑事部の河合健司裁判長が、6月29日付けでさいたま地裁所長に移動し、植村稔裁判長に交代して初めての三者協議となった。
 三者協議に先立って7月21日付けで捜査報告書1点が証拠開示された。第2審・確定判決で、「脅迫状を届ける途中の鎌倉街道で自動三輪車に追い越された」という石川さんの自白が捜査の結果、Yさんの運転する自動三輪車だと判明したとして「犯人しか知り得ない秘密の暴露」にあたるとして、有罪証拠の一つとされた。しかし今回開示された5月7日付けの捜査報告書の内容には、5月1日(事件当日)午後7時ごろの「Yさんの自動三輪車の鎌倉街道走行」が記載されており、自動三輪車に追い越されたということを石川さんが自白した6月21日より1ヶ月以上前に捜査当局が把握しており、「秘密の暴露」と言えないことが明らかになった。
 弁護団は7月24日、このことについて新証拠として提出した。
 また同日、弁護団は、「万年筆発見」のきっかけとなった「略図」について、赤外線撮影で明らかになった改ざんの痕跡について新証拠として提出した。「万年筆」のねつ造については、2度の家宅捜査で発見されていないこと、万年筆のインクの色が違うこと、などこれまでも新証拠として提出されている。
 第24回三者協議では、植村裁判長が、証拠物や客観的な証拠は開示してほしいし、プライバシーの問題があるというのであれば、まず裁判所に提出し、裁判所が判断するという、前裁判長がとった方法を踏襲することを表明した。
 10月9日午後、狭山事件の第25回三者協議がおこなわれ、石川さんが逮捕された直後におこなわれたポリグラフ検査のチャート紙2点が開示された。ポリグラフ検査とは、警察官の質問に容疑者が答えた時の呼吸、血圧や脈拍、皮膚の電気反応等を測定する検査で、俗に「ウソ発見器」などと呼ばれるもの。弁護団は、これまで開示された取調べ時の録音テープとあわせて分析していくとしている。
 また、弁護団が開示請求している筆跡関係4点の証拠について、裁判長は検察側に開示を促した。
 第25回三者協議に先立つ10月5日、検察官は意見書を提出すとともに2点の証拠を開示した。意見書で検察官は、鎌倉街道での自動車の追い越しに関して弁護団が求めた証拠をすべて「不見当」と回答した。開示された証拠は、石川さん宅の家宅捜査に従事した小島元警部から検察官が1987年に聴取した供述調書と、そのさいの検察官のメモ。
 次回の三者協議は12月下旬の予定。

連合が「人権フォーラム2015」を開催
−前段に上野駅前で街頭宣伝も−

 6月29日、連合主催の「人権フォーラム2015」が東京・全電通労働会館で開かれ、労働組合員など300人が参加した。
 はじめに、連合の神津里季生・事務局長が主催者を代表してあいさつ、拉致問題の現状を訴えるとともに、狭山事件について「事件発生から52年。昨年の毎日映画コンクールの受賞を契機に1日も早い再審開始につながることを願ってやまない。引き続き連携を深めながら取り組みを強化したい」と決意表明。連合として08年に実施した採用選考に関するアンケート調査の2回目を実施する決意ものべた。
 そのあと「北朝鮮による拉致問題の現状と課題」と題して、拉致被害者家族連絡会の増元照明さんが講演、再調査と引き換えに制裁措置の一部を解除した政府を批判、再調査が「拉致被害者の命を危機にさらしている」「家族会は被害者の帰国だけを望んでいる」とのべた。つづいて、UIゼンセンの伊本博志・特別執行委員が労働組合としての取り組みを報告した。
 つづいて、「狭山事件に象徴される冤罪と今後の対応」と題したパネルディスカッションがおこなわれた。ドキュメンタリー映画「SAYAMA」で毎日映画コンクールのドキュメンタリー映画賞を受賞した映画監督の金聖雄さん、狭山事件の冤罪被害者である石川一雄さんと妻の早智子さんがパネラーとなって、山根木晴久・連合総合組織局長が進行した。
 映画を短く編集した「予告編」を鑑賞したあと、金監督は映画を撮ったきっかけについて、石川さんが理不尽な体験を重ねているにもかかわらず「自分は不運であるが不幸ではない」と言い、夫婦が明るく生きている理由を探るためと説明した。そのうえで「夫婦の日常や凛とした生き方を見れば、石川さんが殺人を犯していないことが理解できる。ぜひ映画を見てほしい」と語った。
 石川一雄さんは、獄中で読み書きをおぼえたことを語り、証拠開示が少しずつ進んでいる現状を報告、再審開始に向けた支援を訴えた。
 まとめで小川裕康・連合副事務局長は、「拉致と冤罪、どちらも日本が抱える大きな人権問題。人権は社会生活の基本である。連合は人権侵害の廃絶と救済制度の確立、就職差別を許さない社会づくりに取り組む」と運動の展開を呼びかけた。
 また連合は同日午後、上野駅前に街宣車を止め、ビラを配布しながら街頭宣伝活動をおこなった。連合の神津事務局長、拉致被害者家族連絡会の増元照明さん、狭山事件の石川一雄さんが街宣車の上からアピールをおこなった。

□ 就職差別撤廃で第1回の新潟県集会 □

  6月17日、第1回就職差別撤廃新潟県集会が新潟市のユニゾンプラザで開催された。集会は、部落解放同盟新潟県連や同和問題にとりくむ新潟県連帯会議、部落解放新潟県共闘会議などでつくる実行委員会が主催、県内の労働組合や企業、行政、教育関係者ら約400人が参加した。
 集会では、元環境事務次官で済生会の炭谷茂理事長が基調講演をしたほか、労働行政や教育現場での採用選考の現状や課題が報告された。
 炭谷理事長は、雇用をめぐる現状の変化を指摘、なかでも同和地区や同和地区出身者にたいする就労状況は改善していない、むしろ悪化しているのではないかと指摘。また、1999年に職安法の改正とともに、社会的差別の原因となる個人情報を求職時に収集する事の禁止や新規高卒者にたいする統一応募用紙の使用の法定化がされたが、違反事例は続発。今後大卒者にたいする取り組み拡大も課題だとのべた。公正な採用選考が行われない背景に人権意識の欠如を挙げ、「人権尊重は企業として当然の行動」と訴えた。
 新潟労働局は、採用選考でプライバシーの侵害に当たる事例が多くあることをのべ「公正な採用選考は応募者だけでなく、企業の利益にもつながる」ことを指摘し、差別のない採用選考の実施を求めた。
 また、「県内高校生の進路保障の現状と課題」について報告した新潟県同和教育研究協議会の山林満さんは、2013年度に就職活動した県内の高校生を調査したが、家族構成を聞くなどの不適切な面接が377件、統一応募用紙以外の書類提出を求めた事例が597件あったと、ゼロにならない現状を指摘した。
 最後に、閉会あいさつを部落解放新潟県共闘会議の齋藤悦男議長がおこなった。

□ 近畿ブロックと九州ブロックの共闘会議が交流集会 □

 8月29日から30日にかけて、部落解放共闘近畿・九州ブロック第29回交流会が大分市内のオアシスタワーホテルで開かれ197人が参加した。
 まず九州ブロックの村田正利議長(大分県民会議議長、連合大分会長)があいさつ、「戦後70年、『同和対策審議会』答申50年、『部落地名総鑑』事件40年の節目の年。原点に返り取り組み強化を」と訴え、「世界人権宣言は2度の大戦の反省から生まれた。戦争は最大の人権侵害だということを忘れてはならない」と安倍政権の動きを批判した。
 また近畿ブロックの山田清議長(滋賀県民会議議長、連合滋賀会長)は、「格差拡大で人権無視の社会に突き進む流れに歯止めをかけるためにも労働法制改悪に反対を」と訴えた。
 つづいて高橋定・中央共闘事務局次長と大分市長が来賓として激励の挨拶をおこなった。
 そのあと、「大分県における解放運動の現状と課題」について、部落解放同盟大分県連の山本五十六副委員長が講演、大分県における部落解放運動の歴史や現在取り組んでいる「本人通知制度」導入の取り組みを紹介した。
 交流会の基調を西村芳樹・九州ブロック事務局長が報告したあと、九州ブロックの活動を佐々木義博・熊本県民会議事務局長が報告した。近畿からは大阪府民共闘の表西貴文・部落解放同盟大阪府連執行委員が、リバティおおさか存続の闘いやヘイトスピーチ規制条例制定の取り組みについて報告した。
 そのあと「部落地名総鑑差別事件から40年をむかえて」と題して、赤井隆史・部落解放同盟大阪府連書記長が講演、ヘイトスピーチや最近おこった差別文書連続大量バラマキ事件などにもふれ、差別禁止の法制度確立が必要だと強調した。
 2日目は、別府市の「的ヶ浜焼打ち事件の真相」、杵築市の「浅黄半襟かけ拒否逃散一揆」の2コースに分かれてフィールドワークをおこなった。

□ 四国ブロック共闘が交流集会 □

 11月7日から8日にかけて、部落解放地方共闘四国ブロック交流集会が愛媛県松山市で開催され40人が参加した。
 集会は大原英記・愛媛県共闘議長の司会で進行、主催者を代表して山ア秀一・四国ブロック議長があいさつ、今日の社会の中で部落差別が陰湿化しているとの認識を示し、部落解放運動はヘイトスピーチなども含めあらゆる差別撤廃の先頭に立つこと、狭山の闘いもあらゆる冤罪の先頭に立つ取り組みだと述べ、共闘の強化を呼びかけた。つづいて来賓として岡戸裕・中央共闘常任幹事が連帯と激励の挨拶をのべた。
 そのあと、「憲法と立憲主義、人権」と題して、井口秀作・愛媛大学法文学部教授が講演、憲法と集団的自衛権や人権についてわかりやすく説明をした。また質疑のなかで、神社本庁が憲法改正の署名をおこなっているが、改正内容を示さない署名であり、雰囲気で改正を問うという危険なものであり、世論調査にも似たようなものが多いと批判し、警戒を促した。
 松尾幸弘・愛媛県共闘事務局長のフィールドワークの事前説明のあと、各県共闘からの報告を受け交流をおこなった。
 2日目はフィールドワークで、愛媛県内における水平社発祥の地と、高松差別裁判の抗議集会が開かれた場所を訪れ、愛媛県における部落解放運動の歩みや、先人たちの闘いに学んだ。
 来年は高知県で開催する予定。

□ 三重県民会議が役員研修会を開催 □

 10月2日から3日にかけて、部落解放三重県民会議の「役員研修会」が開催され、県民会議役員や連合三重国民運動検討委員会委員から21名が参加した。
 初日は、徳島県労働福祉会館で部落解放徳島共闘会議との懇談を開催。徳島共闘会議の狭山事件を軸にした人権運動の取り組み報告をはじめ、徳島における部落差別の歴史と現状などについて学んだ。
 2日目は、阿南市にある柳島隣保館を訪問。柳島隣保館の笹川館長から、地域における人権課題の歴史と現状などの説明を受けた後、「人間性の回復のために、柳島に住む子供たちに地元に誇りをもってもらいたい」という思いで始めた『フォールドスタディー』に参加。隣保館の近くのある文化が渡ってきた橋と言われる文化橋、教育集会所跡地、会堂の跡地、中野島小学校跡地などの説明を聞きながら、柳島の歴史を学んだ。
 また、行きのバスの中で映画学習として「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」を観賞、狭山事件の現状と課題や今後の取り組みなど、改めて振り返る機会となった。

□ 長野県民共闘が「2015人権長野県集会」を開催 □

 9月5日、部落解放長野県民共闘は、松本市の波田文化センターで「みんなで考えよう!差別と人権〜2015人権長野県集会」を開催、148名が参加した。集会の開催にあたって、県民共闘では一般参加者を広く募り、新聞広告やチラシ、ホームページ等で集会の宣伝をおこなっており、今年は20%、昨年は25%が一般参加だった。
 第1部は「ある精肉店のはなし」の映画上映で、大阪で7代にわたり家族で牛を育て、手作業でと畜をおこない、その肉を販売し生計を立ててきた精肉店を描いたドキュメンタリー映画を鑑賞した。
 牛がと畜場へとひかれていき、ノッキングハンマーでの一撃、ナイフ一本で肉をさばいていく姿は見事の一言。そんな映像から、いかに命を大切に丁寧に扱っているかが伝わってきた。
 第2部の纐纈(はなぶさ)あや監督の講演では、「悪意はないが、と畜場の仕事について残酷という人がいる。それは『食べるおこない』と『と畜』の仕事が遠い、自身とは関係ないものと捉えられている背景からくる。『残酷』というならそれは『食べること』」との言葉が印象に残った。


部落解放共闘情報bQ15(2015,6,22)

証拠開示をバネに事実調べ・再審開始を
−狭山事件の再審を求める市民集会−

 5月21日午後、「不当逮捕52年!証拠開示をバネに事実調べ・再審開始を」をスローガンに狭山事件の再審を求める市民集会が開催され、会場となった日比谷野外音楽堂には3千人が集まった。
 集会は、フォークグループ・元「六文銭」の四角佳子さんのミニコンサートでオープニング。開会あいさつを部落解放同盟の組坂繁之・委員長がおこない、民主党の福山哲郎・幹事長代理、社民党の福島瑞穂・副党首が連帯のあいさつをおこなった。
 石川一雄さんと早智子さんも登壇し、「犯行現場とされる雑木林の近くで農作業をしていたOさんの証人調べを実現してほしい」と事実調べを強く求めるとともに「大きな山場を迎えている。一層の支援をお願いしたい」と訴えた。
 狭山事件弁護団からは、「証拠開示された取調べ録音テープの分析で、あらためて自白の誘導があったことが明白となった」ことなど、証拠開示によって闘いが前進していることが報告された。
 基調提案は西島藤彦・部落解放同盟書記長がおこない、再審闘争が重大な山場を迎えているとのべ、署名活動、要請ハガキのとりくみや映画「SAYAMA」の上映運動を展開し、世論を盛り上げようと呼びかけた。
 そのあと、足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さん、桜井昌司さん、袴田事件の袴田巌さんと姉の秀子さんが、それぞれの体験を語りながら、石川一雄さんの無罪獲得まで共に闘うと連帯のあいさつをおこなった。
 集会アピールを部落解放長野県民共闘会議の徳武淳・事務局長が提案、満場の拍手で採択された。
 最後に清水秀行・中央共闘事務局長の音頭で団結ガンバローを三唱し、常盤橋公園までデモ行進をおこない、再審実現を訴えた。

現地を歩き石川さんの無実を確信
−狭山事件の現地調査・学習会−

 6月5日午後、連合と部落解放中央共闘会議の共催による狭山事件の現地調査・学習会(人権フィールドワーク)が、埼玉県狭山市でおこなわれた。このとりくみには、全国から集まった自治労青年部29名をはじめ、連合本部、連合加盟の5構成組織と8地方連合会、および部落解放同盟から55人が参加した。
 学習会は、狭山市立富士見集会所で開催され、高橋定・中央共闘事務局次長の司会ではじまった。はじめに連合本部を代表して西村智雄・連帯活動局長があいさつ、「連合は発足から人権意識を原点にした労働運動をしてきた。6月には『人権フォーラム』を開催し、狭山事件と拉致問題について議論を深め、前段に初めての街宣行動もおこなう。これまでも中央共闘とともに、再審開始にむけて東京高裁・東京高検にたいして、石川さんの再審開始にむけた要請をしてきた。人権委員会設置法案にも取り組んでいる。今年は地名総鑑事件が発覚して40年の節目。あらためて職場への調査をおこない、採用選考、職場での差別、人権侵害をなくすために闘っていきたい」とのべた。
 また、部落解放同盟の組坂繁之・委員長は、「殺害現場とされる雑木林はもうないが、事件の同時刻にそばで働いていた人がいた。悲鳴を聞いていないと証言している。こうした人たちの事実調べや証人調べを裁判所に求めていくことが必要だ。狭山事件は部落差別にもとづく冤罪事件。司法の民主化を求める闘いでもある」とのべ、再審開始への取り組みを訴えた。
 そのあと、2011年にテレビ朝日で放映された報道番組「サンデー フロント ライン」の狭山事件特集のビデオを鑑賞した。つづいて「狭山事件と裁判の概要・現段階」と題して、部落解放同盟埼玉県連合会の小野寺一規・書記長が講演をおこなった。
 石川一雄さん・早智子さんもあいさつにたち、一雄さんは、警察によって兄が犯人だと思わされ「うその自白」をしてしまったいきさつを語り、「私は事件については何も知らなかった。警察のいうとおりに調書がつくられた。犯人が残した足形の写真と石膏の開示を求めたい」と決定的な証拠にたいして不開示をつらぬく検察の姿勢を批判、再審実現への支援を訴えた。また、早智子さんは、「私は徳島の出身、部落を隠してウソの住所を書いて就職した。職場で差別事件がおこるたびに仕事をやめたいと思ってきた」「狭山事件に取り組む労働組合と出会って出身を隠さない生き方にめざめた」と、職場から差別をなくしていく労働組合の取り組みの重要性を訴えた。
 学習会のあと、参加者は2つのグループに分かれ、途中で雨が降り出す中でフィールドワークをおこない、石川さんの「自白」が矛盾に満ち、でっちあげられたものであることを確認して歩いた。
 参加者は、富士見集会所にもどり、「石川さんの無実は明らかだ。学んだことを職場や地域、友人にひろめめたい」、「一度白を黒と言ったものを黒と言い続ける権力の横暴が人を苦しめている」「えん罪と差別をなくしていきたい」などの感想を出しあった。
 最後に、高橋・中央共闘事務局次長が、今日確認したことを地域・職場で広め、東京高裁・高検にも声として届けていこうと呼びかけ、行動を締めくくった。

□ 狭山事件の第23回三者協議の概要 □

 5月28日、狭山事件の第23回三者協議が東京高裁内で開かれた。
 弁護団は、3月23日付けで「手拭い」に関して初期の捜査書類などの開示を求めていたが、検察官はそのうちの捜査報告書2点を5月25日付けで開示した。これで開示された証拠は180点になった。
 1月に開示された東京高検保管の証拠物一覧表にもとづいて、弁護団は、筆跡資料や航空写真ネガなど5点の開示を求め、ネガは前回三者協議で開示された。残る4点について検察側は、石川さんの筆跡が存在するものは無く、プライバシー侵害の恐れがあり、必要性・関連性がないので開示できないと意見を表明した。
 これに対し裁判所は、証拠物は開示してほしいという立場であり、プライバシーに問題があるというのであれば、裁判所に提出し、裁判所が判断するという方法を提示した。これを検察官は検討するとした。
 東京高検保管以外の証拠物の一覧表の開示について、弁護団は5月21日に意見書を提出、浦和地検や埼玉県警の一覧表開示の必要性を指摘した。協議においても、殺害現場とされた雑木林を撮影した8ミリフィルムは、実験見分調書に撮影したと明記されており、当然あるべきものが「不見当」とされている。不見当というならば、なぜ無いのか合理的理由を説明すべきだ。埼玉県警や浦和地検の保管する証拠物一覧を出すことがその説明になるので、検察官からまず裁判所に一覧表を提示してほしいと強く求めた。裁判所は検討すると回答した。
 次回の第24回三者協議は7月下旬に開かれる予定。

人権侵害救済法、ヘイトスピーチ規制法の制定へ前進を
−部落解放・人権政策確立要求中央集会・行動−

 5月20日午後、「2015年部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会」が衆議院第1議員会館の会議室で開催された。主催は部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会で、加盟団体や各地の実行委員会から508人が参加した。
 開会あいさつで組坂繁之・実行委員会副会長は、日本の敗戦70年、「同和対策審議会答申」50年、「部落地名総鑑」事件発覚40年、「人権教育・啓発推進法」制定15年という節目をむかえ、今年は全国行動を展開しながら取り組みを進めたいとのべ、人権侵害救済の法制定、ヘイトスピーチ規制の法制定へ前進を勝ち取ろうと訴えた。
 つづいて中西啓寶・実行委員会会長(佐々木基文・高野山真言宗社会人権局長が代読)は、「同和対策審議会答申」について紹介しながら、「いま一度、現存する差別の実態を厳しく指摘し、部落差別の『早急な解決こそ国の責務』であることを国・行政に訴え、私たちもまた『国民的課題』として行動しなければならない」と呼びかけた。
 来賓として自民、公明、民主、維新、社民の各党の国会議員から連帯のあいさつ、生活の党からのメッセージも寄せられた。
 基調は西島藤彦・実行委員会事務局長が提案、ヘイトスピーチ規制の法律制定を求める意見書が17府県議会をはじめ101自治体で採択されており、人権救済制度確立は急務の課題だとのべた。また、「同対審答申」50年を踏まえ、あらためて同和行政・人権行政の推進を要請し、パリ原則にもとづく人権救済機関設置など、全国的統一的な取り組みを推進しようと呼びかけた。
 閉会あいさつのなかで清水秀行・中央共闘事務局長は、教員時代に両親の戦争体験を学校で子どもたちに伝えたことを紹介しながら、平和・人権・民主主義・憲法が極めて危ない状況になっているなかで、本実行委員会の活動がきわめて重要になっていると強調した。
 集会後、参加者は国会議員への要請や各省交渉にとりくんだ。

□ ヘイトスピーチを禁ずる法案を参院に提出 □

 5月22日午前、民主党、社民党、無所属の糸数慶子議員が共同提案者となって、「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」を参議院に提出した。
 法案提出後、民主党ネクスト法務大臣を務める小川敏夫議員らが記者会見し、法案の概要について、「法案は人種差別撤廃条約を受けた基本法という位置付けだ。その中に人種差別等の行為の1つとしてヘイトスピーチを盛り込み、これを禁止する内容となっている。刑事罰は入っておらず、あくまでも禁止される行為として明記した」と説明した。また、当初は与野党全会派共同提出を目指したが、趣旨には賛同しても共同提出には至らなかった党派もあるとし、「これから法案審議の中で各党・各会派にご理解を頂いて、円満な形で法案を成立させたい」と述べ、今後の各党の協力に期待感を示した。
 有田芳生議員も「ヘイトスピーチというような嵐がいまだに吹き荒れていることに対して、私たち国会議員の立場として国民の皆さんに『ヘイトスピーチは許されないのだ』ということを明らかにすると同時に、各地方自治体もヘイトスピーチへの対応に悩んでおり、こうした地方自治体にとっても的確な指針となるような法律案になっている。世論を高めていく中で、このような当たり前の法律を、一刻も早く可決するような状況を作らなければいけない」と法案の意義を強調した。

「平和を守り雇用を立て直そう」とメーデー中央大会
−狭山事件の展示で再審実現を訴え−

 4月29日、メーデー中央大会が東京・代々木公園で開かれ、4万人が参加した。
 式典で古賀伸明・連合会長は、政府が進めようとしている労働者保護ルールの改悪について、「“生涯派遣で低賃金”を招く改悪案に連合は断固反対する」とのべ「改悪の流れにストップをかけるため、立ち上がり、行動しよう」と強く訴えた。同時に「戦争は最悪の人権侵害である。二度と戦争を起こしてはならない」と戦後70年の年に開催したメーデー中央大会に込めた平和を希求する思いで結んだ。式典の最後に、労働者保護ルール改悪阻止、「全世代支援型」社会保障制度の確立などを求める全国統一行動をスタートさせることを宣言し、「平和を守り、雇用を立て直す みんなの安心のため、さらなる一歩を踏み出そう!」と呼びかけるメーデー宣言を採択した。
 中央大会では、式典のほか結集デモ行進、各種メーデーイベントが実施され、公園内のブースコーナーでは、NGO・NPOなど80近い団体が展示や出店をおこない、メーデー参加者と交流した。部落解放同盟も狭山事件の再審実現をアピールするパネル展示やビラ配布・署名活動をおこなった。
 また、全国27府県のメーデーでも中央共闘が作成したリーフレットの配布など狭山事件の宣伝活動が取り組まれた。

□ 東海ブロックで研修会を開催 □

 5月11日、愛知県の「あま市人権ふれあいセンター」で部落解放共闘東海ブロック研修会が開催され、東海3県(愛知、三重、岐阜)の共闘会議から33名が参加し、部落解放運動とその課題について学習した。
 まず、地元の部落解放同盟甚目寺支部における解放運動の足跡について、支部結成に至る経緯から地域住民の命と財産を守るために護岸工事やポンプ場、住環境整備をはじめ、人権教育や愛知県内初の「人権尊重のまちづくり条例」制定などについて説明を受けた。
 その後、地域内にあるレンダリング工場の視察をおこない、食肉処理場や加工場からの畜産副産物を「命をつなげる」リサイクルカンパニーとして、命への感謝の心を忘れずに取り組んでいることを学んた。また、あま市栄地区内のフィールドワークでは、海抜0メートルにある団地内に建てられポンプ場や公園、火葬場などの説明を聞きながら見学をおこなった。
 意見交換では、差別の実態把握とその対処について、また次の世代への運動の継承について意見が出され、それぞれの立場で正しいことを伝えていくとともに、行政への問題提起など、粘り強く啓発活動を進めていくことを確認した。

□ 鳥取県共闘会議が長島愛生園を視察研修 □

 部落解放鳥取県共闘会議は、差別の現実から深く学ぶため、年に3回、講演会や地域に出向いての学習をおこなっている。昨年5月におこなった初の県外研修につづき、今年は5月15日に「第35回現地学習会」として、岡山県にある国立療養所・長島愛生園の視察研修をおこない、鳥取県共闘会議役員を中心に29人が参加した。
 往路、バス車内研修として、DVD「虎ハ眠ラズ」と「人として生きる 長島の一年」を視聴し、ハンセン病や長島愛生園について事前学習をおこなった。
 到着後、「歴史館」で学芸員よりハンセン病の話、長島愛生園の歴史、これまで置かれてきた元患者の生活状況などについて、様々な展示物を見ながら説明を聞いた。2001年の「ハンセン病違憲国家賠償請求訴訟」で勝訴しながらも、未だ本名を名乗ることができないという現実はどういうことか、深く考えさせられた。
 続いて、学芸員の案内により園内をフィールドワーク、家族と別れた船着き場(収容桟橋跡)や新たに入所した患者が体の検査や消毒、入園手続を行った収容所(回春寮)跡、園から逃亡を図った者が入れられた監房跡などを見学した。
 その後、園内の小高い丘にたたずむ納骨堂を訪問した。納骨堂には、ハンセン病に対する偏見や差別により遺族が遺骨の引き取りに来ることが難しく、死んだ後までも故郷に帰ることができない遺骨約3500柱が祀られており、参加者は線香を供えて冥福を祈った。
 参加者アンケートでは、「ハンセン病に関する差別は一応知っていたが、詳細については知識がなかったので良い機会になった。正しい知識を持つことが大切である事を改めて感じた」「未だに残る差別、ふるさとに帰りたくても帰れない現実は、われわれの責任であると感じた」などの感想が寄せられた。

□ 群馬県庁で冤罪・狭山事件のパネル展 □

 狭山事件の再審を求める世論を高めようと、部落解放同盟群馬県連、群馬県民共闘会議、同宗連、県同教が実行委員会をつくり、5月23日から26日にかけて、群馬県庁昭和庁舎で「えん罪・狭山事件50年と人権」写真・パネル展を開いた。
 地元の新聞社、テレビ、ラジオをはじめ多くのメディアの後援を受けて開催され、事前や開催中の報道もおこなわれ、多くの人が訪れ事件の真相にふれた。
 展示されたのは、「えん罪・狭山事件50年と人権」のパネルと部落解放同盟群馬県連作成の人権パネル。狭山事件のカモイの模型、袴田事件、足利事件などの関係資料も展示され、狭山事件のDVDも上映された。
 開場時間の朝から夜まで、実行委員会の各団体から常時3〜4人のボランティアが1日2交代で常駐し、訪れる人たちに対応した。

  =主張=   就職差別撤廃の取り組みを強めよう      
    −今年は部落地名総鑑事件から40年−

 今年は「部落地名総鑑」差別事件が発覚してから40年にあたる。この節目の年に、もう一度事件を思いおこし、取り組みを強化していきたい。
 この事件は1975年11月に一通の匿名の投書から発覚した。全国の被差別部落の所在地を新旧地名で示し、主な職業や世帯数などを記載した書籍が、一冊3万円など高額で売られていた。企業の人事担当に送られたダイレクトメールは、採用において被差別部落出身者を排除することをそそのかすものとなっており、書籍の内容もその目的にしか使えないものだった。その後の調査で同種の「地名総鑑」が次々と発見され8種類となり、購入した企業は一部・二部上場企業を中心に二百数十社も判明した。
 これに対し、部落解放同盟として全国の組織をあげて糾弾闘争をおこない、購入企業に反省をせまり、購入企業は部落差別撤廃のために尽力することを約束した。また、政府に対しても責任を追及し対策を要求した。
 1975年12月15日に「労働大臣談話」がだされ、「同和関係住民の就職の機会均等に影響を及ぼし、その他様々の差別を招来し助長する悪質な冊子が発行され、一部企業の人事担当者に販売される事件が発生したことは、誠に遺憾であり、極めて憤りにたえない。」として、それまでの国の施策の点検をおこない、企業啓発・指導などを強化する決意が表明された。
 そして1977年に「企業内同和問題研修推進員制度」(1997年に公正採用選考人権啓発推進員に変更)がつくられ、就職差別撤廃への取り組みが強化されてきた。

 しかし2006年になって、行政書士による戸籍等大量不正請求事件を究明する中で、興信所などの調査業者が新たな種類の「地名総鑑」を保有していた事件が発覚した。さらにフロッピーに電子情報化された「地名総鑑」があいついで回収された。
 1998年には、大阪にある経営コンサルタント会社とその子会社が、多くの会員企業から身元調査の依頼を受け、就職希望者が被差別部落出身かどうか、家族の職業など家庭状況、民族、思想、宗教、労働組合活動、支持政党など、就職差別につながる事柄を調査していた事件も発覚した。
 これらの事件は、採用に際しての身元調査が巧妙な手口でおこなわれている実態と、就職差別の根深さを明らかにした。さらに、2011年のプライム事件など戸籍等の大量不正取得事件が続いている。
 厚生労働省が把握した「就職差別につながる恐れのある事象」は、この10年で見ると毎年一千件(事業所数)前後で推移しており、10年で一万以上の事業所が是正指導を受けたことになる。
 昨年6月に連合のホームページで公表された連合のインターネット調査「就職活動に関する調査」では、「本籍・出生地を聞かれた」が35%、「家族に関することを聞かれた」が40パーセントなど、驚くべき結果が明らかになっている。就職差別根絶には、ほど遠いというのが実態だ。

 しかしこの40年、前進した面も忘れてはならない。「企業内同和問題研修推進員制度」がはじまり、企業トップに対する研修も制度化され、「統一応募用紙」の取り組みも「職業安定法第5条の4」と大臣指針(1999年)によって法的裏付けができ、「統一応募用紙」の内容も数回にわたり改定され改善されてきた。また同和問題・人権問題に取り組む企業集団の取り組みや教育関係者、労働組合の取り組みも進んできた。
 これらの前進面も踏まえつつ、就職差別を根絶するためにはもう一歩大きく踏み出す必要がある。それは、就職差別を禁止する法律と制度をつくることだ。そして国際社会では常識である差別が「犯罪」であるとの認識を日本に根付かせ、施策を充実させていく必要がある。一方で指摘されている「推進員」の取り組みのマンネリ化や形骸化の克服のためにも、確かな人権意識の醸成のためにも、そのことは必要だ。
 40年を機に「部落地名総鑑事件」について学習を深め、その教訓を生かしながら、就職差別根絶への取り組みを強めていこう。


部落解放共闘情報bQ14(2015,3,12)

地域から闘いを構築し、人権・平和の課題実現を
−部落解放中央共闘会議第39回総会−

 2月24日午後、部落解放中央共闘会議第39回総会が東京・日本教育会館で開催され、12中央団体・23府県共闘から100人が参加した。
 総会は、下原田寿・事務局次長の開会あいさつで始まり、議長団に鳴川康也・森林労連中央執行委員と小野寺一規・部落解放同盟中央委員を選出した。
 主催者を代表して小俣利通・議長があいさつ、安倍政権の危険な本質と国民の目をあざむく政治姿勢を批判し、「格差社会の拡大と貧困化は、様々な差別や人権侵害を多発させている。人権救済機関の設置の必要性は明らか。その闘いを地域から再構築するため、また安倍政権の暴走に歯止めをかけるため、4月の統一自治体選挙を全力で闘おう」と訴えた。
 つづいて連合の小川裕康・副事務局長があいさつ、狭山事件の再審要求と「人権侵害救済法」早期制定に引き続きとりくむとともに、「部落地名総鑑」差別事件から40年を契機に、就職差別撤廃にむけたアンケート調査など、部落解放中央共闘会議と連携して取り組みを強化していきたいとのべた。
 部落解放同盟の組坂繁之・委員長もあいさつ、日本を「戦争ができる国」にする安倍政権の暴走が続いているが、これを止めるのは今しかないと強調、一致団結して闘うことを訴えた。また正念場を迎えた狭山事件の再審実現、ヘイトスピーチの法規制、労働者保護法制改悪の阻止、統一自治体選挙での勝利にむけ全力を尽くすことを呼びかけた。
 議事にはいり、活動報告と総括を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を小山芳彦・事務局次長がおこない、会計監査報告を十川雅之・会計監査がおこなった。そのあと提案は一括して拍手で採択された。
 つづいて活動方針を清水・事務局長が提案、予算を小山・事務局次長が提案し、一括して拍手で採択された。方針では、正念場を迎えた狭山事件の再審闘争、部落地名総鑑40年を踏まえた就職差別撤廃の取り組み、ヘイトスピーチ規制をはじめとする人権の法制度確立など、地域から闘いを強化していくことを確認した。
 新役員は高橋定・事務局次長が提案、拍手で承認された。新役員を代表して小俣・議長があいさつ、与えられた課題にしっかり取り組んでいくと決意をのべた。
 そのあと「『部落地名総鑑』事件から40年の状況と課題」と題して、西島藤彦・部落解放同盟書記長が特別報告をおこなった。西島さんは、「部落地名総鑑」差別事件とは何か、事件発覚以降のとりくみなど40年の歩みについて語り、これまでの運動の成果と今後の課題を提起し、就職差別撤廃のとりくみを労働組合の課題として強化してほしいと訴えた。
 総会宣言は加藤栄二・事務局次長が提案、拍手で採択された。最後に閉会のあいさつを相馬真琴・副議長がおこない、小俣・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。

≪部落解放中央共闘会議役員≫
                             
議   長  小俣 利通  連合副会長、JP労組委員長
副 議 長  西島 藤彦  部落解放同盟書記長
副 議 長  小川 裕康  連合副事務局長
副 議 長  荒金 廣明  自治労副委員長
副 議 長  相馬 真琴  NTT労組副委員長
副 議 長  清水 昭男  私鉄総連副委員長
事務局長  清水 秀行  日教組書記次長
 〃 次長  加藤 栄二  連合連帯活動局部長
 〃 次長  高橋   定  部落解放同盟中央執行委員
 〃 次長  小山 芳彦  自治労連帯活動局長
 〃 次長  下原田 寿  JP労組組織局次長
 〃 次長  木村 敬一  私鉄総連組織教宣局長
会計監査  十川 雅之  NTT労組中央執行委員
 〃      村上 彰一  全水道書記次長
常任幹事  岡戸   裕  部落解放同盟事務局、中央共闘専従

総 会 宣 言

 安倍政権は、多くの反対や慎重審議を求める声を無視し、「特定秘密保護法」の強行可決につづき、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行した。しかし昨年末の総選挙は、そのことが主要な争点にならず、低投票率の中で与党の安定多数維持を許す結果となった。安倍政権はさらに強権的姿勢を強める恐れがあり、私たちは安倍政権の暴走を許さず、統一自治体選挙に全力で取り組むとともに、平和・人権・民主主義を守る闘いを強化しなければならない。
 そして、労働者保護ルールの改悪など安倍政権が進めようとしている新自由主義的政策を許さず、格差社会からの転換をはかり、人権尊重と社会的連帯にもとづく安心社会実現のため、全力を尽くさなくてはならない。また、東日本大震災からの復興、福島原発事故の収束に力をあわせなければならない。
 格差社会の中で閉塞感が強まり、ヘイトスピーチやネット上の差別煽動をはじめ様々な人権侵害も多発している。差別禁止の法整備と人権救済機関の設置が今こそ必要であり、「人権侵害救済法」制定をめざし運動を強化しなければならない。
 さらに今年は「部落地名総鑑」差別事件から40年の節目にあたり、就職差別撤廃の取り組みを強化するとともに、雇用差別禁止の法整備と公正なワークルール確立によって格差と貧困拡大からの転換を図る必要がある。
 狭山事件の再審をめぐる闘いは今年が山場であり、証拠開示、事実調べ実現の世論を喚起し、今年こそ再審を実現しなければならない。
 そして、地域・職場からあらゆる差別と人権侵害をなくすため、「人権教育・啓発推進法」を活用し、人権擁護と平和の機運を盛り上げることが求められている。
 私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。

  2015年2月24日
                           部落解放中央共闘会議第39回総会

東京高検の保管する証拠物のリスト開示される
−狭山事件の第21回三者協議の概要−

 1月23日午後、狭山事件の第21回三者協議(東京高裁、東京高検、弁護団)が東京高裁内で開催された。また前日の22日付けで、東京高検が保管している証拠物のリスト(一覧表)が開示された。
 この証拠物のリストは、前回の三者協議で検察側は開示できないと主張、弁護団が反論し、裁判官が再検討を促していたもの。リストは279点の証拠物の名前と数量を記した一覧表。このリストの中で未開示なのは、石川さんが書いた複数のハガキなど44点とみられる。今後これらの証拠物の開示を要求していくことになる。
 また今後、埼玉県警など東京高検以外に保管されている証拠物のリストの開示も必要だ。そして、物的証拠以外の捜査報告書など関係書類のリストもまだ開示されていない。これらも含めた全証拠のリスト開示が必要だ。
 今回のリスト開示は、大きな一歩前進といえる。今後さらに証拠開示を求めていくとともに、事実調べ実現についても強く迫っていかなければならない。

□ 狭山弁護団が「手拭い」関係の新証拠と補充書を提出 □

 2月13日、狭山事件再審弁護団は、「手拭い」に関する新証拠と補充書を東京高裁に提出した。これは、三者協議のなかで開示された手拭い関係の初期の捜査書類や事件関係者から弁護人が事情聴取した結果など16点の新証拠と、A4判・74ページにおよぶ再審請求補充書。
 確定判決は、被害者の遺体の両手を縛っていたI米穀店の手拭いは、1963年の年賀用に石川さん宅に配ったものだと認定した。事件後に石川さんの家で同店の手拭いが確認され、警察に提出されているにもかかわらず、提出された手拭いは親族や隣の家から調達したものだと認定したのである。
 しかし証拠開示の中で、I米穀店の手拭い配布記録が開示され、石川さんの親族への配布本数が1本から2本へ書き換えられていることが明らかになった。今回提出した新証拠と補充書で、手拭いが石川さん宅で1本、親族宅で1本、捜査員によって確認されている事実、また隣家には手拭いが配布されていなかった事実、などを強く立証した。

危機的な日本の人権状況に抗し、人権の法制度確立へ
−世界人権宣言66周年記念東京集会−

 12月9日午後、世界人権宣言66周年記念東京集会が日本教育会館で開かれ、部落解放同盟や市民、労働組合、宗教者、行政、企業などから537人が参加した。主催は世界人権宣言中央実行委員会で、連合からは50名が参加した。今年のテーマは、「危機的な日本の人権状況に抗して人権の法制度の確立に向けた取り組みを進めよう」。
 主催者あいさつで西島藤彦・実行委員会事務局長は、各地で相次ぐヘイトスピーチを規制する法律や人権侵害の被害者を救済する法律の制定、「障害者差別解消法」をめぐる今後の取り組みなど、人権確立の法整備を引き続き求めていこうと呼びかけた。
 「『障害者差別解消法』をめぐる動向と今後の課題」についてDPI日本会議事務局の崔栄繁さんが講演、16年4月施行の法律の意義と内容を紹介し、今後の課題として「基本方針」やガイドラインへの当事者の声の反映、紛争解決の仕組みづくりなどを強調した。
 つづいて「国連人権条約関連機関からの勧告と日本の人権状況」について、和田献一・部落解放同盟国際連帯部長が特別報告をおこない、国連の条約の委員会からの勧告に誠意をもって答えていない日本政府の姿勢を批判し、日本の人権確立に向けた課題を部落問題を切り口に語った。

差別と戦争に反対し、部落解放運動の前進を
−部落解放同盟第72回全国大会−

 3月2日から3日にかけて、部落解放同盟第72回全国大会が東京・日本教育会館で開催され、代議員など622人が参加、多くの来賓も出席した。
 中央本部を代表して組坂繁之・委員長があいさつ、政治状況が危険な方向へ向かっていると指摘、人権、平和、環境と民主主義を守るため断固とした闘いを呼びかけた。そして「同対審答申」50年の節目の年に全国的な大行動を展開し、「人権侵害救済法」の制定、ヘイトスピーチの規制、狭山第3次再審闘争勝利をめざし、戦争への道を阻止するためにも統一自治体選挙に全力をと訴えた。
 来賓あいさつでは、各政党の国会議員のあいさつのあと、連合の古賀伸明会長と中央共闘の小俣利通議長が連帯のあいさつをおこなった。狭山事件の石川さん夫妻からの訴えや弁護団のあいさつもおこなわれた。
 そのあと各議案が提案され、3つの分散会で議論を深めた。2日目は分散会の報告と全体討論をうけて、西島藤彦・書記長が本部答弁と集約をおこない、議案を採択した。

人権教育など26分科会で議論を深める
−日教組第64次教育研究全国集会−

 2月6日から8日にかけて、日教組第64次教育研究全国集会が、山梨県甲府市で開催され、全国からのべ1万人が参加した。
 6日午前に開催された全体集会には3000人が参加し、主催者を代表して加藤良輔・日教組中央執行委員長があいさつ、「教職員だけでなく、保護者や地域の方々とも、子どもたちの姿を互いに心に描きながら、率直に実践を、教育の理想を語り合う場となることが私の理想です」と教育や教研集会の在り方を語り、人は『個人』として尊重されなければならないという人権と民主主義の理念をどう実現していくのかが教育に問われているとのべた。
 来賓として、連合の古賀伸明会長や日本PTA全国協議会の会長もあいさつをおこなった。
 集会の基調報告は、岡本泰良・日教組書記長がおこない、戦後70年をむかえ「戦争ができる国づくり」が進められようとしているとのべ、子どもたちを戦争の加害者にも被害者にもしない教育をすすめる必要性を強調。道徳を「特別の教科」とする中央教育審議会答申の危険性を指摘、子どもへの価値観の押しつけ、学校の統制強化につながると批判した。
 そのあと、「無条件の生存の肯定」と題して、雨宮処凛さん(作家・活動家)が記念講演をおこない、いじめを受けた体験、フリーターをやり右翼団体に入ったが憲法前文に感動し辞めたこと、社会構造に問題があると気付いたことなど、自らの体験を語った。そして、子どもや若者の貧困やブラック企業の現実を語り、労働法や様々な権利など身を守ることを子どもに教えてほしい、子どもには「助けて」とSOSを発信していいんだよと伝え「無条件の生存の肯定」をしてあげてほしいとのべた。
 分科会は6日午後からはじまり、「日本語教育」「理科教育」などの教科に関するものと、「人権教育」「障害児教育」「平和教育」など課題別になっているもの、さらに特別分科会「子どもフォーラム」をあわせて26に分かれて開催され、日常の教育実践にもとづくリポートが合計686本報告され議論を深めた。人権教育の分科会では、37本の実践リポートが報告された。
 3日間の討議の後、「すべての子どもの人権やゆたかな学びが保障される社会の実現を」「憲法・子どもの権利条約の具現化をはかるために、平和・人権・環境・共生を中心にすえ、民主社会の主権者を育む教育実践を」などを盛り込んだアピールを出し集会をしめくくった。

□ 部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会が総会 □

 12月25日午後、部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会第12回総会が京都市内で開催され、構成団体と各都府県実行委員会の代表45人が出席、今後の課題と闘いの方向などを確認し、新役員を選出した。
 主催者あいさつで大谷暢顯・会長(真宗大谷派門主)は、「人権侵害救済法」の制定は人権や平和の実現にとって必要不可欠と強調、本日の総会が人権侵害救済制度の確立に向けた強靭な取り組み体制の再構築となることを念じるとのべた。
 西島藤彦・事務局長(部落解放同盟書記長)が基調を提案、民主党政権のもとでの闘いの到達点、安倍政権のもとでの取り組みの方向、差別の実態と人権侵害救済制度の確立にむけた取り組みの課題などについて提案をおこなった。
 そのあと新役員体制を山岡尚哉・副会長(東京人権啓発企業連絡会理事長)が提案、新会長には中西啓寶(けいほう)・高野山真言宗管長が就任した。中西会長は、「富と権力をもたない私たちには『部落解放』という大きな『思想の力』があります。その力をさらに高め、心を一つにして要求実現のため頑張りましょう」と決意を表明した。
 閉会のあいさつを清水秀行・事務局次長(中央共闘事務局長)がおこない、多くの仲間と一歩一歩とりくみを進めていくことを訴えた。最後に西村智雄・事務局次長(連合連帯活動局長)の音頭で団結を固めた。

□ 九州ブロック県民会議が第19回総会・交流会を開催 □

 2月3日から4日にかけて、部落解放共闘九州ブロック県民会議第19回総会・交流会が鹿児島市内の労働者福祉会館で開催され96人が参加した。
 第1部の総会では、主催者を代表して上田淳・九州ブロック議長があいさつ、政治情勢を語りながら安倍政権の歴史認識や政治姿勢を批判、労働者保護ルールの改悪などの政策が貧困と格差を拡大し新たな差別を生みだすと指摘、これを許さない取り組みを呼びかけた。
 議事は西村芳樹・九州ブロック事務局長が提案、人権侵害救済法や狭山の取り組み、就職差別撤廃、戸籍等の不正取得防止の「本人通知制度」導入自治体の拡大などに取り組む方針を決めた。つづいて九州ブロックの役員を選出、新議長として村田正利・大分県民会議議長を選出した。
 第2部の講演学習会は、「近世薩摩藩と解放の闘い」について、山口武文・部落解放同盟鹿児島県連合会委員長が講演、薩摩藩の政治支配体制の特徴を説明した。そして農民に対する管理や年貢の厳しさ、部落解放運動の立ち上がりの遅れなどを語り、共闘の重要性を強調した。
 2日目は、「誇りをもって生きる〜太鼓づくりにかける思い」と題して、宮内礼治・部落解放同盟鹿児島県連合会書記次長が、実際に太鼓の皮を張る作業を見せながら工程を説明。子ども時代から現在にいたる太鼓づくりへの思い、最近の小学生との交流のエピソードなどを織り交ぜながら、差別撤廃への思いを語った。

□ 狭山映画が毎日映画コンクールで受賞 □

 狭山事件の石川一雄さんと早智子さんをとりあげたドキュメンタリー映画「SAYAMA〜みえない手錠をはずすまで」が第69回毎日映画コンクールでドキュメンタリー映画賞を受賞した。その表彰式が2月10日午後から神奈川県川崎市の川崎シンフォニーホールでおこなわれた。
 オープニングのセレモニーでは、金聖雄・監督とともに石川一雄さんと早智子さんが観客の拍手を浴びながらにこやかな表情で光のブリッジを歩いた。報道陣を前に金監督は、「賞をいただき感謝。石川一雄さん、早智子さんと晴れ舞台を一緒に歩けて幸せです」とのべ、石川さんは「まさか、こういう賞をいただけるとは思っていなかった。やがて無罪になると思うが、この賞を励みに生きていきます」と喜びをのべた。
 また表彰式で金監督は、「52年間も無実を訴えている人がいる。石川さんと会うまでは『殺人犯と呼ばれている人はどんな人だろう』きっと暗くて怖くて不幸の塊のようなそんな人なんじゃないか」と不安を抱いていたが、夫婦そろって対面した時に、「被差別部落に生まれたことや冤罪当事者という理不尽さを真正面から受け止めて凛と生きるその姿」を目のあたりにして心を揺さぶられた。そのとき、事件の真相を解明する映画でなく、「二人のラブストーリーとして描こう」と決心したとのべ、「受賞はこの点が評価されたものと思う」と語った。また「ぼくと一緒に大きな志と確かな技術をもった人たちに支えられた受賞です」と金色のトロフィーを胸に製作スタッフをねぎらった。
 表彰式のもようは、テレビ神奈川やBS11でも放映された。

□ 全国の市町村に「事前登録型本人通知制度」の導入を □

 戸籍等の不正取得事件が相次ぐなかで、その防止のため2008年に戸籍法が改正され、請求者の本人確認が厳格にされた。不正取得によって、結婚や就職における差別に利用される恐れがあるからだ。しかし、その後も行政書士などの業務用請求用紙を使った大量不正取得事件が続発、その防止策として「事前登録型本人通知制度」の導入を求める運動が広がり、導入する自治体が増えている。この制度は、自分の戸籍や住民票等が他人に取得されたとき、自治体が交付したことを本人に通知する制度。事前に本人が当該自治体に登録する必要がある。「本人通知制度」は戸籍法改正の際にも検討されたが見送られた経緯がある。
 現在、埼玉県、大阪府、京都府、鳥取県、山口県、香川県、大分県の全市町村で導入され、全国あわせて約440市町村で導入されている。制度の内容は、各市町村によって一律ではなく、今後改善が必要なところもある。
 制度導入の運動は部落解放同盟を中心にはじまり、部落解放共闘会議においても取り組みが広がりつつある。九州ブロックの各県民会議では、4年ほど前から取り組みを始めた。連合徳島と部落解放徳島地方共闘会議は、昨年10月に4日間をかけて、県をはじめ徳島市など8市15町1村を訪問し、制度導入を求める自治体要請行動をおこなった。この取り組みを全国化し、「事前登録型本人通知制度」を全国の市町村に導入していこう。


部落解放共闘情報bQ13(2014,11,20)

安倍政権の暴走を止め、人権と平和の確立へ
−部落解放共闘第31回全国交流会、全国共闘第31回総会−

 11月6日から7日にかけて、部落解放共闘第31回全国交流会と部落解放地方共闘全国連絡会議第31回総会が広島市内のワークピア広島で開催され、23府県7中央団体から100人が参加した。
 午後2時から始まった交流会は、加藤栄二・連合連帯活動局部長の司会で始まった。主催者あいさつで組坂繁之・全国共闘議長は、安倍内閣は戦後最悪の内閣だとのべ、年内総選挙もありうるが、戦争への道を許さず人権と平和・環境、民主主義を守り抜く闘いを強めようと訴えた。そして狭山は来春が正念場であること、「人権侵害救済法」は議員立法も視野に入れとりくむこと、就職差別撤廃のとりくみで共闘の役割が大きいことを強調し、取り組みの強化を訴えた。
 つづいて連合を代表して小川裕康・副事務局長があいさつ、狭山や「人権侵害救済法」、就職差別撤廃の取り組みなど、連合として人権の取り組みを強化する決意をのべた。
 連帯あいさつとして、連合広島の平上宏二郎・事務局長は、部落解放広島県共闘への参加について議論を進めているとのべ、連合がめざす「働くことを軸とした安心社会」は人権が守られる社会だと語り、格差・貧困の拡大に抗しともに取り組む決意をのべた。
 地元の広島県共闘からは佐古正明・議長があいさつ、広島における差別事件に対する取り組みを報告するとともに、交流会で各地の取り組みに学び今後の活動に活かしていきたいとのべた。
 交流会の基調は清水秀行・中央共闘事務局長が提案、人権をめぐる情勢の特徴と取り組みの方向、当面する共闘の課題を提起した。
 そのあと「ヘイトスピーチの実態と差別禁止の法整備の課題」について中村一成さん(ジャーナリスト・元毎日新聞記者)が講演をおこなった。
 活動交流では群馬県民共闘、愛知県共闘、兵庫県民共闘、徳島地方共闘、長崎県民会議から活動報告を受け、高橋定・中央共闘事務局次長が1日目のまとめのあいさつをおこなった。
 2日目は、『部落地名総鑑事件40カ年を前に』と題して政平智春・部落解放同盟中央執行委員から特別報告を受けた。

 全国共闘第31回総会
 部落解放地方共闘全国連絡会議第31回総会は、総会議長に中山千弘・長野県民共闘議長を選出、組坂繁之・議長のあいさつで始まった。
 活動報告と総括を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を高橋定・事務局次長、会計監査報告を中島修・会計監査がおこない、若干の質疑応答のあと拍手で採択された。
 方針案は清水・事務局長が提案、予算案は高橋・事務局次長が提案、一括して拍手で採択された。新役員提案は下原田寿・事務局次長がおこない、拍手で承認された。
 新役員を代表して組坂・議長があいさつ、安倍政権による危険な情勢を語り、現在は歴史の分かれ道だと強調、すべての人の人権が守られる社会の実現をめざし取り組む決意をのべた。
 最後に加藤栄二・事務局次長が閉会のあいさつをおこない、組坂繁之・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。

≪部落解放地方共闘全国連絡会議・新役員≫
                                
議   長  組 坂 繁 之  部落解放同盟委員長
副 議 長  上 田    淳  九州ブロック県民会議議長
副 議 長  山 田    清  近畿ブロック連絡会議議長
副 議 長  山 ア 秀 一  四国ブロック共闘会議議長
副 議 長  齋 藤 悦 男  関東甲信越ブロック連絡会議議長
副 議 長  須 田    勇  愛知県共闘会議議長
副 議 長  佐 古 正 明  広島県共闘会議議長
事務局長  清 水 秀 行  中央共闘事務局長
 〃 次長  加 藤 栄 二  中央共闘事務局次長
 〃 次長  高 橋    定  中央共闘事務局次長
 〃 次長  小 山 芳 彦  中央共闘事務局次長
 〃 次長  下原田   寿  中央共闘事務局次長
 〃 次長  木 村 敬 一  中央共闘事務局次長
常任幹事(各ブロックの労組側から1名、解放同盟から1名)
関東甲信越 小 堀 正 雄  関東甲信越ブロック連絡会議事務局長
  〃      片 岡 明 幸  解放同盟関東甲信越ブロック議長
東  海    番 条 喜 芳  三重県民会議副議長
  〃      田 中    仁  解放同盟三重県連書記長 
近  畿    森 蔭    守  兵庫県民共闘事務局長
  〃      赤 井 隆 史  解放同盟大阪府連書記長
中  国    小野田 義 明  岡山県共闘事務局長
  〃      竹 内 哲 也  解放同盟島根県連書記長
四  国    富 永 裕 史  徳島地方共闘副議長
  〃      松 岡 芳 生  解放同盟愛媛県連書記長
九  州    西 村 芳 樹  九州ブロック県民会議事務局長
  〃      山 口    渉  解放同盟九州ブロック副議長
会計監査   鈴 木 康 司  神奈川県共闘議長代行
  〃      中 島    修  埼玉県共闘事務局次長



証拠開示、事実調べ早期実現の世論喚起を
−狭山事件の再審を求める市民集会−

 10月31日午後、「不当有罪判決から40年!いまこそ事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から2500人が参加した。
 主催者あいさつで組坂繁之・部落解放同盟委員長は、確定判決となった東京高裁・寺尾正二裁判長の無期懲役判決から40年をむかえたと当時をふりかえり、石川さんも来春で76歳になるが1日も早く無罪を勝ち取ろうと呼びかけた。
 民主党、社民党、新党大地からの連帯あいさつのあと、石川一雄さんと妻の早智子さんが「この第3次で再審を勝ち取りたい。皆さんの支援を心からお願いしたい」「えん罪・差別に苦しんでいる仲間とともに再審開始まで闘っていきたい」と訴えた。
 弁護団の中山武敏・主任弁護人と中北龍太郎・弁護団事務局長も第20回三者協議の内容や弁護団のとりくみを報告。これまで開示された証拠を分析し作成した新証拠を含め、第3次再審請求では139点の新証拠を提出しており、事実調べを強く要求していることが報告され、世論を盛り上げることが呼びかけられた。
 集会の基調を片岡明幸・部落解放同盟財務委員長が提案、三者協議を通じてより決定的な証拠を引き出すことが重要であり、それが事実調べと再審開始につながると強調、映画の上映運動などで世論を盛り上げようと呼びかけた。
 袴田事件の袴田巌さん、姉のひで子さん、足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さんら冤罪被害者もかけつけ、連帯アピールをおこなった。
 集会のまとめを鎌田慧さんがおこない、袴田事件の再審開始決定以降はほとんどの再審請求が却下されており油断はできないとし、司法民主化の闘いとしても大きな運動を作ろうと訴えた。
 最後に、集会アピールを上田淳・九州ブロック県民会議議長(連合熊本会長)が提案し採択された。
 集会のあと、参加者は都内をデモ行進し再審開始を訴えた。

「人権侵害救済法」制定へ闘いの再構築を
−部落解放・人権政策確立要求中央集会・行動−

 10月30日午後、部落解放・人権政策確立要求第2次中央集会が東京・憲政記念館で開催され、全国から571人が参加した。
 開会あいさつで組坂繁之・部落解放同盟委員長は、政治情勢は厳しいが、国連・人種差別撤廃委員会も国内人権機関設置を明確に日本政府に勧告しており、議員立法も視野に入れ粘り強く闘おうと呼びかけた。
 主催者を代表して大谷暢顯・真宗大谷派門主(代読・木越渉・真宗大谷派解放運動推進本部長)は、悪質な差別事件の存在をあげながら、人権侵害救済法制定へ闘いを再構築することを訴えた。
 自民、公明、民主、生活、社民の各政党の国会議員の連帯あいさつのあと、民主党の福山哲郎政策調査会長(参議院議員)から「ヘイトスピーチの規制法案を議員連盟で準備しており、まずこの法律制定に努力したい」との報告がなされた。
 基調提案で西島藤彦・部落解放同盟書記長は、「ヘイトスピーチの法規制を求める動きが今国会で与野党から出てきた。この動きをしっかり支援しながら人権侵害救済法を求める闘いを進めよう」と呼びかけた。
 特別報告として「本人通知制度導入にむけた全国の取り組みと今後の課題」が片岡明幸・部落解放同盟財務委員長から報告された。
 最後に、西村智雄・連合連帯活動局長の音頭で団結ガンバロウを三唱して集会を締めくくった。そのあと参加者は、国会議員への要請行動や文科省、法務省、農水省、国交省、厚労省との交渉をおこなった。

□ 中央共闘が東京高裁、東京高検に要請行動 □

 狭山事件の再審を求め9月17日午後、部落解放中央共闘会議は東京高裁と東京高検に要請行動をおこない、清水秀行・事務局長をはじめ、連合、自治労、日教組、JP労組、情報労連、NTT労組、部落解放同盟から11人が参加した。
 東京高裁では刑事訟廷管理官など3名が対応、清水秀行・事務局長が要請書を手渡し、趣旨を説明。「殺害現場の裏付け証拠が裁判過程でまったく提出されていないことは市民常識から考えて大きな疑問」「この40年間、マスコミも注目した多くの有力な新証拠・新鑑定が提出されているにもかかわらず、事実調べがなされず、それらが充分検討されたとは考えられない」と訴え、高検への証拠開示を促すことや、弁護団提出の新証拠・鑑定の事実調べをおこなうことを強く求めた。
 東京高検では検察事務官2名が対応、要求書を手渡し、「不見当」とされる証拠の開示、とくに「殺害現場の雑木林での血痕反応検査報告書というきわめて重要な証拠が不見当とされ、開示されていないことは納得できない」として、徹底的に探し直すことを要求した。
 要請の中で連合の西村智雄・連帯活動局長は、もっと重要な証拠があるはず、事件から51年たっており人間として対応すべき、と証拠開示を求めた。
 また部落解放同盟の高橋定・中執は、「すでに100万を超える人たちが署名している事件だ。証拠にアクセスできないのは日本ぐらいだ」と重要な証拠が隠されていることを批判した。
 高裁と高検で対応した事務官は、それぞれの要請の趣旨を裁判官と検察官に伝えることを約束した。

□ 狭山事件の第19回・第20回三者協議の概要 □


 8月20日午後、東京高裁内で狭山事件の第19回三者協議がおこなわれた。
 弁護団は「手拭い」の捜査資料について開示を求めていたが、検察側は「不見当」ないし開示の必要性がないとの意見書を提出した。これに対し弁護団は反論の意見書を出すことを表明した。
 また裁判所は、弁護団が求めていた証拠物のリストについて、検察側に開示の方向で検討するよう促した。
 また弁護団は7月25日に新証拠を提出。石川さんが被害者の死体の状況を知らなかったことが、開示された取調べ録音テープや関巡査の報告書の分析で明らかになり、新証拠として提出された。
 10月30日、東京高裁内で第20回三者協議がおこなわれた。
 前回の協議で裁判長が開示を促した証拠物の一覧表(リスト)について、検察側は開示勧告はなされるべきではないとの意見書を10月27日に提出し、開示を拒否する姿勢を示した。弁護団はすぐに反論する意見書を出し、三者協議おいても反論を展開した結果、裁判所は検察官に再考を求めた。
 この間、検察側がプライバシーを理由に開示拒否してきた未開示の筆跡資料について、18回三者協議で検察側が裁判長に提出し、裁判長がプライバシーの問題を検討することになっていた。三者協議に先立ち、その関係の28点の証拠が開示された。
 しかし、証拠番号が飛んでいる問題は解消されておらず、未開示証拠があることは明らかだ。これでこれまでの三者協議で開示された証拠は164点となった。
 弁護団は10月29日、139点目の新証拠として、「鞄自白位置・経路等報告書」を提出した。これは、脅迫状を届ける途中で鞄を捨てたという石川さんの自白が、誘導による虚偽自白であることを明らかにしたもの。
 次回の三者協議は、来年の1月下旬。


差別・貧困の克服に向けた理論と実践交流を
−部落解放研究第48回全国集会−

 10月20日から22日にかけて、部落解放研究第48回全国集会が京都市の「みやこめっせ」を主会場に開催され、38都道府県から5500人が参加した。メインテーマは、「深まる人権と平和、民主主義の危機に抗して、差別・貧困の克服と社会連帯の実現に向けた理論と実践交流をすすめ、今日的な部落解放運動の課題を明らかにしよう」。
 開会あいさつを清水秀行・中央共闘事務局長がおこない、ヘイトスピーチをはじめ人権侵害があとを絶たない現状に対し、各地から声をあげていこうと呼びかけた。
 主催者あいさつは組坂繁之・部落解放同盟委員長がおこない、特定秘密保護法の強行制定や集団的自衛権容認の閣議決定など日本は危うい方向に進んでいると指摘、今こそ国民目線に立った政治が必要だと強調し、人権侵害救済法と狭山事件再審闘争、人権のまちづくり運動などを前進させていこうと呼びかけた。
 「差別禁止法を求めて〜ヘイトスピーチを糾弾する」と題するシンポジウムもおこなわれ、人を死に追いやる暴力であるヘイトスピーチにたいして、法規制がない現状が明らかにされ、法規制や差別禁止法制定の必要性が強調された。また、「表現の自由」を持ち出し法規制をおこなおうとしない政府を批判、被差別当事者の横のつながりを強め運動を盛り上げる方向性が示された。
 また特別報告として、京都における部落解放運動の現状と課題が報告されるとともに、「竹田の子守唄」の元歌が部落解放同盟京都府連改進支部女性部のコーラスであざやかによみがえった。
 2日目は、7つの分科会とフィールドワークがおこなわれ、3日目は2つの記念講演がおこなわれた。

□ 近畿と九州ブロックが第28回交流会を開催 □

 9月5日から6日にかけて、部落解放共闘近畿・九州ブロック第28回交流会が滋賀県彦根市内のマリアージュ彦根でひらかれ、近畿各府県共闘から70人、九州から30人、中央共闘から1人の101人が参加した。
 まず山田清・近畿ブロック議長(滋賀県民会議議長・連合滋賀会長)と上田淳・九州ブロック議長(熊本県民会議議長・連合熊本会長)がそれぞれあいさつし、「両共闘の交流を通じて、お互いの活動を学び、取り組みに活かしていこう」とのべるとともに「狭山再審の実現や登録型本人通知制度の推進、就職差別撤廃、ヘイトスピーチなどへの闘い強化」を訴えた。
 来賓として部落解放中央共闘会議の高橋定・事務局次長と彦根市の大久保貴・市長があいさつをのべた。また、先の県知事選挙で当選した三日月大造・知事からメッセージが寄せられた。
 交流会の基調を近畿ブロックの赤井隆史事務局長(大阪府民共闘会議事務局長)が提案、ヘイトスピーチを法規制すべきとの国連勧告、障害者差別解消法のガイドライン作成などの動きにふれ、差別撤廃の法整備に取り組むことを呼びかけた。また狭山映画の上映、登録型本人通知制度の登録者を増やすことも訴えた。
 そのあと、近畿ブロックからの活動報告を京都地方共闘会議の岡本哲也・事務局長と和歌山県共闘会議の宮本修作・事務局次長が、九州ブロックからは宮崎県民会議の佐藤真議長がそれぞれ活動報告をおこなった。
 つづいて「滋賀県における部落解放運動の現状」と題して部落解放同盟滋賀県連の丸本千悟・書記次長が報告。県内の被差別部落の実態について、1993年の総務庁調査では64地区、11200戸、35200人とされ、現在38支部が活動しているとのべ、滋賀県における解放運動の歴史、戦後の近江絹糸争議を支援し闘ったこと、主な差別事件に対する取り組みなどを報告した。
 2日目は、彦根市内の河野地区、滋賀県平和祈念館と戦跡見学の2班にわかれてフィールドワークをおこなった。
 広野地区のフィールドワークでは、バスで地域総合センター・人権・福祉交流会館まで移動、神細工信二・館長と藤野政信・部落解放同盟県連委員長から話を聞いた。地域の概要や運動の歴史と現状、近江絹糸の人権争議と被差別部落の関わりなどについて説明を受けたあと、地区内をフィ−ルドワーク。低い土地にあり、川の氾濫で被害がでたことを聞き、戦争に行って亡くなった多くの若者の墓がある墓地、地区住民の悲願として完成した春日大橋などを見学した。

□ 関東甲信越ブロック共闘が総会・交流会を開催 □

 9月24日から25日にかけて、部落解放関東甲信越ブロック共闘連絡会議の第15回総会と交流会が新潟県佐渡市で開催され35人が参加した。
 総会では、田中剛・関東甲信越ブロック共闘議長、和田献一・部落解放同盟関東甲信越ブロック事務局長、岡戸裕・中央共闘常任幹事、木村博・新潟県共闘副議長があいさつしたあと、議案を採択した。新役員も選出し、ブロック議長に新潟県共闘の齋藤悦男議長、ブロック事務局長に群馬県民共闘の小堀正雄・事務局長が就任した。
 そのあと学習会をおこない、和田献一・部落解放同盟中執が国連・人種差別撤廃委員会の勧告について報告した。また「佐渡の部落の歴史と果たしてきた役割」について、佐渡市世界遺産推進課の濱野浩さんが講演をおこなった。
 2日目はフィールドワークで、移動のバスの中で「新潟における部落差別の現状と課題」について長谷川均・部落解放同盟新潟県連委員長から報告を受け、佐渡の奉行所、佐渡金山、佐和田地区をまわり、佐渡の金山と被差別部落の関係などの説明を受けた。また、発電所や火葬場、と畜場、結核の隔離病棟などが被差別部落の周囲につくられた歴史、子どもたちが都会に出ていき高齢化が進む被差別部落の現状について学んだ。

□ 四国ブロック共闘交流集会を開催 □

 11月8日から9日にかけて、部落解放地方共闘四国ブロック交流集会が香川県丸亀市で開催され31人が参加した。
 主催者あいさつは小島正雄・香川県共闘議長がおこない、命を粗末にする政治になってきており、ヘイトスピーチのような露骨な差別煽動も出てきたとのべ、人権と平和の取り組み強化を訴えた。そのあと中央共闘の岡戸裕常任幹事があいさつをのべた。
 地元報告として岡田真悟・部落解放同盟丸亀市連絡協議会事務局長が丸亀市協の活動報告をおこなった。岡田さんは、丸亀市協の「人権と福祉のまちづくり」の取り組み、自主財源づくり、就労保障対策としての「同和地区開発振興会」の取り組み、などを報告した。
 そのあと各県共闘の活動報告を受けて交流した。
 記念講演は「身元調査意識の根強さと啓発の課題」と題して香川人権研究所の喜岡淳・事務局長がおこなった。喜岡さんは、各自治体がおこなった同和問題意識調査などをとりあげ、身元調査が必要と考える意識が根強いこと、啓発の改革、本人通知制度の周知、差別を社会悪とする法規制の必要性などについて語った。
 2日目は、丸亀市金山地区をフィールドワーク、香川部落解放・人権啓発センターも見学した。地区住民の要求から設立された保育所では、現在8割が地区外からの入所だが、非常に好評で地区外との交流を活発化することにつながっていることなど、まちづくりのとりくみを聞いた。


部落解放共闘情報bQ12(2014,6,13)

袴田事件の再審に続け!今年こそ事実調べ実現し再審を!
−狭山事件の再審を求める市民集会−

 石川一雄さんの不当逮捕から51年目にあたる5月23日午後、狭山事件の再審を求める市民集会「えん罪51年!袴田再審開始に続け!いまこそ事実調べ・再審開始を!」が東京・日比谷野外音楽堂でひらかれ、全国から3000人が参加した。
 集会には3月に再審開始決定が出た袴田事件の袴田巌さんも参加し、姉のひで子さんとともにあいさつした。また、同じくこの数年で無罪を勝ち取った冤罪事件当事者で、足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さんと桜井昌司さん、氷見事件の柳原浩さんが、それぞれ自白の強要や証拠が隠されていた経験などを語り、「次は狭山だ」と再審実現を訴えた。
 石川一雄さんは、「夫婦で不退転の決意で頑張っている。元気なうちに無罪を勝ち取りたい。来月の三者協議で裁判官の証拠開示勧告と事実調べの開始がかちとれるよう一層の支援を」と訴えた。
 主催者あいさつで西島藤彦・部落解放同盟書記長は、狭山事件は部落差別にもとづく冤罪だと強調、袴田事件の再審開始決定に勇気をもらい、次は狭山だとの決意で取り組もうと呼びかけた。
 狭山事件再審弁護団の中山武敏・主任弁護人は、袴田事件の再審開始決定で「捜査機関が重要な証拠をねつ造した疑いがある」とした判断は狭山事件に共通する点があり大きな影響があるとの見解を示した。そして新証拠提出など弁護団も懸命に頑張っているとのべ、世論喚起を訴えた。
 基調提案で片岡明幸・部落解放同盟狭山闘争本部長は、今年が山場であることを強調、証拠開示と事実調べを求めながら、棄却を許さないぞと裁判所に迫る必要があるとのべた。
 狭山事件の再審を求める市民の会の石坂啓さん(漫画家)の連帯アピールのあと、市民の会事務局長の鎌田慧さん(ルポライター)が集会のまとめをおこない、「袴田事件再審決定の判断をみて、やっと司法が変わりつつあると感じた。この1年で決着が付くよう再審開始に向かって取り組みを」と呼びかけた。
 最後に集会アピールを部落解放埼玉県共闘会議の丸山巧・埼玉教組書記長が提案し、満場の拍手で採択された。
 集会のあと参加者は、都内をデモ行進し狭山事件の再審実現を訴えた。

闘いを再構築し、人権侵害救済法の制定を
−部落解放・人権政策確立要求中央集会−

 5月22日午後、2014年度部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会が東京・憲政記念館で開催され、全国から600人が参加した。
 開会あいさつで組坂繁之・部落解放同盟委員長は、どんな困難があろうと人権侵害救済制度をつくりあげなければならない、力をあわせ頑張ろうと訴えた。
 主催者あいさつで大谷暢顯・部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会会長(真宗大谷派門主・代読)は、戸籍等個人情報大量不正取得事件、ネット上で氾濫する差別事件、繰り返されるヘイトクライム等の現状を指摘しながら、闘いを再構築し人権侵害救済法の制定へ強靭なとりくみを呼びかけた。
 来賓として、自民、公明、民主、社民の各党の国会議員があいさつ、ともに連帯して法制度確立へ尽力する決意を表明した。
 基調提案を西島藤彦・部落解放同盟書記長がおこない、「人権委員会設置法」を閣議決定しながら突然の国会解散で廃案になったことを総括、弱点を見つめ今後の課題としていくことを強調。戦争をする国づくりを進める反人権主義の安倍政権にストップをかけ、人権の法制度確立へ全国的闘いを再構築しようと呼びかけた。
 また、和歌山県議会で昨年、「人権侵害救済に関する法律」の早期制定を求める意見書が採択されたことも報告され、同様の取り組み拡大が呼びかけられた。
 最後に、清水秀行・部落解放中央共闘会議事務局長の音頭で団結ガンバローを三唱し集会を締めくくった。
 そのあと参加者は、国会議員や地方6団体への要請行動、各省交渉をおこなった。

若手も多く参加、現地を歩き無実を確信
−狭山事件の現地調査・学習会−

 4月3日午後、連合と部落解放中央共闘会議の共催で、狭山事件の現地調査・学習会(人権学習フィールドワーク)が埼玉県狭山市で開催され、全国から集まった自治労青年部の20名をはじめ、9中央団体・11地方連合から53名が参加した。
 学習会は狭山市立富士見集会所で開催され、加藤栄二・連合連帯活動局部長の司会ではじまった。はじめに連合の小川裕康・副事務局長があいさつ、「手拭いに関する新証拠が提出されており、再審実現に向け連合としても取り組む」とのべ、東北での狭山映画上映に取り組んでいることなども報告した。
 中央共闘の清水秀行・事務局長は、現場を見ることが原点だと強調、「この取り組みに若手の皆さんを送っていただいていること感謝したい。若い人に思いをつなげることが大切だ」とのべ、メーデーでの宣伝活動、映画上映、パネル展などの取り組みを呼びかけた。
 部落解放同盟の組坂繁之・執行委員長は、今年が最大の山場となると強調、6月中旬の第18回3者協議以降に何らかの動きが出る可能性があるとのべた。 そして政治情勢の悪影響も心配だが、何としても世論を盛り上げ再審を実現したいと決意をのべた。
 そのあと、2011年にテレビ朝日で放映された報道番組「サンデー フロント ライン」の狭山事件特集のビデオを鑑賞した。つづいて「狭山事件と裁判の概要・現段階」と題して、部落解放同盟埼玉県連合会の小野寺一規・書記長が報告した。
 石川一雄さん・早智子さんもあいさつにたち、「袴田事件の再審決定がだされ、次は狭山だということで頑張りたい。現場の検証をしてもらえば事実がわかる」とのべ、更なる支援を訴えた。
 参加者は2つの班に分かれ、雨がふる中を「自白」にそって2時間近くフィールドワーク、「自白」がでっち上げであることを確認した。
 富士見集会所にもどり、「若い人に人権や狭山のことを広める必要性を感じた」「現地を見て良く理解できた。参加して良かった」などの参加者からの感想を聞いたあと、加藤・連合連帯活動局部長が「今日の成果を職場や各組織に持ち帰り取り組もう」と呼びかけ閉会した。

□ 狭山事件の第17回三者協議の概要 □

 3月28日午後、狭山事件の第17回三者協議が東京高裁内で開かれ、河合健司裁判長と担当裁判官、担当検察官、中山武敏主任弁護人をはじめ10人の弁護士が出席した。前日の27日には、袴田事件の再審開始決定が出され、証拠開示の必要性が繰り返し指摘されるなかでの開催となった。
 三者協議に先立ち3月25日、検察側から「手拭い」関係の捜査資料1通が証拠開示された。
 また三者協議に先立ち、弁護団が「車の駐車」および「手拭い」に関する証拠開示勧告申し立て書を提出していたが、河合裁判長は証拠開示を検討するよう検察官に求めた。
 証拠番号が飛んでいる証拠物のうち、筆跡資料について、検察官はプライバシーの侵害を理由に開示に応じられないとしてきたが、裁判長は、プライバシーの問題がある部分をマスキングするなど具体的に開示の方法を検討するよう求めた。
 弁護団は、その他の番号飛びの証拠物についても開示を求めた。現在、法制審議会でも証拠開示の制度検討がなされており、立法化の議論もふまえ改めて証拠リストの開示を求めていくことを伝えた。
 さらに、袴田事件の再審開始決定では捜査機関によるねつ造の疑いが指摘され、報道でも証拠開示が重要であることが指摘されていることにふれて、狭山事件でも捜査の不正の問題が浮かび上がっており、捜査資料の積極的開示が必要だと訴えた。
 次回の第18回三者協議は6月中旬に開かれる。

□ 就職差別撤廃にむけ総務省と折衝 □

 5月22日午後、部落解放中央共闘と部落解放同盟が就職差別撤廃について、総務省公務員課と折衝をおこなった。
 中央共闘からは、清水秀行・事務局長、西村智雄・連合連帯活動局長をはじめ7名、部落解放同盟からは原伸一・労働政策運動部長をはじめ3名が参加、総務省・自治行政局公務員部公務員課の松田満・課長補佐など3名が対応した。
 中央共闘は、自治体関係での公正採用選考の推進について、2007年から総務省への申し入れと話し合いを続けてきたが、今回の折衝は、はじめて部落解放同盟労働政策運動部とともにとりくんだ。
 折衝で総務省は、厚生労働省発行の「公正な採用選考をめざして」パンフを全都道府県を通して市町村自治体へ配布していることや、様々な全国会議で周知徹底を促していることなど、この間の総務省の取り組みを報告した。
 参加者からは、総務省版のパンフの必要性が強調され、各自治体にも民間企業と同様の「公正採用選考人権啓発推進員」設置と研修推進体制の整備を求める声が相次いだ。
 これにたいし総務省は、「厚生労働省のパンフは非常によくできており今後も活用したい」「推進員の設置について、職の設置は難しいが、ハローワークの研修への参加を呼びかけていきたい」とこたえた。
 さらに参加者から、健康診断が人事院規則や地方公務員法で義務付けられているという誤解が多いとの指摘もなされ、このことが厚生労働省パンフではカバーできないことから、総務省としての対応を求める意見が出された。これについて総務省は、検討したいとした。

連合が人権フォーラム2014を開催
−狭山事件と冤罪など3つの課題を学ぶ−

 5月20日午後3時から、連合主催の「人権フォーラム2014」が全電通労働会館ホールで開催され、220人が参加した。
 主催者あいさつで神津里季生・連合事務局長は、「連合は発足いらい人権の問題を原点にした労働運動を推進している。今日は3つの課題にしぼったが、ぜひ一人ひとりの胸に刻み、それぞれの組織に持ち帰り、さらに支援の輪を強めてほしい」と呼びかけた。また「就職差別撤廃についても参考資料として配布したが、それぞれの企業の履歴書や応募書類の様式など、労使協議の場などで確認してほしい」とのべた。
 まず特定失踪者問題調査会の荒木和博・代表と村尾建兒・専務理事が「北朝鮮による拉致問題」と「拉致被害者の救出活動の実態」について講演をおこなった。つづいて「被爆者支援」に関して、原爆症認定訴訟東京弁護団事務局長の中川重徳・弁護士が講演、最後に「えん罪事件」のテーマで、狭山事件の石川一雄さんと部落解放同盟中央本部の安田聡さんが講演をおこなった。
 石川さんは、「多くの証拠のねつ造、改ざんが開示された証拠で明らかになった。今が大事な時期であり、ぜひとも無実がはれるようご支援を」と訴えた。安田さんは、狭山事件のえん罪の背景に、被差別部落への警察の差別意識にもとづく見込み捜査と住民の差別意識があったと指摘した。そして、この間の開示証拠から作成した新証拠を紹介し、事実調べ実現への支援と、司法改革の重要性を訴えた。
 まとめで小川裕康・連合副事務局長は、「今日とりあげたどのテーマも日本が抱える深刻な問題であり、正しく理解し広く共有化することが大切だ。構成組織、地方連合会、連合本部が認識を共有化し、一体となった運動を展開し問題解決につなげていこう」とよびかけ、集会を締めくくった。

労働者保護ルールの改悪にストップを
−メーデー中央大会に4万人が参加−

 4月26日、「第85回メーデー中央大会」が東京・代々木公園で開催され、4万人が参加した。
 中央大会式典で、主催者を代表して古賀伸明・連合会長は、「本年のメーデーは、労働者保護ルールの改悪にストップをかけるべく、『STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現キャンペーン』の一環として位置づけ、全国で特別決議を採択することにしている。働く者の声をしっかり受けとめ、いま政治がやるべきことは何か熟慮していただきたいとの考えから、広く各政党にお声がけさせていただいた」と述べた。そして「連合は今年で結成25年を迎える。“すべての働く者の幸せの実現のために力を結集する”という結成の原点を忘れずに、積極的な運動を展開し、時代を切り拓いていこう。」と参加者に呼びかけた。
 次に、安倍晋三・首相、田村憲久・厚生労働大臣などが来賓挨拶を行った。
 続いて、民主党、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党、生活の党、社会民主党、新党大地、新党改革からそれぞれ来賓挨拶が行われた。
 その後、尾上浩二・DPI日本会議事務局長から“NGO・NPO連帯挨拶”、福田瑞代・ひまわりユニオン執行委員長から“非正規労働者からの訴え”、八巻由美・自治労福島県本部特別執行委員から“東日本大震災被災地からのアピール”が行われた。
 狭山事件の再審実現をアピール
 式典と並行し、会場では労働組合、NGO・NPO、政党など約70団体がブースを出店、それぞれの団体が創意工夫を凝らしアピールを行った。震災を風化させない思いのもと、東北物産販売ブースも設置された。
 部落解放同盟も狭山事件の再審実現をアピールするブースを設け、パネルやパンフを展示し、リーフレットを配布し署名を呼びかけた。
 また、全国28府県のメーデーでも中央共闘が作成したリーフレットの配布など狭山事件の宣伝活動がとりくまれた。

□ 第34回部落解放・人権徳島地方研究集会開かれる □

 2月13日から14日にかけて、第34回部落解放・人権徳島地方研究集会が「すべての力を集めて『部落解放・人権政策』を確立しよう。反差別・人権確立・福祉の向上をめざした県民運動を展開しよう」をスローガンに、徳島市文化センターを中心に開催され、労働組合や経営者団体、行政などのべ1800人が参加した。
 主催者あいさつで河村和男・実行委員長(徳島地方共闘議長)は、「私たちは県民の皆さまに狭山事件の真相を知っていただくため、徳島新聞朝刊に意見広告を行った。また、昨年12月に県内4会場でドキュメンタリー映画の上映会もおこなった。そして、2月9日の徳島新聞朝刊「人」の欄では、狭山事件の映画を製作した金監督が紹介された。今こそ早急な「人権侵害救済法」の設置を強く望むとともに、狭山事件は部落差別が生んだ冤罪事件であることを強く訴え、東京高裁が証拠開示を進め再審を開始するまで、世論喚起をしていく必要がある」とのべた。
 徳島県、県教委、市長会からの来賓あいさつのあと、狭山事件の石川一雄・早智子さんから日頃の支援に対するお礼と更なる支援要請のあいさつを受けた。
 基調講演では、組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長が「部落解放運動の現状と課題」について講演した。
 続いて、昨年10月に大阪を訪れ実施した反差別研修について、連合徳島事務局の藤原有城さんが「時代と共に変わる部落差別の実態と今私たちにできること」と題して報告をおこなった。
 記念講演では元環境大臣の松本龍さんが「環境と人権」をテーマに講演。松本さんは、自身の生い立ちや政治家として学んだこと、とりわけ環境大臣として第10回生物多様性条約締結国会議(COP10)の議長として取り組んだことを防災と減災、人権とリンクさせながら語った。
 また、全体集会場受付ロビーでは狭山事件のパネル展もおこなわれた。
 2日目は、部落解放・人権教育(3会場)、社会教育と啓発、狭山・共同闘争、企業・職域、自治体の課題、男女平等(ジェンダー)をテーマに8会場で分科会が開かれ活発な議論がおこなわれた。

□ 鳥取県共闘会議が初の県外研修で大阪市を訪問 □

 部落解放鳥取県共闘会議は、差別の現実から深く学ぶため、鳥取県内3地域を持ち回りで年3回、講演会や地域に出向いての学習をおこなってきた。32回目を迎える今回は、初の県外研修として5月21日、「リバティおおさか(大阪人権博物館)」の現状視察と、「生野コリアタウン」のフィールドワークを実施し、幹事会メンバーを中心に28人が参加した。
 リバティおおさかでは、前田朋章・事務局長より「行政からの補助金が打ち切られ、人件費削減や開館日を減らすなどの経営努力と、サポーター(年会費会員)などの支援によりなんとか運営を継続している。今後も人権教育啓発の推進に大きな役割を果たすべく特別展・企画展を開催していく」と厳しい現状説明と支援の訴えがなされ、鳥取県共闘からも支援カンパ金を手渡した。そのあと館内を見学、かけがえのない「いのち」のコーナーからはじまり、生誕地や人種、病気や障がい、性別や年齢による差別の歴史などについて、写真や手記など様々な展示を見てまわった。参加者からは「小学生の修学旅行のコースに入れるなど、鳥取からも活用方法はありそう」との声も聞かれた。
 生野コリアタウンでは、NPO法人多民族共生人権教育センター理事の文公輝(ムン・ゴンフィ) さんを講師にフィールドワーク。スタート地点のJR鶴橋駅では、まさに数日前にも街宣車が来てヘイトスピーチがおこなわれたと聞いた。そこから、高麗市場、商店街の狭い路地を、戦後の写真と現在の様子を比較しながら説明を聞き、センター事務所の「ぱだん」まで歩いた。そこで、この地に朝鮮半島出身者が多い歴史背景や、生野区の現状など詳しく説明を聞き、さらにフィールドワークをおこなった。

□ 狭山事件の再審を求め埼玉集会が開催される □

 狭山事件で一審の浦和地裁(現さいたま地裁)が死刑判決を言い渡してから50年にあたる3月11日夜、これを糾弾し再審の開始を求める埼玉集会がさいたま市で開かれた。部落解放同盟埼玉県連や部落解放埼玉県共闘会議、石川一雄さんを支援する会埼玉連絡会が主催したもので、200人が参加した。
 片岡明幸・解放同盟県連委員長の主催者あいさつに続いて、元埼玉弁護士会会長の木村莊弁護士が連帯あいさつをおこない、「石川さんの再審無罪を勝ち取ることは人権を尊重するうえで極めて重要だ。具体的な活動に参加できるようにしたい」と決意を語った。埼玉弁護士会所属の弁護士が3・11集会に参加するのは初めてのことで、連帯の輪の広がりを感じさせた。基調報告は小野寺一規・解放同盟県連書記長がおこない、「事件発生から51年。裁判闘争に決着をつけよう」と呼びかけた。
 また再審開始決定の可能性が伝えられる袴田事件の死刑囚・袴田巌さんの姉・ひで子さんと、無実の袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会事務局長の山崎俊樹さんが特別報告をおこない、ひで子さんは「1日も早い袴田事件の再審開始を望んでいる。石川さんともどもがんばりたい」と述べた。
 石川一雄さんは妻の早智子さんと登壇し、「袴田さんの次は狭山だの思いでがんばりたい」と決意を表明、義姉の石川ウメ子さんも支援を訴えた。


部落解放共闘情報bQ11(2014,3,14)

格差社会の是正と人権尊重の安心社会を
−部落解放中央共闘会議第38回総会−

 2月26日午後、部落解放中央共闘会議第38回総会が東京・日本教育会館で開催され、11中央団体23府県共闘から100人が参加した。
 荒金廣明・副議長の開会あいさつで始まり、議長団に瀧本司・日教組組織共闘部長と高橋定・部落解放同盟中執を選出した。
 主催者を代表して小俣利通・議長があいさつ、「安倍政権の民主主義破壊の暴走を許さず、格差社会の是正と人権尊重の安心社会をつくろう」と呼びかけ、「人権侵害救済法」制定、狭山事件の再審実現、就職差別撤廃などの課題へのとりくみを訴えた。
 つづいて連合の小川裕康・副事務局長があいさつ、「連合は人権意識を原点にすえた労働運動を推進することを目標に掲げてきた」とのべ、就職差別など差別を許さない社会づくり、「救済法」、狭山などに取り組む決意を表明した。
 また組坂繁之・部落解放同盟委員長もあいさつ、安倍政権は戦争ができる国をつくろうとしていると批判し、世界人権宣言が採択された歴史的経過と意義をもう一度かみしめ、平和、人権、民主主義、環境を守るため全力を尽くそうと訴えた。
 そのあと議事にはいり、活動報告と総括を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を小山芳彦・事務局次長がおこない、会計監査報告を管野博・会計監査がおこなった。そのあと提案は一括して拍手で採択された。
 つづいて活動方針を清水・事務局長が提案、予算を小山・事務局次長が提案、質疑応答のあと一括して拍手で採択した。
 新役員は加藤栄二・事務局次長が提案、拍手で承認された。新役員を代表して小俣・議長があいさつ、「ブレずに、決して差別と人権侵害を許さないことをベースに進んでいきたい」と決意を表明した。
 記念講演は、『狭山事件の再審実現に向けた情勢と課題』と題して狭山事件再審弁護団の河村健夫・弁護士がおこなった。河村さんは、再審事件での証拠開示の重要性を語り、証拠開示によって新たに発見された事実をもとに提出した新証拠・鑑定の内容を説明、新証拠の事実調べ実現への世論喚起を呼びかけた。
 講演のあと、総会宣言を大谷篤史・全国農団労中執が提案、拍手で採択された。最後に閉会あいさつを西島藤彦・事務局次長がおこない、小俣・議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓い合った。

《部落解放中央共闘会議役員》
                        
議   長  小俣 利通  連合副会長、JP労組委員長
副 議 長  組坂 繁之  部落解放同盟委員長
副 議 長  小川 裕康  連合副事務局長
副 議 長  荒金 廣明  自治労副委員長
副 議 長  相馬 真琴   NTT労組副委員長
副 議 長  住野 敏彦   私鉄総連副委員長
事務局長  清水 秀行  日教組書記次長
 〃 次長  加藤 栄二  連合連帯活動局部長
 〃 次長  西島 藤彦  部落解放同盟財務委員長
 〃 次長  小山 芳彦  自治労連帯活動局長
 〃 次長  下原田 寿  JP労組組織局次長
 〃 次長  佐藤 繁則  私鉄総連組織教宣局長
会計監査  十川 雅之   NTT労組中央執行委員
  〃     管野   博  全水道副委員長
常任幹事   岡戸  裕  部落解放同盟事務局、中央共闘専従


総 会 宣 言

 安倍政権は、昨年の参議院選挙で安定多数を確保し「ねじれ」を解消するやいなや、多くの反対や慎重審議を求める声を無視し、「特定秘密保護法」の強行可決をおこない、民主主義を踏みにじった。この暴挙は、その法律の内容とともに、国益の名のもとに人権と民主主義を踏みにじる政治の横行につながるものであり、安倍政権の反人権的で危険な姿が鮮明になってきた。私たちは、このような安倍政権の暴走を許さず、平和・人権・民主主義を守る闘いを強化しなければならない。
 そして、労働法制改悪など安倍政権の新自由主義的政策に歯止めをかけ、格差社会からの転換をはかり、人権尊重と社会的連帯にもとづく安心社会実現のため、全力を尽くさなくてはならない。また、東日本大震災からの復興、福島原発事故の収束に力をあわせなければならない。
 また格差社会の中で差別と人権侵害が多発しており、「人権侵害救済法」の制定をめざし運動のすそ野を広げ、闘いを再構築する必要がある。さらに採用を含む雇用差別禁止の法律とシステムを確立するとともに、公正なワークルール確立によって格差と貧困拡大からの転換を図る必要がある。
 狭山事件の再審をめぐる闘いは今年が山場であり、証拠開示、事実調べ実現の世論を喚起し、今年こそ再審を実現しなければならない。
 そして、地域・職場からあらゆる差別と人権侵害をなくすため、「人権教育・啓発推進法」を活用し、人権擁護と平和の機運を盛り上げることが求められている。
 私たちは、これらの課題を柱に、職場・地域に根ざした力強い運動を創造し、人権が尊重される平和で豊かな社会を実現するため奮闘することを誓うものである。

  2014年2月26日
                                              部落解放中央共闘会議第38回総会

ヘイトスピーチを許さないネットワーク構築を
−世界人権宣言65周年記念集会−

 12月10日、世界人権宣言65周年記念東京集会が日本教育会館一ツ橋ホールで開催され550名が参加、連合からは75名が参加した。主催は、部落解放同盟、連合、中央共闘、人権問題に取り組む企業や宗教団体などで構成される世界人権宣言中央実行委員会。
 集会では、社会問題化している「ヘイトスピーチ」問題を取り上げ、今日の日本社会における危機的な人権状況を明らかにし、あらためて「世界人権宣言」を具体化するとりくみの重要性を学んだ。
 主催者あいさつで組坂繁之・副実行委員長(部落解放同盟委員長)は、「人類は2度の世界大戦を経験しており、特に第二次世界大戦はナチスドイツによるユダヤ人大虐殺など、人間がこれほどまでに非道なことができるのかと思わずにいられない。このような基本的人権が侵害される中から戦争に突入していった。このような反省に立って世界人権宣言が国連で採択されたことを肝に銘じなければならない」と強く訴えた。
 講演は、「在特会取材からみえてきた日本の人権状況」と題して、ジャーナリストの安田浩一さんがおこなった。安田さんは、プロジェクターを使い「在特会(在日特権を許さない市民の会)」によるデモやヘイトスピーチの映像を映し出し、その実態を紹介したあと、「在特会の背景には、ずっと妄想をもとに特定の人を排除し傷つけてきた日本社会がある」とのべ、メディアの責任にも触れた。また、ヘイトスピーチに抗議するカウンター行動もはじまっていると紹介、「私たちの社会は、差別は認めない、誰かを排除することはしない。なぜこういう人々(在特会など)が生まれてしまったのか、私たち一人一人が考えていかなければならない」と訴えた。
 つづいて、辛淑玉さん(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク共同代表)が「ヘイトスピーチを許さない社会をめざすネットワークを」と題して特別アピールをおこない、当事者が声をあげ、ホームページを立ち上げ、ヘイトデモ・スピーチ対策などにとりくみ始めたことを紹介した。そしてヘイトスピーチは、在日韓国・朝鮮人やマイノリティだけの問題ではなく、すべての人々の人権に対する攻撃だと認識し取り組むことが大切だと強調した。

□ 狭山事件の第16回三者協議の概要 □

 1月31日午後、東京高裁、東京高検、弁護団による第16回三者協議が東京高裁内で開かれた。
 弁護団は、昨年10月の第15回三者協議以降、万年筆インクについての新証拠、「秘密の暴露」とされた車の駐車に関する新証拠を提出するとともに、関連する証拠の開示を求めていた。
 また東京高検は1月24日、「手拭い」関係の捜査資料2通を開示した。
 三者協議の中で弁護団は、証拠番号が飛んでいる証拠物について、プライバシー侵害を理由に高検が開示していないが、具体的にどうプライバシーにかかわるのか明らかにすべきと主張、あらためて開示を求めた。また未開示の証拠リストの開示も求めた。
 弁護団が釈明を求めた、石川さん宅から発見・押収された被害者のものとされる万年筆のインクがブルーブラックで、被害者がふだん使っていたインクがライトブルーであることについて、検察官は争わないと回答した。
 万年筆インクの色の違いについては、確定判決で「郵便局で違う色のインクを補充した」とされているが、被害者の日記と学校でのペン習字の記録、インクの残存量などからインク補充の可能性は無いことを示す新証拠が昨年末に提出されている。
 次回の三者協議は3月末に予定されている。

人権・平和・環境を基軸に民主主義確立を
−部落解放同盟第71回全国大会−

 3月10日から11日にかけて、部落解放同盟第71回全国大会が「憲法改悪を阻止し、差別排外主義を許さず、人権・平和・環境を基軸に民主主義の確立に向けた部落解放運動の闘いを大きく前進させよう」をスローガンに、東京・日本教育会館で開催され、代議員など600人が集まった。
 大会冒頭、組坂繁之・委員長は、「あの人権委員会設置法案にも反対した安倍首相が内閣を組織している。昨年は秘密保護法を強行採決し、いま解釈改憲で集団的自衛権の確立をはかろうとしている。人権や平和、民主主義が危うい」とのべ、戦争への道をなんとしても阻止しようと呼びかけた。また「人権侵害救済法」は議員立法でがんばりたいと語り、狭山再審の闘いは最大、最後の山場をむかえているとして、全力で取り組もうと訴えた。
 来賓として、各政党の国会議員や連合の小川裕康・副事務局長、部落解放中央共闘会議の小俣利通・議長などが連帯のあいさつをおこなった。小川さんと小俣さんは、狭山事件の映画の上映会、「人権侵害救済法」制定、就職差別撤廃を軸に連帯して取り組む決意をのべた。
 大会では役員選挙もおこなわれ、組坂繁之・委員長、西島藤彦・書記長をはじめとする役員が選出された。

人権教育分科会など26分科会で議論深める
−日教組第63次教育研究全国集会−

 1月24日から26日にかけて、日教組第63次教育研究全国集会が滋賀県大津市を中心に開催され、全国からのべ1万人が参加した。
 初日の全体集会には、全国から約3000人が参加。主催者を代表して加藤良輔・日教組委員長があいさつ、「子どもの権利としての教育ではなく、国家の意志としての教育になってきてはいないか」と危機感を表明、日教組の原点である「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンへの思いをのべ、世界中の子どもたちが平和のうちに学び生活できる環境をつくる大切さを強調した。また「日本の子どもたちにとって、『学ぶ』ことが大きな喜びとなっているか、問い直さなければならない。今もなお、子どもたちの『自死』が続く状況のなか、子どもたちや社会がかかえる問題に、学校として、教職員集団としてどこまで迫りえたのかが問われている。そしてその課題を社会的に共有するとりくみができたのか、そのことも重要な課題だと思う」と語った。
 連合の古賀伸明・会長やPTA全国協議会会長など来賓のあいさつのあと、「グローバル化時代における次世代育成ビジョン転換の課題−オランダから見直す日本の学校教育―」と題して、リヒテルズ直子さん(オランダ教育・社会研究家)が講演をおこなった。
 24日の午後から26日の午前にかけて、各教科や課題別に26の分科会で実践レポートをもとに交流・討論がおこなわれた。人権教育の分科会では、34本の実践レポートにもとづき報告を受けながら議論を深めた。また分科会の冒頭で部落解放同盟の安田茂樹・中央執行委員があいさつ、人権教育・啓発推進法にもとづく推進計画が全国の過半数の市町村自治体でつくられていない現状を報告、地域で協力して取り組みたいとのべた。また学力テストが差別選別につながらないよう取り組むことを呼びかけた。

□ 九州ブロック県民会議が総会・交流会 □

 2月4日から5日にかけて、部落解放共闘九州ブロック県民会議第18回総会・交流会が福岡市・アークロイヤルホテルで開催され、7県から100人が参加した。
 主催者を代表して上田淳・九州ブロック議長は、安倍政権がすすめる平和・人権・民主主義を脅かす動き、労働法制改悪の動きにふれ、「貧困と格差の拡大が新たな差別を生みだしかねない」とのべ、人権侵害救済法制定の必要性を強調、狭山再審もこの1年で実現をと呼びかけた。
 議事は西村芳樹・九州ブロック事務局長が提案した。方針では、「人権侵害救済法」制定、狭山現地調査や映画の上映、就職差別撤廃、戸籍等の不正取得に関わる本人通知制度導入、近畿ブロックとの交流、全九州研究集会などを重点に取り組むことを決めた。また上田議長、西村事務局長をはじめとする役員を選出した。
 第2部の学習会では、「部落差別の実態と課題〜世界の人権・日本の人権」と題して組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長が講演をおこなった。
 2日目は、「松本冶一郎生誕の地から解放の原点を学ぼう」をテーマに、フィールドワークをおこなった。福岡市東区の馬出人権のまちづくり館で、解放の父とよばれた松本冶一郎の生涯や全九州水平社の闘い、「兵卒同盟」の闘いや「福岡連隊爆破陰謀事件」について話を聞いた。そのあと、弾圧の犠牲者の墓碑がたつ大光寺、全九州水平社創立大会がおこなわれた博多座跡にある玉姫神社、松本冶一郎が下獄を前に演説した東公園などをフィールドワークした。

□ 東海ブロック共闘結成にむけて研修会を開催 □

 昨年12月13日、部落解放共闘東海ブロック研修会が三重県鈴鹿市・一ノ宮市民館で開催され、愛知県共闘と三重県民会議から30人が参加した。開会挨拶で部落解放三重県民会議の土森弘和議長は、「この研修会は、東海ブロック結成にむけた第一歩となるたいへん意味のある研修会。ひとりひとりが人権意識を高めあいながら学び、今後も継続的に開催していきたい」と意義を強調した。
 研修会では、田中仁・三重県民会議事務局長から同和対策事業による住環境整備の特徴や、取り組まれている隣保事業について説明をうけた。そのあと、一ノ宮地区をフィールドワークし実際に見て学んだ。
 一ノ宮地区は、「人権の町づくり」の中で、テーマを掲げ住民ひとりひとりが主役になり「人が住んでみたくなる町」をつくっている。また、入浴サービス(月・水・金)や人権講座(バス研修)・講演会を年1回開催し、コミュニティの場としても親しまれている。
 フィールドワークのあと、一ノ宮団地解放センターへ移動して意見交換をおこなった。解放センターは児童館としても機能し、啓発と管理の二つのグループで各種事業を運営している。とくに、地区の子どもだけではなく周辺に住む在日外国人も気軽に来館できるよう、館内にはポルトガル語をはじめ3ヵ国語で看板などを表記してあることは参加者の注目を集めた。一ノ宮市民館は高齢者、一ノ宮団地解放センターは子どもに視点を置き、地域に根ざした施設となっている。
 最後に部落解放愛知県共闘会議の須田勇議長が、「今日、一日よい研修会となった。県によって運動の形は様々だが、愛知県と三重県で連携し今後、岐阜県も含め東海ブロック結成にむけて輪を広げていきたい」とまとめた。

□ 近畿JP労組が人権週間の講演会ひらく □

 日本郵政グループ労組(JP労組)近畿地本は昨年11月17日、大阪市中央区の日本生命御堂筋ビルで人権講演会をひらき、近畿各地から組合員約150人が参加した。毎年12月の人権週間を前に講演会を開いてきたが、今回は各地で問題となっている外国人憎悪・ヘイトスピーチや日本に現れる排外主義の特徴などについて、関西学院大学社会学部の金明秀教授が講演をおこなった。
 主催者を代表して古賀信弘委員長があいさつし、「日本社会が右傾化する中、ヘイトスピーチの問題を学び人権意識の確立、啓発に活かしていきたい」とのべた。
 講演の中で金教授は、「排外主義は国際的に進行中の現象である。 景気が悪い国、外国人の人口比率が高い国、極右政党の支持が高い国に強くあらわれる」と指摘。  
 さらに「外国人が増えると治安が悪くなるという考え方があるが、そういう考え方が思い込まされてきたのは最近のことではなく、韓国併合後の独立運動がはじまった1919年頃からだ」とのべ、「独立運動当初は日本軍の抑圧からくるものと報道していたが、その後、報道も操作され外国人への恐怖心を煽るものに変わり、それが関東大震災の時の朝鮮人虐殺へとつながった」と強調した。
?さらに、在日コリアンの排斥を掲げる団体である「在特会」が京都の朝鮮学校を襲撃した問題について、「10月に京都地裁で『人種差別撤廃条約が禁ずる人種差別に該当する』として街宣の差し止めと1200万円の損害賠償を命じる判決がだされたことは大きく評価できる」とのべた。

□ 大阪府民共闘教育部会が大阪府教育交渉 □

 部落解放大阪府民共闘会議と同教育部会は昨年11月12日、大阪市中央区の日本赤十字会館において2013年度教育要求交渉を大阪府とおこなった。交渉には大阪教組、I女性会議、ふぇみん大阪、解放同盟、地域共闘などから約60人が参加。
 交渉団を代表して石子雅章・府民共闘議長があいさつ、「大阪の『同和・人権教育』は、全国に誇りうる成果をあげてきたが、部落差別が厳然としてある限り、差別をなくすための施策、支援は後退させない」との基本認識の確認を求めた。さらに「すべての子どもが自尊感情を持ち、自分が好きだと言えるように、親の貧困ゆえに教育権が奪われない、親の貧困を『自己責任だ』と言わない社会を築くため、率先した取り組みを要望する」と強調した。
 これに対し津田仁・教育監は、教育を取り巻く厳しい情勢についての認識をのべるとともに、「大阪が育んできた人権教育の視点を大切にさらに発展させていきたい」とのべ、「子どもたちをめぐる状況が厳しくなっていることを直視し、人権感覚の育成、自己実現にしっかりと取り組んでいきたい。共闘会議の皆さんの意見や要望を聞いて今後の教育行政に活かしていきたい」と回答した。
 要求書が石子議長から津田教育監に手渡された後、31項目の基本要求について、現場からの実態報告や問題提起、要望がおこなわれた。特に、いじめ・不登校、暴力行為への対策強化を求め、いじめは「重大な人権侵害行為で、差別であり、絶対に許せない行為」であることを踏まえた、差別やいじめを見抜く確かな人権感覚を育てるよう指導強化を求めた。また、管理職の適切なリーダーシップの発揮等、管理職の研修見直しの結果を明らかにするよう要望した。
 まとめとして高橋定・事務局次長から「経済状況の厳しい子どもへの対応を早急にお願いしたい。また、学力テストの公表については学校間の序列化の恐れがある。アレルギーなどへの対応で安全・安心についてのガイドラインづくりを早急に」など要請し交渉を終えた。


部落解放共闘情報bQ10(2013,12,9)

狭山、救済法、就職差別撤廃を柱に共闘の前進を
−部落解放共闘第30回全国交流会、全国共闘第30回総会−

 11月20日から21日にかけて、部落解放共闘第30回全国交流会と部落解放地方共闘全国連絡会議第30回総会が、岐阜市内のホテル・リソル岐阜を主会場に開催され、24府県共闘・8中央団体から120人が参加した。
 午後2時から始まった交流会は、加藤栄二・連合連帯活動局部長の司会ではじまった。主催者あいさつで組坂繁之・全国共闘議長は、「人権侵害救済法」制定は困難な政治状況だが議員立法を視野に入れ取り組みたい、狭山事件の再審闘争も大きな山場にあり各地で取り組みを強めようと呼びかけた。また「秘密保護法」は憲法改悪への布石と批判し、子、孫に平和・人権・環境・民主主義の確立された日本、世界を受け継がせようと呼びかけた。
 つづいて連合を代表して山根木晴久・総合組織局長があいさつ、狭山映画を観た感想をのべながら上映運動など再審無罪にむけ全力を尽くしたいとのべ、就職差別撤廃や「救済法」にもしっかり取り組みたいと決意を語った。
 また連合岐阜を代表して櫻井靖雄・副会長から連帯のあいさつがあり、地元の大矢浩・岐阜県共闘議長が県共闘の取り組み報告を含め歓迎あいさつをのべた。
 交流会の基調は清水秀行・中央共闘事務局長が提案、人権をめぐる情勢の特徴と取り組みの方向、当面する共闘の課題を提起した。
 そのあと「障害者差別解消法制定の意義と今後の課題」について山崎公士・神奈川大学教授が講演した。
 活動交流では、長野、三重、大阪、和歌山、宮崎の5府県共闘から活動報告を受け、西島藤彦・中央共闘事務局次長が1日目のまとめのあいさつをおこなった。
 2日目は会場を「じゅうろくプラザ」に移し再開。「部落差別の現状と課題〜『週刊朝日』差別記事事件を中心に考える」と題して赤井隆史・部落解放同盟中央執行委員から特別報告を受けた。 
  全国共闘第30回総会
 部落解放地方共闘全国連絡会議第30回総会は、総会議長に平井知一・神奈川県共闘議長を選出、組坂繁之・全国共闘議長のあいさつで始まった。
 活動報告と総括を清水秀行・事務局長が提案、会計決算報告を小山芳彦・事務局次長、会計監査報告を中島修・会計監査がおこない、若干の質疑応答のあと一括して拍手で採択された。
 方針案は清水・事務局長が提案、@学習教宣活動、A世界人権宣言の具体化、B部落解放・人権政策の確立、C就職・雇用差別撤廃、D狭山事件の再審実現、E組織強化などの重点課題を提起した。予算案は小山芳彦・事務局次長が提案し、一括して拍手で採択された。
 新役員提案は加藤栄二・事務局次長がおこない、拍手で承認された。新役員を代表して組坂議長があいさつ、今日の危険な情勢を語り、戦争への道を断固阻止して平和・人権・環境・民主主義を守り抜こうと呼びかけた。
 最後に西島・事務局次長が閉会あいさつをおこない、組坂議長の音頭で団結ガンバローを三唱し運動の前進を誓いあった。

≪部落解放地方共闘全国連絡会議・新役員≫

議   長  組 坂 繁 之  部落解放同盟委員長
副 議 長  上 田    淳  九州ブロック県民会議議長
副 議 長   保    留    近畿ブロック連絡会議議長
副 議 長  山 ア 秀 一  四国ブロック共闘会議議長
副 議 長  平 井 知 一  関東甲信越ブロック連絡会議議長
副 議 長  須 田    勇  愛知県共闘会議議長
副 議 長  佐 古 正 明  広島県共闘会議議長
事務局長  清 水 秀 行  中央共闘事務局長
 〃 次長  加 藤 栄 二  中央共闘事務局次長  
 〃 次長  西 島 藤 彦  中央共闘事務局次長  
 〃 次長  小 山 芳 彦  中央共闘事務局次長
 〃 次長  下原田   寿  中央共闘事務局次長
 〃 次長  佐 藤 繁 則  中央共闘事務局次長
常任幹事(各ブロックの労組側から1名、解放同盟から1名)
関  東  齋 藤 悦 男  新潟県共闘副議長
  〃    片 岡 明 幸  解放同盟関東甲信越ブロック議長
東  海  広 垣 和 彦  三重県民会議副議長
  〃    田 中    仁  解放同盟三重県連書記長 
近  畿  森 蔭    守  兵庫県民共闘事務局長
  〃    赤 井 隆 史  解放同盟大阪府連書記長
中  国  小野田 義 明  岡山県共闘事務局長
  〃    竹 内 哲 也  解放同盟島根県連書記長
四  国  山 ア 秀 一  高知県共闘議長
  〃    松 岡 芳 生  解放同盟愛媛県連書記長
九  州  西 村 芳 樹  九州ブロック県民会議事務局長
  〃    山 口    渉  解放同盟九州ブロック副議長
会計監査 林    芳 弘  神奈川県共闘議長代行
  〃    中 島    修  埼玉県共闘事務局次長


山場むかえ、事実調べ・再審実現へ世論を高めよう
−10・31狭山事件の再審を求める市民集会−

 10月31日午後、「狭山事件の再審を求める市民集会〜冤罪50年、いまこそ証拠開示と事実調べを」が、東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から解放同盟員、労働組合、宗教者、市民など3000人が集まった。集会の前段では、東京高裁、高検への要請行動や街頭宣伝活動も取り組まれた。
 開会あいさつで、鎌田慧さん(狭山事件の再審を求める市民の会事務局長)は、「狭山事件は司法の暗黒を示す事件。冤罪と闘う人々と連帯しながら石川さんの無実を晴らしていこう」と呼びかけた。
 石川一雄さんは、体調を崩していることをのべながら「無実をかちとるまでは元気で闘う。今も心は闇だが、心を晴らしたい」と一層の支援を訴えた。妻の早智子さんも「今年から来年が大きな山場。無罪を勝ち取り、冤罪を晴らしたい」と訴えた。
 狭山事件再審弁護団の中山武敏・主任弁護人は、「手拭い」をめぐる新証拠について説明し、寺尾判決の誤りが明らかになったとのべた。そして「犯行現場の血痕反応検査報告書など『不見当』とされた証拠についても粘り強く開示を求め、事実調べ実現へ全力で闘う」と決意をのべ、大きな世論をつくってほしいと呼びかけた。
 再審で無罪をかちとった冤罪被害者である免田事件の免田栄さん、足利事件の菅家利和さん、布川事件の杉山卓男さん、桜井昌司さん、再審請求中の袴田事件の袴田巌さんの姉・袴田ひで子さんも次々発言、「石川さんの無実を証明する証拠がまだまだ多く隠されている。こんなことを許していいのか」と怒りをあらわにし、共に闘う決意をのべた。
 最後に集会アピールを部落解放共闘福岡県民会議の太田真由美・事務局長が提案し採択されたあと、組坂繁之・部落解放同盟委員長が「来年には裁判官の判断が出る可能性もある。事実調べ、再審開始を勝ち取るため狭山パネル展や映画上映、街頭宣伝など各地で取り組みを強めよう」と呼びかけた。
 そのあと、参加者は石川さんの無実と再審開始を訴えデモ行進をおこなった。

狭山のドキュメント映画が完成、上映運動へ
−石川さん夫妻の日常に寄り添い撮影−

 10月31日の夕方、ドキュメント映画「SAYAMA〜みえない手錠をはずすまで」の完成上映会が東京・日本教育会館ホールで開催され700人が参加した。上映後では、金聖雄(キム・ソンウン)監督、落合恵子さん、やくみつるさんをゲストにトークイベントもおこなわれた。
 また、上映会には連合から生花が贈られ、神津里季生・事務局長も駆けつけ石川さんを激励、固く握手を交わした。
 映画の中では、茶の間で食事をしながらの会話、散髪をしてもらうシーン、裁判所の前での訴え、足利事件や布川事件など冤罪事件関係者との交流など、石川一雄さんの日常が映し出される。妻の早智子さんは「この映画を見て人間石川一雄と狭山事件を知っていただくきっかけになれば」と語った。

□ 中央共闘が狭山事件で東京高裁、高検に要請 □

 10月16日午後、部落解放中央共闘会議は狭山事件に関する東京高裁、東京高検に対する要請行動に取り組んだ。清水秀行・事務局長を先頭に連合、自治労、日教組、JP労組、NTT労組、全国農団労、部落解放同盟から10人が参加した。
 東京高裁では、清水事務局長が要請書を手渡し趣旨を説明、冤罪が50年も晴れないことに憤りを感じているとのべ、早急に新証拠の事実調べを実現するよう強く訴えた。連合の西村智雄・連帯活動局長も弁護団から出された新証拠の審理を訴えた。
 東京高検でも清水事務局長が要請書を手渡し趣旨を説明、「不見当」とされた証拠について納得がいく説明を求め、正義と真実を追求する姿勢を示してほしいと訴えた。西村・連帯活動局長は、「公正な裁判の立場からも証拠リストの開示を」と要請した。
 東京高裁、高検ともに事務官が対応し、要請の内容を裁判官、検察官に伝えるとのべた。

□ 狭山弁護団が「手拭い配布」で新証拠を提出 □

 10月17日、狭山事件再審弁護団は、被害者を後ろ手に縛った手拭いに関する新証拠5点を東京高裁に提出した。また、証拠開示勧告も申し立てた。
 事件では被害者の遺体は手拭いで後ろ手に縛られ埋められていた。その手拭いは、狭山市内のI米穀店が年賀用として配った165本のうちの1本。警察は手拭いを回収、不明の7本のうちの1本が犯行に使われたとした。
 石川一雄さん方からは1本回収されたが、2審の確定判決では、「石川さんの義兄には手拭いが2本配られている」として義兄から都合をつけて警察に提出したと決めつけた。しかし、今回の新証拠で、米穀店の配布メモに書かれた配布本数のメモが1から2へ書き換えられていることがわかった。
 また、被害者を縛った手拭いがI米穀店のものだということが当時の5月6日の昼12時のTBSテレビのニュースで初めて報道されたが、捜査員が石川さん方で手拭いの所有を確認したのは、その放送から17分後であることも明らかになり、17分という短時間に手拭いを調達することは不可能であることも明らかにした。

□ 狭山事件の第15回三者協議の概要 □

 10月28日午後、狭山事件の第15回三者協議が東京高裁内でおこなわれた。
 弁護団は10月17日、「手拭い」に関する新証拠を提出し、さらに「手拭い」捜査に関わる証拠開示を求めていたが、今回の三者協議で検察官は開示の必要性は無いと回答した。しかし、裁判長は再検討を促した。
 裁判長が前回の三者協議で「客観的証拠については開示の方向で検討を」と促した筆跡関係の「欠番(証拠に付けられた番号が飛んでいる)」の証拠について、検察はプライバシーを理由に開示を拒んだ。弁護団は、筆跡が確定判決の証拠の主軸となっており、関連性も必要性もあること、プライバシー侵害の可能性は無いとして開示を求めた。そして今後の協議で、プライバシーに配慮した開示の方向性も検討することになった。
 次回の三者協議は、来年1月末に開催予定。

□ リバティおおさかの自主運営に中央共闘がカンパ □

 部落解放中央共闘会議は、リバティおおさか(大阪人権博物館)に対する大阪府・市の補助金打ち切りに反対し署名活動などに取り組んできた。しかし本年から補助金は打ち切られ、自主運営の努力が重ねられてきた。そして大阪を中心に自主運営を支えようとカンパ活動が始まり、中央共闘も協力しカンパを呼びかけていた。そして加盟の中央団体(8単産)から集まったカンパ365万円を清水秀行事務局長が10月23日、博物館を訪れ博物館の成山治彦理事長に手渡した。
 清水事務局長は、「館の公的支援継続と存続へ署名に取り組んできた。リバティは部落問題や人権に関する啓発の場であり、子どもたちにとっても人権教育を学ぶ貴重な場所。自主運営という厳しい状況だが今後も支援をしていきたい。各労組や地方共闘にも大阪での会議や集会などの時にリバティ見学を呼びかけていきたい」とのべた。
 成山理事長は、「全国の皆さんから支援をいただき、4月から自主運営をしながら館の維持をはかっている。展示も人権教育により役立つよう変更を見当している」と語り、労働組合、共闘会議の支援に謝意をのべた。

□ 日教組が「冤罪・狭山事件50年」のパネル展 □

 9月10日から13日まで、日本教職員組合が主催し「冤罪・狭山事件50年」のパネル展が開かれた。会場となった日本教育会館1階の一橋画廊には30枚のパネルが展示された。
 10日午前の東京高裁前でのアピール行動を終えた石川一雄さん、早智子さんも訪れ、「開催に感謝します」と謝辞をのべた。
 パネル展は、8月に大阪で開催された自治労大会や、11月に沖縄で開催された護憲大会等でも展示され、各地でも取り組みが進んでいる。パネルを活用し、各地で石川さんの無実を広めよう。

差別、貧困、社会的排除の克服へ実践交流を
−部落解放研究第47回全国集会−

 11月6日から8日にかけて、部落解放研究第47回全国集会が香川県高松市・総合体育館を主会場に開催された。メインスローガンは、「今日の部落差別の現実を明らかにし、格差拡大社会のなかで深まる差別と貧困、社会的排除の克服にむけた実践交流と研究活動をおしすすめよう」で、全国から5千人を超す参加があった。
 開会のあいさつは、清水秀行・中央共闘事務局長がおこない、ヘイトスピーチ・デモなどがおこなわれる深刻な人権状況に警鐘を鳴らし、各地で人権確立の取り組みを前進させるため学習と実践交流を進めようと呼びかけた。
 主催者を代表して組坂繁之・部落解放同盟委員長は、人権と平和を脅かす安倍政権の動きにふれながら、差別・排外主義と対決し平和で人権が尊重される社会をつくることを訴えた。そのあと、「マスコミと人権」と題してジャーナリストの大谷昭宏さんが講演をおこなった。
 2日目は、人権救済制度、狭山事件の再審、人権啓発など7分科会で研究や実践を報告・交流、国立療養所大島青松園のフィールドワークもおこなった。
 3日目は全体集会で、「障害者差別解消法制定の意義と今後の課題」について山ア公士・神奈川大学教授、「今日の日本社会を考える」と題して中島岳志・北海道大学准教授が講演した。

□ 関東甲信越ブロック共闘が総会と交流会 □

 9月24日〜25日、部落解放関東甲信越ブロック共闘連絡会議第14回総会・交流会が神奈川県川崎市の川崎市労連会館で開催され、6都県50人が参加した。
 まず中山千弘・関東ブロック共闘議長は、「総会と交流会が狭山闘争50年の闘いの飛躍と人権政策確立へのねばり強い闘いを確認する場になることを願う」とあいさつ。つづいて片岡明幸・部落解放同盟関東ブロック議長、中央共闘から岡戸裕・常任幹事、地元の平井知一・神奈川県共闘議長があいさつした。議事は和田献一・関東ブロック事務局次長が一括して提案、拍手で採択された。そして関東甲信越ブロックの新役員を選出、議長に平井知一・神奈川県共闘議長を選出した。
 総会のあと、「朝鮮学校をとりまく現状と課題」について皮進(ピ・ジン)・神奈川朝鮮学園理事長が講演。つづいて「冤罪・狭山事件50年の現状と課題」と題して片岡明幸・部落解放同盟関東ブロック議長が講演した。
 皮さんは、在日コリアンの歴史を中心に話し、「朝鮮学校だけ国や自治体からの補助金を除外した。国交がないことや拉致問題など子どもの教育を受ける権利となんら関係のない事柄を根拠とした排除は子どもの権利条約違反であり、国家的差別だ」と批判。さらに「いま、朝鮮学校に通っている子どもたちは、これからも日本で生きていく子どもたちだ。日本の子どもたちとの交流の場をひろげたい」と補助金の継続再開への理解と支援を求めた。
 片岡さんは、「狭山闘争50年のあゆみをたどりながら、3者協議で証拠開示のとりくみが進んだが、肝心な証拠は開示ができていない。全証拠の開示の闘いが必要だ。石川さんのドキュメンタリー映画も完成し、まもなく公開される。闘いの輪を広げていこう」と訴えた。また第1日目の夜には、在日コリアンの集住地区である川崎市桜本地区の焼き肉店で交流会をおこなった。
 2日目は、曹洞宗の大本山総持寺を訪問。寺院拝観とともに、「宗教者がなぜ部落問題にとりくむのか」をテーマに山口正章・布教強化部長が講演。世界宗教者平和会議での差別発言を契機にした曹洞宗の部落問題への積極的なとりくみ、同宗連の結成ととりくみ、現状を話した。
 次回の開催地は新潟県に決まった。

□ 部落解放地方共闘四国ブロック交流集会 □

 11月9日から10日にかけて、部落解放地方共闘四国ブロック交流集会が徳島市・阿波観光ホテルで開催され70人が参加した。
 主催者あいさつで河村和男・徳島地方共闘議長は、狭山事件から50年ということで徳島新聞に意見広告を載せたことを紹介、さらに世論喚起をしていこうと呼びかけた。
 そのあと「徳島における部落解放運動の歴史と現状」について、橋本弘房・部落解放同盟徳島県連委員長が講演、自らの生い立ちを重ねながら運動の歴史を語った。また、2日目のフィールドワークの鳴門市の被差別部落の概況について、中原サヲ江・徳島地方共闘事務局次長が講演をおこなった。
 各県共闘の活動報告もおこない、夜の懇親会も含めて交流を深めた。
 2日目は、鳴門市の人権福祉センターを起点に地域をフィールドワーク、運動の歴史と現状、課題を学んだ。

□ 三重県民会議がフィールドワークとリバティおおさか見学 □

 9月24日、部落解放三重県民会議は役員17名で、「リバティおおさか」の視察と「コリアタウン」のフィールドワークをおこなった。
 会館内の展示物などを見学した後、アトリエ西濱代表の太田恭治さんから、今日までの経緯や課題の説明を聞き、改めて「リバティおおさか」の存在や果たしてきた役割を学ぶことができた。また、靴や太鼓をはじめとする革製品についての作り手の思いも学んだ。
 そのあと大阪市生野区に移動し、コリアNGOセンター講師の郭辰雄さんの案内による生野コリアタウンのフィールドワークをおこなった。韓国済州島からコリアンが移り住んできた経緯、コリアタウンの歴史や朝鮮半島と日本の関わり、在日コリアンの現状と課題等について話を聞き、キムチや豚などの食文化に触れて学習を深めた。